
この記事のまとめ
- サ高住のケアマネジャーの仕事内容は、相談対応や要介護認定の申請代行など
- 一般型サ高住には日中ケアの専門家が常駐するが、ケアマネの配置義務はない
- 一般型サ高住のケアマネは、ケアの専門家や居宅ケアマネとして配置される
「サ高住のケアマネジャーの仕事ってどんな感じ?」と気になる方もいるかもしれません。サ高住のケアマネジャーは、主に入居者さんのケアマネジメントを行います。同じ施設の入居者さんを多く担当することが、ほかの職場との違いです。この記事では、サ高住のケアマネジャーの仕事内容や業務スケジュール、求人例をご紹介します。施設・業務の特徴や配置基準もまとめたので、転職を検討中のケアマネジャーの方はぜひご覧ください。
ケアマネジャー(介護支援専門員)とはどんな仕事?業務内容や役割を解説!サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは、状況把握や生活相談のサービスを提供するバリアフリーの住まいです。60歳以上の方や、60歳未満で要介護認定を受けている方を対象としています。
サ高住には一般型と介護型の2種類あり、約9割は一般型です。一般型のサ高住は、基本的に介護サービスは提供していません。入居者さんが介護保険サービスを利用する場合、併設の事業所や外部の事業所と契約を結ぶようです。
一方、介護型のサ高住は、介護サービス全般を提供します。介護保険制度の「特定施設入居者生活介護」に該当し、介護付き有料老人ホームと同じ分類です。
サ高住がどのような施設か詳しく知りたい方は、「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?有料老人ホームとの違いを解説」の記事もご覧ください。
出典
サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム「制度について」(2025年3月7日)
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サ高住のケアマネジャーの仕事内容
サ高住で働くケアマネジャーの仕事内容は、ほかの職場のケアマネジャーと大きな差はありません。入居者さんや介護保険の利用者さんの相談に応じ、自立した生活を送れるよう支援します。
相談対応
入居者さんや入居希望者の方の相談に乗ることは、サ高住のケアマネジャーの重要な仕事です。サ高住に入居する方は、年齢を重ねるなかで介護が必要になることがあります。まだ介護保険を利用していない方の相談に乗る機会が多いため、どのようなサービスがあるのか詳しく説明したり、介護サービスの利用に関する不安を聞いたりして、丁寧な支援をすることが大切です。
また、入居を希望する方やご家族からの相談に乗り、施設のサービス内容や、介護が必要になった場合の手続きを説明することもあるでしょう。働くサ高住によっては、居宅ケアマネとして外部の利用者さんのケアマネジメントを担当することもあります。
要介護認定の申請手続き
サ高住のケアマネジャーは、入居者さんに介護サービスが必要になった際に、要介護認定の申請手続きを代行することがあります。要介護認定の申請手続きは本人も行えますが、慣れているケアマネジャーならスムーズに対応できるので、代理で行うことも少なくありません。
入居者さんは、要介護認定を受けることで介護保険制度に基づくサービスの対象になり、少ない負担で必要な支援を受けられます。
ケアプラン作成
要介護認定を受けた入居者さんが、サ高住で自立した生活を継続できるよう、ケアプランを作成します。サ高住の入居者さんが利用できる介護保険サービスは、訪問介護や訪問看護、デイサービス、福祉用具貸与・販売などです。
ケアプランの原案を作成したら、入居者さんやご家族、介護サービスを提供する関係者を集めて担当者会議を開催します。関係者の意見を聞き、必要に応じてケアプランを見直したら、利用者さんへの説明・合意を経て、介護サービスの提供が開始される流れです。
厚生労働省の「住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅におけるケアマネジメントの考え方」によると、サ高住のなかには、同じ事業所のサービスの利用を強要したり、複数の入居者さんに同じようなケアプランを作成したりする施設も。不適切なケアマネジメントを行う一部のサ高住が問題視されています。ケアマネジャーは、施設側の都合を優先せず、一人ひとりのニーズに沿ったケアプランを作成しなければなりません。適切なケアマネジメントを行うには、複数の選択肢を提示するなど、入居者さんが主体となって介護サービスを利用できるような支援を意識する必要があるでしょう。
出典
厚生労働省「住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅におけるケアマネジメントの考え方」(2025年3月7日)
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モニタリング
モニタリングとは、ケアプランの実施状況を確認したり、支援内容が現状に合っているかを検討したりすることです。介護サービスを利用する入居者さんの居室を訪問して行います。必要な支援が変わり、サービスに過不足が生じている場合、ケアプランの見直しや他職種との調整を実施することになるでしょう。
介護報酬の給付管理
介護サービスを提供する事業所と利用実績を照合し、各事業所がサービス内容に応じた報酬を受給できるよう、国民健康保険団体連合会へ必要な書類を提出します。介護報酬は1ヶ月分をまとめて請求するので、給付管理の業務は月末~月初に行うことが多いようです。
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サ高住のケアマネジャーの業務スケジュール
ここでは、サ高住で働くケアマネジャーのスケジュール例をご紹介します。実際の仕事の流れは職場ごとに異なるので、参考程度にご覧ください。
時間 | 業務 |
午前9時 | 出勤。入居者さんの相談対応 |
午前11時 | 要介護認定の申請、給付管理などの事務作業 |
正午 | 休憩 |
午後1時 | サービス担当者会議 |
午後2時 | ケアプラン作成 |
午後4時 | モニタリング |
午後6時 | 退勤 |
サ高住で働くケアマネジャーの業務は、相談対応や事務作業が中心です。食事の提供や声かけを行う場合もあります。サービス担当者会議やモニタリングは、利用者さんと関係者の都合を考慮して実施するので、日によって細かいスケジュールは異なるでしょう。
サ高住におけるケアマネジャーの配置基準
サ高住にケアマネの配置義務はありません。ただし、サ高住には、原則として日中ケアの専門家が常駐する必要があります。「ケアの専門家」とは、次のいずれかに該当する方です。
- 社会福祉法人・医療法人・指定居宅サービス事業所などの職員
- 介護職員初任者研修修了者
- 医師
- 看護師
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- ケアマネジャー
サ高住は、ケアマネジャーや介護福祉士などを日中常駐で配置すれば、人員基準を満たせます。ただし、居宅介護支援事業所が併設されているサ高住の場合、原則として主任ケアマネジャーの配置が必要です。また、介護型サ高住の場合は、利用者さん100人に対して1人以上、ケアマネジャーを配置しなければなりません。
なお、ケアマネジャーがいないサ高住の入居者さんが介護保険を利用する場合、外部の居宅介護支援事業所を利用することになります。
出典
厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービス付き高齢者向け住宅について」(2025年3月7日)
厚生労働省「第230回社会保障審議会介護給付費分科会資料」(2025年3月7日)
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サ高住のケアマネジャーの求人例
ここでは、サ高住のケアマネジャーの求人例をご紹介します。施設によって仕事内容や福利厚生が違ったり、地域によって給与相場が異なったりするので、一例としてご覧ください。
仕事内容:サービス付き高齢者向け住宅におけるケアマネジャー業務全般
勤務地:東京都
雇用形態:正社員
勤務時間:午前9時~午後6時(休憩1時間)
給与:月収26万円~
休日・休暇:年間休日115日(シフト制)
必須資格:ケアマネジャー(介護支援専門員)
福利厚生:通勤手当(上限5万円)、賞与年2回(前年度実績2ヶ月分)
サ高住のケアマネジャーは、日勤のみで休みはシフト制の職場が多い傾向にあります。しかし、職場によっては「夜勤あり」の場合もあり、働き方はさまざま。なかには、「土日休み」の求人もあります。
業務範囲も施設ごとに異なり、サ高住の入居者さんのみを担当する職場もあれば、居宅介護支援事業所として外部の利用者さんまで担当する職場もあるようです。事前に入居者さんと入居者さん以外の対応比率を確認しておくと、働き方をイメージしやすいかもしれません。
ケアマネジャーの働き方については、「ケアマネジャーの働き方を解説!勤務時間は長い?休める?仕事内容も紹介」の記事にまとめているので、あわせてチェックしてみてください。
サ高住とほかの職場のケアマネジャーの違い
一般型のサ高住の場合、施設に併設されている居宅介護支援事業所のケアマネジャーとして働きます。サ高住の入居者さんをメインで担当するため、単独型の居宅介護支援事業所で働く場合に比べ、移動の負担が少ない傾向にあるのが特徴です。また、入居者さんが同じ施設で生活しているため、住環境を把握しやすい点や、バリアフリーに配慮されている点も異なります。
サ高住のケアマネジャーは、介護保険を利用する前の段階から、入居者さんやご家族と信頼関係ができていたり、状況を把握できていたりすることもあるでしょう。一般的な居宅ケアマネに比べ、ケアマネジメントがしやすい環境があるのはメリットですが、多様な事例に対応するスキルは身につきにくい場合があります。
また、ケアマネジャーはサ高住で「ケアの専門家」として働くことも可能です。ケアの専門家は、主に日中サ高住に常駐し、状況把握や⽣活相談のサービスを提供します。夜間対応を行う施設の場合、夜勤を行うこともあるでしょう。
介護型のサ高住の場合は、施設ケアマネとして勤務します。介護職員や生活相談員、管理者などを兼任する可能性があるので、ミスマッチを感じないよう、業務範囲や役割を事前に確認しておくことが大切です。
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サ高住のケアマネジャーについてよくある質問
ここでは、サ高住のケアマネジャーについてよくある質問に回答します。「人員配置や兼務について知りたい」「入居者さんとケアマネの関係性が気になる」という方は、ぜひご一読ください。
サ高住のケアマネはほかの仕事を兼務できるの?
サ高住のケアマネは、施設におけるケアマネ業務以外の仕事や、併設事業所の介護業務・管理業務などを兼務できる可能性があります。兼務の細かいルールは自治体によって異なるので、事前に確認しましょう。基本的には、それぞれの業務に支障が出ないことが条件です。
サ高住にケアマネがいないこともある?
一般型サ高住にはケアマネの配置義務がないため、ケアマネがいないこともあります。介護保険制度の「特定施設入居者生活介護」に分類される介護型のサ高住には、ケアマネを配置しなければなりません。基本的に、介護サービスを利用する方のケアプラン作成が必要な事業所には、ケアマネの配置義務があるようです。
なお、サ高住は原則として、日中は介護職員や福祉の有資格者などの「ケアの専門家」を常駐させる必要があります。ケアマネがサ高住で働く場合、ケアの専門家や、併設事業所の居宅ケアマネとして働くことになるでしょう。詳しくは、この記事の「サ高住におけるケアマネジャーの配置基準」をご覧ください。
サ高住のケアマネは変更できますか?
サ高住の入居者さんが「ケアマネと合わない」と感じた場合、ケアマネを変更することは可能です。介護保険制度を利用する方には、サービスを選ぶ権利があるので、どうしても合わないときは、ケアマネや居宅介護支援事業所を変更できます。ただし、些細なことですぐに入居者さんがケアマネを変更すると、必要なときにサービスを利用できないおそれも。可能であれば、ケアマネや事業所と入居者さんの間でしっかり相談したうえで、利用を継続するか変更するか決めるのが良いでしょう。
まとめ
サ高住とは、高齢者が安心して暮らせるように状況把握(安否確認)や生活相談のサービスを提供する施設。一般型と介護型の2種類に分類され、およそ9割は一般型です。
ケアマネジャーが一般型のサ高住で働く場合、ケアの専門家として入居者さんの相談援助などを行うか、併設事業所の居宅ケアマネとして働くことになります。介護型のサ高住で働く場合は、特定施設入居者生活介護の施設ケアマネという扱いです。
サ高住のケアマネジャーの仕事内容は、一般的なケアマネジャーと大きな違いはありません。まだ要介護認定を受けていない入居者さんに対応することが多いため、不安なく介護サービスを利用できるよう支援することが重要です。ケアプランを作成したら、内容をしっかり説明したうえで同意を得るようにしましょう。
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