
この記事のまとめ
- 介護事務管理士とは、介護報酬の請求業務のスキルを証明する民間資格
- 介護事務管理士を取得すると、知識が身についたり転職に有利になったりする
- 介護事務管理士技能認定試験は、資格や実務経験を問わず誰でも受験できる
介護事務の仕事に興味があり、「介護事務管理士ってどんな資格なの?」と気になる方もいるでしょう。介護事務管理士は、技能認定振興協会(JSMA)が認定する民間資格で、取得すれば介護事務のスキルがあることを示せます。この記事では、介護事務管理士を取得するメリットを解説。介護事務管理士技能認定試験の概要や勉強方法もまとめました。介護事務管理士の仕事内容や職場もご紹介するので、資格取得の参考にしてください。
介護資格の種類31選!取得方法やメリットを解説します介護事務管理士とはどんな資格?
介護事務管理士とは、技能認定振興協会(JSMA)が認定する、介護事務に関する民間資格です。介護事務管理士技能認定試験へ合格することで取得できます。介護事務管理士を取得すれば、介護給付費明細書の作成スキルや、介護報酬・介護保険制度に関する知識をアピールできるでしょう。
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介護事務管理士を取得するメリットは?
介護事務の仕事に資格は必須ではないものの、介護事務管理士を取得するメリットはあります。介護事務管理士の資格を取得するメリットを、以下で確認してみましょう。
介護事務の専門的なスキルが身につく
介護事務管理士を取得すると、介護報酬の請求に関する事務のスキルがあることを証明できます。介護報酬の請求業務や介護保険制度などについての知識があることを、客観的に示せるのが取得するメリットです。介護事務管理士の資格取得に向けて勉強することで、介護事務の仕事に必要な知識が身につくでしょう。
無資格よりも転職・就職に有利になる
介護事務管理士の資格があれば、日本全国でスキルを活かして仕事を探せます。介護事務の知識があれば、訪問介護事業所やデイサービス、特別養護老人ホームなど、さまざまな職場で活躍できるでしょう。介護事務管理士の職場は、「介護事務管理士が活躍できる職場はどこ?」に詳しくまとめています。
また、職業情報提供サイト(日本版O-NET)の「介護事務」によると、介護事務の2022年度の有効求人倍率は1.06倍でした。介護業界の職種のなかで、介護事務は求人倍率が低めで、買い手市場であると分かります。介護事務管理士を取得すれば、知識が身につくだけではなく、仕事への意欲も示せるため、無資格より転職に有利になる可能性が高いでしょう。
出典
職業情報提供サイト(日本版O-NET)「介護事務」(2024年3月5日)
介護事務管理士技能認定試験の概要は?
2024年度の介護事務管理士技能認定試験の概要は、以下のとおりです。
受験資格 | 資格・経験・年齢を問わず誰でも受験できる |
試験方法 | 自宅で行う在宅試験 |
申し込み方法 | インターネットもしくはコンビニ端末からの申し込み |
試験日程 | 基本的には毎月第4土曜日の翌日の日曜日 |
受験料 | 5,500円 |
介護事務管理士には受験資格がなく、在宅試験が毎月行われているため、資格取得のチャンスは多いでしょう。なお、介護事務管理士技能認定試験の合否は、試験から1ヶ月以内に通知されるようです。
介護事務管理士技能認定試験の出題内容
介護事務管理士技能認定試験は実技試験と学科試験に分かれているのが特徴です。
実技試験では、レセプト点検問題6問から2問を選び、マークシートに回答します。「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の各分野につき2問ずつ用意されるため、自分の得意分野の問題2問を選ぶことも可能です。
学科試験では、介護事務に必要な知識を問われる10問に回答します。学科試験の出題は、介護報酬の請求や介護保険制度、介護用語についての知識を問う内容です。実技試験と同じく、学科試験もマークシート形式で出題されます。
介護事務管理士技能認定試験の難易度
介護事務管理士技能認定試験の合格基準は、全問題の80%以上の正答率であることと、実技・学科ともに60%以上得点することです。合格率はおよそ70%となっています。介護事務管理士技能認定試験は、テキストや資料を見ながら回答できるので、暗記の必要はありません。
介護事務管理士に有効な勉強方法はある?
介護事務管理士の試験勉強は、テキストを使った独学や、通信講座を活用する方法があります。以下で解説するので、「試験に合格して資格を活かして働きたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
テキストや過去問を使って独学する
介護事務管理士の試験対策として、市販の介護事務管理士のテキストや過去問を使い、独学する方法があります。過去問は、技能認定振興協会(JSMA)の公式Webサイトに「試験問題見本」として記載されているので、確認してみると良いでしょう。
独学のメリットは、テキスト代と受験料だけで資格取得を目指せるため、費用を抑えられることです。一方で、教材選びに迷ったり計画的に学習を進めるのが難しかったりするというデメリットもあります。独学の場合、試験内容や試験日までの期間を考えたうえで、複数あるテキストから自分に合ったものを選び、計画的に勉強しなければいけません。
通信講座を活用して勉強する
介護事務管理士の試験対策に、通信講座を活用する人もいます。1人で計画を立てて勉強するのが不安な方や、効率良く合格できるように勉強したい方には、通信講座の利用がおすすめです。通信講座は、「講師に分からないことを質問できる」「短時間でスキルが身につく」など、講座ごとの特色があるので、目的に合ったものを選ぶと良いでしょう。
通信講座を利用する場合は受講費がかかるので、独学と比べて費用負担は大きくなります。独学にも通信講座にもメリット・デメリットの両方があるので、それぞれの特徴を理解したうえで勉強方法を決めることが大切です。
介護事務管理士の仕事内容とは?
介護事務管理士は、介護事業所の事務全般を行うことが多いでしょう。具体的には、請求業務や窓口業務などを行います。
介護報酬や利用料の請求業務
介護報酬を、国民健康保険団体連合(国保連)に請求する事務を行うのが、介護事務管理士の主な仕事です。介護報酬の請求業務は、月末から月初にかけて忙しくなる傾向にあります。利用者さんに自己負担分の利用料を請求するための事務を行うのも、介護事務管理士の仕事内容です。
なお、介護報酬とは、介護サービスにかかる費用のうち、利用者さんが負担しないお金を指します。一般的に、介護サービスを使うと、費用の1~3割を利用者さんが負担。残りは保険者である市区町村から、国保連を通じて介護事業所に支払われます。
事務処理や窓口業務
介護事務管理士は、介護事業所における一般的な事務処理や窓口業務も担当します。事務職員として、来客や電話への対応、職員の勤怠管理などを行うのが仕事内容です。介護事務の業務について詳しく知りたい方は、「介護事務の仕事内容を解説!働く上で役立つ資格やスキルを紹介」を参考にしてください。
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介護事務管理士が活躍できる職場はどこ?
介護保険の請求に関わる業務を行う介護事務管理士は、主に介護事業所に勤務しています。具体的には下記のような職場で活躍できるでしょう。
- 訪問介護事業所
- 訪問看護事業所
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 有料老人ホーム
- デイサービス
- デイケア
- ショートステイ
- グループホーム
- 小規模多機能型居宅介護事業所
- 居宅介護支援事業所
介護事務管理士が活躍する職場は、入所型の介護施設や通所型の介護施設、地域密着型の施設など、さまざまな種類があります。介護事業所の規模によって、事務職員の人数は異なるでしょう。介護事務管理士として働きたい方は、介護事務の求人を探してみてくださいね。
介護事務管理士に向いているのはどんな人?
介護事務管理士に向いている傾向があるのは、次のいずれかに当てはまる人です。
- 正確にコツコツ仕事をするのが得意な人
- 情報のアップデートを行う意欲がある人
- コミュニケーション能力がある人
- 基本的なPCスキルがある人
- 柔軟な働き方がしたい人
- 手に職をつけたい人
介護報酬や利用料の請求業務には正確さが求められるので、一つの仕事に集中して取り組める人は、介護事務管理士に向いているでしょう。介護報酬は定期的に改定があるため、情報収集を行う意欲も必要になります。また、介護事務は雇用形態が多様にあるので、「短時間勤務がしたい」といった方も働きやすい職場を見つけられるかもしれません。
介護事務に向いている人の特徴は、「介護事務に向いている人とは?資格は必要?仕事内容や働く魅力も解説!」の記事でも解説しています。
介護事務管理士とケアクラークの資格の違いは?
介護事務管理士とケアクラークは、どちらも医療事務に関する資格ですが、実施主体や試験内容が異なります。
ケアクラークは、一般財団法人日本医療教育財団が認定する民間資格です。ケアクラーク技能認定試験に合格することで取得できます。ケアクラークの筆記試験は、介護の基礎知識を問う出題も多いのが特徴です。合格するには、介護事務だけではなく、コミュニケーション技法や高齢者の支援についての知識も必要になるでしょう。
ケアクラークにも受験資格はないため、誰でも挑戦できます。ケアクラークの試験の回数は介護事務管理士よりも少なく、5月・9月・1月の年3回なので、受験する方は申し込みを忘れないよう注意してくださいね。
出典
一般財団法人日本医療教育財団「ケアクラーク技能認定試験の概要」(2024年3月5日)
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介護事務管理士についてよくある質問
ここでは、介護事務管理士についてよくある質問に回答します。「介護事務管理士ってどんな資格なの?」と気になっている方は、ぜひご一読ください。
介護事務管理士の資格は取得しても意味ないの?
介護事務の仕事に就くために資格は必須ではありませんが、介護事務管理士には取得するメリットがあります。介護事務管理士の資格を取得するメリットは、介護事務のスキルを客観的に証明でき、無資格よりも転職に有利になることです。資格取得のメリットを詳しく知りたい方は、「介護事務管理士を取得するメリットは?」をご覧ください。
介護事務管理士は独学で取得できますか?
介護事務管理士の資格は、計画的に取り組めば、独学でも取得を目指せます。独学の場合、問題集を繰り返し解き、誤答を減らしていく勉強方法がおすすめです。1人で勉強する自信がない方は、通信教育を利用するのも良いかもしれません。試験対策の方法に迷う方は、「介護事務管理士に有効な勉強方法はある?」もチェックしてみてください。
介護事務管理士は国家資格ですか?
介護事務管理士は国家資格ではなく、技能認定振興協会(JSMA)が認定する民間資格です。2024年現在、介護事務に関する国家資格はありません。介護事務の仕事に要件はありませんが、介護事務管理士といった資格を保有していると、無資格で働くよりも高い信頼を得られるでしょう。
まとめ
介護事務管理士とは、技能認定振興協会(JSMA)が認定する資格です。介護事務管理士技能認定試験への合格で取得できます。介護報酬の請求に関するスキルがあることを証明できることが、取得するメリットです。介護事務管理士技能認定試験には受験資格がなく、毎月実施されているので、挑戦しやすいでしょう。
介護事務管理士は、主に介護事業所に事務職員として勤務し、請求業務やそのほかの事務処理、窓口業務などを行います。正確な仕事ができる人や、基礎的なPCスキルがある人、柔軟な働き方がしたい人などに向いているでしょう。
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