
この記事のまとめ
- 障害者施設の職員は、給与水準などの改善を求めている
- 障害者施設の職員には、利用者さんからの暴言や人間関係に対する悩みがある
- 仕事の悩みを解決するには、上司に相談して連携することが大切
ハンデのある方と普段から向き合っている、障害者施設の職員。仕事に取り組む中で、日頃どういった悩みを抱えているのでしょうか。障害者施設への就職・転職を考えるなら、どのような退職理由が多いのかも気になるところです。このコラムでは、障害者施設の職員が抱える悩みについて詳しくご紹介します。悩みや打開策を理解しておけば、事前に心構えをもって仕事に臨めるはずです。
障害者支援施設とは?仕事内容や一日の流れ、高齢者介護との違いを解説!障害者施設の職員が抱える悩みに多いのは?
障害者支援事業所で働く職員を対象にした「障害者支援事業所職員労働実態調査報告」を参照しながら、障害者施設の職員が抱える悩みについて考えてみましょう。この調査によると、「今の仕事に働きがいはあるか」という質問に対し、「ある」「どちらかというとある」と回答した割合は9割を超えています。しかし、回答者は勤続年数5年未満の職員が半数を占めており、正規職員の平均勤続年数も8年ほどとなっているのが現状です。
「もっと働きがいのある職場にするために改善すべき課題は?」という質問に対してもっとも多い回答は、「給与水準等の改善」の36.8%でした。障害者自立支援法(障害者総合支援法に改定)が施行されて基本報酬が減額される一方、成果や実績にもとづく加算減算方式が増えています。「福祉・介護職員処遇改善加算」などが設けられましたが、実質的な賃金向上の効果にまでは至っていないようです。同じ質問に対して2番目に多いのは「達成感のある利用者支援」の23.2%、次が「職場の雰囲気・人間関係の改善」12.3%という結果でした。
また、「この仕事を続けられない」と回答した理由の中でもっとも多いのは、「精神的・体力的に自信がない」の54.7%。次に多いのが「将来に展望がもてない」23.4%、「人手が足りなくて休みがとれない」12.1%と続きます。
出典
きょうされん「障害者支援事業所職員労働実態調査報告」(2023年08月16日)
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障害者施設職員が抱える具体的な悩みとは
障害者施設で働く職員は、具体的にどのような悩みを抱えているのでしょうか。
「この仕事を続けられない」と回答した理由の中で多かったものから深堀りしてみましょう。
「精神的に自信がない」の具体的な事例
障害者施設に勤める職員の悩みとして、特に多いのが介護利用者さんからの暴言や暴力の問題。中でも「強度行動障害」のある利用者さんの対応には、皆さん苦慮されています。地方自治体では「強度行動障害支援者養成研修」という研修を加算付きで実施し、職員に参加するように呼び掛けて改善を図ろうとしているようです。いずれにしても、過酷な労働環境の中で大きなストレスを抱えながら業務に就いている介護職員の方が多いといわれています。
「達成感のある利用者支援」の具体的な事例
「達成感のある利用者支援」ができれば、もっと働きがいのある職場になる。そう回答した方は23.2%にのぼります。つまり、利用者支援の仕事に達成感が伴っていない職員は多いと考えられるでしょう。
具体事例としてこのようなものがあります。「入所者さんの中に問題行動を起こす方がいて、その方に職員の数がとられてしまい、歩行訓練を行えば歩けるようになるはずの利用者さんに手が回らず車イスをあてがう。その結果、その利用者さんはまったく歩けなってしまう。」そういった理不尽な状況が耐えられないという職員の意見も見受けられます。
「体力的に自信がない」の具体的な事例
障害者施設に勤める職員の方が体力的に負担になると回答した中で、もっとも多いのが夜勤の負担です。深夜の時間帯に働くことの身体的な負担はもとより、不安障害のある方が夜間に問題行動を起こしてしまうケースも少なくありません。一緒に生活するほかの入所者さんにも迷惑がかかるので、職員の精神的な負担に繋がります。
「職場の雰囲気・人間関係の問題」の具体的な事例
職場の同僚や上司との人間関係に悩んでいる職員も多く、「人間関係の改善をはかればもっと働きやすい職場になるのに」と回答した割合は12.3%でした。障害者施設の悩みとして特に多いのは、仕事に対する考え方や価値観の違いによる人間関係の悪化。障害者施設で円滑な業務をするには、チームワークが欠かせません。それだけに、障害者施設における同僚や上司との人間関係の問題はとても深刻です。
出典
きょうされん「障害者支援事業所職員労働実態調査報告」(2023年08月16日)
障害者施設の職員が悩みを解決する方法とは
障害者施設の職員抱えるさまざまな悩みは、どうすれば解決できるのでしょうか。ここで、いくつかの打開策をご紹介します。
「精神的に自信がない」の打開策は?
障害者施設の利用者さんからの暴言や暴力に対しては、1人で対処するのではなく、同僚や上司と連携しながら対応するようにしましょう。特に「強度行動障害」のある利用者さんは、数人のスタッフで連携しながら対応することが大切です。できるだけ感情的にならず、福祉のプロとしての自覚をもって冷静な態度で業務に当たるようにしましょう。
「達成感のある利用者支援」の打開策は?
障害者施設の業務では、利用者さんの心身状態が改善に向かえるよう手を差しのべることが重要です。
歩行訓練を行えば歩けるようになるかもしれない利用者さんに車イスをあてがうのは理不尽な対応。こうした事例は、障害者施設だけでなく介護施設などでも多く見られます。福祉のプロとして、施設が取り組める範囲内で改善策を提案しましょう。
「体力的に自信がない」の打開策は?
手のかからない利用者さんが多い施設の場合は、夜間に平穏無事に過ごすことができるので職員の負担はそれほど大きくありません。しかし、不安障害のある方による問題行動がある場合は深刻です。深刻な状況を上司に相談し、一緒に対策を考えましょう。
「職場の雰囲気・人間関係の問題」の打開策は?
仕事に対する考え方や価値観の違いから、人間関係がうまくいかないことはあります。このような場合は、考え方や価値観を仕事と切り離して考えることが大切です。ある程度わりきった人間関係を築ければ、精神的な負担も軽くなるでしょう。
反対に、じっくり話し合う機会を持つことが打開策に繋がる可能性も。本音を伝えて互いの考え方を尊重し合うことも、良好な人間関係を築くうえでの大きなポイントです。
身体を動かしてリフレッシュする
仕事上の悩みは誰にもつきものです。少し仕事から離れて、軽い運動で気持ちの良い汗を流してみましょう。仕事の悩みを忘れる時間を持つことも、問題を解決する打開策の1つです。もちろん運動に限らず、趣味活動に没頭するのも良いでしょう。
障害者施設の職員にありがちな悩みに関するQ&A
ここでは、障害者施設の職員にありがちな悩みをQ&A形式でまとめました。在職中の方だけでなく、障害者施設の職員として働いてみたいとお考えの方も、ぜひチェックしてみてください。
障害者施設の職員ですがストレスでつらいです…
障害者施設は利用者さんによって意思疎通が難しい場合もあり、一定の大変さがあるといえます。ストレスでつらいときは、上司や先輩に相談して助言をもらうのも方法の一つです。一人でストレスを抱え込んでしまうと、心身の健康に悪影響を及ぼす恐れも。まずはストレスの原因を知り対策を講じることで、少しでも状況が緩和するように行動しましょう。ストレスの原因が分からない場合は、「ストレスの原因を知ろう!」の記事を参考にしてみてください。介護職向けの内容ですが、原因を見つけるヒントになるかもしれません。
障害者施設の職員に向いてる人の特徴を教えてください
障害者施設の職員に向いているのは、「障害を個性として捉えられる人」です。障害者施設は、多様な障害をお持ちの方が利用しています。なかには予想外の言動をとる方もいるでしょう。そのようなときに、「この反応は個性なんだな」と思いやりをもって接するスタッフがいれば、利用者さんやそのご家族が安心して過ごせます。ほかにも、「臨機応変に対応できる」や「視野が広く利用者さん・職員を幅広くフォローできる」なども、障害者施設の職員として求められる資質といえるでしょう。
まとめ
障害者施設で働く職員の多くが「今の仕事に働きがいを感じている」と思う一方で、多くの方が「給与水準等の改善」「達成感のある利用者支援」「職場の雰囲気・人間関係の改善」「精神的・体力的に自信がない」などの改善点を訴えているようです。福祉のプロとして冷静に対応して、職場での小さな改善点を提案することが労働環境の改善に繋がります。ときには仕事を離れて趣味や運動に取り組み、仕事の悩みを忘れる時間を持つことも1つの打開策です。
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