
この記事のまとめ
- 介護士のやりがいは「介護の技術や知識が身につく」「人の役に立てる」など
- 「無資格・未経験から活躍できる」「求人が豊富」など、介護士の魅力は豊富
- 介護士としてのやりがいを感じなくなった場合は、転職を検討してみるのも手
介護士の仕事に興味のある方のなかには、「介護士のやりがいは何?」と気になる方もいるでしょう。介護士は一定の大変さのある仕事ですが、スキルが身につくといったやりがいや魅力もあります。この記事では、現役介護士さんへのアンケート調査をもとに、介護士のやりがいや魅力をまとめました。やりがいを感じやすい人とそうでない人の特徴もご紹介しているので、介護士への就職や転職を考えている方は、参考にしてみてください。
介護士ってどんなお仕事?仕事内容や働き方、必要な資格、給与などを解説 →レバウェル介護の資格スクールはこちら現役介護職員に聞く「介護士のやりがい」とは?
介護士の仕事では、専門的な知識やスキルが身につくことや、人の役に立てることにやりがいを感じる方が多いようです。
Leverages Medical Careの「きらケア介護白書2022(p.10)」では、介護職員として働くうえで感じるメリットを調査し、下記のようにまとめています。
引用:Leverages Medical Care「きらケア介護白書2022/1-7. 介護職員の仕事の魅力・やりがい(p.10)」
介護職員がメリットに感じていることの1位は「介護の技術や知識が身につく」で、全体の約半数の方が回答しました。次いで2位は「自分の家族を介護するときに役立つ」、3位は「医療に関する知識を習得できる」となっています。
ここからは、上記の調査結果をもとに、介護士のやりがいを詳しく解説するので、ぜひご一読ください。
介護の技術や知識が身につく(45.4%)
介護に関する専門的な技術や知識を身につけられることにやりがいを感じる方もいます。介護士の仕事は、無資格・未経験から挑戦できますが、質の高い介護を提供するには、専門性の高い介護の技術や知識が必要です。適切な身体介護の方法を身につけたり、認知症の利用者さんとのコミュニケーションのコツを学んだりするなどして、できることが増えていけば、より多くのやりがいを感じられるでしょう。
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自分の家族を介護するときに役立つ(30.2%)
介護士として身につけた介護の技術や知識が、自分の家族を介護をするときに役立ったときに、やりがいを感じる方もいるようです。自分の家族が高齢になり、介護が必要となるときがくるかもしれません。家族を介護するときや介護サービスを利用するときに、介護に関する知識や利用可能な介護制度を理解していれば、適切なケアを選択できます。
医療に関する知識を習得出来る(21.9%)
介護に関わる医療知識を習得できることに、やりがいやメリットを感じる方も少なくありません。介護士は医療従事者ではないため基本的に医療行為を行うことはできませんが、一定の要件を満たせば、喀痰吸引や経管栄養といった一部の医療的ケアを行えるようになります。努力次第で仕事の幅が広がることは、やりがいにつながるでしょう。
ただし、医療的ケアを行うには、介護福祉士実務者研修課程などで医療的ケアに関する知識を身につけたうえで、「喀痰吸引等研修」の実地研修を修了し、登録申請を行う必要があります。すべての介護士が行えるわけではないことに留意してください。
出典
社会福祉振興・試験センター「[資格登録]「実地研修を修了した喀痰吸引等行為」の届出について」(2024年6月14日)
平日に休みが取れる(19.6%)
入居型の介護施設で働く介護士は、比較的平日に休みが取りやすい傾向にあります。特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、有料老人ホームなどの入居型の介護施設の場合、24時間365日体制で入居者さんをケアする必要があり、土日にシフトに入ることが少なくないためです。
平日に休みが取れる仕事は、役所や銀行の手続きがしやすかったり、混雑を避けやすかったりするため、メリットを感じる人もいます。プライベートの過ごし方が充実すれば、働くモチベーションにもつながるでしょう。
社会や人の役に立てる(15.6%)
社会や人の役に立てることに大きなやりがいを感じる方もいるようです。介護士は、利用者さんやそのご家族との距離が近いので、直接感謝されたり、間近で利用者さんの笑顔を見られたりする機会があります。利用者さんの身の回りのお世話をして「ありがとう」と言われることや、レクリエーションを実施して楽しそうにしている姿を見ることで、「この仕事に就いて良かった」と実感する人もいるでしょう。
出典
Leverages Medical Care「介護士のキャリアや外国人雇用などに関するレポート「きらケア介護白書2022」を公開しました」(2024年6月14日)
今の職場に満足していますか?
介護士の仕事内容
介護士の主な仕事内容は、身体介護や生活援助です。職場によっては、送迎業務や事務作業を行うこともあるでしょう。
ここでは、介護士の仕事内容の具体例をご紹介します。介護士がどのような仕事を行うのか知っておくと、働いて得られるやりがいをイメージしやすくなるかもしれません。
身体介護
身体介護とは、利用者さんに直接触れて行う介護のことです。具体的には下記のようなケアが身体介護に含まれます。
- 食事介助
- 入浴介助
- 排泄介助
- 移動・移乗介助
- 更衣介助
訪問介護のホームヘルパーのように単独で身体介護を行うには、「介護職員初任者研修」以上の資格が必要です。介護施設の場合は、有資格者の指導のもとで、無資格者が身体介護を行うこともあります。「未経験から身体介護を行えるか不安…」という場合は、資格を取得して基本的な介護知識や技術を身につけることを検討してみると良いでしょう。
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生活援助
生活援助とは、利用者さんの身体に触れない日常生活の支援のことです。
- 掃除
- ゴミ出し
- 洗濯
- 衣類の片付け
- ベッドメイキング
- 買い物
- 食事の準備
利用者さん本人ができることや同居する家族ができることは、生活援助の範囲に含まれません。介護サービス計画書(ケアプラン)に記載のないことは対応できないため、「ついでにやってほしい」と言われても、断るようにしましょう。
その他の業務
身体介護や生活援助以外で、介護士が行う可能性があるのは、以下のような仕事です。
- 送迎業務
- 事務作業
- 相談対応
デイサービスのような通所施設では、利用者さんのご自宅から施設への送迎が必要になります。運転手を別途雇っている施設もありますが、介護士が送迎業務を兼任することもあるようです。また、介護記録や報告書の作成といった事務作業や、利用者さんの相談対応も介護士の仕事に含まれます。
なお、実際の仕事内容は施設によって異なるので、働く前に確認しておくと安心です。介護士の仕事内容について詳しく知りたい方は、「介護職の仕事内容とは?資格は必要?やりがいやスケジュールもご紹介」の記事も参考にしてみてください。
介護士の仕事を選ぶ理由
ここでは、前述の「きらケア介護白書2022」をもとに、介護士の仕事を選ぶ理由を深掘りしていきます。介護士を始めたきっかけや仕事に求めるものは、介護士を続けるやりがいにも関連する傾向があるので、チェックしてみましょう。
介護士として働こうと思ったきっかけ
Leverages Medical Careの「きらケア介護白書2022(p.8)」によると、介護士が「介護職員として働こうと思ったきっかけ」は、以下のとおりです。
引用:Leverages Medical Care「きらケア介護白書2022(p.8)」
介護士の仕事を選んだ理由の1位は、「手に職を付けたかったから(27.4%)」でした。ほかにも、「自分に向いていると思ったから(21.1%)」「介護の知識や技術を身につけたかったから(20.3%)」など、介護士になった理由は人それぞれです。
介護士を始めるときは、はっきりとした目的がなくても大丈夫なので、自分が「介護士になりたい」と思ったタイミングで目指してみると良いでしょう。
介護士が仕事に求めているもの
働くやりがいを見つけるためには、自分の価値観に合った職場を見つけることが大切です。同白書(p.32)では、「介護士が仕事に求めるもの」も調査しているので、参考にしてみてください。
引用:Leverages Medical Care「きらケア介護白書2022(p.32)」
介護士が仕事に求めるものの1位は、「人間関係を大切に働けること(41.5%)」でした。
介護士は、ほかの介護士や職種、利用者さんやそのご家族など、人と接する機会が多いため、人間関係を重視する方が多い傾向にあるようです。また、収入やプライベートを重視して働ける職場を求めている方も多いことが分かります。
出典
Leverages Medical Care「介護士のキャリアや外国人雇用などに関するレポート「きらケア介護白書2022」を公開しました」(2024年6月14日)
介護士の仕事のやりがい・魅力13選
ここでは、介護士の仕事のやりがいと魅力を13種類ご紹介します。介護士は、身体介護や夜勤などがあり、体力的な負担がある仕事です。その一方で、働く魅力も豊富にあるので、これから介護士の仕事を始めようとお考えの方は、ぜひご覧ください。
1.無資格・未経験から活躍できる
介護士は、無資格・未経験から活躍ができる仕事です。前述のとおり、介護の仕事のうち身体介護を単独で行うには介護資格が必要ですが、有資格者と一緒に働ける介護施設であれば、無資格・未経験の方ができる仕事は多くあります。
たとえば、生活援助の一環である掃除や洗濯、買い物などは、介護の知識やスキルがなくても問題なく行えるでしょう。有資格者のサポートとして行う身体介護や利用者さんとの会話、送迎業務なども、介護の資格や経験がなくてもできる仕事です。専門的な知識やスキルは、働き始めてから少しずつ覚えていけば良いので、「資格がないから介護はできない」と諦める必要はないでしょう。
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2.段階的にキャリアアップして成長を実感できる
介護士の仕事は、段階的なキャリアアップを叶えやすいのが魅力の一つです。介護業界では、知識やスキルを効率的に身につけられるように、段階的に資格を取得できる仕組みがあります。「介護職員初任者研修→介護福祉士実務者研修→介護福祉士」というように順を追っていけば、介護業界でのキャリアパスを考えやすいでしょう。
また、介護福祉士を取得して一定の経験を積めば、ケアマネジャーなどへのキャリアアップを目指すことも可能です。スキルアップにやりがいを感じる人にとっては、資格を追うごとに成長を実感できるのは大きな魅力といえるでしょう。
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3.資格の取得で業務範囲を広げられる
介護士は、資格を取得することで業務範囲を広げられます。前述のとおり、介護士は無資格から挑戦できる仕事ですが、有資格者のサポートがなければ利用者さんに直接触れる身体介護は基本的に行えません。介護士の入門的な資格である「介護職員初任者研修」を取得することで、一人で身体介助を行えるようになります。
身体介護ができるようになると、訪問介護事業所のホームヘルパーとして働くことも可能です。関われる業務が増えれば、働くやりがいも増えていくでしょう。
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4.仕事とプライベートを両立できる
介護士は、働き方の選択肢が多く、勤務時間の融通が利きやすい仕事なので、プライベートと両立しやすいのも魅力です。介護士の働き方は、正社員をはじめ、パートや派遣などさまざまあります。夜勤専従や日勤のみといった選択肢もあるので、自分の都合に合わせて働きやすいでしょう。
子育てや家族の介護を行う場合、時短勤務や夜勤なしで働ける施設を選ぶことも可能です。ライフイベントに合わせて柔軟に働けるのも、介護士の仕事を続ける魅力といえます。
5.人生経験や家事スキルを活かせる
介護士の仕事では、人生経験や家事スキルを業務に活かすことができます。介護士のなかには、異業種から転職してきた方も少なくありません。飲食系の経験者なら接客スキル、事務職の経験者なら書類作成スキルなどを、介護の仕事に役立てられるでしょう。
また、主婦(主夫)の方は、自宅で行っていた掃除や洗濯、調理などの家事スキルを活かせます。自身の経験を介護に活かせるので、やりがいをもって仕事に向き合えるでしょう。
6.家族の介護に備えられる
介護士として働くことで、家族に介護が必要になった際にも、仕事の経験を役立てられるでしょう。前述の「介護士の仕事を選ぶ理由」でご紹介した「介護士を目指したきっかけ」では、「身内や身近な人の介護を経験したから」という理由が挙げられています。自身の家族の介護のために備えておけるのは、介護士を選ぶメリットといえるでしょう。
介護スキルを身につけておけば、急に家族が要介護状態になっても落ち着いて対応できるほか、介護される側にとっての安心にもつながるかもしれません。
7.人手不足の介護業界に貢献できる
高齢化の影響により人手不足の傾向にある介護業界を支える一人として、やりがいをもって働けることも魅力です。
Leverages Medical Careの「きらケア介護白書2022(p.38)」によると、介護職員が「不足している」と回答した事業所は、全体の47.3%。「やや不足している」と回答したのは36.7%と、8割以上の事業所で介護職員が不足していることが分かります。人手不足の介護業界に貢献でき、「誰かの役に立っている」という充実感を得られるのは、介護士として働くことの大きな魅力といえるでしょう。
出典
Leverages Medical Care「介護士のキャリアや外国人雇用などに関するレポート「きらケア介護白書2022」を公開しました」(2024年6月14日)
8.求人が豊富で転職先に困らない
人手が不足している介護業界は求人が豊富なので、介護士は転職先に困らないでしょう。介護を必要とする方の数は年々増加が見込まれています。また、どの地域でも高齢者の介護は求められる傾向があるので、引っ越しや療養などの理由により、一時的に退職することになっても、働きたいと思ったタイミングで転職先を見つけることができるでしょう。
介護業界の現状や今後について詳しく知りたい方は、「高齢社会で介護業界に起こる問題とは?高齢化の現状と原因・対策を解説!」の記事を参考にしてみてください。
9.年齢や性別に関係なく活躍できる
介護士は年齢や性別に関係なく活躍できます。Leverages Medical Careの「きらケア介護白書2022(p.7)」によると、現役の50代60代の介護職員の方が働き始めたときの平均年齢は40代です。ミドル世代になってから介護士として働き始める方も多く、長く働き続けられる仕事といえるでしょう。
また、女性が多いイメージがある介護士ですが、同性の介助を希望する利用者さんもいるので、性別に関係なく需要があります。柔軟な働き方ができる介護業界には、子育て世代の介護士も多く、多様な年代・性別の職員が活躍している魅力的な仕事です。
介護士が何歳まで働けるか気になる方は、「介護職は何歳まで働ける?年齢制限はある?シニア世代が転職するコツ」の記事を、男性介護士の需要が気になる方は、「男性介護士は需要あり!将来性と向いている人の特徴とは」の記事をチェックしてみましょう。
出典
Leverages Medical Care「介護士のキャリアや外国人雇用などに関するレポート「きらケア介護白書2022」を公開しました」(2024年6月14日)
10.利用者さんやそのご家族から感謝の言葉をもらえる
利用者さんやそのご家族から直接「ありがとう」と感謝の言葉をもらえたときに、やりがいを感じるという介護士さんも多いでしょう。
介護士の仕事は、利用者さんが快適な生活を送れるようにサポートすることです。身体介護や認知症ケアなどには一定の大変さがあるものの、その分「△△さん、いつもありがとう」と感謝されたときには、嬉しさや使命感を得られるかもしれません。
11.利用者さんが回復していく様子を実感できる
利用者さんが回復していく様子を間近で見られるのは、介護士にとってのやりがいにつながるでしょう。入所したときにできなかったことができるようになり、利用者さんの回復を強く実感できることも。リハビリテーションや機能訓練のサポートを行い、「歩いてトイレに行けるようになった」「一人で食事がとれるようになった」といった成果が出たときは、大きなやりがいを得られるはずです。
12.利用者さんと人間関係を築く過程を楽しめる
仕事を通じて、人間関係の築き方や人とのつながりの大切さを学べるのも、介護士の魅力の一つです。たとえば、初めはそっけなかった利用者さんが、コミュニケーションを重ねるうちに心を開いてくれたという話はよくあります。
利用者さんのなかには、他人と話すことや施設自体が苦手で、介護士と関わることに難しさを感じる人も。自分の努力により、利用者さんが心を開いてくれたときや、会話が増えたときなどは、「介護士の仕事をしていて良かった」と感じるでしょう。
13.手に職がつき安定して働ける
一度身につけた介護知識や技術は、ほかの介護施設でも活かせます。介護福祉士などの資格を取得すれば、介護スキルを有していることの証明が可能です。介護士は、「手に職をつけられる仕事」といえるので、安定して働ける魅力があります。
「介護士は離職率が高くて安定して働けないのでは…」というイメージをもつ人もいるかもしれませんが、介護労働安定センターの「令和4年度介護労働実態調査/事業所における介護労働実態調査結果報告書(p.40)」によると、訪問介護員及び介護職員の離職率はここ10年で減少傾向にあります。背景としては、介護業界で処遇改善などが行われ、労働環境が整備されてきたことが考えられるでしょう。今後も介護従事者の処遇改善は続く見込みなので、さらなる労働環境の改善が期待できることからも、安心して働ける仕事といえます。
出典
介護労働安定センター「介護労働実態調査」(2024年6月14日)
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介護士としてやりがいをもって働ける人の特徴
介護士としてやりがいもって働けるかどうか心配な方は、「介護士に向いている人の傾向」と照らし合わせて考えてみると良いでしょう。
ここでは、介護士に向いている人の傾向をご紹介します。「私って介護士としてやりがいをもって働けるかな?」と気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
1.コミュニケーションを取るのが好き
コミュニケーションを取るのが好きな方や、コミュニケーション能力に自信のある方は、介護士の仕事に向いています。介護士は、利用者さんやそのご家族、自分以外の介護士、ケアマネジャーなど、立場や世代、性別を問わず多くの人と関わる仕事です。コミュニケーションによって、利用者さんの気持ちを汲んだり、関係各所と連携したりすることができるので、コミュニケーションスキルを発揮できる場面はさまざまあります。
また、地道にコミュニケーションを取ることによって、利用者さんとの信頼関係の構築や関係各所との連携強化を図れるため、介護サービス向上の一助となるような働きができる可能性もあるでしょう。
2.前向きに気持ちを切り替えられる
嫌なことがあっても、前向きに気持ちを切り替えられる人は、介護士の仕事に向いています。介護の仕事には前述したようなやりがいや魅力がある一方で、大変な場面も少なくありません。
たとえば、認知症を患う利用者さんから、理不尽なことを言われる場合もあります。しかしこれは、認知症の症状やそこから起因する不安感などが原因のことも。このようなケースは珍しくないため、「嫌なことを言われた」と過度に気にし過ぎるのではなく、前向きに気持ちを切り替えることが大切です。
加齢により、思うように身体が動かないことや気持ちをうまく伝えられないことに、落ち込んだりイライラしてしまったりする利用者さんもいます。職員が前向きな気持ちで向き合うことで、場を明るくすることもできるでしょう。
3.サポートが得意で細やかな気配りができる
介護士の仕事では、利用者さんに寄り添いながらケアを行う必要があるので、サポートが得意で細やかな気配りができる人に向いています。利用者さんのなかには、入浴介助や排泄介助をされることに羞恥心があり、なかなか要望を伝えられない方も。「利用者さんからの要望がないから」と決めつけるのではなく、利用者さんの日常生活をよく観察し、何をしてほしいのか、何を伝えたいのかに気づくことが大切です。
また、利用者さんが快適に過ごせるように気を配りながらサポートをすることで、感謝の言葉を掛けてもらえることも。利用者さんからの感謝の言葉は、働くやりがいにもつながるでしょう。
4.介護の知識やスキルを学ぶ向上心がある
介護の仕事は無資格でも始められますが、専門的な知識やスキルを身につけると、より良いケアを提供できるようになります。前述したように、単独で身体介護を行うには、介護職員初任者研修などの介護資格が必要です。資格の取得によって自分が携われる業務の範囲が増えれば、介護士としてのやりがいを感じられるでしょう。
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5.年齢不問・未経験OKの仕事を探している
介護士は、学歴不問や未経験OKの仕事を探している人にもおすすめの職種といえます。介護士の仕事は、身体介護や認知症ケアなど、一定の専門スキルが求められる場面もあるものの、掃除や洗濯、食事の準備など、介護未経験から行える業務も豊富です。
また、この記事の「介護士の仕事のやりがい・魅力13選」でお伝えしたように、介護業界は人手不足のため、採用の間口を広げている職場が多い傾向にあります。仕事を通して少しずつ介護に関する知識や技術を身につけ、働きながら資格取得を目指すことも可能です。そのため、「今まで就職したことがない」「ブランクが長くて働けるか心配」という方にこそ、介護士の仕事は向いているでしょう。
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介護の仕事に向いている人の性格10選!職場別の適性や向いてない人の特徴
介護士の仕事にやりがいを感じにくい人の特徴
続いて、介護士の仕事に向いていない可能性がある人の特徴を解説します。
どのような仕事でも、確実に「向いていない」「やりがいがない」とはいえません。しかし、自身の適性と仕事の性質がマッチしていなければ、やりがいを得るまでのハードルは高いといえるでしょう。
仕事が合わなければ、働く意欲の低下や早期離職につながる可能性があるので、応募する前に向き・不向きを確認しておくことをおすすめします。
1.直感のままに行動したい
普段から自分の直感のまま行動する傾向がある方は、利用者さんの安全や気持ちに寄り添う必要のある介護士には、あまり向いていないかもしれません。
「このほうが良いだろう」と改善策を講じるのは大事なことですが、行動する前に「利用者さんが不安に感じないだろうか」「周りの安全は確保できるだろうか」ということも考える必要があるためです。
利用者さんの介助を直感だけで行えば、思いがけないケガにつながるリスクがあります。また、利用者さんに不快な思いをさせた場合、介護を拒否されてしまうおそれも。介護士にはヒヤリハットに気づけるような、慎重な行動が求められます。
2.自分のペースで働きたい
介護士は、自分ではなく「利用者さんのペース」を尊重しなければなりません。そのため、一人で黙々と働きたい方や自分のペースで仕事を進めたいという方には、あまり向いていないでしょう。
個人で黙々と仕事を進め、周りとの連携が取れない場合、ほかの職員だけではなく利用者さんに迷惑を掛けてしまうことがあります。また、自分のペースで仕事を進めることを好む場合、チームでの仕事や利用者さんとのコミュニケーションにストレスを感じるかもしれません。
3.コミュニケーションを取るのが苦手
介護士の仕事には、利用者さんや同僚など、職場内外でのコミュニケーションが欠かせません。「できるだけ人と関わりたくない」「人と接すること自体にストレスを感じてしまう」という場合、介護士の仕事は向いていないかもしれません。
人と接するのが苦手であっても、コミュニケーションスキルは仕事に慣れるにつれ、自然と身につくものです。介護士を目指す際に、「コミュニケーションが苦手だけど、働きながら克服していきたい」「コミュニケーションが苦手な利用者さんの気持ちに寄り添いたい」など、前向きな気持ちがある場合は、諦めずにぜひ挑戦してみてください。
4.潔癖なところがある
介護の現場では、排泄物や吐瀉物の処理を行うこともあります。そのため、潔癖なところがある方は、ストレスを感じることがあるかもしれません。
とはいえ、一日中行う業務ではないため、「仕事に慣れていくうちに気にならなくなった」という人もいます。また、デイサービスやグループホームなど、比較的自立度の高い利用者さんが多い施設を選ぶという方法もあるので、最初から「向いていない」と判断する必要はないでしょう。
介護士が仕事にやりがいを感じられなくなったときの対処法
仕事にやりがいを感じられないと、退職につながってしまう可能性があります。
以下で、介護士がやりがいを感じられなくなる理由と対処法を解説しているので、ぜひご覧ください。
介護士が仕事にやりがいを感じられなくなる理由
Leverages Medical Careの「きらケア介護白書2022(p.20)」の調査によると、介護職員が現在の職場に満足していない理由は、以下のとおりです。
引用:Leverages Medical Care「きらケア介護白書2022(p.20)」
約6割の介護士が、給与水準の低さに不満を感じていることが分かります。ほかにも、人間関係の悪さや仕事の裁量度などに不満を感じ、職場への満足度が低下する傾向があるようです。
仕事量に対して給料が低く感じる
仕事に見合う給料がもらえなければ、働く意義ややりがいを感じられなくなることもあるでしょう。介護業界は人手不足であるために、施設によっては一人あたりの業務量が多いと感じることも。自身の頑張りに対して適切な給与がもらえていなければ、「給料が仕事量に見合っていない」と感じるのは無理もありません。
最近は、介護士の処遇改善が進められているため、徐々に給与水準は高まっているといえますが、給与に対する不満をすべて解消するには、もうしばらくかかるのかもしれません。
▼関連記事
介護職員処遇改善手当とは?支給対象者や金額、加算を取得する要件を解説!
人間関係のトラブルがある
職場で人間関係のトラブルがあると、仕事に対するストレスが大きくなり、やりがいを感じられなくなってしまうこともあるでしょう。お伝えしているように、介護士の仕事はさまざまな立場や世代、性別の人と接する仕事なので、なかには合わない人もいるかもしれません。
人間関係のトラブルは、仕事のモチベーションダウンにつながることもあります。人によっては、「仕事内容自体は合っているけど、転職したい…」という結論に至る場合もあるようです。
仕事の裁量が少ないと感じる
仕事の裁量度は職場によって異なるものの、「すべて上司が決めてしまう」「言われたとおりに行動したのに怒られる」というような場合は、仕事の裁量が少なく不満を感じることもあるでしょう。
「こうしたほうが効率よく進められる」と考えても、裁量が少ない現場であれば、自身で判断することができません。上司に相談しても、「それは今やらなくて良いから」のように否定されてしまうと、仕事へのモチベーションが保てないばかりか、やりがいを感じられなくなる場合があります。
やりがいを感じられなくなったときの対処法
ここでは、介護士が「仕事にやりがいを感じられない…」と思ったときの対処法をご紹介します。感情のまま退職を選ぶのではなく、まずはできることから行動してみましょう。
これまでの現場で感じたやりがいを振り返る
これまで介護の仕事で感じたやりがいを振り返ってみましょう。働き始めたころの気持ちや、どのような点にやりがいを感じていたのか振り返ることで、初心に立ち返り、やりがいを思い出すことができます。
振り返るときは、紙に書き出して客観的に自分を見るのがおすすめです。仕事にやりがいを感じられないときは、介護士として働くうちに、喜びや楽しさに慣れてしまっているだけかもしれません。過去を振り返ることで、新鮮な気持ちで仕事に臨めるでしょう。
やりがいを感じられない理由を考えてみる
なぜ、やりがいを感じられないのか、その理由を考えるのも有効です。仕事に対する不満を一度整理し、どこに問題があるか確認することで、改善策を見いだせる可能性があります。
たとえば、人間関係のトラブルが原因で仕事にやりがいを感じられなくなっている場合、異動することで解決するかもしれません。悩みが解決すれば、再びやりがいをもって働けるようになるでしょう。
給料に対する不満があるなら資格を取得する
給料の少なさに関する不満からやりがいを感じられない場合は、介護の資格を取得しスキルアップすることで解消できる可能性があります。
無資格の場合は「介護職員初任者研修」、初任者研修を保有している場合は「介護福祉士実務者研修」、実務者研修を保有している場合は「介護福祉士」のように、上位資格を取得することで、資格手当がつき給与アップを図れるかもしれません。
資格を取得することでスキルも高まるため、やりがいも得られるようになるでしょう。介護士から、より給与の高い傾向があるケアマネジャーを目指すのも、不満を解消する方法の一つです。
▼関連記事
介護職員の給料は今後上がる?平均給与額や年収アップの方法も解説!
初任者研修を取りたい方必見!
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人間関係・仕事内容・労働環境が理由なら改善のために動いてみる
人間関係や仕事内容、労働環境への不満が理由でやりがいを感じられないときは、改善のために動いてみるのも良いでしょう。
たとえば、人間関係に不満がある場合は、異動を申し出たり、仕事の裁量や労働環境を上司と相談したりすることで、状況を改善できる可能性があります。アクションを起こさず、ただ何となく続け、不満を我慢し続けていても、仕事に対するモチベーションを維持することはできません。やりがいをもって働くためにも、不満や問題点を解消できるよう行動してみましょう。
解決が難しい場合は転職を検討する
お伝えしたような対処法を試してみても解決が難しい場合は、別の介護施設や事業所に転職するのも方法の一つです。「人間関係のトラブルがあるものの、小規模施設のため異動できない」「労働環境を改善しようと相談しても聞いてくれない」など、自身で解決できない問題を抱えている場合は、今の職場で働き続けても改善することはありません。
今の状況を改善するために、転職して新しい環境でチャレンジしてみることも検討しましょう。
出典
Leverages Medical Care「介護士のキャリアや外国人雇用などに関するレポート「きらケア介護白書2022」を公開しました」(2024年6月14日)
介護士がやりがいを感じられる職場へ転職する方法
介護士として仕事にやりがいを感じながら働くには、仕事内容にやりがいを見出すだけでなく、自分に合った職場を選ぶことも大切です。「転職すれば現職の不満やストレスがなくなる」というわけではないので、自分に合った求人を探しましょう。
自分に合った仕事を探すには、自己分析を行い「仕事でやりがいを感じること、不満を感じること」をはっきりさせたうえで、自身の価値観を客観視してみるのがおすすめです。「介護士さんの自己分析!業界の転職で効果的にアピールするコツを解説」の記事で、自己分析の必要性ややり方をご紹介しているので、参考にしながら実施してみましょう。
また、職場選びをする際は、求人サイトだけでなくハローワークや転職エージェントなど、複数のサービスを併用してみてください。複数のサービスを利用することで、自分に合った方法で、転職活動を効率よく進められるでしょう。詳しくは、「介護求人の探し方とは?探し始めるタイミングや良い職場か見極める方法」の記事をご参照ください。
また、介護業界専門の就職・転職エージェントレバウェル介護(旧きらケア)でも、ご相談を受け付けています。
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介護士のやりがいに関するよくある質問
最後に、介護士のやりがいに関するよくある質問をご紹介します。Q&A方式でまとめているので、自身の悩みに近い内容があれば、参考にしてみてください。
介護士がやりがいを感じるのはどんなとき?
介護士としてやりがいを感じる瞬間としては、「利用者さんやそのご家族から感謝の言葉をもらえたとき」「自分がサポートしてきた利用者さんにできることが増えたとき」などが挙げられます。また、資格を取得し、介護士としてのスキルや携われる仕事の幅が広がったときに、やりがいを感じる方もいるようです。
詳しく知りたい方は、「介護の仕事でやりがいや魅力を感じるときはいつ?」の記事や、この記事の「現役介護職員に聞く「介護士のやりがい」とは?」をチェックしてみましょう。
介護のやりがいをアピールする志望動機の例文は?
志望動機で介護のやりがいをアピールする際は、「介護の仕事にやりがいを感じています」とだけ伝えても、具体性がなく採用担当者の心には刺さりません。「認知症の利用者さんが心を開いてくれたときに、介護の仕事のやりがいを感じました」のように、自分がやりがいを感じるポイントを、具体的なエピソードを交えてアピールするのが効果的です。
具体的な志望動機の例文や書き方のコツは、「介護職の志望動機が思いつかない!例文でわかる考え方や書き方のコツ」や「介護職の「やりがい」を志望動機としてアピールするには?書き方を解説!」の記事にまとめていますので、ご参照ください。
まとめ
介護士の仕事のやりがいは、利用者さんやそのご家族から「ありがとう」と感謝の言葉をもらえたり、利用者さんが回復していく様子を実感できたりすることで感じられる傾向があります。そのほか、介護の知識や技術が身につくことや、仕事の経験が自分の家族の介護に役立つことに、やりがいを感じる人もいるようです。
介護士には、「無資格・未経験から挑戦しやすい」「仕事とプライベートを両立させやすい」という魅力もあります。資格取得によるキャリアパスが整備されており、段階的にスキルアップを叶えられるのも、介護士の仕事の魅力といえるでしょう。
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