
この記事のまとめ
- ケアマネジャーは国家資格ではなく都道府県が認定する公的資格
- ケアマネジャーが廃止される噂があるが、今のところその予定はない
- ケアマネは、介護需要の高まりとAIに代替されにくいことから将来性がある
「ケアマネジャーは国家資格じゃないの?」と疑問に思う方もいるでしょう。ケアマネジャーは、都道府県が認定する公的資格です。正式名称を介護支援専門員といい、介護職員のキャリアパスとして一つの到達点ともいえます。本記事では、ケアマネジャー資格の概要を詳しくまとめました。ケアマネ資格が国家資格化するのか、廃止されるのかといった噂に関する疑問についてもお答えしているので、ぜひご覧ください。
ケアマネジャー(介護支援専門員)とはどんな仕事?業務内容や役割を解説! →レバウェル介護の資格スクールはこちらケアマネジャー(介護支援専門員)は国家資格なの?
ケアマネジャー資格は、国家資格ではありません。 ケアマネジャー資格の正式名称は「介護支援専門員」といい、各都道府県が認定する公的資格です。 介護系の資格のなかで国家資格なのは、「介護福祉士」のみ。介護福祉士としての一定の業務経験がケアマネ試験の受験要件の一つとなっています。
ケアマネジャー(介護支援専門員)とは
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護を必要としている人が適切な介護サービスを受けられるよう支援する職種です。ケアマネジャーの業務を行うにはケアマネジャー資格が必須となっています。
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ケアマネジャーの仕事内容
ケアマネジャーの主な仕事内容は、ケアプランの作成を中心としたケアマネジメント業務です。そのほか、下記のような業務を行います。
- ケアマネジメント業務
- 介護保険の給付管理
- 介護に関する相談への対応
- 要介護認定の申請代行
- 要介護認定の訪問調査
ケアマネジメント業務には、ケアプランの作成にともなう関係各所との連絡・調整も含まれます。職場によっては、管理職や介護職などと兼務する場合もあるようです。ケアマネジャーの仕事内容について詳しくは、「ケアマネジャーの仕事内容をわかりやすく解説!施設と居宅の業務の違い」で解説しているので、興味のある方はチェックしてみてください。
ケアマネは国家資格ではないが介護の専門性は高い
ケアマネジャーは、国家資格ではないものの、介護の専門性は国家資格である介護福祉士よりも高いといえます。なぜなら、ケアマネ試験の受験要件を満たすには、介護福祉士や社会福祉士などの国家資格に基づく業務、または生活相談員などで相談支援業務に従事した経験が必要とされているためです。
ケアマネジャーは、介護や福祉に関わる専門的な知識を求められる職種であるため、介護福祉士を取得した人が次に目指す資格としても知られています。レバウェル介護(旧 きらケア)による調べでは、25%の介護福祉士が次にケアマネを取得したいと回答しました(回答数:180名、実施時期:2023年10月10日~2023年11月12日)。介護業界でキャリアパスを順調に形成していくなかで、「ゆくゆくはケアマネになりたい」と考える人は少なくないことが予想できるでしょう。
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ケアマネジャー資格が国家資格化する可能性はある?
ケアマネジャー資格が国家資格化される予定は今のところありません。しかし、過去を振り返ってみれば、今後ケアマネ資格が国家資格化する可能性はゼロではないといえるかもしれません。
過去に国家資格一覧に並んだことがある
お伝えしているように、これまでケアマネジャー資格が国家資格として正式に認められた事実はありません。
しかし、2003年の国会で閣議決定した内容を記した答弁書が衆議院議長に提出された際、資料として提出された「国家資格一覧」のなかに介護支援専門員も含まれていたようです。
どのような経緯で国家資格一覧にリストアップされたのかは不明であるものの、政府として、ケアマネを国家資格に並ぶ専門性を有する資格であると評価していたことがうかがえるでしょう。
出典
文部科学省「国家資格一覧」(2025年1月10日)
ケアマネジャーを国家資格化するために必要な条件
文部科学省の「国家資格の概要について」によると、国家資格は下記のように定義されています。
国家資格とは、国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格。法律によって一定の社会的地位が保証されるので、社会からの信頼性は高い。
引用:文部科学省「国家資格の概要について」
このほか、「業務独占資格」「名称独占資格」「設置義務資格」「技能検定」のいずれかに分類されるものであることなどが明記されています。
このことから考えると、ケアマネジャーが国家資格化するためには、下記のような要件を満たす必要があると考えられるでしょう。
- ケアマネ業務に関する法律を整備する
- 国家資格の分類(業務独占や名称独占など)に当てはまることを証明する
ケアマネ業務に関する法律は今のところありません。そのため、ケアマネジャーが国家資格化するには、ケアマネの業務が業務独占資格や名称独占資格として認められるような法整備を行う必要があるのです。
出典
文部科学省「国家資格の概要について」(2025年1月10日)
ケアマネの国家資格化に対するさまざまな意見
ケアマネジャーの国家資格化については、これまでも「国家資格にすべき」「このままで良い」など、さまざまな意見があったようです。しかし、2025年1月現在では、ケアマネジャーが国家資格になることは明言されていません。国家資格化に向けて動いている団体もありますが、法律の整備などの課題をクリアするのはそう簡単なことではないといえるでしょう。
「ケアマネ廃止論」がささやかれてるって本当?
「ケアマネジャーの資格が廃止される」といった話を聞いて、心配になる方もいるのではないでしょうか。しかし、今のところケアマネ資格が廃止される予定はないので、安心してください。
そもそも、ケアマネ資格の廃止が噂されたのには、ケアマネ試験の受験資格が厳格化され、受験科目の免除がなくなったことが背景にあります。これにより、ケアマネ試験の合格率が下がったり、新規でケアマネになる人が減ったりしたため、ケアマネ廃止論がささやかれるようになりました。
ケアマネジャー試験が廃止されるかどうか詳しく知りたい方は、「ケアマネの資格は廃止される?試験の受験資格の変移や将来性を解説」の記事をあわせてチェックしましょう。
ケアマネジャー資格を取得する方法は?
ケアマネジャー資格を取得するには、各都道府県で行われるケアマネ試験(介護支援専門員実務研修受講試験)に合格したのち、介護支援専門員実務研修を修了する必要があります。
ケアマネ試験の受験資格
ケアマネ試験を受験するには、特定の業務の実務経験が必要です。具体的には下記のいずれかを満たす必要があります。
- 国家資格に基づく業務を5年(かつ900日)以上
- 相談援助の業務を5年(かつ900日)以上
ケアマネ資格を取得するには、無資格の場合は最短8年、介護福祉士を保有している場合は最短5年ほどかかります。業務経験5年以上というのは長い道のりですが、それだけ多くの経験や知識が求められる資格であるといえるでしょう。
ケアマネ資格の受験資格について詳しくは、「ケアマネジャーになるには最短で何年?介護支援専門員の受験資格を解説」でも解説しているので、詳しく知りたい方はチェックしてみてください。
ケアマネ資格を取得するステップ
ケアマネ資格を取得するまでの道のりを簡単にご紹介します。ケアマネ試験に合格しただけではケアマネジャーを名乗れないので、最後まできちんと確認しておきましょう。
- 実務経験を積んで受験資格を満たす
- 必要書類を提出して受験の申込みをする
- 介護支援専門員実務研修受講試験に合格する
- 介護支援専門員実務研修を修了する
- 研修修了証明書の交付・申請をする
- 介護支援専門員は5年ごとに更新をする
ケアマネ試験に合格後は、研修を受け、研修修了証明書の交付申請を行うのが基本の流れです。さらに、介護支援専門員として活躍する場合は、5年ごとに更新研修を受ける必要があります。
ケアマネジャーに将来性はあるの?
ケアマネジャーは、日本の高齢化の加速やAIに代替されにくい仕事であることなどから、将来も継続して求められる職種といえます。ここでは、その理由を詳しく解説しましょう。
高齢化の進行にともなう需要の拡大
日本では、高齢者人口の増加にともない、介護を必要とする人も増えています。職業情報提供サイト(日本版O-NET)の「介護支援専門員/ケアマネジャー」によれば、2023年度におけるケアマネの有効求人倍率は7.03。対して、「施設介護員」の場合は3.01、「看護師」の場合は2.31となっており、ケアマネよりも低い水準でした。
また、厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和6年11月分)について」によると、令和6年11月の有効求人倍率は1.25倍となっています。調査の時期が異なるものの、ケアマネの需要が他業界、他職種と比較しても高いことが分かるでしょう。
AIに代替されない介護の専門性
ケアマネジャーは、資格取得の難易度が国家資格である介護福祉士などより高く、誰にでもできる仕事ではありません。ケアプラン作成にAIを活用しようという動きもあるようですが、あくまでも補助的な活用にとどまる可能性が高いといえそうです。
利用者さん個人の状況を直接ヒアリングし、社会情勢や介護経験などを踏まえてケアプランを立てるのは、実際に目で見て感情を理解できる人だからこそできる仕事。AIが活用されたとしても、AIが考えたプランをチェックするのはケアマネの仕事になるでしょう。
ケアマネ高齢化にともなう若い世代の採用強化
前述の職業情報提供サイト(日本版O-NET)によると、ケアマネジャーの平均年齢は52.3歳。施設介護員の平均年齢が44.4歳なので、ケアマネの高齢化が懸念されています。
平均年齢が高いため、5年後には引退している世代もいるかもしれません。そうなれば、ケアマネ不足に陥ってしまう恐れがあるため、若い年代の採用に積極的な事業所が多いようです。
前述のように、無資格からケアマネになるには最短8年かかりますが、国家資格の介護福祉士を取得している場合は最短5年で目指せます。すでに経験を積んでいる場合はそれだけ短い期間でケアマネを目指せるでしょう。取得するには一定の大変さもありますが、若い世代が活躍するチャンスが広がっているので、興味がある方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
出典
職業情報提供サイト(日本版O-NET)「介護支援専門員/ケアマネジャー」(2025年1月10日)
職業情報提供サイト(日本版O-NET)「施設介護員」(2025年1月10日)
職業情報提供サイト(日本版O-NET)「看護師」(2025年1月10日)
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年11月分)について」(2025年1月10日)
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ケアマネジャーの国家資格化に関するよくある質問
ここでは、ケアマネジャーの国家資格化に関するよくある疑問をQ&A形式でご紹介します。ケアマネが気になる方、目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
なぜケアマネは国家資格にならないのか教えてください
ケアマネ資格が国家資格にならないのは、業務独占資格や名称独占資格といった法定資格ではないためです。国家資格化するには、ケアマネの業務に関する法整備を行う必要があります。詳しくは、本記事の「ケアマネジャー資格が国家資格化する可能性はある?」を参考にしてください。
ケアマネジャー資格を取得する難易度は?
厚生労働省の「第27回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」によると、2024年度における介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は32.1%でした。最近の介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は、受験者全体の1~3割程度と低い傾向があるため、事前対策を万全にして試験に挑みましょう。
ケアマネ試験の合格率の推移については、「ケアマネ試験の合格率の傾向は?難易度や効果的な勉強方法をご紹介!」をご覧ください。
出典
厚生労働省「第27回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」(2025年1月10日)
ケアマネと介護福祉士はどっちが上?
ケアマネジャーと国家資格である介護福祉士は、それぞれ異なる専門性を発揮する仕事なので、どちらが上といった上下関係はありません。ただ、ケアマネ試験の受験資格の一つとして、「介護福祉士のような国家資格に基づく業務を5年以上」というものがあります。そのため、ケアマネは介護福祉士の次に取得を目指す資格として位置づけられることが多いので、「介護職員のキャリアパスとして介護福祉士の上位に位置するのがケアマネ」というイメージを持つ人も少なくないでしょう。
まとめ
結論から述べると、ケアマネジャー資格(介護支援専門員)は国家資格ではなく、都道府県が認定する公的資格の一つです。
ケアマネジャー資格が国家資格化するのか、それとも廃止されるのかといった噂を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、どちらも今のところ予定はありません。
ケアマネは、超高齢化社会となっている日本において、介護の必要な方が適切なケアを受けられるようにサポートする重要な役割をもつ仕事です。需要が伸びていることやAIに代替される可能性が低いことから、将来性があり、長期的に携わっていけるメリットがあります。
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