
介護医療院とはどのような施設なのか知りたい介護士さんもいるでしょう。介護医療院とは、2018年に新設された介護保険施設です。2024年3月末に廃止が決定している介護療養型医療施設の受け皿としての役割が期待されています。本記事では、介護医療院について、概要やサービス内容をご紹介。看取りケアやターミナルケアといった専門的なスキルを身につけられる施設をお探しの介護士さんは、ぜひご覧ください。
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介護医療院とは?
介護医療院とは、長期的な療養が必要な要介護者に対して医療ケアや介護サポート、生活支援を行う介護保険施設で、2018年の介護報酬改定にともない創設されました。日常的な医学管理だけでなく、看取りケアやターミナルケアといった医療機能や入所者さんの生活施設としての機能を有しているのが特徴です。
介護医療院が創設された経緯
2018年に介護医療院が新設されるまで、介護保険が適用される介護保険施設は「介護療養型医療施設」「介護老人福祉施設(特養)」「介護老人保健施設(老健)」の3つに分かれていました。また、医療保険が適用される医療保険施設として「医療療養型病院」も存在。その内、介護療養型医療施設と医療療養型病院の棲み分けがあいまいで、両者の再編成がたびたび議論されてきました。
2024年3月末までに介護療養型医療施設の廃止が決定
療養病床(介護療養型医療施設と医療療養型病院)の棲み分けに関する議論のすえ、介護療養型医療施設の廃止を決定。介護療養型医療施設から介護医療院や特養、老健などへの段階的な経過措置を経て、2024年3月末までに完全廃止する見込みです。
出典
厚生労働省「介護医療院 公式サイト」(2024年11月15日)
厚生労働省「介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯」(2024年11月15日)
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介護医療院と特養、老健の違い
先述のとおり、介護医療院は介護保険が適用される介護保険施設です。同様の介護保険施設には、特養や老健があるため、「何が違うの?」と疑問に思う介護士さんは多いはず。ここでは、厚生労働省の資料をもとに、介護医療院と特養、老健に加えて廃止が決定されている介護療養型医療施設の違いをまとめたので、正しく理解しましょう。
種別 | 目的 |
介護医療院 | 要介護高齢者の長期療養・生活のための施設 |
特養 | 要介護高齢者のための生活施設 |
老健 | 要介護高齢者が在宅復帰・在宅支援を目指す施設 |
介護療養型医療施設 | 医療の必要な要介護高齢者のための長期療養施設 |
引用元:厚生労働省介護医療院 公式サイト
表から、施設によって目的に違いがあることが分かりますね。そのほか、介護医療院と特養、老健、介護療養型医療施設には以下のような部分に違いがあります。
介護医療院と各施設は医療の必要度が違う
介護医療院と特養、老健の違いは医療の必要度です。介護医療院はどの施設よりも医療の必要性が高い傾向があります。前述のように、介護医療院は長期療養が必要な要介護者のため療養の場・生活の場としての機能を担う施設です。一見すると、要介護者の長期療養の場、かつ生活の場として機能している特養は介護医療院とそれほど変わりないように感じられるかもしれません。ただ、医療ケアの充実度は介護医療院のほうが上なので、より医療依存度の高い方のサポートに適している施設といえますね。
なお、老健に関しては、病気や怪我の療養後にリハビリを行い在宅復帰を目指す施設のため、そもそも長期的な療養を目的としていません。その点は、老健と介護医療院との違いといえるでしょう。
介護医療院の施設基準(人員基準)
介護医療院は、施設基準に応じて「I型介護医療院」と「II型介護医療院」の2種類に区分されます。介護医療院での介護職に興味のある介護士さんは、施設の人員基準や区分についても確認しておくのがおすすめです。
I型介護医療院 | II型介護医療院 | |
利用対象者 | 重篤な身体疾患を有する者、及び身体合併症を有する認知症高齢者 | 左記と比べて、容体は比較的安定した者 |
人員基準 | 医師:48対1(3人以上) 薬剤師:150対1 看護職:6対1 介護職:5対1 栄養士または管理栄養士:定員100名以上の施設で1名 介護支援専門員:100対1(1人以上) リハビリ職:適当数 | 医師:100対1(1人以上) 薬剤師:300対1 看護職:6対1 介護職:6対1 栄養士または管理栄養士:定員100名以上の施設で1名 介護支援専門員:100対1(1人以上) リハビリ職:適当数 |
参考:厚生労働省「介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」
I型介護医療院は廃止予定の介護療養型医療施設に相当、II型介護医療院は老健相当以上という施設基準が設けられています。利用対象者は、I型では重篤な身体疾患を抱える方、II型では比較的容態が安定している方です。医療依存度の高い方の介護サポートを行い、専門的なスキルを身につけたいとお考えの介護士さんは、II型よりもI型の介護医療院で経験を積むと良いでしょう。
出典
厚生労働省「介護医療員について」(2024年11月15日)
介護医療院が提供する4つのサービス内容
最後に、介護医療院で提供するサービス内容をご紹介します。介護医療院で働くイメージを掴むためにも、どのようなサービスを提供する施設なのかをチェックしてみてください。
1.医療サービス
介護医療院では医師や看護師が常駐しているため、24時間体制で医療サービスを行うことが可能です。医療サービスのうち、医学的指導管理、投薬・注射・簡単な画像検査などは介護保険が適用。緊急のやむを得ない事情がある場合は、緊急時施設診療費や緊急時施設療養費が適用されます。
2.介護サポート
入浴や食事、排泄といった身体介助や、リハビリ、レクリエーションなどの介護サポートも実施。入所者さんの医療依存度が高めなので、健康管理やリハビリは看護師、理学療法士、作業療法士が中心となります。
3.日常的な生活支援
介護医療院では、日常的な生活支援として掃除、洗濯などを行い、入所者さんの自立した生活を支援しています。多床室や個室にかかわらず、入所者さんのプライバシーの遵守や長期療養の環境整備を徹底して行わなくてはなりません。
4.看取り・ターミナルケア
介護医療院では終末期医療として、看取りケアやターミナルケアにも対応しています。看取りケアやターミナルケアは特養でも対応を推進していますが、まだまだ終末期医療の必要性は高いのが現状です。介護医療院は、慢性期だけでなく終末期の引受先としても期待されています。
介護医療院に関する質問
ここでは、介護医療院に関してよくある質問をQ&A形式でまとめました。
介護医療院をわかりやすく説明すると?
利用者さんへ医療ケア・介護サポート・生活支援などを行う介護保険施設と説明できます。地域社会に貢献し、開かれた交流施設としての役割を担うことにも期待されているようです。介護医療院の詳細は、本記事の「介護医療院とは?」で説明しているので、ぜひチェックしてください。
介護医療院の特徴とは?
利用者さんの看取りやターミナルケアに対応しているのが特徴です。介護医療院はⅠ型とⅡ型に分かれ、利用対象者や職員の人員基準が異なります。利用者さんが手厚い医療サービスを受けられるよう、職員が一丸となってケアを行うことが大切です。
介護医療院で働くデメリットはある?
ターミナルケアを行うため、人によってはきついと思う場合があります。また、ほかの介護施設と比較すると、給与が低い可能性も考えられるでしょう。介護医療院の給与については、「介護職の施設別給料ランキング!一番高いのはどこ?」の記事をご参照ください。
まとめ
介護医療院とは、2018年に創設された介護保険施設の1つです。2024年3月末に完全廃止が決定している介護療養型医療施設に代わる長期療養施設としての役割を担い、要介護者の新たな生活の場になることを期待されています。介護医療院の特徴は、特養や老健に比べて医療機能が充実していること。医療依存度の高い入所者さんの介護サポートを通して、自身の介護スキルを引き上げたいと考えている介護士さんは、転職を検討してみるのも良いでしょう。
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