介護福祉士の受験資格に看護助手の実務経験も含まれる？職種の違いも解説！

「介護福祉士の受験資格に看護助手の実務経験って入るの？」と気になる方もいるかもしれません。看護助手の実務経験があれば、介護福祉士の受験資格を満たせる場合があります。この記事では、看護助手から介護福祉士試験の合格を目指す方向けに、受験資格などの詳しい情報をまとめました。看護助手から介護福祉士を目指すメリットや双方の仕事の違いにも触れています。介護福祉士に興味のある看護助手の方はご覧ください。

介護福祉士とはわかりやすくいうとどんな資格？取得方法や試験概要を解説！

介護福祉士の受験資格に看護助手の実務経験は含まれる？

介護福祉士国家試験の受験資格には、看護助手の実務経験が含まれています。詳しくは後述しますが、看護助手として一定の実務経験があれば、「実務経験ルート」から介護福祉士国家試験の合格を目指すことが可能です。

ただし、受験資格に該当する業務の経験年数が規定の期間や日数を満たしていない場合や、「介護福祉士実務者研修」などの研修課程を修了していない場合などは、受験できません。看護助手の経験者であっても、必要な条件を満たさなければ介護福祉士国家試験を受験できないので、覚えておきましょう。

介護福祉士国家試験（実務経験ルート）の受験資格

介護福祉士国家試験の受験資格を得るには、「実務経験ルート」「養成施設ルート」「福祉系高校ルート」「経済連携協定（EPA）ルート」という4つの方法があります。看護助手として実務経験をある程度積んでいるのであれば、「実務経験ルート」から目指すとスムーズです。

介護福祉士試験の受験資格「実務経験3年」とは？

実務経験ルートで介護福祉士試験の受験資格を満たすには、「実務経験3年以上」が求められます。実務経験3年以上とは、介護等の業務における従業期間が3年（1,095日）以上かつ、従業日数が540日以上あることです。

さらに、「介護福祉士実務者研修課程の修了」または「介護職員基礎研修課程と喀痰吸引等研修課程の修了」も条件となっています。

引用：公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]受験資格：実務経験＋実務者研修」

看護助手として介護等の業務に携わっている場合、受験資格である実務経験として計算できます。次の項目で具体的に解説するので、確認してみましょう。

介護福祉士試験で求められる実務経験の対象施設

介護福祉士試験で求められるのは、次のような分野・施設・職種などにおける、介護等の業務の実務経験です。

実務経験の範囲（分野）	受験資格となる施設・事業（※一部抜粋）	受験資格となる職種（※一部抜粋）
児童分野	知的障害児施設放課後等デイサービス指定発達支援医療機関	保育士介助員看護助手
障害者分野	短期入所障害者支援施設居宅介護	介護職員訪問介護員ガイドヘルパー
高齢者分野	有料老人ホーム指定訪問介護指定訪問看護	介護職員訪問介護員看護助手
その他の分野	救護施設地域福祉センター訪問看護事業	介護職員看護補助者看護助手
介護等の便宜を供与する事業	地方公共団体が定める条例・実施要綱等に基づく事業	介護職員訪問介護員

参照：公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]受験資格：実務経験の範囲」

看護助手は、「児童分野」「高齢者分野」「その他の分野」で、介護福祉士の受験資格に該当する実務経験を積むことができます。

すべての対象施設名や職種名を上記に挙げているわけではないものの、実務経験の範囲は広いことが分かるでしょう。対象施設について詳しく知りたい方は、「介護福祉士国家試験の受験資格である実務経験とは？対象の施設や職種を解説」をご覧ください。

▼関連記事
【2025年】介護福祉士国家試験の合格率は何%？過去推移と難易度を解説

看護助手の求人一覧ページはこちら

介護福祉士と看護助手の違い

介護福祉士と看護助手の違いは、資格や仕事内容、勤務先、給与など、さまざまあります。ここでは、「介護福祉士についてよく知らない」という看護助手さん向けに、それぞれの特徴をまとめました。

資格

介護福祉士になるのに必要な資格は、国家資格の「介護福祉士」です。介護福祉士試験に合格したうえで登録が済めば、晴れて「介護福祉士」の名称を使って業務を行えるようになります。介護の仕事自体は無資格から従事できますが、介護福祉士として働くには資格が必要です。
一方、看護助手になるために必須の資格はなく、無資格・未経験から従事することができます

仕事内容

介護福祉士の主な仕事内容は、食事介助や入浴介助、排泄介助といった身体介護や、食事の支度や買い物、洗濯、掃除といった生活援助のサービスです。介護のプロフェッショナルとして、無資格や経験の浅い介護職員への指導をすることや、利用者さんへ福祉用具の正しい使い方をアドバイスすることもあります。

介護福祉士を含む介護職員は、原則として医行為を行うことはできません。ただし、喀痰吸引等研修の基本研修と実地研修を修了したうえで、「認定特定行為業務従業者」の認定を受けた場合、医療職の指示のもとでたんの吸引や経管栄養を行えます。

一方、看護助手の主な仕事内容は、患者さんの排泄介助や着替えの介助といった身体介護や、ナースコール対応、看護師のサポート、カルテの準備、院内の清掃などです。介護職員の仕事内容と重なる部分もありますが、看護師の指示を受けて業務に当たるという違いがあります。

勤務先

介護福祉士の主な勤務先は、デイサービスや有料老人ホーム、特養、老健、介護医療院といった介護保険施設です。在宅介護に携わる場合は、利用者さんの自宅へ伺うこともあります。
一方、看護助手の主な勤務先は、医療機関や介護保健施設です。総合病院の場合は、外来や手術室、病棟など、さまざまな配属先があるでしょう。

給与（年収）

職業情報提供サイトによると、2023年における介護福祉士を含む介護職員の平均年収は、施設介護員で371.4万円、訪問介護員で390万円でした。一方で、看護助手の平均年収は、318.4万円です。

介護職員と看護助手を比較してみると、年間50万円程度の給与の違いがあることが分かります。看護助手から介護福祉士試験に合格して介護職員になれば、給与アップを図れる可能性があるでしょう。
もちろん、勤務先の給与規定によるので、必ず給与が上がるとはいえるものではありません。それでも、介護福祉士の場合は介護職における資格手当が見込まれるため、一般的な介護職員よりも高給与が望めるはずですよ。

▼関連記事
介護福祉士の仕事内容とは？介護職員との違いや資格の活かし方をご紹介

看護助手から介護福祉士になるメリット

介護助手から介護福祉士になるメリットは、給与面や仕事への関わりがより充実することです。下記で詳しく解説します。

介護職への転職で給与アップが見込める

看護助手を続ける場合、介護福祉士を取得しても給与はそれほど上がらない可能性があるでしょう。前述のように、介護職と看護助手の年収差は50万円弱あります。今の給与に対して物足りなさを感じている場合は、看護助手のまま給与アップを目指すのではなく、介護職へと転職するのも方法の一つです。

介護職は、専門性の高い資格を保有しているほど平均給与が上がっていく傾向があります。以下に介護職の保有資格別の平均給与をまとめました。

保有資格	平均給与
無資格	29万620円
介護職員初任者研修	32万4,830円
実務者研修	32万7,260円
介護福祉士	35万50円

参考：厚生労働省「令和６年度介護従事者処遇状況等調査結果 （p.161）」

介護職の場合は、無資格で従事するよりも介護福祉士を取得したほうが平均給与が6万円程度高くなります。看護助手としての実務経験で介護福祉士国家試験の受験要件を満たせる場合、資格を取得してから介護職を目指すのも良いかもしれません。

自分が主体となって介護業務を提供できる

看護助手の仕事は看護師のサポートや患者さんの介護サポートなど、多岐にわたります。しかし、「助手」という立場のため、看護師と同じように主体的な業務を提供することはできません。また、患者さんの介護サポートを行う場合も、高度な介護知識や技術を身につけた介護福祉士と同じような動作をするのはなかなか難しいのが現実です。

介護福祉士になって業務経験を積めば、患者さんや利用者さんにより良い介護サービスを提要できるほか、リーダーを任されれば現場のスタッフへの指導もできるようになります。「自分が主体となって業務を行いたい」とお考えの看護助手の方は、介護福祉士を目指してみる価値はあるといえるでしょう。

▼関連記事
介護福祉士は意味ない？いらないと言われる理由や資格取得のメリット

介護福祉士(介護士)の求人一覧ページはこちら

看護助手から介護福祉士を目指す方によくある質問

ここでは、看護助手から介護福祉士を目指す方によくある質問をまとめました。

看護助手と介護士はどっちが良いですか？

看護助手と介護士のどちらが良いと感じるかは人によって異なります。それぞれの仕事内容や条件などを理解したうえで、「自分がどのような方を対象にどのようなケアを行いたいか」考えて仕事を選ぶことが大切です。
「看護助手と介護士のどっちに転職すべき？やりがいや向いている人を解説！」の記事では、それぞれの職種のサポートの対象者や仕事内容、活躍の場などを解説しています。自分にとってどちらが向いているのか考えるのにぜひお役立てください。

看護助手の実務経験証明書はどうすればもらえるの？

看護助手の実務経験証明書は、勤務先の医療機関や施設で発行してもらいます。介護福祉士試験を申し込むために公益財団法人 社会福祉振興・試験センターのWebサイトから「受験の手引」を請求すると、実務経験証明書の準備方法などの詳細が分かるでしょう。
実務経験証明書については、「介護福祉士試験に必要な実務経験証明書とは？入手場所や作成方法を解説！」にまとめています。

パートの看護助手の経歴も実務経験になる？

看護助手の実務経験には、パートの経歴も含まれます。看護助手として介護業務等に携わった期間が3年（1,095日）以上かつ、日数が540日以上ある場合は、介護福祉士実務者研修課程を修了すれば、介護福祉士試験の受験要件を満たすことが可能です。
詳しくはこの記事の「介護福祉士国家試験（実務経験ルート）の受験資格」で解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

まとめ

実務経験ルートから介護福祉士国家試験の受験資格を満たすためには、対象となる分野・施設・職種において3年以上の実務経験を満たさなくてはなりません。この実務経験には、「看護助手」の実務経験も含まれる場合があるので、看護助手の方も介護福祉士を目指すことが可能です。

看護助手が介護福祉士の資格を取得すれば、患者さんや利用者さんにより良い介護を提供できるようになります。看護助手として患者さんの介助を担当する際はもちろん、介護職への転職を検討する際にも役立つ資格なので、ぜひ取得を目指してみてくださいね。

「看護助手から介護職へ転職したい」「看護助手の経験を活かせる職場を探したい」という方は、介護業界に特化した転職エージェントのレバウェル介護（旧 きらケア）にご相談ください。レバウェル介護（旧 きらケア）では、業界に詳しいキャリアアドバイザーが、希望条件やこれまでの経歴などを踏まえ、おすすめの求人をご紹介いたします。
介護福祉士を目指す場合の流れもプロの視点からアドバイスするので、ぜひご活用ください。サービスはすべて無料で利用できます。