ショートステイの仕事内容とは？介護職員の役割と1日の流れを解説

介護職への転職を考えている方のなかには、「ショートステイの仕事内容を知りたい」という方もいるかもしれません。ショートステイの介護職員の仕事は、身体介護や生活援助などです。勤務先によっては、長期入所施設の業務を兼務することもあります。この記事では、ショートステイで働く介護職員の仕事内容や1日のスケジュールを解説。ショートステイで働くメリットも紹介するので、転職活動の参考にしてみてください。

ショートステイで働く介護職員の仕事内容

ショートステイの介護職員の仕事内容は、身体介護や生活援助、レクリエーションの企画・実施などです。ショートステイの仕事内容は、ショートステイを提供する施設によって異なるため、転職の際は事前に応募先に関する情報収集を行いましょう。
ここでは、ショートステイで働く介護職員の仕事内容を解説します。

身体介護

身体介護とは、利用者さんの身体に直接触れる介護のことです。介護職員は、食事や入浴、排せつ、着替えなど、身の回りのことを1人で行うのが難しい利用者さんに対して、一人ひとりの身体状態に合わせたサポートを行います。

施設による差はありますが、ショートステイの利用者さんは、自立度が高い方から手厚い介護を必要とする方まで幅広く、入れ替わりが多いのが特徴です。利用者さんの要介護度によって、その日の身体介護の量や負担は異なるでしょう。

生活援助

介護施設における生活援助とは、利用者さんの身体に直接触れない介護サービスのことです。具体的には、居室整備やベッドメイキング、洗濯などです。介護職員は、利用者さんが快適かつ安全に日常生活を送れるように、生活環境を整えます。

また、新たに利用者さんが入居する際の、居室の準備も介護職員の仕事です。利用者さんの身体状態に応じて、離床センサーやベッド柵カバー、ポータブルトイレなどの必要性を検討し、配置を調整します。ショートステイの利用者さんは短期間で入退所するため、居室の準備を行う機会も多くなります。

レクリエーションの企画と実施

レクリエーションを行う施設では、介護職員が中心となってレクリエーションの企画や運営を担当します。レクリエーションの主な目的は、利用者さん同士や職員との交流を促すことや、利用者さんに楽しみや生きがいを感じてもらうこと。身体機能や脳機能の維持・向上も目的の一つです。

入職して間もない時期は、「安全に参加できているか」「急な体調の変化はないか」など、利用者さんの見守りを行うことになるでしょう。入職してすぐにレクリエーションの企画や運営を任されることはほとんどないので、働きながら学んでいけば大丈夫です。
介護施設におけるレクリエーションについては、「高齢者向けのレクリエーション25選！盛り上がる進め方や企画のコツも解説」をご覧ください。

送迎業務

施設によっては、利用者さんの自宅と施設間の送迎を行う場合があります。送迎専門のスタッフがいる施設もありますが、多くの職場では介護職員が送迎を行うようです。

送迎業務では、車の運転に加えて乗降時の介助も行います。また、ご家族との情報共有も大切な業務です。入居時は、普段の利用者さんの様子や体調の変化などの情報収集を行い、退去時は施設での利用者さんの様子や提供した介護サービスなどをご家族に伝えます。

医療的ケア

ショートステイのなかでも短期入所療養介護施設は、喀痰吸引や胃ろうなどといった医療的ケアに対応しています。医療的ケアは、医師や看護職員が担当するのが基本です。しかし、介護職員も資格を取得し一定の条件を満たせば、一部の医療的ケアの実施が可能です。職場によっては介護職員も、医療的ケアの一部を任せられることがあります。

ショートステイとは

ここでは、ショートステイについて解説します。ショートステイへの転職を迷っている方はチェックしてみてください。

ショートステイの役割

ショートステイとは、普段自宅で生活をしている方が短期間施設に入所して、身体介護や生活援助などを受ける介護サービスです。原則として、連続した利用は最長30日までとされています。

ショートステイは普段介護をしている方が、体調不良や冠婚葬祭などにより一時的に介護ができない際に利用できる介護サービスです。また、介護者が一時的に介護を離れて、息抜きをするための「レスパイトケア」としての役割もあります。

ショートステイを提供している施設や事業所の種類

ショートステイを提供する施設には、「併設型」と「単独型」、「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」があります。ここでは、ショートステイを提供する施設について解説します。

併設型と単独型

ショートステイには、「単独型」と「併設型」があります。
「単独型」とは、ショートステイに特化している施設のことです。短期入所の利用者さんだけを受け入れています。

一方「併設型」は、特別養護老人ホーム（特養）や介護老人保健施設（老健）といった、長期入所施設に併設されているショートステイのことです。施設により、ショートステイ専用の居室を設けている場合や、空いている居室をショートステイに活用している場合などがあります。併設型のショートステイで働く介護職員は、長期入所施設の業務を兼務することになるでしょう。

厚生労働省の「短期入所生活介護（p.13）」によると、ショートステイの約8割は併設型・併設型ユニット型です。また、「同資料（p.15）」をみると、併設型のうち94.2%は特養が占めています。ショートステイは、特養に併設されていることが多いようです。

短期入所生活介護と短期入所療養介護

ショートステイは、「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2種類があります。この2つの大きな違いは提供サービスです。

「短期入所生活介護」では、身体介護や生活援助などの日常生活を送るうえでの身の回りの世話を提供します。利用対象者は、要介護認定を受けている方です。特養や老健に併設されている併設型とショートステイに特化した単独型があります。

「短期入所療養介護」は、医療の必要性が高い方を対象としたサービスで、介護サービスに加えて、医療的ケアやリハビリなども提供しているのが特徴です。「医療型ショートステイ」とも呼ばれ、療養病床のある病院や診療所、介護医療院などが提供しています。

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ショートステイとほかの入所施設との違い

ショートステイと一般的な入所施設の主な違いは、入所期間や目的です。先述したとおり、ショートステイは、1～30日間ほどの一時的な利用が基本ですが、特養や有料老人ホームなどの一般的な入所施設は、基本的に入所期間の定めはありません。

また、ショートステイは、介護者の負担軽減など、在宅介護支援の役割が大きいのが特徴です。一方で一般的な入所施設は、終の棲家として利用する方も少なくなく、見取りケアも行われています。

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ショートステイの介護職員の1日のスケジュール

ショートステイでは、24時間体制で利用者さんのケアを行っているため、介護職員は日勤と夜勤のシフトで交代しながら勤務しています。
ここでは、入所施設で働く介護職員の1日のスケジュール例を日勤と夜勤に分けて紹介します。仕事内容や勤務時間は職場によって異なるため、転職の際は事前に確認するようにしましょう。

日勤の介護職員のスケジュール例

下記は、日勤の介護職員のスケジュール例です。

午前8時	出勤し、夜勤職員からの申し送りと引き継ぎを行い、1日の業務の流れを確認。利用者の健康状態などを情報共有を行う
午前8時30分	朝食の準備を行い、サポートが必要な利用者さんがいれば食事介助を行う。朝食後は、口腔ケアや服薬介助をする
午前9時	ショートステイの利用者さんを自宅までお迎えに行く
午前9時30分	バイタルチェックを行い、入浴する利用者さんの入浴介助を実施。居室の清掃やシーツ交換なども行う
正午	昼食の準備を行い、サポートが必要な利用者さんがいれば食事介助を行う
午後2時	レクリエーションの実施。進行役の職員以外は、利用者さんに体調の変化はないか、転倒の危険性はないかなどを見守りをする
午後3時	お茶やおやつの準備をして、必要な方には食事介助をする
午後4時	帰宅される利用者さんを自宅まで送り届ける。ご家族に、利用者さんの様子や提供した介護サービスなどを説明する
午後5時	事業所に戻り、介護記録を記入。利用者さんの状態などを夜勤担当者へ引き継いだら退勤する

日勤の介護職員の仕事は、身体介護や生活援助などが中心です。上記の業務と並行して、排せつ介助やバイタルチェックも行います。

夜勤の介護職員のスケジュール例

ここでは、介護職に多い、ロング夜勤のスケジュール例を紹介します。

午後4時30分	出勤したら日勤から引き継ぎを行い、利用者さんの健康状態などを情報共有をする
午後5時	夕食の準備をする。サポートが必要な利用者さんがいれば食事介助をする。食事後が、口腔ケアや服薬介助を行う
午後8時	トイレ誘導やおむつ交換など、就寝の準備をする。麻痺などで1人で着替えが難しい利用者さんがいれば、更衣介助を行う
午後9時	消灯後は、定期的に見回りや排せつ介助、体位交換などを実施。徘徊がある利用者さんやコールなどの対応を行う
午後11時	介護職員は、交代で仮眠をとる
翌日午前6時30分	起床した利用者さんのバイタルチェックをする。更衣介助や洗顔のサポートなど、利用者さんの起床準備を行う
午前7時30分	朝食の準備をする。サポートが必要な利用者さんがいれば食事介助をする
午前8時30分	日勤への申し送りや引き継ぎをしたら、退勤をする

夜間は利用者さんの活動が少なくなるため、定期的な巡回や体位交換、おむつ交換などの業務が多くなるでしょう。

職場による差はありますが、ロング夜勤の勤務時間は16時間ほどで、途中1～2時間程度の休憩があります。また、16時間勤務という身体的な負担を考慮して、夜勤明けの翌日を休みにする職場が多いようです。
介護職のシフトが気になる方は、「介護職に多いシフト勤務はどのような働き方？交代制や組み方について解説！」もご覧ください。

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ショートステイが向いている人の特徴

ここでは、ショートステイの仕事に向いている人の特徴を紹介します。ショートステイの介護職に興味のある方は、チェックしてみてください。

コミュニケーション能力のある人

コミュニケーション能力が高い人は、ショートステイの介護職員に向いているでしょう。介護職は、利用者さんやご家族、介護職員、看護職員といった人との関わりが多い仕事です。コミュニケーション能力が高い人は、利用者さんやご家族との信頼関係を築きやすく、頼りにされるでしょう。また、周囲の職員との連携もスムーズに取れるので、業務を円滑に進められます。

観察力のある人

ショートステイの介護職は、観察力がある人に向いている仕事です。高齢者は環境の変化に敏感な場合があるため、ショートステイによる生活環境の変化で体調を崩してしまうことがあります。利用期間が短い利用者さんは、普段の様子の把握が難しいため、利用者さんの様子の変化に素早く対応するには観察力が必要です。観察力がある人は、利用者さんの身体状態や精神状態に合ったサービスの提供ができるでしょう。

臨機応変な対応ができる人

臨機応変な対応が得意な方も、ショートステイの介護職で活躍できます。ショートステイは利用者さんの入れ替わりが多いなかで、新しい利用者さんのニーズに合わせて柔軟に対応することが求められます。新しく入所した利用者さんの情報を素早く覚えて対応できる人は、ショートステイの介護現場で重宝されるでしょう。

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ショートステイの介護職で働くメリット

ショートステイの介護職で働くメリットには、「さまざまな状態の利用者さんに関われる」「観察力が身に付く」などがあります。下記で、解説するのでチェックしてみてください。

さまざまな状態の利用者さんに関われる

ショートステイの介護職は、多くの利用者さんのケアを経験できるのがメリットです。ケアの方法は一つではなく、利用者さんの数だけあります。利用者さんの入れ替わりが多いショートステイでは、短期間で複数の利用者さんと関わる機会があるため、さまざまなケアの方法を身につけられるでしょう。

観察力が身に付く

前述のとおりショートステイの介護現場では、短期間で利用者さんの性格や身体状態を把握する観察力が求められます。観察力を必要とする環境に身を置くことで、観察力を身につけられるでしょう。介護職員としての観察力は、ショートステイに限らず、ほかの介護施設でも活かせます。

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ショートステイで介護職員がきついと感じること

ショートステイの介護職員は、「利用者さんの情報を覚えるのが大変」「信頼関係ができたころに退所になる」などに、きついと感じることがあるようです。下記で解説します。

利用者さんの情報を覚えるのが大変

ショートステイの介護職員は、短期間で入れ替わる利用者さんの身体状況やニーズ、性格などを把握する大変さがあるため、きついと感じることがあるようです。ショートステイでは、1ヶ月間に複数の利用者さんが入れ替わることがあります。利用者さんによって行う介助が異なるので、新しい利用者さんが入所するたびに、情報を覚え直さないといけません。経験が浅い場合は、慣れるまで大変さを感じることがあるようです。

信頼関係ができたころに退所になる

ショートステイは、利用者さんとの信頼関係を築くのが難しい面もあります。ショートステイの利用者さんは、施設での生活や職員に慣れる前や、慣れてきたころに退所することは少なくありません。入所期間が限られているため、利用者さんとの信頼関係を築くのが難しい傾向にあります。利用者さんの入れ替わりが多いことに、さみしさを感じる介護職員もいるようです。

ショートステイの介護職員の平均給料

ショートステイの介護職員の平均給料は、勤め先によって異なります。以下では、厚生労働省の「令和６年度介護従事者処遇状況等調査結果（p.129）」を参考に、ショートステイを併設する場合がある介護施設や事業所で働く介護職員の平均給与をまとめました

施設形態	平均給与（常勤）	平均給与（非常勤）
特別養護老人ホーム（特養）	361,860円	257,620円
介護老人保健施設（老健）	352,900円	226,310円
有料老人ホーム	361,000円	230,360円
小多機居宅介護事業所	305,220円	236,060円
介護医療院	330,030円	データなし

参考：厚生労働省「令和６年度介護従事者処遇状況等調査結果（p.129）」

平均給与が最も高いのは、特別養護老人ホーム（特養）の361,860円です。続いて、有料老人ホームが361,000円となっています。
なお、実際の給与は、地域や業務内容、保有資格などによって異なるので、転職の際は応募先の勤務条件を調べましょう。

また、転職活動で給与だけをみて転職先を選ぶと、「職場環境が合わない」「求められるスキルについていけない」などの理由で、働きにくさを感じる可能性があります。転職の際は、給料や勤務条件だけでなく、「自分がやりたい介護は何か」を明確にたうえで、それを叶えられる職場を探すようにすると良いでしょう。

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ショートステイに関するよくある質問

ここでは、ショートステイに関するよくある質問を紹介します。ショートステイへの転職を悩んでいる方は、参考にしてみてください。

ショートステイの職員体制は？

ショートステイ（短期入所生活介護）で働く職種は、「医師」「生活相談員」「介護職員」「看護職員」「栄養士」「機能訓練指導員」などです。厚生労働省の「短期入所生活介護（p.3）」によると、人員基準について医師や栄養士、機能訓練指導員はそれぞれ「1人以上」、生活相談員は「利用者さん100人に対して常勤換算で1人以上、うち1人は常勤」と定められています。介護職員や看護師の人員基準は、「利用者さん3人に対し常勤換算で1人以上、うち1人は常勤（利用定員が20人未満の併設事業所を除く）」です。
「ショートステイの介護職員は何をしているの？」と気になる方は、「ショートステイで働く介護職員の仕事内容」をご覧ください。

ショートステイで働くのに資格は必要？

ショートステイの介護職は、無資格でも働くことは可能です。ただし、無資格の介護職員は単独での身体介護を行えないため、従事できる業務の幅が狭くなってしまいます。また、無資格の介護職員は、入職から1年以内に「認知症介護基礎研修」の受講が義務付けられているため、無資格のまま働き続けることはできません。介護職員として長く働きたい方は、資格取得を目指したほうが良いでしょう。
介護の資格について知りたい方は、「介護の資格はどんな順番で取れば良い？取得方法やメリットも解説！」も参考にしてみてください。

まとめ

ショートステイとは、自宅で介護を受けながら生活をしている方が、短期間施設に入所して生活する施設です。介護職員は、身体介護や生活援助など行い、利用者さんの日常生活をサポートします。勤務先によっては、レクリエーションの企画・運営、利用者さんの送迎なども行うでしょう。

ショートステイには、併設型と単独型があり、併設型の場合は、ショートステイの利用者さんと長期入所の利用者さんのケアを行います。厚生労働省によると、ショートステイの8割が併設型・併設ユニット型で、このうち約94%は特養が占めているとのことです。
ショートステイで働きたい場合は、ショートステイを受け入れている特養の求人を探すと良いでしょう。

ショートステイの仕事に興味がある方のなかには「ショートステイの仕事が自分に合っているか分からない」という方もいるかもしれません。職場によって仕事内容が違うこともあるので「想定していない仕事があったらどうしよう…」と不安を感じることもあるでしょう。

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