
この記事のまとめ
- 職場の人間関係や上司との相性に悩む介護職員は少なくない
- 介護職員は、上司の威圧的な態度や高過ぎる理想に悩む場合がある
- 上司に対するストレスを溜め込まないためには、仕事を忘れる時間も必要
上司に対する不満や悩みを抱える介護職の方もいるのではないでしょうか?万が一、パワハラを受けた場合は、証拠を集めて施設長や外部の支援機関に相談することが大切です。この記事では、上司との人間関係にお困りの介護職の方によくある悩みをまとめました。パワハラの定義や対処法もご紹介しているので、上司との関係性に悩んでいる方は、ぜひチェックしてみてください。
介護職の人間関係の悩みで「上司への不満」は多い?
介護職は、利用者さんやそのご家族、スタッフ、施設外の関係者など接する人が多い分、人間関係で悩む傾向にあります。
Leverages Medical Careの「きらケア介護白書2022(p.30)」によると、介護職員が転職をした理由として最も多かったのは、「職場の人間関係が悪かった (29.8%)」でした。1位から5位までの結果は以下のとおりです。
引用:Leverages Medical Care「きらケア介護白書2022(p.30)」
「上司と馬が合わなかった」という転職理由は5位で、13.7%でした。あくまでこの調査の結果ではあるものの、多くの介護職員が、上司や同僚に関する不満・悩みが原因で転職を決断しているようです。転職には至らない場合も、上司との関係に悩む介護職員は一定数いることが予想できます。
出典
Leverages Medical Care「介護士のキャリアや外国人雇用などに関するレポート「きらケア介護白書2022」を公開しました」(2025年1月27日)
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介護職の上司に対するよくある悩み・不満
ここでは、介護職が上司について感じる悩みや不満をご紹介します。実際の現場で働く介護職員がどのようなことで困ったり悩んだりしているのか、チェックしてみましょう。
1.威圧的な態度や発言が目立つ
「どうしてこんなことができないの?」「○○さんの報告はまだ?」といった威圧的な態度や発言をする上司がいることもあるようです。上司という立場上、指示出しや教育をするのは当然ですが、言い方がきつ過ぎたり見下すような態度を取ったりすると、周りのスタッフを萎縮させてしまいます。
慣れてしまえば「高圧的な上司」と割り切ってやり過ごせるかもしれませんが、関わる機会が多いとストレスや働きにくさを感じてしまうでしょう。
2.高過ぎる理想に部下が疲弊してしまう
人員や時間に限りがあるにもかかわらず、「○○をやりましょう!」「○○もやってください」と無理な業務を指示する上司がいて、部下が疲れてしまうパターンもあります。「より良い介護サービスを提供したい」という気持ちから最善を尽くす姿勢は理解できても、求めることが多くて介護職員が疲弊してしまっては、仕事はうまく回りません。
特に、指示するだけで自分は何もやらない上司の場合は、理不尽さや苛立ちを感じてしまうこともあるでしょう。
3.いつも不機嫌で利用者さんに気を遣わせている
いつも不機嫌で、介護スタッフだけではなく利用者さんにまで気を遣わせている上司がいるパターンもあるようです。
利用者さんに話しかけられて「またですか?」「何ですか?」と真顔で答えたり、スタッフのミスに大きなため息をついたりするなど、施設全体をピリつかせてしまうことも。そんな状況に不満を感じていながら、「上司だから指摘できない」「機嫌をうかがいながら仕事をするしかない」と諦めてしまう介護職員もいるようです。
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介護の現場でパワハラはある?
残念ながら、介護の現場でパワハラがないとは言い切れません。一般的な企業や職種と同じように、介護現場でも上司からパワハラを受けてしまう可能性はあるので、個人レベルで自分を守る行動を取る必要があります。その第一歩として、パワハラの定義や該当する行為を知っておきましょう。
パワハラの定義
厚生労働省の「職場におけるハラスメント対策パンフレット(p.2)」では、パワハラを以下のように定義しています。
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる
引用:厚生労働省「職場におけるハラスメント対策パンフレット(p.2)」
1.優越的な関係を背景とした言動であって、
2.業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
3.労働者の就業環境が害されるもの
であり、1から3までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
パワハラに該当する行為
パワハラに該当する行為は、大きく6つに分類されます。
厚生労働省の「2020年6月1日より、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!(p.2)」をもとに、パワハラの分類と介護職におけるパワハラの具体例をまとめました。
分類 | 具体例 | パワハラに該当しないと考えられる例 |
身体的な攻撃 | 相手を殴る、蹴る相手に物を投げつける | 誤ってぶつかる |
精神的な攻撃 | 人格を否定するような発言をする/長時間におよぶ叱責をする | 頻回な遅刻や重大な問題行動を行ったなどの理由で、一定程度強く注意する |
人間関係からの切り離し | 特定の職員を業務から外し、職場から孤立させる | 新人職員を育成するために、短期的に別室で研修等の教育を行う |
過大な要求 | 必要な教育をせずに身体介護などの専門的な業務をさせる/過酷な環境で長期間仕事をさせる | 職員の育成を目的に、少し高いレベルの業務を任せる |
過小な要求 | 嫌がらせのため仕事を与えない/能力に見合わない簡単な業務をさせる | 職員の能力に応じて、業務内容や業務量を軽減する |
個の侵害 | プライベートを監視する | 職員への配慮を目的に、職員の家族に関する状況確認を行う |
参考:厚生労働省「「2020年(令和2年)6月1日より、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!(p.2)」
パワハラに該当する行為は多種多様のため、上記でご紹介した例に当てはまらない場合もあります。「これってパワハラかな…」と思うことがあれば、まずは家族や友人など、身近な人に相談するようにしましょう。
出典
厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」(2025年1月27日)
介護職が上司からパワハラを受けているときの対処法
パワハラを受けていると感じたときは、自分の心身の健康を守ることが最優先です。「利用者さんが困ってしまうかも」と思うかもしれませんが、スタッフ同士助け合うこともできるはずなので、心配し過ぎないようにしてくださいね。
上司からパワハラを受けている介護職は、次のように対処しましょう。
1.自分を守る行動を取り直接的なやり取りはしない
自分の心身の健康を守るために、パワハラを行う上司とはできるだけ直接的なやり取りはしないようにしましょう。関われば関わるほどつらい状況になってしまう可能性があります。どうしても上司とやり取りをしなければならないときは、「結論→状況→今後の行動」のように簡潔に伝え、必要最低限のやり取りにするのがポイントです。
2.パワハラの証拠となる記録を集める
自分の身の安全を確保したうえで、パワハラの証拠となる記録を集めましょう。自分の記憶だけで証拠がなければ、パワハラを立証するのは難しいのが現状です。今の状況を改善していきたい、相手を訴えたいという場合は、客観的な証拠が手助けになります。
ただ、介護職の場合、利用者さんのプライバシーを守るため施設に防犯カメラの設置は少なく、動画で記録するのはハードルが高いかもしれません。時間やパワハラ行為を記した日記、メモの記録も有効なので、しっかり残しておきましょう。
3.施設長や外部の支援機関に相談する
パワハラの証拠とともに、施設や事業所の相談機関や管理者へ相談をしましょう。2019年の労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)の改正にともない、パワーハラスメント防止対策が事業主に義務付けられました。そのため、相談することで状況改善に向けたアクションが進む可能性があります。
もし、施設や事業所内で改善しなければ、外部の支援機関に相談する方法も。上司のパワハラに1人で耐える必要はないので、周りの人や専門家に頼ってみてくださいね。
出典
e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(2025年1月27日)
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介護職の上司に対するストレスが溜まったときの対処法
「パワハラまではいかないけど嫌な上司がいて困っている」「合わない上司にいつもイライラする」という介護職の方は、ストレスが溜まっているかもしれません。ストレスはあまり溜め込まないほうが良いので、適度に発散しながら上手に付き合うようにしてみましょう。
1.休日は介護の仕事を忘れてリフレッシュする
休日は、介護の仕事のストレスから離れ、リフレッシュするのが効果的です。上司への不満が募ると、休日も思い出してしまう人もいるでしょう。しかし、休日まで悩んでしまうと、「明日の仕事に行きたくない…」という気持ちが強くなるおそれもあるので、「休日はしっかり休む」と切り替えるのがポイントです。
介護職員におすすめのストレス発散方法は、「介護士さんにおすすめのストレス発散法は?調査してみました!」でご紹介しています。介護職員として働いている方のアンケートをもとにした記事なので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
2.介護職員同士で相談できる内容なら共有してみる
介護職員同士であれば、上司に対する共通の悩みや不満を持っている場合があります。共有することで、「1人で悩んでいるわけではないんだ」という安心につながることもあるので、相談してみると良いでしょう。
ただし、単なる悪口になってしまうと、「不満の多い人」というマイナスの印象を与えてしまう可能性があります。また、常に不満をこぼしていると、上司の耳に入ってしまうおそれもあるので、伝え方には気をつけましょう。
3.「上司も部下の育成で大変だろう」と歩み寄ってみる
いつもスタッフに不満がありそうに見える上司だとしても、そう見える本当の理由は別のところにあるのかもしれません。「何度教えても覚えられない部下に困っている」「利用者さんの対応に忙しく、業務が滞っている」といった事情を1人で抱えている可能性もあります。
上司が大変そうだと感じたときは、「何かお手伝いしましょうか?」と歩み寄ってみるのも一つの手です。人の上に立つ人は、それだけ責任が増し、求められるスキルも高まるもの。「上司は上司で大変なんだろう」と考え、協力する姿勢を示してみるのも良いでしょう。
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介護職の上司や職員同士の人間関係が改善しないなら
介護の職場で上司や職員同士の人間関係に悩み、対策しても状況が改善しない場合は、転職を検討してみましょう。転職すれば、一緒に働くスタッフも上司も変わるので、心機一転スタートを切ることができます。
職場の人間関係に悩みたくない人は、基本的に1人で利用者さんのご自宅へ伺う訪問介護サービスの仕事を選んだり、介護派遣で期間を決めて働いたりするのも方法です。一つの職場で定年まで働き続ける以外の選択肢もあるので、自身に合った働き方を選びましょう。
今の職場で働くのがつらい場合は、「自分に合った働き方や職場はきっと見つかる」と前向きにとらえて、自分らしい働き方ができる施設や事業所を調べてみるのも良いかもしれません。
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上司との人間関係に悩む介護職によくある質問
ここでは、上司との関係性に悩む介護職の方からよくある質問に回答します。「介護の仕事を続けたいけど、人間関係が難しい…」と感じている方は、ぜひご一読ください。
介護施設のダメな上司の特徴は?
介護施設において、職場の問題を放置していたり、利用者さんやご家族の言う通りにすべて進めたりする管理職は、「ダメな上司」と思われる可能性があります。労働環境や人間関係の問題を把握し、改善を図るのは管理職の役割です。また、利用者さんやご家族から理不尽なクレームや過度な要求がある場合、介護職員に負担がかからないように対応することも求められます。介護職員は、上司が働きにくい状況を放置している職場で働くと、ストレスを感じる場合があるでしょう。
介護職が続く人はどんな人ですか?
介護職が続く人は、周囲と連携して信頼関係を築ける人や、仕事のストレスを上手に解消できる人です。そのため、介護職として長期的に活躍したい方は、コミュニケーションスキルを磨いたり、ストレスマネジメントを意識したりすると良いでしょう。困ったときは自分1人で抱え込まず、職員同士で協力し合うことが大切です。
詳しくは、「介護職が長く続く人の特徴とは?どうしても辞めたいときの対処法も解説」の記事をご覧ください。
まとめ
上司に不満や悩みを抱える介護職員は少なくありません。威圧的な態度を取ったり、利用者さんが気を遣うほどの不機嫌さを出してしまったりする上司がいると、接し方に困るでしょう。
もしも、上司からパワハラを受けたときは、自分の身の安全を確保したうえで、必要以上にやり取りをしないのがポイントです。パワハラの記録は常に残すようにして、証拠が揃ったら相談機関や専門家に相談するようにしましょう。
今の職場の上司や職員同士の関係にお悩みなら、職場や働き方を見直してみるのも選択肢の一つです。職場の風土や働き方を深く知ったうえで、自分に合った施設・事業所に転職すれば、前向きに仕事に取り組めるようになるでしょう。
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