Clik here to view.

この記事のまとめ
- 介護予防とは、要介護状態の発生・悪化を防いだり遅らせたりすること
- 介護予防サービスには、介護予防訪問入浴介護や介護予防訪問看護などがある
- 介護予防支援では、介護予防サービスを利用するためのサポートを行う
「介護予防」という言葉は知っていても、具体的にどのようなことを指すのか分からない方もいるでしょう。介護予防とは、65歳以上の高齢者が要介護状態になることや、要介護状態から悪化することを防ぐ取り組みです。日本は超高齢化社会がさらに進むことが予想されるため、介護予防に対する関心も高まっています。本記事では、介護予防の目的や介護予防サービスの種類を簡単にまとめました。興味のある方は、ぜひご一読ください。
介護予防とは?
介護予防とは簡単にいうと、要介護状態の発生や悪化を防ぐこと・遅らせることです。厚生労働省の介護予防マニュアルによると、「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと」と定義されています。
介護予防の目的
介護予防の目的は、高齢者の運動機能や心身機能の改善、さらには環境調整などを行い社会への参加を促すことにより、QOL(生活の質)を向上させることです。要介護状態になれば次第にできないことが増え、QOLの低下につながってしまう恐れがあります。生活機能を維持できれば、高齢者が生きがいを持って日常生活を送ることができる…このような理想を実現することが、介護予防の目的です。
なお、介護保険法第4条第1項には、国民の努力義務として下記のような内容が記載されています。
国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。
引用:「介護保険法第4条第1項」
介護保険法によると、国民自らが加齢にともなう心身の衰えを自覚し、介護予防を通して心身の健康状態の維持・向上に努めることとしています。介護が必要になる前に「予防」をすることで、要介護状態にしない・させないことが介護予防の本質と考えましょう。
出典
厚生労働省「介護予防マニュアル第4版」(2023年1月23日)
e-Gov法令検索「介護保険法」(2023年1月23日)
▼関連記事
自立支援介護とは?高齢者に必要な4つの基本ケアと生活上の取り組みを解説!
登録は1分で終わります!
介護予防に関する国や自治体の取り組み
超高齢化社会が進む日本では、「介護予防・日常生活支援総合事業」として地域の実情に応じた地域の支え合い体制づくりを推進しています。
「介護予防・日常生活支援総合事業」への移行
介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)とは、自治体が主体となって地域に応じた介護予防・生活支援の提供体制づくりを強化し、要支援者への効果的・効率的な支援の実現を目指す取り組みのことです。2017年4月からスタートした事業で、要支援者を対象とした予防給付事業のうち「介護予防訪問介護」と「介護予防通所介護」が介護予防・日常生活支援総合事業へ移行されることになりました。
介護予防ケアマネジメントとは
介護予防・日常生活支援総合事業として介護予防と生活支援を総合的に支援していくためには、地域包括支援センターによる「介護予防ケアマネジメント」が欠かせません。介護予防ケアマネジメントとは、要支援者の心身機能の状態や生活環境などに応じたサービスの内容を検討する仕組みです。介護予防の本質である「要介護状態の発生や悪化を防ぐこと」を目的に、訪問型・通所型サービスやその他の生活支援サービス(安否確認、配食サービス)などに対応します。
令和4年3月に介護予防マニュアルが改定
2022年3月に2012年以来約10年ぶりとなる介護予防マニュアルが改定されました。介護予防マニュアルは、初任者や事務職を含めた自治体職員や事業所の専門職員を想定して作られているので、介護予防について図表を用いながら分かりやすく説明されています。介護予防のノウハウに興味のある方は、一度目を通してみると良いでしょう。
出典
厚生労働省「総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)」(2023年1月23日)
介護予防サービスの種類
「介護予防サービス」とは、予防給付を受けられるサービスのことです。ここでは、厚生労働省の「介護事業所・生活関連情報検索介護保険の解説 -サービス編 –」をもとに、介護予防サービスの種類を簡単に解説しましょう。
介護予防訪問入浴介護
介護予防訪問入浴介護とは、介護予防を目的に一定期間行われる訪問入浴サービスです。要支援の認定を受けた方のご自宅(有料老人ホームなどの居室も含む)へ専用の浴槽を持ち込み、入浴介助を行います。
介護予防訪問看護
介護予防訪問看護とは、介護予防を目的に一定期間行われる訪問看護サービスです。要支援の認定を受けた方のご自宅(有料老人ホームなどの居室も含む)へ看護師が訪問し、必要に応じて療養上の世話や診療の補助などを提供します。
介護予防訪問リハビリテーション
介護予防訪問リハビリテーションでは、一定期間、要支援の認定を受けた方のご自宅(有料老人ホームなどの居室も含む)を訪問し、介護予防を目的としたリハビリテーションを行います。
介護予防居宅療養管理指導
介護予防居宅療養管理指導では、病院・診療所・薬局の医師や歯科医師、薬剤師などによって介護予防を目的とした療養上の管理・指導を行います。対象者は、居宅で生活する要支援と認定された方です。
介護予防通所リハビリテーション
介護予防通所リハビリテーションとは、介護老人保健施設(老健)や病院、診療所などで行われるリハビリテーションです。居宅で生活する要支援と認定された方が施設に通いながら、一定期間に渡って介護予防を目的とした理学療法や作業療法などを受けられます。
介護予防短期入所生活介護
介護予防短期入所生活介護とは、特別養護老人ホーム(特養)などの施設で行われる、介護予防を目的としたショートステイです。居宅で生活する要支援と認定された方を対象に、身体介護や生活援助、機能訓練を行います。
介護予防短期入所療養介護
介護予防短期入所療養介護とは、介護老人保健施設(老健)などの施設で行われる、介護予防を目的としたショートステイです。居宅で生活する要支援と認定された方を対象に、療養上の世話や看護、介護、機能訓練、医療などを提供します。
介護予防特定施設入居者生活介護
介護予防特定施設入居者生活介護とは、有料老人ホームや養護老人ホーム、軽費老人ホームといった特定施設に入居している要支援と認定された方を対象としたサービスです。具体的には、介護予防特定施設サービス計画をもとに、介護予防を目的とした身体介護や生活援助、機能訓練、療養上の世話などを行います。
介護予防福祉用具貸与
介護予防福祉用具貸与とは、居宅で生活する要支援と認定された方を対象に、介護予防を目的に、厚生労働大臣が定めた福祉用具を貸し出すサービスです。
特定介護予防福祉用具販売
特定介護予防福祉用具販売とは、居宅で生活する要支援と認定された方を対象に、介護予防を目的に、厚生労働大臣が定めた特定介護予防福祉用具を販売するサービスです。なお、特定介護予防福祉用具とは、入浴や排泄などに用いられるため、衛生上の観点から貸し出しが難しいものを指します。
出典
厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」(2023年1月23日)
地域密着型介護予防サービスの種類
続いて、地域密着型介護予防サービスの種類をご紹介します。地域密着型介護予防サービスも予防給付が受けられるサービスです。
介護予防認知症対応型通所介護
介護予防認知症対応型通所介護とは、居宅で生活する要支援と認定された認知症を患う方を対象にした通所サービスです。一定の期間に老人デイサービスセンターなどに通い、介護予防を目的とした身体介護や生活援助、機能訓練などを行います。
介護予防小規模多機能型居宅介護
介護予防小規模多機能型居宅介護は、居宅で生活する要支援と認定された方を対象にした小規模多機能型居宅介護サービスです。具体的には、介護予防を目的とした訪問・通い・宿泊のいずれかによる、身体介護や生活援助、機能訓練などを提供します。
介護予防認知症対応型共同生活介護
介護予防認知症対応型共同生活介護とは、介護予防を目的に、要支援と認定された認知症を患う方が利用できる認知症グループホームのことです。必要に応じて身体介護や生活援助、機能訓練などを行い、対象者の共同生活をサポートします。
出典
厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」(2023年1月23日)
介護予防支援
介護予防支援とは、介護予防サービスや地域密着型介護予防サービスなどを利用するために必要な「予防計画」を作成し、関係各所との連絡・調整を行うことです。要支援と認定された方が居宅でできるだけ自立した生活が送れるよう、心身の健康状態や周りの環境、利用者本人とそのご家族の希望などをヒアリングしたうえで、どのような介護予防サービスが必要なのかを考えます。
なお、介護計画を立てるのは、地域包括支援センターに在籍する職員のなかでも、厚生労働省令に定められている職員です。予防給付による介護予防サービスを受けるためには、介護予防ケアマネジメントではなく、介護予防支援を受ける必要があります。
出典
厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」(2023年1月23日)
介護予防に携わる介護職員におすすめの資格
介護予防に携わる介護職員におすすめの資格は、「介護予防運動指導員」と「介護予防指導士」の2つです。どちらも資格を取得することで指導員(指導士)として活躍できるので、興味のある方はぜひ挑戦してみましょう。
介護予防運動指導員
介護予防運動指導員とは、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所が実施する認定資格です。全23科目、31.5時間の講習を受けたあとに、修了試験があります。修了することで、「介護予防プログラムの理論」「高齢者筋力向上トレーニングのノウハウ」などの知識を身につけることが可能。介護予防の現場で活躍する指導員を目指せます。受講対象者は、医師や看護師、社会福祉士、介護福祉士などの資格保有者です。
▼関連記事
介護予防運動指導員のメリットとは?資格の概要と取得方法もご紹介!
介護予防指導士(R)
介護予防指導士とは、特定非営利活動法人日本介護予防協会(R)が実施する認定資格です。資格を取得すれば、「筋力訓練指導」「栄養ケア」「口腔ケア」「転倒予防」「ストレッチング」などを指導することができます。受講科目は全10科目21.5時間程度で、費用は税込みで54,000円。受講対象者は介護職員初任者研修以上の介護資格や看護資格などの保有者です。
▼関連記事
介護予防指導ができる人材を育成【特定非営利活動法人日本介護予防協会】
介護職員が介護予防サービスを提供する重要性
少子高齢化の進行により高齢化率が徐々に上がっている日本では、介護人材不足が社会問題になっています。高齢者の方が必要な介護サービスを受けにくい、受けられないといった事態を防ぐには、介護人材を増やすだけでなく、高齢者の方々が可能な限り自立した生活を送ることも大切だといえるでしょう。
介護予防サービスは、要支援1や要支援2の認定を受けた方の心身の健康状態を維持するだけでなく、要介護状態への進行を穏やかにする目的もあります。利用者さまに近い存在の介護職員は、一人ひとりの状況に応じた介護予防サービスを提供するため正しい知識を身につけるとともに、少しでも多くの高齢者の方が元気に自立した生活を送れるようサポートしていくことが重要です。
Image may be NSFW.
Clik here to view.介護予防に関する介護求人一覧はこちら
介護予防に関するよくある質問
ここでは、介護予防に関するよくある質問に回答します。「介護予防としてどんなことができるの?」と気になっている方は、チェックしてみてください。
介護予防とは何か簡単に知りたい
介護予防とは何か簡単に説明すると、介護が必要な状態にならないように対策することです。介護が必要になった場合には、心身機能の低下を予防・軽減するために、介護予防に取り組みます。介護予防を行うことは、高齢者の生活の質の向上にもつながります。介護予防の目的は、この記事の「介護予防とは?」で解説しているので、ぜひご一読ください。
介護予防としてできることは?
介護予防として手軽にできることは、健康管理をして、運動習慣を見直すことです。食生活に気を遣ったり、外出する習慣をつけたりするのも効果的といえます。健康な暮らしを続けるためには、生活習慣病に注意して、普段の生活を見直すことが大切です。自分でできる介護予防だけではなく、自治体などが提供する公的なサービスも活用しながら、健康な暮らしを心掛けると良いでしょう。
介護予防とフレイル予防の違いは?
フレイルとは、「加齢や加齢にともなう病気などの要因から、心身の健康状態が低下した状態」「これから要介護状態になるリスクが高い状態」を指す言葉です。つまり、フレイル予防は、ある程度健康な状態から行わなくてはなりません。つまり、フレイル予防とは、介護予防の前段階で行うものと考えれば良いでしょう。
まとめ
介護予防とは、「高齢者が要介護状態になること」「要介護状態から悪化すること」を防ぐために行われるものです。要介護状態になれば、次第にできることが減り社会への参加が減ってしまう恐れも。このような悪循環を防ぐため、要介護状態になる前から予防をするのが介護予防支援といえます。
「介護職員としてもっと介護支援に関わってみたい」「介護業界に興味がある」という方は、介護業界専門の転職エージェントレバウェル介護(旧 きらケア)にご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)では、キャリアアドバイザーがマンツーマンで介護の転職活動をバックアップ。「介護業界についてあまり知らない」という人も、担当者が詳しくご説明いたします。また、「介護支援」に関わる求人も豊富なので、条件や希望にピッタリの職場が見つかるはずです。サービスはすべて無料でご利用いただけますので、お気軽にお問い合わせくださいね。
Image may be NSFW.
Clik here to view.レバウェル介護(旧 きらケア)TOPページはこちら