
この記事のまとめ
- 看取りケアとは、終末期の方の苦痛を緩和し尊厳のある生活を支援すること
- 看取りケアの代表的な資格は、看取りケアパートナーや終末期ケア専門士
- 看取りケアパートナーの資格は、認定試験に合格することで取得できる
介護職員のなかには、「看取りケアの資格を取得したい」という方もいるでしょう。看取りは、介護する側にとっても、精神的な負担がかかります。看取りケアの正しい知識を身につけることで、利用者さんやそのご家族だけでなく、自分自身とも向き合うきっかけになるはずです。本記事では、看取りケアに関する資格のなかでも、「看取りケアパートナー」「終末期ケア専門士」についてご紹介するので、ぜひご覧ください。
介護資格の種類31選!取得方法やメリットを解説します →レバウェル介護の資格スクールはこちら看取りケア(ターミナルケア)とは
看取りケア(ターミナルケア)とは、終末期を迎える方に対して、精神的・身体的な苦痛を緩和し、最期まで人として尊厳のある生活ができるよう支援することを指します。看取りケアでは、対象となる方が穏やかに充実した最期を迎えられるよう、本人の意思を尊重したうえで援助や介護をすることが大切です。
家族の協力が欠かせない
看取りケアでは、看取る側(家族や介護職)の考えだけではなく、看取られる側の意思を尊重することが重要です。家族が本人の希望をきちんと理解していれば問題ありませんが、一方的な気持ちや意見を押し付けている場合は注意しなければなりません。看取りケアがスムーズに行えるかどうかは、ご家族の協力が必要不可欠。そのため、介護職は利用者さんだけでなくそのご家族とも十分なコミュニケーションを取る必要があるでしょう。
医師や看護師との連携が重要
看取りケアを行う際は、介護職員をはじめ、医師や看護師、栄養士など、他職種との連携が大切です。看取りケアの進め方は、介護施設によって多少異なるので、どのような体制で看取りケアが行われるのか、事前に利用者さんのご家族へ説明をしておくと安心でしょう。
亡くなられたあとの処置については、ご家族と一緒に行ったり、施設の方で行ったり、臨機応変な対応が求められます。心構えができていたように見えても、現実を目の当たりにしてひどく動揺するご家族も少なくありません。看取りケアを行う際は、職員全体で利用者さんやご家族をサポートする姿勢を持ちましょう。
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看取りケアに関する資格
看取りケアに関する資格で代表的なのは、「看取りケアパートナー」と「終末期ケア専門士」です。それぞれ、詳しく解説します。
看取りケアパートナー
看取りケアパートナーとは、一般社団法人みんなのプライドが提供する認定資格です。指定されている講座を受講することで、看取りに必要な介護や心理的な支援の方法を学べます。
具体的には、脈拍や体温の測り方など日頃の介護で役立つ知識から、どのような場合に救急車を呼ぶかなどの緊急時の知識まで、幅広く知ることが可能です。受講要件はなく、誰でも受けられるので、取りたいと思ったタイミングで挑戦できるでしょう。
出典
一般社団法人みんなのプライドトップページ(2022年8月16日)
終末期ケア専門士
終末期ケア専門士とは、臨床ケアのスペシャリストを目指すための資格で、日本終末期ケア協会が認定しています。資格取得の過程で終末期ケアについて基礎から学べ、科学的根拠や裏付けのある終末期ケアの実践ができるようになります。ステップアップ方式を採用しており、終末期ケア専門士を取得後は、「終末期ケア上級専門士」「JTCAアドバンスインストラクター」を目指すことも可能です。
出典
一般社団法人日本終末期ケア協会「終末期ケア専門士とは」(2022年8月16日)
看取りケアパートナーと終末期ケア専門士の違い
看取りケアパートナーと終末期ケア専門士の違いは、受験資格の有無です。詳しくは次項で解説しますが、受講資格のない看取りケアパートナーに対して、終末期ケア専門士は受験資格として実務経験が求められます。介護士の場合は、実務経験3年以上かつ、実務者研修修了証のコピーが必要になるので、受験資格を満たしてから挑戦しましょう。
看取りケアパートナーの資格取得方法
看取りケアパートナーを取得するには、民間の通信教育講座を受講したうえで、一般社団法人みんなのプライドが実施する認定試験に合格する必要があります。
受験資格
前述のとおり、看取りケアパートナーの試験には受験資格はありません。通信講座できちんと学べば、試験に必要な知識が身につきます。
試験内容
試験はマークシート形式で、在宅での受験が可能です。100点満点中70点以上取れば合格で、不合格の場合も2回までは再試験が受けられます。
資格取得にかかる費用と日数
看取りケアパートナーの通信講座と試験を受けるには、およそ30,000円の費用がかかります。標準学習期間は3ヶ月程度なので、仕事の合間にチャレンジしても良いでしょう。
終末期ケア専門士の資格取得方法
終末期ケア専門士を取得するには、受験資格を満たしたうえで終末期ケア専門士認定試験に合格する必要があります。
受験資格
終末期ケア専門士の受験資格は、下記のような免許や資格を取得しており、かつ指定の実務経験年数を満たしている必要があります。
- 医師(実務経験2年以上)
- 看護師(実務経験2年以上)
- 社会福祉士(実務経験2年以上)
- 介護支援専門員(実務経験2年以上)
- 栄養士(実務経験3年以上)
- 准看護師(実務経験3年以上)
- 臨床心理士(実務経験3年以上)
- 介護士(実務経験3年以上)※実務者研修修了証のコピーが必要
なお、実務経験は免許(資格)の登録日以降、申請書類提出日までとなっています。
試験内容
試験内容は、協会認定テキストや時事問題から択一または択多問題が90問出題されます。試験方式は、CBT試験(パソコン試験)となっており、全国のテストセンターで受験することが可能です。試験時間は90分なので、1問1分程度で解くのがポイントとなります。
資格取得にかかる費用と日数
受験料は10,000円です。ほかに、登録料が10,000円、更新料(3年ごと)が5,000円必要になります。必須となる講座などはありませんが、申込みから合格通知までは最短3ヶ月程度かかるようです。
出典
一般社団法人日本終末期ケア協会「終末期ケア専門士とは」(2022年8月16日)
看取りケアに関する資格を取得する3つのメリット
看取りケアに関する資格を取得するメリットは、以下の3つが挙げられます。
1.看取りケアに関する理解が深まる
資格を取得する過程で、看取りケアに関する理解が深まります。根拠を知ったうえで対応にあたることで、患者さんや利用者さん一人ひとりに合ったケアを提供できるようになるでしょう。なお、看取りケアの知識を活かせるのは、看取りを行う可能性のある病院や特別養護老人ホーム、有料老人ホームといった職場です。看取りケアは誰でも経験を積めるわけではないので、いざというときに必要な知識を身につけた人材は重宝されるはずですよ。
2.家族の看取りに対する心構えが分かる
看取りケアに関わる資格は、家族の看取りをするときにも役立ちます。両親や祖父母など身近な人が終末期を迎える際は、本人や家族の精神的な負担の軽減や希望をどう叶えるかなど、さまざまな心配があるものです。看取りケアに関する知識を身につけておけば、必要な制度を利用しながらサポートができます。家族が亡くなる前にして欲しいことなどを考えるきっかけにもなり、家族のために受講する人も多いようです。
3.段階的に看取りに関する知識を身につけられる
前述のように、終末期ケア専門士の資格は、段階的なスキルアップが可能です。終末期ケア専門士を取得後、1年間の実務経験を積むと、終末期ケアに関する組織運営やマネジメントに力を発揮できる「終末期ケア上級専門士」の資格に挑戦できます。さらに、終末期ケア上級専門士の資格習得から1年の経験を積むと、地域に根差したアドバイザーとして活躍できる「JTCAアドバンスインストラクター」を目指すことが可能です。看取りケアのエキスパートとして、高齢化社会に貢献したいと考えている方にとって、スキルアップできる環境があることはメリットになるでしょう。
看取りケア資格についてよくある質問
看取りケアの資格についてよくある質問に回答します。
看取りケアパートナーの資格の取得は難しいの?
看取りケアパートナー資格の取得は難しくなく、ほとんどの方が合格できるでしょう。看取りケアパートナー資格は、70点以上で合格。再試験も2回まで受けられるので、しっかりと勉強しておけば資格を取得できます。看取りケアパートナー資格の試験内容を「看取りケアパートナーの資格取得方法」で解説しているので、取得を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
終末期ケア専門士の合格率はどれくらいなの?
第2回終末期ケア専門士の合格率は、69.5%と、約7割近くが合格しています。合格率は高めですが、3割は不合格になっているので、気を抜かず、しっかりと勉強して試験に臨むことが大切です。終末ケア専門士資格の概要は、「終末期ケア専門士の資格取得方法」で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
出典
一般社団法人日本終末期ケア協会「終末期ケア専門士 合格状況 」(2022年8月17日)
まとめ
高齢化社会が進む日本において、看取りケアはなくてはならない知識や技術となっています。看取りケアに関するスキルを身につけるなら、「看取りケアパートナー」や「終末期ケア専門士」といった認定資格がおすすめです。家庭や職場にかかわらず、看取りケアの正しい知識があれば、看取られる側の意思を尊重したケアを実施できるようになります。
看取りケアを学べるのは、資格取得だけではありません。看取りケアを実施する介護施設や病院で実際に経験を積みながらスキルを身につけていく方法もあります。
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