
この記事のまとめ
- 2022年における常勤の実務者研修取得者の平均年収は約363万円
- 実務者研修の資格手当の有無と支給額は、職場によって異なる
- 実務者研修取得後に年収アップを目指す方法は、介護福祉士を取得するなど
介護福祉士実務者研修を取得した場合の年収が気になる方もいるのではないでしょうか?実務者研修を取得した人の2022年における平均年収は、約363万円でした。この記事では、実務者研修を取得した人の平均年収や資格手当の相場をご紹介。介護職の保有資格別・勤続年数別の平均給与や、実務者研修取得後に年収アップを目指す方法もまとめています。実務者研修を取得した場合の給料事情に興味がある方は、ぜひご覧ください。
介護福祉士実務者研修を取得した人の平均年収
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.157)」によると、実務者研修を取得した常勤の介護職員の平均給与(月収)は、30万2,430円でした。これに12を掛けて算出すると、平均年収は約363万円になります。
また、一般的に手取り額は総支給の8割程度が目安です。これに基づいて計算すると、実務者研修を取得した人の手取りの平均年収は約290万円となります。
なお、平均給与は、基本給だけではなく手当や一時金(賞与)も含めた額です。介護職の賞与は「介護職員のボーナス(賞与)は平均でいくら?施設や資格別に支給額を解説」の記事で解説しているので、気になる方はチェックしてみてください。
実務者研修を取得した人の時給相場
同資料(p.161)をもとに、実務者研修を取得した非常勤の介護職員の平均時給(非常勤)を算出すると1,405円でした。
こちらの平均時給は、平均給与額13万10円を実労働時間数の92.5時間で割って求めたものです。勤務先によっては資格手当や一時金が支給される場合があり、実際の時給は上記より低い可能性があるので、参考程度にご覧ください。
介護職の平均時給の詳細は、「介護職員の平均時給はどれくらい?給与を上げる方法もご紹介!」の記事で確認できます。
実務者研修を取得した人の施設形態別の平均給与
同資料(p.157)によると、実務者研修を取得した介護職員(常勤)の施設形態別の平均給与は、以下のとおりです。
施設形態 | 平均給与額 |
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) | 32万450円 |
介護老人保健施設 | 30万9,650円 |
訪問介護事業所 | 31万8,790円 |
通所介護事業所(デイサービス) | 26万6,540円 |
通所リハビリテーション事業所(デイケア) | 30万960円 |
認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム) | 28万6,850円 |
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.157)」
施設によって給与額に差が生じるのは、入居型の介護施設に夜勤があることが理由の一つと考えられます。夜勤があると、夜勤手当や深夜手当がつくため、その分給与が高くなるようです。
また、特養など、介護度が高い利用者さんが多く入所する施設では、専門的な介護技術が求められます。職員のスキルや専門性を評価するために、給与が高く設定されていることがあるようです。
施設別の給料事情が気になる方は、「介護職の施設別給料ランキング!一番高いのはどこ?」の記事をチェックしてみてください。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年2月17日)
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介護福祉士実務者研修とは?資格取得のメリットや初任者研修との違いを解説
実務者研修の資格手当の相場
レバウェル介護(旧 きらケア)が実務者研修を取得した介護職員69人を対象に行ったアンケートの結果をもとに、実務者研修の資格手当の相場をご紹介します。

※調査時期:2023年11月
調査の結果、「手当なし」が53.6%と、資格手当を支給しない職場が半数以上を占める一方で、「5,000円以上」支給する職場が15.9%ありました。実務者研修の資格手当の支給状況は、職場によって大きく異なるといえます。
介護職の条件別の給与相場
ここでは、介護職の条件別の給与相場をご紹介します。保有資格や勤続年数が介護職の給与にどのように影響するのか気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
保有資格別
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.157)」をもとに、保有資格による介護職員(常勤)の平均給与の違いを以下にまとめました。
保有資格 | 平均給与額 |
介護福祉士 | 33万1,080円 |
介護福祉士実務者研修 | 30万2,430円 |
介護職員初任者研修 | 30万240円 |
無資格 | 26万8,680円 |
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.157)」
保有資格によって基本給や手当の金額は変わる傾向にあり、上位資格を持っている介護職員ほど平均給与は高くなっています。
保有資格別の手当に興味がある方は、「【介護職の資格手当一覧表】相場はいくら?給料アップに繋げる方法を解説!」の記事もご一読ください。
勤続年数別
同資料(p.139)によると、介護職員(常勤)の継続年数別の平均給与は、以下のとおりです。
勤続年数 | 平均給与額 |
1年(勤続1年~1年11ヶ月) | 28万550円 |
2年(勤続2年~2年11ヶ月) | 28万8,750円 |
3年(勤続3年~3年11ヶ月) | 29万7,460円 |
4年(勤続4年~4年11ヶ月) | 30万2,180円 |
5年(勤続5年~5年11ヶ月) | 30万5,970円 |
6年(勤続6年~6年11ヶ月) | 30万5,380円 |
7年(勤続7年~7年11ヶ月) | 31万3,320円 |
8年(勤続8年~8年11ヶ月) | 31万3,340円 |
9年(勤続9年~9年11ヶ月) | 31万7,060円 |
10年(勤続10年~10年11ヶ月) | 32万2,990円 |
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.139)」
介護職員の平均給与は、勤続年数を重ねることでアップする傾向にあることが分かります。事業所は、同じ職場で実務経験を積み、スキルアップする職員を高く評価しているようです。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年2月17日)
実務者研修を取得する方法
実務者研修の資格は、資格スクールの講座を受講することで取得できます。座学と演習を組み合わせた20科目・450時間のカリキュラムで構成されており、すべて履修すれば取得可能です。
カリキュラムの詳細は、「介護福祉士実務者研修の学習内容は?資格取得にかかる時間や難易度も解説」の記事で解説しています。
実務者研修は、保有資格によってはカリキュラムの一部を免除できるため、取得期間や受講料は受講者ごとに異なるでしょう。たとえば、無資格の場合は最短で6ヶ月程度かかりますが、初任者研修を取得している場合は最短2か月程度で取得できます。取得費用の目安は、下記のとおりです。
保有資格 | 取得費用の目安 |
無資格 | 8万~18万円程度 |
介護職員初任者研修/ホームヘルパー2級 | 7万~12万円程度 |
ホームヘルパー1級 | 5万~8万円程度 |
介護職員基礎研修 | 3万~5万円程度 |
実務者研修を取得するには、数万~十数万円ほどの費用がかかります。ただし、ハローワークの職業訓練や自治体の資格取得支援制度などを利用すれば、取得費用を抑えることが可能です。
お得に実務者研修を取得する方法が気になる方は、「介護の資格を安く取りたい!「初任者研修」と「実務者研修」を無料or割引で受講する方法」の記事もあわせてご覧ください。
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介護職の資格取得支援制度とは?給付金の種類や利用するメリットを解説
実務者研修を取得するメリット
ここでは、レバウェル介護(旧 きらケア)が実務者研修の取得者に行ったアンケート結果をもとに、実務者研修を取得するメリットを紹介します。受講しようか迷っている方は参考にしてみてください。
無資格よりも給与相場が高い
実務者研修の取得者は、無資格者よりも給与が高い傾向にあります。「保有資格別」の見出しで表をご紹介したように、実務者研修を取得した人の平均給与は無資格者より3万円以上高い結果。年収に換算すると約38万円の差があります。実務者研修を取得すると、資格手当や昇給による給与アップが期待できるでしょう。
スキルアップできる
実務者研修を取得すると、介護技術のスキルアップにつながるでしょう。カリキュラムには喀痰(かくたん)吸引や経管栄養などの医療的ケアが含まれており、現場で役立つより専門的な知識・技術を学べます。
また、アンケートの結果によると、「介護技術など学んだことを業務に活かせた」という声がありました。仕事に活かせる介護スキルを身につけられると、利用者さんにより質の高いケアを提供できるようになるでしょう。
介護福祉士試験の受験要件の一つを満たせる
働きながら介護福祉士を目指している場合、国家試験の受験要件の一つを満たせることは、実務者研修を取得する大きなメリットです。実務者研修修了に加え、実務経験を3年以上積むことで、介護福祉士試験の受験要件を満たせます。アンケートでも、「介護福祉士の資格要件を一つクリアできた」という声が聞かれました。
介護福祉士は、介護職のキャリアパスの上位に位置づけられる資格です。管理職へのキャリアアップや給与アップを目指す場合、取得すると希望の働き方に近づける可能性があります。
サービス提供責任者の任用要件を満たせる
実務者研修を修了すると、訪問介護の「サービス提供責任者」の任用要件を満たすことが可能です。サービス提供責任者になると、訪問介護サービスの管理やマネジメント業務を担えるようになります。
サービス提供責任者がどのような職種か気になる方は、「サービス提供責任者とはどんな職種?仕事内容や必要な資格を元サ責が解説!」の記事をチェックしてみてください。
就職・転職で有利に働く可能性がある
実務者研修を取得すれば、就職や転職で有利に働く可能性があります。専門的なスキルが身についている人材は、介護事業所にとって魅力的な存在です。
実務者研修を受講した体験談にも、「転職に有利だった」という声がありました。介護度の高い利用者さんが多い介護施設などでは、実務者研修などの有資格者を求める傾向があるため、選択できる求人の幅が広がるでしょう。
実務者研修を取得した人がさらに年収アップを目指す方法
実務者研修を取得後、さらに年収アップを目指したいなら、介護福祉士を取得したりサービス提供責任者になったりなど、キャリアアップを目指すと良いでしょう。以下で解説するので、高給与で働きたい方は確認してみてください。
介護福祉士の資格を取得する
給与アップを目指す介護職員は、介護福祉士の資格を取得すると良いでしょう。実務者研修の平均給与は30万2,430円、介護福祉士は33万1,080円で、約3万円の差があります。国家資格である介護福祉士を取得すれば、給与が上がる可能性は高いでしょう。
介護福祉士を取得した場合の給料事情は、「介護福祉士の給料は高い?安い?平均年収や給与アップの方法までご紹介」の記事で詳しく確認できます。
また、介護福祉士になった後も、ケアマネジャーや社会福祉士などを取得すれば、さらなる給与アップを目指すことが可能です。
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介護福祉士とはわかりやすくいうとどんな資格?取得方法や試験概要を解説!
サービス提供責任者になる
年収を上げたいなら、サービス提供責任者になるのも方法の一つです。厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.136)」によると、訪問介護事業所で働くサービス提供責任者の平均給与は33万9,290円です。介護職として働く実務者研修の平均給与が30万2,430円なので、3万円以上平均給与が高いことが分かります。
サービス提供責任者は、訪問介護計画書を作成したり、介護職員のマネジメントを担ったりする重要な職種です。専門的な知識や経験が求められる分、一般的な介護職員より高い給与が期待できるしょう。
サービス提供責任者の給料について詳しく知りたい方は、「サービス提供責任者の給料はいくら?収入アップの方法や仕事内容を紹介」の記事をご確認ください。
管理職にキャリアアップする
管理者や施設長などの管理職に就くと、給与が上がる可能性があります。同資料(p.136)によると、管理職として働く介護職員の平均給与は35万6,570円、管理職でない場合は30万8,070円でした。
管理職は、給与が一般職員より高い分、スキルや実務経験が求められます。そのため、具体的なキャリアプランを立て、計画的なキャリアアップを狙うと良いでしょう。
「施設長の年収はどれくらい?仕事内容や資格要件も解説します!」の記事では、施設長の年収相場を確認できるので、興味がある方はぜひご一読ください。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年2月17日)
同じ職場で長く勤務する
前述したように、介護職員は勤続年数に応じて給与が上がる傾向にあるため、同じ職場で働き続けるのも給与アップの方法の一つです。
「勤続年数別」の項目を見ると、勤続年数10年の介護職員は、勤続1年と比較して平均給与が4万円以上高いことが分かります。同じ職場で地道に実務経験を重ねていくと、職場から評価してもらえる可能性があるでしょう。
給与が上がる職場へ転職する
施設形態や勤続年数別の給与相場を見て、自分の給与が妥当ではないと感じる場合は、思い切って今より給与の高い職場に転職するのも選択肢の一つです。地域の給与相場を自力では調べられない場合は、転職エージェントの力を借りてみるのも良いでしょう。
「働いているエリアの給与相場が知りたい」「転職で給与が上がるのか気になる」という方は、介護業界に特化した就職・転職エージェントのレバウェル介護(旧 きらケア)に相談してみませんか?レバウェル介護(旧 きらケア)なら、介護業界に精通したキャリアアドバイザーから給料事情を聞くことができます。働きながら転職先の情報収集をするのが難しいと感じる方は、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。
実務者研修についてよくある質問
ここでは、実務者研修に関するよくある質問にお答えします。実務者研修を取得すると給料や仕事内容が変わるのか気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
実務者研修を取得しても給料は上がらないの?
無資格や初任者研修の取得者と比べて、実務者研修を取得した方の給料は高い傾向にあるため、修了すると昇給する可能性があります。勤務先が資格取得による昇給を制度化していたり、資格手当を支給していたりすると、給料アップが期待できるでしょう。施設・事業所によって状況は異なるので、勤務先へ確認してみてください。
資格手当の支給割合や支給額の相場については、「実務者研修の資格手当の相場」の見出しで解説しています。
実務者研修を取得するとできるようになる仕事は?
無資格の方が実務者研修を取得した場合、訪問介護事業所でホームヘルパーとして働けるようになります。実務者研修では、介護現場で役立つ実践的なスキルを学べるので、受講することで専門性をもって安全な介護ができるようになります。
実務者研修を取得するとできることは、「実務者研修の資格でできる仕事は?取得のメリットや活躍できる職場をご紹介」の記事でも解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
まとめ
厚生労働省の調査によると、2022年における実務者研修を取得した介護職員の平均年収は約363万円。手取り年収は約290万円でした。また、実務者研修の資格手当の有無は職場によって異なります。
無資格者と比較して実務者研修の取得者は給与が高い傾向にあるので、年収アップを狙う方は、取得を検討してみると良いでしょう。実務者研修の取得後も、介護福祉士を取得したり、サービス提供責任者になったりすることで、さらなる年収アップを目指せます。
「今より高給与の職場で働いて年収を上げたい」という方は、レバウェル介護(旧 きらケア)をご利用ください。レバウェル介護(旧 きらケア)では、専任のキャリアアドバイザーが、保有資格や職歴を考慮し、ご希望に合わせて介護求人をご紹介いたします。キャリアアップや資格取得に関するお悩みにも対応可能です。サービスはすべて無料なので、まずは気軽にご相談ください。
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