
この記事のまとめ
- ケアマネになるための試験は、年齢制限がなく50代の方も挑戦できる
- 50代未経験でケアマネになるには試験に合格して資格登録をする必要がある
- 50代未経験でケアマネに転職するコツは、定年のない職場を選ぶことなど
「50代未経験でケアマネになれるの?」と不安を抱えている方もいるでしょう。ケアマネジャーは年齢に関わらず活躍できる職種です。この記事では、ケアマネの平均年齢や50代未経験からケアマネになる方法を解説します。ケアマネジャーの仕事に活かせる50代の強みも紹介しているので、年齢が気になりケアマネへの転職を悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
ケアマネジャー(介護支援専門員)とはどんな仕事?業務内容や役割を解説!50代から未経験でケアマネジャーを目指すことは可能?
未経験の方はもちろん、何歳からでもケアマネジャーを目指すことができます。以下でその理由を解説しているので、ぜひご一読ください。
ケアマネ資格の取得に年齢制限はない
ケアマネの資格を取得するために必要な「介護支援専門員実務研修受講試験」の受験資格は、国家資格等に基づく実務経験5年以上(かつ900日以上)、または相談援助の実務経験5年以上(かつ900日以上)と定められています。年齢に関する基準は、受験資格として定められていないので、何歳になっても受験することが可能です。そのため、50代以上の方も試験を受験して合格すれば資格の取得ができます。
ケアマネの平均年齢は53.6歳
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書(p.12)」によると、ケアマネの平均年齢は53.6歳でした。同資料(p.13)によると、60歳以上65歳未満が全体の15.8%、65歳以上が13.6%おり、50代から未経験で初めても長く活躍することが可能です。
出典
公益財団法人 介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査」(2024年12月10日)
ケアマネは有効求人倍率が高い
職業情報提供サイト(日本版O-NET)の「介護支援専門員/ケアマネジャー」によると、2023年のケアマネの有効求人倍率は7.03倍でした。人手不足といわれる介護職である施設介護員の有効求人倍率は3.01倍なので、ケアマネはそれ以上に不足している状況といえます。
ケアマネは、資格を得るために実務経験や介護・制度に関する専門的な知識が必要なので、誰でもなれる仕事ではありません。少子高齢化により介護ニーズが高まる中、需要に対して必要なケアマネの数が足りていない状況なので、50代以上でもほかの業種に比べて転職のチャンスがあるといえるでしょう。
出典
職業情報提供サイト(日本版O-NET)「介護支援専門員/ケアマネジャー」(2024年12月10日)
職業情報提供サイト(日本版O-NET)「施設介護員」(2024年12月10日)
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50代未経験からケアマネジャーになる方法
ケアマネジャーになるには、介護支援専門員実務研修試験(ケアマネ試験)の受験資格を得て、資格試験への合格が必要です。合格後、実務研修を受けて資格登録をすれば、ケアマネジャーとして働けます。
ケアマネジャーになるには、状況によって必要な条件が異なるため、自分に合った方法を把握しておくことが大切です。
すでにケアマネ資格を持っている場合
ケアマネの資格を持っている方は、転職活動を通して仕事を得ることでケアマネジャーとして働くことが可能です。未経験歓迎の求人に応募すると良いでしょう。
ケアマネジャー業務が未経験の方
資格だけ取得してケアマネ業務が未経験の方は、87時間の介護支援専門員実務研修を受講しましょう。介護支援専門員実務研修を受講後に登録申請をするとケアマネとして登録されます。
ケアマネ資格の有効期限が切れた方
ブランクなどがあり、ケアマネ資格の有効期限が切れている方は、54時間の介護支援専門員再研修を受講すれば、資格の更新ができます。再研修を受けずにケアマネの業務を行うと資格登録を削除される恐れがあるので、必ず受講してから転職活動をしましょう。
出典
東京都福祉局「介護支援専門員の研修情報」(2024年12月10日)
介護福祉士を取得している場合
介護福祉士を取得している方は、5年以上(かつ900日以上)の実務経験を積めば、ケアマネ試験を受験できます。すでに5年以上介護福祉士としての実務経験を積んでいる方は、介護支援専門員実務研修試験を受験し、合格後に実務研修を受けたうえで資格登録すれば、すぐにケアマネ資格を取得できるでしょう。
生活相談員や支援相談員として働いている場合
相談援助の実務経験を5年以上(かつ900日以上)積むことで、ケアマネ試験の受験資格を得ることができます。現在は実務経験を満たしていない方も、足りない分の経験年数を積めば受験資格が満たされるので、5年以内にケアマネになれるでしょう。
介護福祉士実務者研修を取得している場合
介護福祉士実務者研修を取得している方は、実務経験を3年以上積み、介護福祉士を取得するのが一般的な流れです。介護福祉士取得後、介護福祉士として5年以上の実務経験を積むことで、受験資格を満たせます。
介護業務が未経験の場合
介護の経験や資格がない方は、ケアマネになるまでに最短8年かかります。まずは介護職として転職し、現場で経験を積みながら、「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」の取得を目指してみましょう。
実務者研修と3年以上の実務経験があれば、介護福祉士国家試験を受験できるので、試験に合格して介護福祉士を取得してください。介護福祉士として5年以上経験を積むことでケアマネ試験の受験資格が得られるでしょう。
介護未経験からケアマネを目指すのは長い道のりになりますが、60歳になってケアマネとして働き始めた方も実際にいるので、ケアマネになりたい気持ちが強い方は諦めずに挑戦してみてください。
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50代未経験のケアマネジャーは転職が厳しい?
何歳からでもケアマネになることはできますが、若いうちのほうが転職において有利になるので、できるだけ早めに行動を起こすことが大切です。
50代前半で未経験からケアマネを目指す場合
ケアマネは平均年齢が介護職よりも高く、50代前半のケアマネはまだまだ活躍できる世代だと評価される傾向があります。30代や40代よりは難易度が高くなりますが、職場は見つかりやすいでしょう。
50代後半で未経験からケアマネを目指す場合
定年が60歳の職場では定年までの期間が短いため、ケアマネとして1人前になる前に定年を迎えてしまう可能性があります。そのため、50代前半と比べると採用難易度が上がる傾向にあるようです。
ただし、50代後半でケアマネを目指す方は、人手不足の職場に応募したりパート勤務としての働き方を選んだりすることで、内定獲得の可能性を上げることができるでしょう。
50代未経験からケアマネジャーに転職するコツ
ここでは、50代未経験からケアマネジャーに転職するコツを紹介します。「50代からでもケアマネとして活躍したい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
定年のない職場を選ぶ
定年がない職場では、60歳以上になっても働き続けることができるため、50代以上の未経験者であっても教育や育成に積極的な職場があるようです。定年が60歳の職場に比べて採用ハードルが下がるので、定年がない職場を狙って応募してみるのがおすすめです。
非常勤の求人を探す
定年がある職場でも、非常勤の条件であれば採用してもらえることもあるようです。正社員よりも給与は下がる可能性はありますが、希望の求人が見つからない場合は、非常勤ケアマネの求人を探してみましょう。
また、介護職として働いている場合、現在の職場で非常勤のケアマネになるのも一つの方法です。職場の環境が変わらないので、ケアマネになっても働きやすいでしょう。職場に、非常勤のケアマネとして働くことを交渉してみてください。
ケアマネに求められる人物像を理解する
ケアマネジャーは、利用者さんの状況に応じて適切な対応を取らなければならないため、柔軟さが求められます。臨機応変に対応できることが伝わるエピソードを用意して自己PRしましょう。
また、未経験者に素直さを求める採用担当者もいます。未経験者は、ほかの職場での経験がないため、影響を受けずに応募先の仕事のやり方や進め方を身につけることが可能です。現場職員がスムーズに教育できる人柄なのかを見られるため、謙虚な姿勢で面接に臨むと良いでしょう。
パソコンスキルをアピールする
ケアマネの仕事には、介護ソフトなどを使った事務業務があるため、基本的なパソコン操作のスキルは採用の場で有利になる可能性があります。これまでにパソコンを使った業務経験があれば、アピールするのがおすすめです。
ケアマネを目指した理由を話せるようにする
50代でケアマネを目指そうと思った理由について、納得感のある回答ができると、「採用後も頑張ってくれそうだ」という評価につながるでしょう。
「現場は体力的に厳しいから」といった消極的な理由ではなく、前向きな理由を用意しておくことが重要です。入職後にどのようなケアマネになって利用者さんの支援をしてきたいのか、自分の考えを事前に整理してまとめておきましょう。
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50代の未経験ケアマネが新人時代に悩みやすいこと
50代未経験のケアマネジャーの新人時代には、以下のような悩みを抱えることがあるようです
- 覚える業務量の多さ
- 自分の判断に対する責任の重さ
- 社会資源や介護保険制度の知識のインプット
- スケジュール管理の難しさ
- 他のケアマネや職員との人間関係
最初は大変だと感じるかもしれませんが、未経験の仕事は慣れるまでに時間がかかるものです。悩んだときは一人で抱え込まず、周りの先輩に相談しながら1つずつ対処していきましょう。
仕事に慣れるための方法は、「新人ケアマネジャーが「何もわからない」と悩む理由は?対処法を解説」の記事で解説しているので、あわせてご一読ください。
ケアマネジャーの仕事に活かせる50代の強み
50代だからこそ、ケアマネジャーの仕事に活かせる強みもあります。以下で、50代の方がケアマネとして活躍するうえで活かせる強みを解説しているので、ぜひご確認ください。
これまでの人生経験
ケアマネジャーの仕事は、介護を必要としている方が必要な介護サービスを受けられるように、ケアプランの作成や介護サービスの関係者との連携・調整を行うことです。
多くの人と接する仕事なので、相手の状況や気持ちに合わせたコミュニケーションを取ることが大切になります。さまざまな人生経験を積んでいる50代だからこそ、利用者さんや関係者に寄り添えることがあるでしょう。人生経験を活かして利用者さんと信頼関係を築くことで、悩みや要望もヒアリングしやすくなります。
利用者さんとの年齢の近さ
30代や40代のケアマネジャーよりも利用者さんと年齢が近いので、話かけやすかったり親近感を覚えてもらえたりします。年代が近ければ、共通の話題も見つかるかもしれません。
勤務時間の融通
50代以上は、子育てが落ち着き、仕事に使える時間が増えやすい傾向にあります。勤務時間や曜日に制限がなく、仕事に打ち込めることを伝え、仕事に対する熱意をアピールしましょう。
ケアマネは、利用者さんの状況に合わせて対応する必要があるので、柔軟な勤務体制が取れることは50代ならではの強みといえます。
未経験可のケアマネジャー求人の例
ここでは、未経験可のケアマネジャーの求人の例を紹介します。
職種:ケアマネジャー
仕事内容:
・ケアプランの作成
・要介護認定の申請
・介護保険制度に関するアドバイス
・モニタリング
業務勤務地:東京都
施設形態:居宅介護支援事業所
勤務時間:9時~18時
給与:250,000円~300,000円
賞与:年2回(2ヶ月分)
昇給:年1回
休日日数:週休2日、年間休日114日
資格要件:介護支援専門員(ケアマネジャー)必須、経験不問(未経験歓迎)
教育体制、研修:
・研修制度あり
・資格取得支援あり
福利厚生、待遇:
・社保完備
・交通費規定内支給
・退職金あり
・住宅手当
未経験可のケアマネの求人を探す際は、「未経験歓迎」の記載がある求人をチェックしましょう。ほかにも、「50代活躍」「主婦・主夫OK」などの応募要件を確認することで、自分に合った求人を探すことができます。
ケアマネは、居宅ケアマネと施設ケアマネで仕事内容に違いがあるので、施設形態も確認しましょう。入職後にギャップを感じないためにも、給与や休日日数なども確認しておくことが大切です。
ケアマネジャーの仕事の概要
ここでは、ケアマネジャーの仕事の概要を解説します。ケアマネを目指す方は、仕事内容や活躍できる職場を把握しておきましょう。
ケアマネの仕事内容
ケアマネの主な仕事内容を下記にまとめました。
- ケアプランの作成
- 利用者さんやご家族の相談対応
- 関係各所との連絡・調整
- 介護保険の給付管理
- 要介護認定に関する業務
ケアマネの仕事は、利用者さんが必要な介護を受けられるようにサポートすることです。利用者さんの悩みのヒアリングや関連機関との連絡・調整においてコミュニケーション能力が求められるでしょう。
ケアマネの仕事内容は、「ケアマネージャーの仕事内容をわかりやすく解説!施設と居宅の業務の違い」の記事で詳しく解説しているので、あわせてご一読ください。
ケアマネが働く職場
ケアマネは、居宅介護支援事業所や介護施設、地域包括支援センターなどで活躍しています。
ケアマネには種類があり、居宅介護支援事業所で働くケアマネを居宅ケアマネ、介護施設で働くケアマネを施設ケアマネといいます。
居宅ケアマネは自宅で生活する利用者さんを、施設ケアマネは介護施設に入居している利用者さんを支援するのが仕事です。地域包括支援センターは、介護予防のケアプラン作成に対応しています。
ケアマネの職場については、「居宅ケアマネってどんな仕事?役割や施設ケアマネとの違い」「施設ケアマネとは?役割の違いから求人の探し方まで詳しく解説!」「地域包括支援センターのケアマネ業務とは?居宅介護支援との違いも解説」の記事で解説しています。
ケアマネの平均給与
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.119)」によると、ケアマネジャーの平均給与は、361,770円です。介護職員の平均給与は317,540円なので、介護職員からケアマネジャーになることで、4万円以上の給与アップが見込めるでしょう。
なお、平均給与は職場や地域によって異なります。参考程度にご覧ください。
ケアマネの収入については、「ケアマネジャー(介護支援専門員)の平均年収は?給料アップの方法も解説」の記事でも解説しています。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2024年12月10日)
ケアマネジャーになるメリット
ケアマネジャーになるメリットを以下にまとめています。ケアマネになろうか悩んでいるという方は、ぜひご一読ください。
- 日勤メインで働ける
- 利用者さんの問題を直接解決できる
- 介護の経験やスキルを活かして働ける
- 今後も需要があり長く活躍できる
ケアマネは、施設ケアマネとして介護業務を兼務する働き方以外では、基本的に夜勤に入ることがありません。日勤だけで生活リズムを整えて働けるところが魅力といえます。
また、介護サービス提供の大元となるケアプランを立てるため、利用者さんに寄り添い、自分で利用者さんの問題を解決できるのもやりがいにつながるでしょう。
前述したように、ケアマネは需要が高く、求人も豊富にあります。手に職をつけて長く活躍することが可能です。
▼関連記事
ケアマネのやりがいとは?目指すメリットや資格の取得方法も解説
50代未経験のケアマネによくある質問
ここでは、50代未経験のケアマネによくある質問に回答します。「ケアマネを目指したいけど、自分の年齢がネック…」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
ケアマネ業務が未経験なので自分にできるか不安です…
ケアマネ業務の経験がない方が不安に感じるのは自然なことです。最初は不安でも、一歩ずつ着実に進んでいけば徐々に業務に自信を持てるようになるでしょう。未経験であることに不安を覚えるときは、未経験歓迎を掲げている職場や教育制度が整っている職場に応募するのがおすすめです。最初は、基本的な業務から順番に覚え、利用者さんに寄り添った対応を第一に頑張ってみましょう。
ケアマネが一人前になるまでに必要な期間は?
ケアマネが一人前になるまでの期間は個人差はありますが、半年から1年程度はかかるでしょう。ケアマネは、覚える業務が多く、業務に必要な知識も多いので、完璧に仕事をこなせるようになるのに時間がかかります。先輩ケアマネに確認しながら、少しずつ覚えていけば良いので、必要以上に焦らず、仕事に取り組みましょう。
まとめ
50代・未経験でケアマネジャーを目指すことは可能です。ケアマネジャーになるための試験の受験資格では、年齢に関する条件は定められていません。ケアマネジャーの平均年齢は53.6歳で、65歳以降で活躍しているケアマネジャーも1割以上いるので、年齢を気にせず働けるでしょう。
ケアマネになるまでの流れは人によって異なります。介護福祉士の実務経験がある方はケアマネ試験の受験資格を満たしているので、すぐにケアマネになることが可能です。介護未経験・無資格でケアマネを目指す場合、最短でも8年かかります。自分の状況からケアマネになるまでの流れを事前に確認しておきましょう。
50代未経験からケアマネジャーに転職するには、定年のない職場を選んだり、非常勤としての働き方を検討してみたりするのが効果的です。50代でケアマネになると、人生経験を活かして利用者さんのサポートをすることができます。
「50代未経験でケアマネになりたい」と考えている方は、「レバウェル介護(旧 きらケア)」にご相談ください。「レバウェル介護(旧 きらケア)」は介護業界に特化した転職エージェントです。専任のキャリアアドバイザーがヒアリングをもとに希望条件に合った求人をご提案いたします。「年齢不問」「未経験者歓迎」の求人も多数取り扱っているので、条件にあった求人も見つかるでしょう。サービスはすべて無料なので、お気軽にご相談ください。
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