
この記事のまとめ
- ケアマネは今後どうなるのかと心配する声もあるが、将来性の高い仕事
- 2021年の介護報酬改定では、居宅ケアマネに関するルールの変更があった
- 2024年の介護報酬改定では、居宅ケアマネの担当可能件数が増加する
ケアマネジャーとして働いてる方や、資格取得を検討している方は、「ケアマネの今後はどうなるの?」と気になることもあるでしょう。ケアマネジャーは今後も需要が高く、雇用が安定している仕事です。この記事では、ケアマネジャーの将来性を解説。2021年と2024年の介護報酬改定に伴う、居宅ケアマネの業務に関する変更点やケアマネジャーへの影響もご紹介します。今後のキャリアに悩んでいる方は参考にしてみてください。
ケアマネジャー(介護支援専門員)とはどんな仕事?業務内容や役割を解説!ケアマネジャーの仕事は今後どうなる?
ここでは、ケアマネジャーの今後の需要を解説します。ケアマネジャーとして働いている方や、資格取得を検討している方は、将来性があるのかを確認してみましょう。
ケアマネジャーの仕事はAIに代替される可能性が低い
ケアプラン作成や情報連携のためにICTの活用が進められており、ケアマネジャーの仕事が完全にAIに代替される可能性は低いといえます。ケアマネジャーは、利用者さんの気持ちに寄り添ってニーズを汲み取る必要があり、AIがその役割を担うことは難しいのが現状です。ケアマネジャーは、AIが普及しても必要な仕事なので、将来性があります。
高齢化に伴いケアマネジャーの需要は増加している
厚生労働省の「居宅介護支援・介護予防支援(p.8)」によると、居宅介護支援・居宅予防支援の受給者数は、2022年時点で362万5,800人です。なかでも、要介護の受給者数は年々増加し続けています。2025年には、団塊世代(1947~1949年生まれ)が75歳以上になり、要介護の受給者数は、さらに増していくと考えられます。同時に、ケアマネジャーの需要も増していくでしょう。
出典
厚生労働省「第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」(2025年2月26日)
人材確保と定着に向けた施策が検討されている
先述したとおり、日本では高齢化に伴い、今後も介護サービスの利用者数は増加する見込みです。一方で、ケアマネジャーの従事者は横這い・減少傾向にあり、人材不足が問題視されています。これを受けて、2024年に行われたケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会で、ケアマネジャーの人材確保と定着支援のための取り組みの実施が検討されました。
厚生労働省の「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会中間整理概要(p.2)」には、「他産業・同業他職種に見劣りしない処遇の確保や様式の見直しによる書類作成の負担軽減、カスタマーハラスメント対策等の働く環境の改善をする」と記載されています。現時点では、居宅介護支援事業所は処遇改善加算の算定はできませんが、今後、何かしらの対策が行われるかもしれません(2025年2月時点)。たとえば、ケアマネジャーの賃金改善や職場環境の改善が期待できるでしょう。
出典
厚生労働省「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 中間整理」(2025年2月26日)
登録は1分で終わります!
2021年度の介護報酬改定でケアマネはどうなった?
2021年の介護報酬改定では、居宅介護支援事業所の運営に関するルールの変更がありました。以下で解説するので、参考にしてください。
居宅ケアマネが担当できる利用者さんの人数が増加した
居宅ケアマネは1人あたり40件以上担当すると、逓減制(ていげんせい)により介護報酬が減算になる決まりがありました。しかし、2021年度の介護報酬改定で、担当件数のルールが変更に。ICTの活用や事務職員の配置を行う居宅介護支援事業所で働くケアマネジャーは、1人で44人までの利用者さんを担当可能になりました。
上限を見直して担当できる件数を増やすのは、利用者さんに居宅介護支援のサービスが行き届くようにするためです。また、ICTの活用や事務職員の配置で人手不足に対応し、ケアマネジャーの業務負担の軽減を図ることも目的になります。
ケアマネジャーの担当件数のルールについて詳しく知りたい方は、「ケアマネジャーの担当件数の上限は?居宅・施設の利用者数や仕事内容を解説」の記事を参照してください。
居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネ限定に
2021年4月から、居宅介護支援事業所の管理者は、主任ケアマネジャー限定になりました。主任ケアマネジャーを管理者要件とすることで、質の高いケアマネジメントを実現させるのが狙いです。なお、2021年3月時点で管理者が主任ケアマネジャーでない居宅介護支援事業所には、2027年3月31日までの猶予期間があります。
主任ケアマネジャーの資格の取得方法を知りたい方は、「最短で主任ケアマネジャーになる方法とは?受験資格や研修費用も解説」をご覧ください。
出典
厚生労働省「第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料:居宅介護支援・介護予防支援」(2025年2月26日)
2024年度の介護報酬改定でケアマネはどうなった?
2024年の介護報酬改定では、ケアマネジャーの担当人数や加算の範囲などが変更になりました。「ケアマネの業務は今後どのように変化していくの?」と気になっている方は確認してましょう。
居宅ケアマネが担当できる人数がさらに増加した
前項の「居宅ケアマネが担当できる利用者さんの人数が増加した」でお伝えしたとおり、以前は、一定の条件を満たした場合のみ、1人で44人までの利用者さんの担当が可能でした。2024年度の介護報酬改定では、居宅ケアマネが担当できる人数に関する条件が改善。配置要件を問わず、居宅ケアマネ1人あたり44件まで担当可能となりました。さらに、ICT化や事務職員の配置を行えば、居宅ケアマネ1人で49件まで担当可能です。
1人あたりの担当人数が増えて事業所の収入がアップすれば、ケアマネジャーの待遇改善につながる可能性があるでしょう。
質の高いケアマネジメントに対する加算の範囲が広がる
2024年度の介護報酬改定では、質の高いケアマネジメントに対する加算の範囲が広がりました。具体的には、歯科受診への同行や、末期がん以外のターミナルケアマネジメントも加算の算定対象になっています。また、入院時の情報連携の期限が短くなった一方で、早期の情報提供に対する評価が上がりました。
近年、質の高いケアマネジメントの評価制度の整備が進められています。ケアマネジメントが適切に評価されれば、ケアマネジャーの処遇改善につながるかもしれません。
ケアマネの業務負担の軽減が進む
2024年度の介護報酬改定では、人材の有効活用や連携促進によるケアマネジメントの質向上の観点から、一定の要件をクリアしたうえで、テレビ電話装置その他の情報通信機器を活用したモニタリングを可能とする見直しが行われました。この見直しには、利用者さんの同意や2ヶ月に1回の自宅訪問といった条件があるので、支援が手薄になる心配は少ないでしょう。
事務作業の効率化を図ることで、利用者さんと関わる時間を十分に確保できれば、少ない業務負担で質の高いケアマネジメントの提供が可能になります。
ケアマネの処遇改善加算については触れられず
介護報酬改定では、継続的に介護職員の処遇改善加算の改善が行われています。しかし、「人材確保と定着に向けた施策が検討されている」でも触れたとおり、2024年度の介護報酬改定では、居宅介護支援事業所は処遇改善加算は対象外です。また、ケアマネジャーに対する直接的な処遇改善の決定もありませんでした。
一般社団法人日本介護支援専門員協会の「居宅介護支援事業所に勤務する介護支援専門員の人材確保に関する実態調査(p.19)」によると、「専門性や重要性に賃金が見合っていない・やや見合っていない」と回答したケアマネジャーは、77.0%にのぼります。仕事に対して給与が低いと不満に感じているケアマネジャーが多いことも、人手不足の原因なのかもしれません。
業務効率化が処遇改善につながるとの見方もありますが、実際どの程度の負担が伴うのか、どの程度給与がアップするのかが注目されているところです。
出典
厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(2025年2月26日)
一般社団法人日本介護支援専門員協会「当協会が実施した調査結果の公表について」(2025年2月26日)
ケアマネジャーは今後国家資格になるの?
ケアマネジャーは2024年1月時点で国家資格ではありません。国家資格になる予定も今のところないようです。とはいえ、ケアマネジャーの多くは介護福祉士や看護師などの国家資格に基づいた実務経験があり、その専門性は広く認められています。
詳しくは、「ケアマネジャーは国家資格なの?受験資格や介護支援専門員の将来性を解説!」の記事をチェックしてください。
ケアマネジャーになる方法は?
介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)に合格してから、研修を受講したうえで介護支援専門員証の交付を受けると、ケアマネジャーとして働けます。ケアマネ試験を受験するには、介護福祉士や生活相談員、看護師などとして5年以上の実務経験が必要です。
ケアマネジャーを目指す方は、「ケアマネジャーになるには最短で何年?介護支援専門員の受験資格を解説」を参考にしてください。
資格取得支援の介護求人はこちら
介護福祉士(介護士)の求人はこちら
ケアマネジャーの今後についてよくある質問
ここでは、ケアマネジャーの今後についてよくある質問に回答します。「ケアマネを目指したい」という方や、「ケアマネを続けていくか迷っている」という方は確認してみましょう。
ケアマネジャーの仕事に将来性はある?
高齢化が進む日本では、今後もケアマネジャーの需要は高いことが予想されるので、将来性は高いといえるでしょう。ケアマネジャーは、介護分野や障がい福祉分野において、専門性を発揮して活躍することが期待されています。利用者さんの気持ちに寄り添って相談に乗る必要があり、AIがケアマネジャーの役割を担うのは難しいことからも、安定している職業といえるでしょう。
ケアマネの資格の将来性については、「ケアマネの資格は廃止される?試験の受験資格の変移や将来性を解説」にまとめています。
ケアマネジャーに向いているのはどんな人?
ケアマネジャーに向いているのは、利用者さんの悩みや不安に寄り添える人です。ケアマネジメントには、利用者さんやご家族の希望を尊重して、より良い生活を送るために支援するスキルが求められます。自立支援の視点をもち、利用者さんにとってベストな生活とは何かを考えられる人は、ケアマネジャーに向いている可能性が高いでしょう。
▼関連記事
ケアマネは何歳まで働ける?平均年齢や年を重ねてから活躍する方法を紹介!
ケアプランが有料化するって本当?
2024年度の介護報酬改定では、ケアプランの有料化は先送りとなりました。利用者さんに介護支援受給の負担を求める改定はありません。ケアプランの有料化については、利用者さんやケアマネジメントに与える影響、ほかのサービスとのバランスなどを考慮して、2027年度の介護報酬改定に向けて慎重に議論が行われる見込みです。
まとめ
ケアマネジャーは、需要が増加していることや、AIに代替される可能性が低いことから、今後も必要な仕事といえます。2021年度の介護報酬改定で、ICTの活用や事務職員の配置を行う居宅介護支援事業所は、ケアマネジャー1人あたり利用者さん44人まで担当可能になりました。
2024年度の介護報酬改定では、居宅ケアマネの担当できる利用者さんの人数はさらに増加。質の高いケアマネジメントを提供するための制度の整備も進められています。
ICTの活用や事務職員の配置を行い、担当人数が増えて事業所の収入がアップすれば、ケアマネジャーの処遇改善につながる可能性があるでしょう。しかし、「担当人数の増加により負担が増えるのでは?」という意見もあるようです。
「ケアマネを続けるか悩んでいる」という方や、「実務経験を積んでケアマネになりたい」という方は、レバウェル介護(旧 きらケア)にご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界に特化した転職エージェントです。アドバイザーが希望条件や不安を丁寧にヒアリングして、あなたに合った転職先をご紹介いたします。サービスは無料なので、「今の職場の悩みを聞いてほしい」というケアマネジャーや介護職の方も、気軽に利用してくださいね。
登録は1分で終わります!