
この記事のまとめ
- 介護職への転職活動の進め方は、自己分析や情報収集から始めることが大切
- 転職活動を成功させるコツは、自己分析や企業分析、施設の見学をすること
- 書類選考や面接で採用担当者にチェックされる点を把握して対策をする
介護職で働いていると、職場への不満やキャリアアップを理由に、転職を考えるタイミングが訪れます。介護業界は慢性的な人手不足のうえ需要が拡大しつつあるので、思い切って転職活動を始めてしまうのもよいでしょう。しかし、「転職経験がないから進め方が分からない…」という方もいるはず。そこでこの記事では、介護職での転職活動の進め方をご紹介します。円満退職の方法や面接の注意点もまとめているので、参考にしてください。
介護業界における転職活動の進め方
介護業界の転職活動の進め方は、一般的な流れと同じで自己分析や情報収集から始めます。転職先の方向性が明確になってきたら、希望の条件に沿った求人を探したり、気になる施設に見学を申し込んだりしましょう。介護業界はたくさんの求人が出ている分、好条件のものから募集が締め切られてしまうので、十分な下調べが出来たら早めに応募するのがおすすめです。選考方法は施設によって異なりますが、履歴書や職務経歴書を提出して面接を受けるのが一般的。合否はその場で決まることもあれば、後日改めて連絡してもらうこともあるようです。内定が出たら雇用条件を確認し、問題がなければ退職準備や入社手続きを行うことになります。
しかし、内定が決まってから退職の旨を伝えるとトラブルに繋がってしまうことも。多くの施設では就業規則によって、「退職する際は、退職日から数えて○日前までに申し出ること」と定められています。スムーズに手続きや引き継ぎ作業を行って円満退職するためにも、辞める1~2カ月前には職場に退職の意思を伝えましょう。
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失敗しない介護職の転職活動のコツ
転職活動を行う人の多くは環境や待遇の改善を求めていますが、焦って職場を決めてしまったり情報収集を怠ったりすると、ミスマッチを起こして早期離職に繋がりかねません。せっかくの転職を失敗で終わらせないためにも、ここで紹介するコツを実践してみましょう。
自己分析を徹底する
介護職の転職活動において最も大切なのは自己分析です。まず、自分が介護職で働くうえで重視する「介護理念」とは何か考えてみましょう。たとえば「利用者さんの自立度を上げたい」「笑顔が見られるのが一番」など、大切に思っていることがあるはず。介護理念が明らかになれば、自ずとどのような働き方がしたいか見えてきます。また、自分のライフスタイルや仕事に対する考えから、転職先に求める条件を決めるのも重要です。年収や年間休日数、夜勤の有無など譲れない条件や妥協できるポイントを考えてみてください。
詳しくは、「介護士さんの自己分析!業界の転職で効果的にアピールするコツを解説」で解説しています。合わせて確認してみましょう。
希望条件を満たす求人を探す
介護業界では入所施設や通所介護事業所、訪問介護事業所などさまざまな種類の職場があるため、希望条件に沿った求人を探しやすい傾向にあります。それぞれ提供する介護サービスや特徴、利用者さんの要介護度などが異なるので、理想の働き方や介護理念に照らし合わせながら転職先を探してみましょう。入所施設の中にもサ高住や介護老人福祉施設(特養)などさまざまな分類があるので、求人の情報をよく読んで、比較・検討するのが大切です。
介護の求人の詳しい探し方は、以下の記事で解説しています。
転職の条件をなかなか見つけられない…という方は、「介護業界で転職する際に重視する条件とは?働きやすい職場を見つけるコツ」で介護業界で転職する際に重視する条件や転職成功のポイントを確認してみましょう。
応募したい施設の研究や見学を行う
気になる求人を見つけたら、施設研究を行ったり職場見学を申し込んだりしてみましょう。転職活動を進めるうえで情報収集は欠かせません。施設の経営方針と自分の介護理念が一致しているか、介護職員等特定処遇改善加算に対応しているかなど、しっかり調べておくことが大切です。最低限パンフレットやインターネット検索で分かる情報は押さえて、疑問点や質問をまとめてから職場見学や面接に臨むことをおすすめします。
また、施設の職場見学では求人情報から読み取りにくい人間関係や、職場の雰囲気を観察しましょう。雇用条件だけ確認して転職を決めてしまうと、後から「失敗した…」と後悔することになる可能性が高いです。介護職員の表情や態度、利用者さんの様子などを自分の目で確かめて、転職先に適しているか考えてみましょう。
転職の失敗事例を事前に知っておくと安心です。詳しくは「介護職の転職失敗事例と後悔しない施設の選び方」で解説してます。
書類選考や面接でチェックされるポイント
自己分析や情報収集、職場見学を終えて求人に応募したら、いよいよ選考準備に取り掛かります。書類選考では経歴や資格、面接では人柄や対応がチェックされるので、内定を獲得するにはさまざまなアピールを行わなければなりません。ここでは書類選考や面接でチェックされるポイントを詳しくまとめているので、転職活動で失敗したくない方は参考にしてみてください。
基本的なビジネスマナー
履歴書の書き方や身だしなみ、言葉遣いなど基本的なビジネスマナーが身に付いているかは、最もチェックされるポイントです。どれだけ経歴が良くても、資格を持っていて即戦力になれても、マナーがなっていないと不採用になってしまう可能性があります。また、寝癖が髪に残っていたりスーツにしわが付いていたりするのも、だらしない印象を与えてしまうので注意しましょう。基本的なビジネスマナーの知識は本やインターネット検索でも身に付けられるので、選考に進む前に習得することをおすすめします。
面接のマナーに関しては、以下の記事でも解説しています。
質問に対する受け答え
面接官の質問に対する受け答えは、内容だけでなく声量や表情、態度も見られるので注意しましょう。面接官が望んでいるのは、「一緒に働きたい」「ぜひうちで頑張ってほしい」と思える人材です。そのため、声が小さくておどおどした態度の人よりも、自信を持ってハキハキと受け答えできる人のほうが採用される傾向にあります。ほかにも結論から述べて簡潔にアピールできる人は、好印象を持ってもらいやすいでしょう。「緊張してしまって苦手…」という人が多い面接ですが、自信を持って本番に臨むには入念な準備と練習が欠かせません。面接でよく聞かれる質問は、「介護職の面接でよく聞かれる12の質問と回答例や落ちないためのポイント」の記事内でご紹介しています。参考にして受け答えを考えてみましょう。質問の多くはあなたの仕事に対する考え方や人柄を図るものなので、素直な気持ちで答えることをおすすめします。
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介護の面接で求められる自己紹介とは?採用担当者に好印象を残すポイント!
協調性の有無
介護現場ではチームワークが大切になるので、協調性は重視されるポイントです。面接官は、「応募者がうちの職員とうまくやっていけるか」というポイントに重点を置いて、合否を決める傾向にあります。周囲との関わりをないがしろにしたり、自分勝手な発言をしたりしていないか今一度考えてみましょう。どれだけ経験豊富で即戦力になれる実力があっても、協調性が全くないと採用してもらいにくくなる可能性が高いです。また、前の職場を批判するのは良く思われない行動なので避けましょう。面接官から「うちに転職してきても同じような発言をするかも」と思われて、ネガティブなイメージを持たれてしまいます。介護施設同士で交流を取っている可能性もあるので、協調性に欠ける発言や信頼を失うような批判は避けるのが無難です。
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介護にチームワークが求められる理由とは?職員同士の連携を深めるポイント
施設に対する理解度
履歴書や面接では、応募先の施設に対する理解度をチェックされます。志望動機と施設の特徴が合わない、提供している介護サービス内容を知らないというのは、勉強不足で転職に前向きではない印象を与えかねません。施設の特徴や経営方針を知らないと、自己PRに説得力を持たせるのが難しくなってしまいます。転職活動を失敗に終わらせないためにも、施設研究や職場見学を行いましょう。また、面接の最後に逆質問の機会を設けている施設もあるので、調べてもわからなかったことや深掘りして聞きたいことがあれば積極的に質問してみてください。逆質問は転職への熱意をアピールできる部分なので、1つは質問を用意しておくと好印象を与えられる可能性があります。
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介護職の面接で「質問はありますか」と聞かれたら?回答例とポイントを紹介
志望動機
介護職の転職活動において志望動機は重要なポイントであり、面接官もしっかり目を通しています。履歴書や面接で志望動機を伝える際は、応募先を選んだ理由やどのような働き方がしたいかをアピールしましょう。介護は対人援助職なので、人間性や介護理念が重視されやすいです。面接官に採用したいと思われる志望動機を書くには、具体的なエピソードに基づいたアピールがおすすめ。詳しくは「介護業界の志望動機の書き方!未経験者も介護福祉士も使える例文つき」でチェックしてみてください。また、志望動機の作成が上手くいかないときは、知人に相談に乗ってもらったり転職エージェントを活用したりするのも有効な手段です。
今の職場に満足していますか?
今の職場を円満退職するには早めの準備が大切
働きながら転職活動をしている場合、退職準備を並行して行ったほうがスムーズに辞められるのでおすすめです。退職するときは施設の就業規則に則って、退職日から起算して1~3カ月前までに上司に報告を行わなければなりません。法律上は2週間前に伝えれば問題ありませんが、就業規則を守ったほうが円満退職できます。
退職理由を聞かれたときは答えられる範囲で話しても構いませんが、職場に対する不平・不満は避け、転職先の情報は伏せるようにしましょう。退職までの間に情報がどこかから漏れて、気まずい雰囲気になったり職員と険悪になったりしてしまう可能性があります。退職は少なからず今の職場に迷惑をかける行動なので、最後まで誠意をもって仕事の引き継ぎや手続きを行い、円満退職できるように心掛けましょう。
円満退職に関しては、「【介護の転職】円満退職の方法や退職意思の伝え方のポイント」で詳しく解説しています。
介護業界での転職活動におすすめの時期
介護業界での転職活動の進め方が分かったら、次は転職時期を決めましょう。収入面の安定を優先して働きながら転職活動を行う人も多いですが、仕事との両立が難しかったり、内定が決まってから退職日と入社日を調整する必要があったりします。一方で、退職してからの転職活動は時間に余裕がある分収入が不安定になってしまうので、貯金や退職金を利用して休職中の生活費を賄わなければなりません。失業手当を生活費に充てようとしている人もいるかもしれませんが、自己都合退職の場合は4カ月以上先の支給になるので注意してください。
4月は求人が多く転職先を見つけやすい
年度末で仕事を辞める人が多いので、年度初めの4月は介護職の求人が多くなります。介護業界は時期に関係なく転職しやすい傾向にあるので、自分に適したタイミングで転職活動を始めるのも良いですが、求人が増えるタイミングのほうが選択肢の幅が広がります。めったに求人を出さないような施設も募集をかけているので、好条件の転職先が見つかるかもしれません。
ボーナス支給後も転職のチャンス
4月の次に介護職の求人が多くなるのが、ボーナスの支給が終わった夏と冬です。退職を考えている人の多くは、「ボーナスをもらってから辞めよう」と考えているので、7~8月や12~1月に求人が多くなる傾向にあります。欠員補充のために求人を出す施設もあるので、慢性的な人手不足に陥っている施設にあたる可能性を下げられるかもしれません。事前に退職者が出ると分かっている場合は早めに求人が出るので、ボーナスが出る前後はこまめに求人状況をチェックしましょう。
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介護職の転職に適した時期は?活動スケジュールや円満退職の方法も
介護業界での転職活動の進め方に関するよくある質問
ここでは、介護業界での転職活動を進める際にありがちな悩みをQ&A方式でまとめました。「介護業界での転職を迷っている」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
介護業界で転職したほうが良いサインはある?
介護業界で転職したほうが良いサインは、「今の仕事が原因で心身の不調をきたしているとき」や「問題を抱えていて、勤務し続けても改善の見込みがないとき」などです。また、スキルアップやキャリアアップを希望しているにもかかわらず、チャンスがないときも転職したほうが良いといえるでしょう。
詳しくは、「介護職の転職時期でベストなのはいつ?活動タイミングや円満退職の方法も」の記事で解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
介護業界は転職回数が多くても大丈夫ですか?
介護業界は人手不足の傾向があるため、転職回数が多くても不利になりにくいといえます。しかし、あまりに転職回数が多い場合、採用担当者から「採用してもすぐに辞めてしまうのではないか」と懸念される可能性がゼロではありません。もし、転職回数が多く不安を感じているのなら、志望動機に就業意欲の高さや長く働きたい気持ちを盛り込むのがおすすめ。採用担当者の懸念を払拭すれば、転職活動を成功させられるでしょう。
介護業界で転職を繰り返すリスクについては、「介護業界で転職を繰り返すと不利になる?デメリットや注意点を解説!」の記事をご参照ください。
まとめ
失敗しない介護職における転職活動の進め方のコツは、自己分析や施設研究、職場見学といった入念な情報収集です。書類選考や面接では志望動機や基本的なビジネスマナー、受け答えなどをチェックされるので、本番同様の流れで何度も練習しましょう。在職中に転職活動を進める場合は、トラブルなく円満退職するために並行して退職準備を進めるのも大切です。年度初めの4月やボーナス支給前後の夏と冬は求人が増えやすいので、転職先の候補を増やしたい方は、時期を合わせて転職活動を始めましょう。レバウェル介護(旧 きらケア)では介護職の求人を多数取り扱っているので、興味がある方はぜひご連絡ください。
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