
この記事のまとめ
- 障害者グループホームがきついと感じる理由は、専門知識が必要とされるため
- 障害者グループホームに転職するメリットは、「未経験で転職しやすい」など
- 障害者グループホームに向いているのは、入居者さんの気持ちに寄り添える人
「障害者グループホームの仕事はきついの?」と、気になる方もいるでしょう。障害者グループホーム(共同生活援助)の職員には、障がいに関する専門知識や一定の体力が必要とされるため、人によってはきついと感じることがあるようです。この記事では、障害者グループホームの職員が大変さを感じる理由を解説。転職のメリットや向いている人の特徴も紹介するので、就職を希望している方は参考にしてみてください。
「障害者グループホームはきつい」と言われる理由
障害者グループホーム(共同生活援助)とは、障がいがある方が自立した生活を送れるように、日常生活上の援助を行う施設です。スタッフには障がいに関する知識や体力が必要とされるため、人によっては「きつい」と思うこともあるかもしれません。
ここでは、障害者グループホームの職員が、「仕事で大変」と感じる理由をまとめました。
入居者さんの特性を理解するのが難しい
障害者グループホームでは、障がいの専門知識を持ったうえで、入居者さんの特性や性格に合わせて支援を行います。障がいに関する専門知識が少ないと、「声掛けや支援の方法が分からない」という大変さを感じることがあるようです。また、見慣れない人を嫌がる入居者さんもいるため、新人職員は「自分にだけ心を開いてくれない」と悩んでしまうこともあるのかもしれません。
仕事で悩んだときは、1人で対応しようと抱え込まず、先輩や上司に相談することが大切です。障害者施設が未経験の方は、教育制度やフォロー体制が整っている職場を選ぶと、安心して働けるでしょう。
シフト形態によっては夜勤が長時間になる
障害者グループホームによっては夜勤があるため、大変さを感じることがあります。特に、2交替制の場合は、勤務時間が約16時間と長時間になるため、きついと感じやすいようです。通常は寝ている時間に仕事をしなければならないため、夜勤に慣れない新人職員は、生活リズムの乱れから体調の不調を感じることも考えられます。
夜勤がある職場に転職する際は、「休憩は十分に取れるか」「仮眠室は備えられているか」を確認しておくと良いでしょう。
体力が必要とされる
身体的なケアが必要な入居者さんがいる場合、身体を抱えたり支えたりして介助を行うため、一定の体力が求められます。介助業務に慣れないうちは、無理な力を入れてしまい、体力的なきつさを感じるかもしれません。
ただし、正しい介護技術を身につけることで、介助するときの負担は軽減できます。腰痛などの持病で力仕事に不安を感じる場合は、相談対応をメインに行う「外部サービス利用型」の障害者グループホームを検討してみると良いでしょう。介護サービスを居宅介護事業所に依頼するため、体力的な不安を減らせる可能性があります。
コミュニケーションが難しい
障害者グループホームの入居者さんのなかには、自分の状況や気持ちを言葉で説明することが難しい方もいます。自分の気持ちを上手に伝えられないもどかしさから、暴言や暴力が発生してしまうこともあるようです。こういった事情から、入居者さんとのコミュニケーションに大変さを感じることもあるでしょう。
入居者さんとのコミュニケーションの悩みは、経験を積むことで解決していく傾向にあります。もし、トラブルが発生した場合には、職員の間で情報交換をしながら入居者さんに合った対処を行っていくので、不安に感じ過ぎなくても大丈夫でしょう。
給与が仕事内容に見合っていないと感じる
給与に対する不満から、「仕事がきつい」と感じる人もいるようです。障害者グループホームの職員には、障がいに関する専門知識が必要とされます。職場によっては、人手不足などで1人当たりの業務量が多くなってしまうこともあるでしょう。仕事の頑張りが給与に反映されない場合、モチベーションを保つのが難しくなり、きついと感じてしまう可能性があります。
厚生労働省の「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果 (p.80)」によると、障害者グループホームの介護職員(常勤)の平均給与は、「介護サービス包括型」が275,950円。「日中サービス支援型」は290,900円、「外部サービス利用型」は253,750円です。障害者グループホームの介護職員は、仕事の大変さや、これまでの給与次第では、「給料が低い」と感じる場合もあるようです。
転職する際には、給与や手当、福利厚生などの労働条件に納得できる職場を見つけることが大切です。
出典
厚生労働省「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」(2024年7月17日)
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人間関係に悩むことがある
職場の人間関係に悩み、障害者グループホームで働くのがきついと感じる職員もいるようです。支援の方向性やどこまで関わるかといった考え方が職員によって異なり、意見が食い違うことは少なくありません。支援の方向性の違いを話し合って解決できないと、人間関係のトラブルに繋がってしまうことがあるようです。
気になる求人があったら、応募前に職場見学を行っておくと良いでしょう。転職前に職場の人間関係を知るのは難しいのが実情ですが、職場見学で職員間の会話や空気感などを確認しておくことで、おおよその予測はできます。
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アドバイザーに相談する(無料)障害者グループホーム(共同生活援助)とは
前述したように、障害者グループホームとは、障がいのある方が、主に夜間や休日に日常生活上の援助を受けながら共同生活を送る住宅のことをいいます。2~10人程度の少人数で生活するのが一般的です。
障害者グループホームで働く職種は、管理者・サービス管理責任者・世話人・生活支援員など。世話人は主に日常生活の支援や相談対応を行い、生活支援員は、食事や入浴、排泄の介助などをメインに行います。
障害者グループホームの種類は、「外部サービス利用型」「介護サービス包括型」「日中サービス支援型」の3つです。それぞれの特徴を下記にまとめたので、参考にしてみてください。
外部サービス利用型 | 主に、夜間における日常生活上の支援や相談対応を行う。介護サービスは、居宅介護事業所に委託する。 |
介護サービス包括型 | 主に、夜間における日常生活の支援や相談対応、介護サービスを提供している。 |
日中サービス支援型 | 日常生活の支援や相談対応、介護サービスを常時提供している。 |
参考:厚生労働省「グループホームの概要」
外部サービス利用型や介護サービス包括型は、主に夜間や休日にサービスを提供しているのが特徴です。入居者さんは日中、就労先企業や就労移行支援事業所 、就労継続支援事業所 、生活介護事業所などへ通うため、その間に掃除や洗濯などを行います。
日中サービス支援型は、主に重度の障がいがある・高齢であるなどの理由で日中活動系サービスを受けられない方が入居しています。外部サービス利用型や介護サービス包括型と異なり、日中も日常生活の支援や相談対応、介護サービスを提供しているのが特徴です。
いずれの施設も、入居者さんの健康状態や障がいの程度に合わせた支援を行うのが基本です。日常生活のすべてをサポートするのではなく、できることは自分でやってもらうというスタンスで、個人ができることを増やしていくことを目的としています。
詳しい仕事内容を知りたい方は、「障害者グループホームで働く職員の仕事内容とは?1日の流れも合わせて解説」をご覧ください。
出典
厚生労働省「第40回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」資料(資料2)」(2024年7月17日)
障害者グループホームに転職するメリット
ここでは、障害者グループホームに転職するメリットを紹介します。転職を迷っている方は、参考にしてみてください。
無資格・未経験から転職しやすい
障害者グループホームの生活支援員・世話人として仕事をするのに、必須の資格はありません。無資格・未経験OKの求人もあるため、転職しやすい職場といえるでしょう。また、障害者グループホームで介護経験を積めば、介護福祉士を目指すことも可能です。経歴や年齢関係なくキャリアアップを目指せるのも、障害者グループホームで働くメリットといえます。
高齢者施設よりも身体介護の負担が小さい
施設の種類によりますが、障害者グループホームの入居者さんは、職員のサポートがあれば身の回りのことは自分でできる方が多い傾向にあります。特養などの高齢者施設と比較して、身体介護を行う機会が少ないため、身体的負担を軽くして働けるというメリットがあります。
家事スキルを活かせる
障害者グループホームの世話人や生活支援員は、掃除・洗濯・食事の準備など、家事と同じような業務を行います。家事スキルに自信がある方は、そのスキルを活かして働けるのがメリットです。そのため、「家事が得意」「家事スキルを活かしたい」という方は、向いているでしょう。
障害者グループホームの職員に向いている人
障害者グループホームの仕事は、「入居者さんの気持ちに寄り添える」「小さな変化に気づける」「相手のペースに合わせられる」といった人に向いている傾向にあります。
入居者さんの気持ちに寄り添える人
障害者グループホームの職員は、入居者さんが安心して生活できるように、一人ひとりの気持ちに寄り添うことが大切です。相手の気持ちに共感してサポートできる人は、障害者グループホームの職員に向いているでしょう。寄り添ったケアを行うことで、入居者さんと信頼関係を築きやすくなります。
小さな変化に気づける人
小さな変化に気づく観察力がある人は、障害者グループホームの職員に向いているといえます。障害者グループホームの職員は、入居者さんの日々の体調や精神状態に合わせた対応が必要です。しかし、自分の気持ちや体調の変化を言葉で伝えることが苦手な入居者さんも少なくありません。こういった事情から、入居者さんの小さな変化に気づける能力は、業務において重要視されます。
入居者さんのペースに合わせられる人
相手のペースに合わせられる人は、障害者グループホームの職員に向いている傾向にあります。入居者さんのなかには、こだわりが強い方や動作がゆっくりとしている方もいるため、職員がやった方が早いと感じることがあるでしょう。しかし、入居者さん自身ができることを職員が奪ってしまうのはNG。入居者さんのペースに合わせて見守りながら、必要であればサポートをするという姿勢が大切です。
土日祝の勤務や夜勤に慣れている人
障害者グループホームでは、土日祝の勤務や夜勤、宿直を行う場合があります。土日祝や夜間の勤務に抵抗がない人は、スムーズに仕事に慣れていけるでしょう。特に、夜勤の経験がある人は、即戦力として期待されるかもしれません。
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障害者グループホームのやりがいとは?体験談を紹介
ここでは、障害者支援の仕事をしている方の体験談を紹介します。転職を迷っている方は、参考にしてみてください。
支援方法を試行錯誤する楽しさがある
障がいの特性から、言語によるコミュニケーションが苦手な利用者さんがいました。言葉で伝えると利用者さんが混乱してしまうため、ご飯や服のカードを見せて、食事や着替えの時間を認識してもらう非言語コミュニケーションの手法を試したところ、スムーズに理解していていただくことができました。コミュニケーション方法を工夫して、こちらが伝えたいことが伝わったとき、喜びを感じます。
利用者さんの成長を感じられるのがやりがい
利用者さんの自立度が上がると、支援のやりがいを感じます。以前、靴を履かずに外に出てしまう利用者さんがいました。見えるところに靴を置いてみたり、頻繁に声掛けを行って靴を履くことを思い出してもらったりして、靴を自分で履いてもらえるようにさまざまなアプローチを試しました。ほかの職員とも支援方針を検討し、支援を続けていった結果、声掛けをする頻度が徐々に減り、お出かけ前に靴を履く習慣が身につきました。どうすればうまくいくか、作戦を立てる瞬間も楽しいですが、実際に成果が目に見えると喜びもひとしおです。
日常の何気ない会話にやりがいを感じる
利用者さんとの何気ない会話が楽しいです。人が好きな方やお話が好きな方も多いので、「今日はバイクで来たの?」と利用者さんの方から話しかけてくれることもあります。一緒に遊んだり生活したりする中で、人対人のつながりを感じる機会が多くあるところは、この仕事の楽しいところだと思います。
障害者支援施設の職員は、入居者さんとの関わりや支援に、やりがいを感じる方が多いようです。人との関わりが好きな方は、障害者支援施設の職員としてやりがいを感じながら働けるでしょう。
障害者グループホームに転職する際によくある質問
ここでは、障害者グループホームに転職する際によくある質問を紹介します。「障害者グループホームの職員に向いていない人は?」「夜勤はきついの?」などの疑問がある方は、参考にしてみてください。
障害者グループホームに向いてない人の特徴は?
障害者グループホームの仕事では、入居者さんの特性や性格、精神状態によって臨機応変に対応しなければなりません。「マニュアルどおりの仕事を好む人」「人に合わせるのが苦手な人」は、仕事がつらいと感じる可能性があります。また、「言葉遣いや動作が乱暴な人」も、入居者さんとの信頼関係を築くのに苦労するかもしれません。障害者グループホームで働く際は、相手の気持ちに寄り添った丁寧な対応を心掛けることが大切です。「障害者グループホームの仕事に向いているのか気になる」という方は、「障害者グループホームの職員に向いている人」も参考にしてみてください。
障害者グループホームの夜勤は楽?
夜勤は、通常であれば寝ている時間に仕事をするため、生活リズムが乱れるという大変さがあります。また、労働時間が約16時間と長時間になることもあり、簡単に「楽」とは言えません。ただし、障害者グループホームはある程度自立している方が多い傾向にあり、高齢者施設と比較して身体介護による負担は小さいようです。そういった面では楽と感じる人もいるでしょう。なお、施設によって夜勤の業務内容は異なるため、事前の確認が大切です。
障害者グループホームで働くのに資格は必要?
無資格の方も、障害者グループホームの世話人や生活支援員として働けます。ただし、初任者研修以上の資格を応募条件とする求人もあるため、資格を取得すれば転職先の幅が広がるでしょう。障害者グループホームの仕事に役立つ資格が知りたい方は、「障害者施設で働くにはどんな資格が必要?仕事内容や働くメリットも紹介」をご覧ください。
まとめ
障害者グループホーム(共同生活援助)では、障がいがある方が自立した生活を送れるように、日常生活の援助を行っています。障がいに関する知識や、ある程度の体力が必要とされるため、人によっては「きつい」と思うことがあるようです。
経験の浅さから不安を感じる場合は、教育制度やフォロー体制が整っている職場を選ぶと安心して働けます。体力的な不安を感じる方は、外部サービス利用型など、自立度が高い入居者さんが多い施設を選ぶと良いでしょう。
障害者グループホームの職員に向いているのは、「入居者さんの気持ちに寄り添える」「小さな変化に気づける」「相手のペースに合わせられる」といった人です。人との関わりにやりがいを感じる人は、世話人や生活支援員として活躍できるでしょう。
「障害者グループホームの職員に向いているか不安」「どんな仕事をしているの?」などの悩みがある方は、介護業界の転職に特化したエージェントの「レバウェル介護(旧 きらケア)」にご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)のアドバイザーは、職場の内情に詳しいため、求人票からは分からない細かい業務内容もお伝えできます。業務内容を把握したうえで転職を決められるので、転職後のミスマッチを減らせるでしょう。サービスはすべて無料なので、ぜひご活用ください。
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