
この記事のまとめ
- 厚生労働省の調査によると、常勤の介護職員の平均時給は1,110円
- 処遇改善により、パートの介護職員の時給は今後上がる可能性がある
- 介護職が給与を上げる方法は、夜勤を増やすことや資格を取得すること
「介護職の時給はどれくらい?」と気になる方もいるかもしれません。厚生労働省の調査によると、2024年における常勤の介護職員の平均時給は1,110円でした。資格取得や勤続年数を重ねることによって、時給は上がる傾向にあります。この記事では、介護職員の平均時給を、施設別や保有資格別に解説。介護報酬改定でパート職員の時給は上がるのかも説明します。介護職の時給に興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。
介護職員の時給相場はどれくらい?
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 (p.178)」によると、常勤の介護職員の平均時給は1,110円、非常勤の介護職員の平均時給は1,220円です。
時給は地域によって差があり、都市部の場合は平均よりも高い場合があります。また、施設形態や保有資格、施設の規模によっても時給は異なるため、平均時給はあくまで参考としてご覧ください。
出典
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年4月3日)
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介護職員の施設別の平均時給
ここでは、厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 (p.181)」をもとに、時給制で働く介護職員の平均時給を施設・事業所別にご紹介します。
施設・事業所名 | 平均時給(常勤) | 平均時給(非常勤) |
全体 | 1,110円 | 1,220円 |
特別養護老人ホーム | 1,100円 | 1,130円 |
介護老人保健施設 | 1,030円 | 1,110円 |
介護医療院 | 980円 | 1,080円 |
訪問介護事業所 | 1,240円 | 1,380円 |
デイサービス | 1,090円 | 1,080円 |
デイケア | 1,080円 | 1,080円 |
介護付き有料老人ホームなど | 1,140円 | 1,140円 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 1,070円 | 1,070円 |
グループホーム | 1,040円 | 1,060円 |
参考:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 (p.181)」
介護職員の平均時給が最も高いのは、訪問介護事業所です。訪問介護事業所で働くには、介護職員初任者研修といった資格が必要なことや、介護施設よりも人手不足の傾向にあることから、時給が高いと考えられます。
また、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなど、介護度の高い利用者さんが入居対象に含まれる施設も、平均時給が高いようです。
出典
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年4月3日)
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パートとして働く介護職員の保有資格別の平均時給
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 (p.165)」を参考に、時給制・非常勤で働く介護職員の平均時給を算出したので、パートの時給が気になる方はチェックしてみましょう。
なお、下記の平均時給は(平均給与額÷実労働時間数)で計算しており、資格手当などを含んだ金額です(小数点以下切り捨て)。
保有資格 | 平均時給 (平均給与額÷実労働時間数) |
保有資格なし | 1,330円 |
介護職員初任者研修 | 1,578円 |
介護福祉士実務者研修 | 1,552円 |
介護福祉士 | 1,612円 |
社会福祉士 | 1,477円 |
ケアマネジャー(介護支援専門員) | 1,589円 |
参考:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 (p.165)」
保有資格別に見て、介護職員の平均時給が最も高いのは、介護福祉士の1,612円です。無資格の場合と比較すると、約280円高くなっています。
専門的な資格を保有していれば、資格手当が支給されたり、時給が高くなったりする介護施設もあるため、時間あたりの給与が高くなるようです。ただし、資格手当は支給されない職場もあるので、転職の際は事前に確認しておくと良いでしょう。
出典
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年4月3日)
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介護職員の時給は安い?
介護業界において、「介護職員の時給は低い」といわれることがあります。
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 (p.178)」をもとに、職種ごとの平均時給を以下にまとめました。
職種 | 常勤の平均時給 | 非常勤の平均時給 |
介護職員 | 1,110円 | 1,220円 |
看護職員 | 1,470円 | 1,460円 |
生活相談員・支援相談員 | 1,200円 | 1,190円 |
リハビリ専門職員 | 1,310円 | 1,600円 |
ケアマネジャー | 1,360円 | 1,330円 |
事務員 | 1,060円 | 1,080円 |
調理員 | 1,030円 | 1,020円 |
管理栄養士・栄養士 | 1,190円 | 1,240円 |
参考:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 (p.178)」
介護職員の平均時給は、医療系の資格が必要な看護職員やリハビリ専門職と比べると低いですが、要件がなく利用者さんの援助に直接関わらない事務員や調理員よりは高いようです。
介護業界において、介護職員の時給が特別低いわけではないものの、「求められる仕事に対して、時給が低い」という声は少なくありません。資格がなくても介護職員になることはできますが、安全に介護を行うためには、専門的な知識や技術の習得が必要です。
介護職員は、身につけたスキルが時給に反映されなければ、やりがいを感じられなくなることもあるかもしれません。時給に不満を感じないためには、条件面や評価制度をしっかり確認したうえで、納得して働ける職場を選ぶことが大切です。
出典
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年4月3日)
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介護職員の時給が上がりにくい理由
介護職員の時給が上がりにくい理由として、「専門性が評価されていないこと」が挙げられます。介護職には高度な知識や技術が必要とされるものの、無資格からも就職が可能です。そのため、専門的な資格が必須の職種と比較すると、時給が低い傾向にあります。
さらに、介護職員の給与が、介護事業所の主な収入源である「介護報酬」から支払われることも、時給アップが難しい理由の一つです。
「介護報酬」とは、介護事業所が提供した介護サービスの対価として、市区町村と利用者さんから受け取るお金のこと。「介護報酬」の金額は、提供している介護サービスの種類や利用者さんの介護度などによって決まります。そのため、「施設の努力だけでは、介護職員の給料を上げられない」という現実もあるようです。
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介護報酬改定でパート職員の時給は上がる?
厚生労働省が発表した「令和6年度介護報酬改定における改定事項について/基本報酬の見直し」には、「介護職員の処遇改善分として、+0.98%を措置する」と、介護報酬のプラス改定について記載されています。
介護報酬改定による賃上げの配分や金額などは職場の裁量に任されているものの、正社員だけでなくパート職員も処遇改善の対象です。そのため、パートの介護職員の時給も今後上がる可能性があります。日本では、高齢化により介護職員の需要が高まっているため、今後も処遇改善は継続される見込みです。
出典
厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(2025年4月3日)
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介護職が給与を上げる4つの方法
介護職員が時給を上げるためには、「夜勤の回数を増やす」「資格を取得する」「同じ職場に長く勤める」などの方法があります。下記で解説するので、参考にしてみてください。
1.夜勤の回数を増やす
夜勤に入ると、夜勤手当や深夜手当が支給されるため、給与を上げられます。夜勤があるのは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホーム、グループホームといった入居型の施設です。夜勤専従といって、夜勤シフトのみの勤務形態もあります。早く収入を上げたい場合は、夜勤に多く入る選択肢もあるでしょう。
ただし、夜勤には、生活リズムが乱れるなど一定の身体的な負担があります。給与アップを目指す場合は、自身の体調を考慮したうえで働き方を検討してみると良いでしょう。
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2.資格を取得する
資格を取得することで、資格手当が支給されたり時給が上がったりする可能性があります。レバウェル介護(旧 きらケア)が2023年10月に行った調査では、介護福祉士179人のうち、124人が「資格手当をもらっている」と回答。支給額は、5,000~10,000円が最多の44%でした。
ただし、勤務先の方針や保有資格、雇用形態によって待遇は異なるため、転職の際は事前のリサーチが大切です。
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3.同じ職場に長く勤める
介護施設では、勤続年数に応じて時給が上がることも少なくありません。介護職員が給与を上げるには、コツコツと経験を積むことも大切です。
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 (p.191)」によると、非常勤・時給制で働く介護職員の勤続年数別の平均時給は、以下のようになっています。
勤続年数 | 平均時給(非常勤) |
1年~4年 | 1,200円 |
5年~9年 | 1,210円 |
10年以上 | 1,240円 |
参照:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 (p.191)」
勤続1~4年の介護職員の平均時給1,200円に対し、勤続10年以上の介護職員の平均時給は1,240円となっています。介護職員は、一つの施設に長く勤めることで時給が上がる傾向にあるようです。
また、同調査によると、2023年・2024年ともに在籍している非常勤・時給制の介護職員の平均時給は、1年間で40円アップしています。したがって、勤続年数を重ねていくことで時給が上がる可能性があるといえるでしょう。
出典
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」」(2025年4月3日)
4.時給が高い介護施設に転職する
給料アップを目指すのなら、時給が高く設定されている介護施設へ転職するのも選択肢の一つです。特に、「資格を持っているけど給料が上がらない」「職場に処遇改善手当の制度がない」「現在の待遇や環境に不満がある」といった場合は、転職を検討してみても良いかもしれません。
転職の際は、時給だけではなく、資格手当や夜勤手当の金額、交通費が支給されるかどうかなどもチェックしておきましょう。
介護業界を専門とする転職支援サービスの「レバウェル介護(旧 きらケア)」では、専任のアドバイザーが丁寧にカウンセリングを行い、条件や適性に合った求人をご紹介します。さらに、時給や待遇などの条件交渉も代行可能。内定までしっかりとサポートいたします。「どんな求人があるの?」「自分に向いている介護施設を知りたい」という相談だけでもOKなので、ぜひご活用ください。
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介護職の時給に関するよくある質問
ここでは、介護職の時給に関するよくある質問をご紹介します。「パートの時給はいくら?」「介護福祉士の時給相場はどれくらい?」という疑問がある方は、参考にしてみてください。
パートで働く介護職員の平均時給はいくらですか?
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.178)」によると、常勤の介護職員の平均時給は1,110円、非常勤の介護職員の平均時給は1,220円となっています。ただし、時給は、地域や施設の規模、保有資格などによって異なるのが実情です。都市部の施設や夜勤のある職場は、時給が高い傾向にあります。
収入アップを目指す介護職の方は、この記事の「介護職が給与を上げる4つの方法」を参考にしてみてください。
介護福祉士の時給相場はどれくらい?
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.165)」から算出した、非常勤・時給制で働く介護福祉士の平均時給は、1,612円です(平均給与額÷実労働時間数)。無資格の介護職員の平均時給は1,330円なので、介護福祉士の方が280円程度高いことが分かります。介護職は、保有資格によって、資格手当が支給されたり時給が上がったりすることがあるため、介護福祉士の時給は高い傾向にあります。
保有資格ごとの平均時給を知りたい方は、この記事の「パートとして働く介護職員の保有資格別の平均時給」をご覧ください。
介護派遣の時給相場はいくら?
厚生労働省の「令和5年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)(p.10)」から、介護派遣(介護サービス職業従事者)の時給を算出すると、1,355円(日給10,840円÷労働時間8時間として計算)となります。介護派遣の給与事情をもっと詳しく知りたい方は、「介護派遣の時給相場はどれくらい?正社員との比較や収入を上げる方法を解説」の記事も参考にしてください。
派遣社員として働く場合、福利厚生が充実している派遣会社を選ぶのがポイント。派遣の働き方に興味がある方には、社会保険制度や資格取得支援などが整備されている「レバウェル介護派遣(旧 きらケア介護派遣)」がおすすめです。
出典
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年4月3日)
厚生労働省「労働者派遣事業の事業報告の集計結果について)」(2025年4月3日)
まとめ
厚生労働省の調査によると、2024年における常勤の介護職員の平均時給は1,110円、非常勤の介護職員の平均時給は1,220円です。ただし、介護職員の時給は、施設形態や保有資格、地域などによって異なります。
介護職員が給与・時給を上げるには、夜勤の回数を増やしたり資格を取得したりするのが効果的です。また、同じ職場に長く勤めることで昇給する可能性もあります。
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