
この記事のまとめ
- 国際介護士とは、自分の国を出て海外で仕事をする介護士のこと
- 国際介護士として働くためには、ビザを取得する必要がある
- 日本人が就労するのにおすすめの外国は、イギリスやスウェーデンなど
介護の仕事をしていて、「いつか海外で働いてみたい」という展望がある方もいるでしょう。外国で働く介護士を「国際介護士」と呼び、ビザを取得すれば日本人も海外で就労できます。この記事では、国際介護士になるまでの流れやビザの取得方法を解説。海外で働くメリット・デメリットや、必要なスキルもご紹介します。日本人が国際介護士として働く際におすすめの国もまとめたので、キャリアの参考にしてくださいね。
国際介護士とは?
国際介護士とは、自国を出て海外で働く介護士のことです。給料アップや自身の成長のために、海外で仕事をする介護士は少なくありません。介護のスキルを活かして、国際介護士として働く日本人もいます。
国際介護士に必要な資格
国際介護士になるために必須の資格はありません。国によって外国人が介護士として働くための条件は異なるので、事前にリサーチしておきましょう。
介護福祉士といった日本の介護資格があるからといって、国際介護士として働けるとは限らない点に注意が必要です。海外では日本の資格の有効性は低いものの、経験やスキルがあったほうが就職に有利になる可能性は高いでしょう。
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国際介護士になる方法は?
国際介護士になるには、働きたい国のビザを取得する必要があります。ここでは、海外で就労するための代表的なビザの取得方法をご紹介するので、参考にしてください。
就労ビザを取得する
海外に移住して働く際は、就労ビザを取得するのが一般的です。就労ビザを取得するまでの流れは、次のようになっています。
- 1.海外の会社に応募して内定をもらう
- 2.パスポート・必要な書類などを用意する
- 3.就労ビザの申請を行う
就労ビザを取得するための条件は、国ごとに定められています。学歴や経歴、収入などが、就労ビザ取得の要件になることが多いようです。ビザ取得の条件や費用は、行きたい国の大使館・領事館などのWebサイトで調べておきましょう。
ワーキングホリデービザで働く
日本在住で日本国籍を持つ18~30歳の方は、ワーキングホリデービザの対象になります。就業だけではなく、観光や就学も行える自由度の高さが特徴のビザです。ワーキングホリデービザを取得する流れを、以下で確認してみましょう。
- 1.ワーキングホリデービザの対象である29ヶ国から行きたい国を選ぶ
- 2.パスポートを用意する
- 3.ワーキングホリデービザの申請を行う
ワーキングホリデービザを取得すると、日本と協定を結ぶ国に最長1年間滞在できます。一般社団法人 日本ワーキング・ホリデー協会は、ワーキングホリデーに興味がある方向けに、日本各地で無料セミナーを実施しているので、活用すると良いでしょう。
出典
一般社団法人 日本ワーキング・ホリデー協会「ワーキングホリデー(ワーホリ)制度について」(2024年3月22日)
国際介護士として海外で働くメリットは?
国際介護士として働くメリットは、給料アップを目指せることや、日本の介護技術を活かして働けることです。下記で解説するので、「海外で介護の仕事をしてみたい」という方は確認してみてくださいね。
給料アップを目指せる
日本より給与水準が高い国を選んで介護士として働けば、給料アップを目指せるでしょう。ワーキングホリデー制度を利用する方は、数ヶ月だけ海外で生活をしながら、貯金をすることも可能です。
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福祉先進国で介護や制度を学べる
国際介護士として働くことで、海外の介護事業や福祉の制度を学ぶことができます。知識の習得やスキルアップが目的なら、福祉に力を入れている国を選ぶのがおすすめです。福祉先進国で働いて身につけたスキルは、日本の介護業界で活躍するうえでも役立つでしょう。
日本で身につけた介護知識や技術を活かして働ける
高齢化が進む日本は、介護保険制度がスタートしてからおよそ25年が経ちます。日本の介護士は、これまでに国が培った介護のノウハウを学んでいるので、一定レベルの介護スキルや知識が身についているのが強みです。そのため、高齢化が見込まれる外国で働き、介護のノウハウを伝えたり、現場の課題解決に貢献したりするという選択肢もあります。
海外の文化に触れることができる
海外に興味がある介護士の方は、国際介護士になれば、働きながら海外で暮らせます。仕事や生活を通して海外の文化に触れられることは、国際介護士になる大きなメリットです。
海外で暮らすと、日本人以外の考え方や習慣などを知る機会になります。日本にも外国の方は多く住んでいるので、この先どこで暮らすとしても、海外の文化に触れた経験は活かせるでしょう。
国際介護士として働くデメリットは?
前述したように、国際介護士として働くメリットは複数ありますが、同時にデメリットもあります。以下では、国際介護士になるデメリットを解説するので、「海外で働いてみたいけど難しい?」と気になっている方はご覧ください。
海外で働くための手続きや準備が必要
海外で仕事をするためには、パスポートやビザ、就労許可証などの書類を揃えなければいけません。海外の就労先や家を探す必要もあります。海外に行って働くまでの準備を行うのに、お金や時間がかかるのが、国際介護士になるデメリットです。
文化や言語の違いから問題が生じる可能性がある
海外で仕事をする場合、言葉だけではなく、ジェスチャーなどの非言語的コミュニケーションも日本とは異なり、意思の疎通が難しいでしょう。宗教観や食文化などの違いもあり、違いを受け入れる姿勢が求められます。
国際介護士として働く際は、その国で失礼にあたることを調べておけば、トラブルを避けることが可能です。また、安全に生活するためには、治安を調べておくことも重要といえます。
国際介護士に必要なスキルは?
国際介護士として仕事をするためには、語学力や柔軟性などが必要です。「いつか国際介護士になりたい」と考えている方は、身につけておくべきスキルをチェックしてみましょう。
基礎的な外国語の能力
求められる語学力のレベルは働く国によって異なるものの、簡単なコミュニケーションが取れる程度でなければ、介護士として就業するのは難しいといえます。外国で働きたいなら、公用語は何語なのか、職員は英語を話せそうかなど、自分が働ける環境であるかを調べておきましょう。
介護士としてのコミュニケーション能力
国際介護士として、日本で培ったスキルを活かして働く場合、介護士としてのコミュニケーション能力も期待されるでしょう。笑顔で利用者さんに接することを意識すれば、言葉がうまく通じなくても安心感を与えられます。
海外で働く場合、考え方の違う相手も多いなかで、利用者さんに寄り添った介護をしなければなりません。相手を理解しようという気持ちが重要なので、分からないことは聞いたり調べたりして、利用者さんに向き合うと良いでしょう。
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海外で仕事を行う柔軟性
国際介護士として働くと、海外の職員と仕事観が合わない可能性があります。介護の視点や業務への取り組み方などが日本の常識と違い、戸惑うかもしれません。海外の介護士の仕事のやり方が、自分の考えと合わない場合も、まずは理解する姿勢が必要です。なぜその方法や考え方なのかを理解したうえで、気になることがあるときは確認してみましょう。
国際介護士として働くのにおすすめの外国はどこ?
国際介護士として働きたい日本人におすすめの国は、以下のとおりです。
- アメリカ
- ノルウェー
- デンマーク
- イギリス
- フィンランド
- ドイツ
- スウェーデン
- フランス
ご紹介したのは、日本以上か同程度の給与水準の国なので、日本で暮らす方にとって働きやすい可能性が高いでしょう。また、アメリカ以外は「ワーキングホリデーの対象」という共通点もあります。
ここでは、上記の国を特徴から分類してご紹介するので、「国際介護士として仕事をするならどの国が良いの?」と迷っている方は参考にしてくださいね。
英語が公用語の外国
言葉の壁が不安な方は、英語が公用語のアメリカやイギリスなら、ほかの国より働きやすいと感じるかもしれません。また、ドイツなどの英語が通じやすい国もおすすめです。英語の通じやすさや母国語は国によって異なるので、事前に調べて学習しておくと、安心して就労できるでしょう。
給与水準が高い外国
給料アップが目的で国際介護士になりたい方は、給与水準が高い国を選ぶと良いでしょう。特におすすめの国は、アメリカ・ノルウェー・デンマーク・イギリスです。ただし、給与が高い国は物価や家賃も高いので、目標の金額分がプラスになりそうかを計算してみることも必要です。
海外の生活費や時給が知りたい方は、一般社団法人 日本ワーキング・ホリデー協会の「STEP3 行き先は決まりましたか?」も参考にできます。
出典
一般社団法人 日本ワーキング・ホリデー協会の「STEP3 行き先は決まりましたか?」(2024年3月22日)
グローバルノート – 国際統計・国別統計専門サイト「世界の平均年収 国別ランキング・推移」(2024年3月22日)
介護士の需要が高い外国
スムーズに就労先を見つけたい方や、社会貢献を重視する方には、介護士の需要が高い国がおすすめです。「高齢化率が高い外国」と「人口が多い外国」を以下にまとめたので、ご覧ください。
- 高齢化率が高い国:デンマーク、フィンランド、ドイツ、フランス
- 人口が多い国:アメリカ、イギリス
外国は日本と比べると高齢化が進んでいないため、国内で仕事を探すよりも、国際介護士の転職活動は難易度が高いでしょう。そのため、国際介護士としてスムーズに採用されたいなら、介護士のニーズが少しでも高い国を選ぶのがおすすめです。
出典
グローバルノート – 国際統計・国別統計専門サイト「世界の高齢化率(高齢者人口比率) 国別ランキング・推移」(2024年3月22日)
グローバルノート – 国際統計・国別統計専門サイト「世界の人口 国別ランキング・推移(世銀)」(2024年3月22日)
福祉制度が充実している外国
国際介護士として働いてスキルアップがしたい方は、福祉制度が充実している国を選ぶと良いでしょう。おすすめの外国は、北欧のノルウェー・デンマーク・フィンランド・スウェーデンです。これらの国には、英語が比較的通じやすいという特徴もあります。
スウェーデンは、日本が介護保険制度を整備する際に、参考にしたともいわれている国です。QOL向上のための支援が進んでいるので、日本の介護保険制度で行う援助よりも手厚いケアができるのも魅力といえます。
日本でも外国人介護士を受け入れているの?
日本では、介護士不足の解消やスキルの継承を目的に、外国人介護士の受け入れ体制を整えています。実際に介護施設に勤めていて、外国人介護士と一緒に働いた経験がある方もいるのではないでしょうか。
たとえば、「介護福祉士の候補者として入国することで在留資格を得て働く外国人」「介護施設等で技能実習生として最大5年間働く外国人」などが、日本で活躍しています。
出典
厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」(2024年3月22日)
国際介護士についてよくある質問
ここでは、国際介護士についてよくある質問に回答します。「国際介護士の働き方が気になる」という方はチェックしてみましょう。
介護職は海外で働くと給料が上がりますか?
介護士が海外で働く場合、日本より給与水準が高い国を選べば、給料が上がる可能性があります。たとえば、アメリカ・ノルウェー・デンマークなどの平均年収は、日本の倍に近いため、給料アップを目指す介護士におすすめです。ただし、給与が高い国はその分生活費も高いので、興味がある方は事前に調べておきましょう。また、介護福祉士は日本の国家資格なので、海外で働く場合は、取得していても給料に反映されないのが一般的。日本でもらえていた資格手当がないことも考えられるので、収入をシミュレーションする際は注意が必要です。
介護士は海外移住できますか?
就労ビザを取得すれば、介護士として海外に移住して働けます。就労ビザを取得する条件は国によって異なりますが、学歴や経歴、収入を条件とする場合が多いようです。海外で就労するまでの流れは、「国際介護士になる方法は?」で解説しています。
まとめ
自国を出て海外で働く介護士のことを「国際介護士」といい、日本を出て外国で介護の仕事をする人もいます。国際介護士に必須の資格はありませんが、国によって日本人が就労するための条件は異なるので、事前のリサーチが必要です。
国際介護士として働くためには、就労ビザやワーキングホリデービザの取得が求められます。ビザの取得には、学歴や経歴、収入、年齢などの要件がある場合が多いようです。
海外で介護の仕事をするメリットは、給料アップを目指せることや、自身の成長につながること。デメリットは、準備が必要なことや、文化の違いがあることです。国際介護士になりたい方は、自分のスキルや目標に応じた外国を選ぶと良いでしょう。
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