
この記事のまとめ
- 介護福祉士が転職で有利な理由は、専門性の高い介護の知識を証明できるから
- 介護福祉士が活躍できる転職先は、介護施設や訪問介護事業所などがある
- 介護福祉士を取得する転職以外のメリットは、収入アップにつながること
「介護福祉士を持っていると転職に有利になるの?」と気になる方もいるのではないでしょうか。国家資格の介護福祉士を保有していれば、介護に関する専門的な知識やスキルがあることを証明できるため、転職で有利に働く可能性があります。この記事では、介護福祉士が転職に有利な理由を解説。資格の取得方法や転職を成功させるポイントもまとめました。資格取得を迷っている方や、転職を検討中の介護福祉士の方はご覧ください。
介護福祉士とはわかりやすくいうとどんな資格?取得方法や試験概要を解説!転職時に介護福祉士の資格があると有利
人材不足が課題の介護業界では、無資格・未経験から働けますが、実務経験や資格があると転職に有利になる傾向があります。特に、国家資格である介護福祉士を取得していれば、即戦力になると判断されて転職に有利に働くでしょう。
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介護福祉士が転職で有利に働く3つの理由
先述のとおり、介護福祉士の資格を持っていると転職に有利な傾向があります。転職に有利な理由は、単に「国家資格だから」というだけではありません。以下で、介護福祉士の資格が転職で有利に働く3つの理由を解説します。
1.介護の技術や知識を持っていることを証明できる
介護福祉士は介護系の資格のなかで唯一の国家資格であり、保有していれば一定以上の介護の知識や技術があることを証明できます。人手不足の介護業界は、未経験者も就職が可能ですが、教育コストが抑えられる経験者を優先して採用している施設も少なくありません。
資格保持者のなかでも、国家資格である介護福祉士を持っている人は特にレベルが高い人材と評価され、転職に有利になる可能性があります。
2.介護福祉士は求人が多い
介護福祉士を歓迎する求人は多く展開されています。理由として、介護福祉士は処遇改善加算の要件の一つで、事業所にとって需要が高いことが挙げられるでしょう。
なかには、介護福祉士のみを募集している求人もあり、資格を取得していれば応募できる求人の幅を広げられます。豊富な求人のなかから希望条件に合った職場を見つけられるのは、介護福祉士の資格保有者の強みといえます。
3.良い条件で転職できる可能性が高まる
介護業界は人材不足であり、知識や経験が豊富な介護福祉士は引く手あまたです。そのため、介護福祉士なら転職の条件交渉をしやすいでしょう。転職の際に介護福祉士の資格を保有していれば、選考に有利になるだけでなく、現在の職場より良い条件で働ける可能性もあります。
介護福祉士として転職できる場所
介護福祉士になると、介護施設や訪問介護事業所、障害者支援施設など、転職できる場所が多様なメリットもあります。施設形態によって業務内容は異なるため、それぞれの違いを把握したうえで転職先を考えましょう。
介護施設
介護施設には、有料老人ホーム・特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・グループホーム・デイサービスなどがあります。デイサービスは日勤のみで、そのほかの入居施設は夜勤が含まれるのが基本の働き方です。
有料老人ホームや特別養護老人ホームは利用者さんの介護度が高い傾向があり、終(つい)の棲家として長期的なサポートを行います。介護老人保健施設は、リハビリテーションを目的としており、3~6ヶ月程度で利用者さんが入れ替わるのが特徴です。
グループホームは認知症を患う方が対象で、利用者さんができないことをお手伝いします。デイサービスは、利用者さんが日帰りで通う介護施設で、利用者さんの介護度が比較的低いのが特徴です。
自分に合う転職先を選ぶために、利用者さんとどのように関わりたいか、どのようなスキルを身につけたいかを考えておくと良いでしょう。
特別養護老人ホームの求人一覧はこちら
デイサービスの求人一覧はこちら
訪問介護事業所
訪問介護事業所で働くホームヘルパーは、1日に複数の利用者さんの自宅を訪問し、介護サービスを提供します。利用者さんの心身状態・生活状況に応じ、身体介護や生活援助を実施。サービスは利用者さんのみに提供するもので、ご家族の分の洗濯や掃除などは担当しません。
訪問介護の仕事は1対1で対応できるので、利用者さん一人ひとりと向き合いたい方に適しています。また、比較的自宅から近い場所で働けるのも魅力です。介護福祉士の資格があれば、ホームヘルパーとして働けるだけではなく、管理職であるサービス提供責任者として働くこともできます。
障害者支援施設
障害者支援施設の仕事内容は、障がいのある方や難病を患う方の、日常生活や社会参加を支援することです。高齢者向けの介護施設とは異なり、職場によっては子どもと関わることもあります。そのため、高齢者に限らず幅広い年齢層の方のサポートをしたい人に向いているでしょう。
身体介護や家事援助はもちろん、パソコンの使い方を教えたり外出に付き添ったりするなど、利用者さんの自立に向けた支援を行います。障害者支援施設で働く介護福祉士は、一人ひとりの心身状態を理解することで、臨機応変にサポートするスキルを身につけられるでしょう。
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介護福祉士を取得する「転職」以外の3つのメリット
介護福祉士を取得することで得られるメリットは、転職時に有利になることだけではありません。転職以外のメリットについて以下で解説するので、介護福祉士の取得を検討している方はチェックしてみてください。
1.将来のビジョンが広がる
サービス提供責任者や認定介護福祉士を目指せるのは、介護福祉士ならではのメリットです。また、ケアマネジャーや現場のリーダーを目指すこともできます。
介護現場のリーダーは、介護福祉士を取得していない職員も目指せますが、リーダーにふさわしいスキルが伴っていないと適切な指導や連携は難しいものです。介護福祉士を取得していれば、「介護のプロ」として現場の指揮を安心して任せてもらえるでしょう。現場の管理経験があれば、施設長や管理者も目指しやすくなります。
どのようなキャリアプランを立てるかは人それぞれですが、介護福祉士の資格があればより多くの選択肢からキャリアを選べるため、取得しておいて損はありません。
2.収入アップにつながる
給与が上がる可能性があるのも、介護福祉士を取得するメリットの一つです。厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.161)」によると、介護福祉士(月給制・常勤)の平均給与は35万50円です。
一方、介護資格を持たない介護職員(月給制・常勤)の平均給与は29万620円となっており、介護福祉士との差は約6万円。この差は、介護福祉士は資格手当が支給されたり、給与水準の高い施設に就職できたりすることが理由と考えられます。
保有資格 | 平均給与 |
保有資格なし | 29万620円 |
初任者研修 | 32万4,830円 |
実務者研修 | 32万7,260円 |
介護福祉士 | 35万50円 |
参考:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.161)」
介護職員は上位の資格を取得するほど給与が上がる傾向にあると分かります。「給与がなかなか上がらない」と悩んでいる介護職員の方は、まずは実務者研修を取得したうえで介護福祉士を目指すのがおすすめです。
出典
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年3月27日)
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3.利用者さんやご家族から信頼を得られる
介護福祉士を取得していれば、利用者さんやご家族から大きな信頼を得られるメリットもあります。入職してすぐには信頼関係の構築が難しい場合もありますが、介護福祉士を取得していれば一定のスキルを証明できるため、利用者さんに安心してもらいやすいでしょう。
また、利用者さんやご家族だけでなく、看護師やケアマネジャーなどほかの専門職の方からの信頼も得やすくなります。
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介護福祉士を取得する方法
介護福祉士を取得する方法には、福祉系高校ルート・養成施設ルート・実務経験ルートがあります。下記のいずれかのルートで介護福祉士国家試験を受験し、合格すれば資格取得が可能です。なお、介護福祉士国家試験の実技試験は廃止され、筆記試験のみとなっています。

ここでは、それぞれの受験ルートについて解説するので、介護福祉士の取得を検討している方は参考にしてみてください。
1.福祉系高校ルート
福祉系高校ルートは、福祉系高校または福祉系特例高等学校を卒業し、介護福祉士の資格取得を目指すルートです。高校で指定科目を履修して卒業することで、介護福祉士国家試験の受験資格を満たせます。なお、福祉系特例高等学校の場合に限り、卒業後9ヶ月以上の実務経験が必要です。
介護福祉士を目指す中学生の方が進学先として選んだり、最終学歴が中卒の方が高校卒業と受験資格の獲得を目指して入学したりするのに向いているでしょう。
福祉系高校ルートが気になる方は、「中卒から介護福祉士になる方法を解説!資格取得のルートや試験概要とは?」の記事をご覧ください。
2.養成施設ルート
養成施設ルートは、厚生労働省から介護福祉士養成施設として指定された4年制大学・短期大学・専門学校に通い、介護福祉士の資格取得を目指すルートです。
普通科高校を卒業した人は2年以上、福祉系大学・社会福祉士養成施設・保育士養成施設のいずれかを卒業した人は1年以上養成施設に通って卒業することで、介護福祉士国家試験を受験できます。1~2年の通学で受験資格を得られるため、介護福祉士を取得するルートのなかで最短です。
なお、2027年3月31日までに養成施設を卒業する人は、卒業後5年間は国家試験の受験の有無や合否に関わらず、介護福祉士として扱われます。卒業から5年間継続して介護業務に従事した場合は、引き続き介護福祉士の資格が有効。途中で現場を離れるなど、実務経験が5年に満たない場合は、国家試験を受験して合格しなければ資格が失われます(やむを得ない休業による期間は除く)。
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3.実務経験ルート
実務経験ルートは、現場で介護業務を行いながら介護福祉士の取得を目指すルートです。「介護等の実務経験を3年かつ540日以上積む」「介護福祉士実務者研修を修了する」の2つの条件を満たすことで、介護福祉士国家試験を受験できます。大学や養成施設に通う必要がないため経済的負担が軽く、働きながら資格取得を目指しやすいのが特徴のルートです。
出典
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]受験資格」(2025年3月27日)
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介護福祉士の難易度
厚生労働省の「第37回介護福祉士国家試験合格発表について」によると、2025年の介護福祉士国家試験の合格率は78.3%でした。合格率が10~20%の国家資格があることを考えると、比較的難易度は低めといえるでしょう。
介護福祉士試験に合格するには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 総得点125点の60%程度(難易度により補正された点数以上)を正答する
- 11科目群すべてで最低1問以上の正解がある
合格ライン以上の点数を獲得することはもちろんですが、11の試験科目すべてで最低1問の正答が求められます。合格基準以上の点数が取れていても、0点の科目があると不合格になってしまうため注意が必要です。
出典
厚生労働省「第37回介護福祉士国家試験合格発表について」(2025年3月27日)
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]合格基準」(2025年3月27日)
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介護福祉士として転職を成功させるポイント
介護福祉士として転職を成功させるには、求人や職場環境をチェックすることが大切です。ここでは、介護福祉士として転職を考えている方が注目すべきポイントを解説します。
研修制度や福利厚生をチェックする
自身が希望するキャリアプランを実現させるためには、職場にどのような制度が整えられているかが鍵となります。新人研修やスキル別の研修、教育制度の仕組みなどは、求人ごとに必ずチェックしましょう。職場に人材を育成する姿勢があれば、充実した研修制度が整備されていることが期待できます。
また、福利厚生もきちんと確認することが重要です。住宅手当や社内託児所などの福利厚生が充実している事業所は、職員の働きやすさに目を向けていると考えられます。
人間関係が良好な職場を選ぶ
職場の人間関係が良好かどうかは、介護福祉士として無理なく仕事を続けられるかどうかに関わる重要なポイントです。施設見学や面接の際は、職場の雰囲気や挨拶の有無、利用者さんへの対応などを確認しましょう。事前に人間関係をチェックすることで、入職後のミスマッチの防止につながります。
介護福祉士として自分らしく働きたい方は、レバウェル介護(旧 きらケア)の就職・転職支援サービスを活用してみませんか?
レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界に特化した転職エージェント。あなたの保有資格やこれまでの経験を活かせる求人をご紹介できます。ご自身の希望だけでなく、適性を加味した求人提案もしているので、「長期活躍できる職場を探したい」「転職を成功させたい」というニーズに寄り添ったサポートが可能です。すべてのサービスは無料で利用できるので、まずは気軽にお問い合わせください。
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介護福祉士が転職で有利に働くことに関する質問
ここでは、介護福祉士が転職で有利に働くことに関する質問にQ&A形式でお答えします。介護福祉士の強みや、介護現場以外に転職で有利になる職場があるか気になる方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
介護福祉士の強みは何ですか?
介護福祉士の強みは、専門的なスキルを活かして利用者さんと信頼関係を築けることです。また、介護福祉士は国家資格のため、転職活動時にスキルを評価してもらえたり、資格手当による給料アップを目指せたりするメリットもあります。
転職における介護福祉士の強みは、「介護福祉士が転職で有利に働く3つの理由」の項目で触れているので、ぜひご一読ください。
介護福祉士の資格は現場以外への転職でも有利になる?
介護現場以外に、介護福祉士養成施設や福祉系高校、介護関連の研修などに携わる講師に転職する際に、介護福祉士の資格が有利に働く可能性があります。また、介護福祉士として働いた経験を活かし、社会福祉士や保育士、事務職などの職種として活躍することも可能です。将来的に介護現場以外で働きたい場合も、資格を取得しておけば転職先の選択肢が広がるでしょう。
介護福祉士の現場以外の職場について詳しく知りたい方は、「介護福祉士の資格があれば現場以外の仕事ができる?経験の活かし方を解説!」の記事をご参照ください。
まとめ
介護福祉士の資格があると、専門的なスキルが身についていることを証明できるため、転職活動で有利に働く可能性があります。介護福祉士は処遇改善加算の要件の一つなので、事業所からのニーズが高いことなどが、転職に活かせる理由です。介護福祉士の資格を保有していれば、条件交渉に活かせたり転職先の選択肢が増えたりして、自分の希望に合った求人を見つけやすくなるでしょう。
また、介護福祉士の資格を取得することで、給与アップやキャリアアップにもつながります。介護業界で長期活躍したいと考えている人は、キャリアプランに良い影響を与えられるでしょう。
介護福祉士として転職する際は、福利厚生や人間関係のチェックが重要です。職員のことをきちんと考えている職場なら、働きながらキャリアプランを叶えやすいでしょう。
「介護福祉士として自分らしく働ける職場を探したい」という方は、レバウェル介護(旧 きらケア)へご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)のキャリアアドバイザーが、職場環境や労働条件など、応募先に直接聞きづらいことを代わりにリサーチします。また、資格取得支援に前向きな職場をご紹介することもできるので、ぜひご活用くださいね。
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