
この記事のまとめ
- 介護業界に職員のブラックリストはなく、リストの存在は噂でしかない
- 職員の個人情報の流出は違法で、本人の同意を得ずに提供されることはない
- 採用選考ではリファレンスチェックが行われるが、応募者の同意が必須
「介護職の面接で伝えていないはずの前職の話をされた」「介護業界には職員のブラックリストがあるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。結論からいうと、介護業界に職員のブラックリストはありません。本記事では、介護業界に職員のブラックリストが存在しない理由について詳しく解説しています。「ブラックリストの噂を聞いた」「転職回数が多いことでブラックリストに載るのでは…」と不安な方は、ぜひご覧ください。
介護業界で職員のブラックリストがあるという噂は本当?
介護職の転職活動をする際に、「面接官が前職でのトラブルを把握していた」「ブラックリストが出回っているらしい」といった噂を耳にして不安になる方もいるようです。実際のところ、介護業界に職員のブラックリストは存在しません。介護サービスの利用者さんと同様に、介護職員のプライバシーはきちんと守られる仕組みになっているためです。
単なる噂なので気にする必要はない
お伝えしているように、介護業界で職員のブラックリストが出回ることはありません。もし、同僚や知り合いからブラックリストの話題が出ても、単なる噂話として聞き流すようにしましょう。
ただし、面接で「あなたの評判は悪いようですね」のように職員の噂に関する話題を出すような施設は、良い職場とはいえないので気をつける必要があります。自身で優良な介護施設を見つけられるか不安な場合は、入職した職員からの評判が良い施設をきらケアでご紹介可能なので、お気軽に相談してくださいね。
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介護業界に職員のブラックリストが存在しない理由
介護業界に職員のブラックリストが存在しない理由は、法律に反する行為だからです。日本では、「個人情報の保護に関する法律(通称:個人情報保護法)」により、介護施設や介護事業所を退職した職員の個人情報は、本人の同意を得ずに提供することはできない決まりとなっています。下記は、厚生労働省の「雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドライン:事例集」の一節です。
①退職者の個人情報については、賃金台帳等の一定期間の保存を定めた労働基準法第109条等他の法令との関係に留意しつつも、利用目的を達成した部分についてはその時点で、写しも含め、返却、破棄又は削除を適切かつ確実に行うことが求められる。
引用:厚生労働省「雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドライン:事例集(p.15) 」
仮に利用目的達成後も保管する状態が続く場合には、目的外利用は許されておらず、また、その後も継続して安全管理措置を講じなければなりません。
② 退職者の転職先又は転職予定先に対し当該退職者の個人情報を提供することは第三者提供に該当するため、あらかじめ本人の同意を得なければなりません。
このように、退職した介護職員の個人情報を本人の同意なしに転職予定先に提供することは法律で禁止されています。なお、ここでいう「利用目的」とは、人事労務管理に関わる諸手続きや、従業員本人に万一の事態が起きた場合の緊急連絡先として使用することなど。事業者側は、退職した介護職員の個人データの利用目的を達成した時点で、返却や破棄といった措置を適切に行わなければなりません。
介護職員の個人情報を流出するのは違法
厚生労働省の「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針の解説」によると、個人情報保護法では雇用の管理をする事業者が従業員の個人データを第三者に提供したり盗用したりすることを禁じています。ブラックリストを作成することは、第三者の個人データを盗用することに該当するため違法です。そのため、転職先に介護職員の個人データがブラックリストという形でリストアップされることはありません。安心して転職活動をしましょう。
心配な場合は個人データの消去を求めることも可能
「ブラックリストのようなものを作成されてしまったらどうしよう…」と、どうしても心配な方は、介護施設側に個人データの消去を求めることも可能です。ただし、退職後に、雇用管理上の利用目的が達成している場合に限られることを念頭に置きましょう。
出典
e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」(2024年12月19日)
厚生労働省「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針の解説」(2024年12月19日)
介護業界の採用選考で実施されるのはリファレンスチェック
介護業界の採用選考で実施される可能性があるのは、ブラックリストの確認ではなく「リファレンスチェック」です。リファレンスチェックとは、「身元照会」を意味します。応募者が履歴書や面接で伝えたスキルや人柄、実績などの情報が本当かどうか、前職の関係者に聞き取り調査を行います。必ず実施されるわけではなく、リファレンスチェックが行われる場合は、必ず応募者の同意を得るのが決まりです。前述した個人情報保護法に反する恐れがあるため、勝手に実施される心配はないでしょう。
また、リファレンスチェックのほかに「前職調査」というものもあります。前職調査とは、応募者の経歴や勤務状況などを調べることです。金融業界のように信用性が業務に関わる場合は、金銭的なトラブルがないかなどを調べる傾向があります。とはいえ、個人情報保護法が厳格化してきている昨今ではあまり実施されないようです。前職の介護施設で問題やトラブルといった懸念材料がある場合は、あらかじめ面接で話しておくと良いかもしれません。
介護業界の転職でありがちな不安と対処法
ここでは、介護業界の転職でよくある不安とその対処法をご紹介します。自身の経歴に不安を抱えている方向けの内容を集めたので、参考にしてみてくださいね。
転職回数が多いので転職しづらくなるのでは…
「転職回数が多いので選考に影響しないか心配…」「介護施設を転々としているけど今後の転職は大丈夫?」のように、転職回数を気にしている介護職員の方も多いはず。介護業界は人手不足の傾向があるため、介護職の転職回数はあまり気にしない施設や事業所が多いようです。転職回数よりも経験やスキルが豊富なことが評価されるので、即戦力になれることをアピールすれば転職で有利になるでしょう。
ただし例外もあります。「勤務態度が著しく悪いために職場をクビになった」「やる気がなく早期離職を繰り返している」といったパターンでは、転職回数が多いほどシビアに見られる可能性も。このようなリスクもあるので、安易に転職を繰り返すのは避けたほうが無難です。
前職で施設と揉めてしまったのでその影響が心配
「前職で利用者さんのご家族とトラブルになってしまった」「施設の方針と合わずに揉めてしまった」のような経験のある介護職員の方は、転職で不安になる場合もあるでしょう。「介護業界で職員のブラックリストがあるという噂は本当?」で解説したように、介護職員の情報はきちんと管理されています。ブラックリストのように出回ることはないので、退職した職場から情報が流出する心配はいりません。
もし、転職活動で影響があるとすれば、履歴書や面接の問いに対して「前職でトラブルを起こしました」とだけ伝えた場合です。自己PRや志望動機、退職理由、転職理由などを伝える際は、嘘をつかずに正直に伝えるのが鉄則ですが、事実をそのまま伝えるだけでは不十分といえます。前職で起きたトラブルを伝えたうえで、今後そのような事態を起こさない工夫や改善に努めていることをアピールすることが大切です。失敗は誰にでもあることなので、改善していく姿勢を示すことで安心して採用してもらえるはずですよ。
経歴に不安がある介護職員が転職を成功させる方法
経歴に不安がある介護職員の方は、次のようなポイントを踏まえて転職活動を進めましょう。自身がブラックリストに載っていないかどうかを心配するよりも、ブラックな介護施設を見極めることが重要です。
トラブルの多いブラックな介護施設を見極める
まずは、トラブルの多いブラックな介護施設を見極めましょう。ブラックな介護施設は離職率が高いため、常に人手が足りず求人を出しているのが特徴。介護職員が定着しない原因は、パワハラやモラハラなどのハラスメントが横行していたり、経営方針や業務内容、労働環境などに問題があったりするなど、さまざまあります。そのような施設に転職すれば、トラブルに巻き込まれるリスクも高まるでしょう。介護業界で転職をするなら、長期的に働ける環境の整った優良な職場を選んで応募するのがポイントです。
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介護業界でホワイト企業に就職・転職するには?ブラック企業の見分け方も
介護専門の転職エージェントの手厚いサポートを受ける
転職が初めての方や、ブラックな介護施設を見極められるかどうか不安な方は、介護業界専門の転職エージェントを利用してみるのも方法の一つです。転職エージェントとは、専任の担当者が丁寧に希望や条件をヒアリングして、求職者に合った求人を紹介してくれる人材紹介サービスのこと。サービスの一環として、応募書類の添削や面接対策などの手厚いサポートが受けられるメリットもあります。
介護職としての経歴に不安がある場合も、専任の担当者が受かりやすい求人を紹介してくれたり、経歴や転職理由の伝え方を一緒に考えてくれたりするので安心です。転職エージェントのレバウェル介護(旧 きらケア)なら、実際に働いている人のアンケートを取っているので、優良な介護施設をご紹介することが可能。ブラックな介護施設の見極めは担当者にお任せください。
その悩み、解決できるかも
介護業界の転職でよくある質問
ここでは、介護業界の転職でよくある質問をご紹介します。介護業界の転職で不安な点がある方は、ぜひチェックしてみてください。
評判の悪い介護施設への転職は避けたほうがいいですか?
評判の内容にもよりますが、口コミや噂はあくまで一つの判断材料です。介護施設や事業所には、利用者さんはもちろん介護職員も多数在籍しているので、数件の評判だけに囚われるのは良くありません。古い情報の場合は、すでに職場環境が改善している場合もあるでしょう。まずは、その評判が事実かどうかを確認したうえで、自分にとって本当にリスクになるのかを考えてみるのが得策です。「ブラックな介護施設とは?転職前に求人情報や面接でチェックすべきポイント」の記事で、転職失敗を避けるためのチェックポイントを紹介しています。参考にしてみてください。
転職しないほうが良い介護施設の特徴はありますか?
転職しないほうが良いのはブラックな介護施設です。たとえば、「新規オープンではないのに常に求人を出している」「募集要項が詳しく記載されていない」「極端な高待遇を謳っている」といった施設は、離職率が高いブラックな介護施設の可能性があるため、注意したほうが良いかもしれません。もちろん、これらの特徴に当てはまったからといって、すべての介護施設が良くないとは限らないので、見極めは必要です。
まとめ
介護業界に職員のブラックリストが出回ることはありません。個人情報保護法の観点から、従業員の個人データを利用目的の範囲を超えて第三者へ提供することは法律上禁止されているためです。「転職の際に職員のブラックリストがあるって聞いた」という場合であっても、単なる噂話として、気にしないようにしましょう。
もし、自身の経歴に自信がなかったり応募先とのやり取りが不安だったりする方は、介護業界専門の転職エージェントきらケアを利用してみることをおすすめします。
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