
この記事のまとめ
- 特養と老健のどちらが働きやすいかは、どのような働き方がしたいかで異なる
- 特養と老健それぞれの概要や向いている人の特徴から、自分に合う職場を探す
- 自分に合う職場に転職するコツは、自己分析を行うことや求人を比較すること
「特養と老健ってどちらが働きやすいの?」と疑問に思う方も多いでしょう。働きやすいと感じるポイントは、人それぞれです。施設形態ごとの特徴を把握し、自分に合った職場を見つけましょう。この記事では、特養と老健の仕事内容、働くメリット・デメリットを解説しています。向いている人の特徴も紹介しているので、特養と老健では自分にとってどちらが働きやすいのか判断する際の参考にしてみてください。
特養と老健はどちらが働きやすいの?
人によって働きやすいと感じる職場は異なります。以下の表で、特養と老健の違いを簡単に解説しているので、ぜひご覧ください。
特養 |
老健 |
|
サービスの特徴 |
長期的な生活の場として利用者さんをサポートしている |
利用者さんの在宅復帰を目的としてサポートをしている |
利用者さんの層 |
要介護3以上で65歳以上の方 |
要介護1以上で65歳以上の方 |
給料(手取り) |
20万~25万円未満が相場 |
20万~25万円未満が相場 |
向いている人の特徴 |
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上記に挙げた違い以外にも、後述する仕事内容や働くメリット・デメリットなどを比較して、自分の働きやすい職場かどうか判断しましょう。職場の労働条件や雰囲気、人間関係によっても働きやすさが異なるので、実際に見学してみるのもおすすめです。
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特養(特別養護老人ホーム)とは
特養(特別養護老人ホーム)とは、中度〜重度の介護が必要で在宅での日常生活が難しくなった方の生活をサポートする施設のことです。地方自治体や社会福祉法人が運営する公的な施設で、ユニット型と従来型があります。原則として、要介護度3以上に認定されている65歳以上の方が利用対象。看取り対応も行っており、終の棲家として長期的な利用ができるのが特徴です。
特養の仕事内容
特養は、利用者さんの介護度が高い傾向にあるため、食事・入浴・排泄などの身体介助を行う機会が多数あります。そのため、ある程度の介助スキルや経験が求められるでしょう。
終の棲家として長く利用する利用者さんが多いので、長期的なケアが可能。長期的な生活を楽しんで過ごしてもらうためにも、レクリエーションや季節のイベントの企画、体操、生活リハビリなどを行います。利用者さんの身体機能の維持・向上のサポートも特養で働く職員の大切な仕事の一つです。
特養で働く介護職員の平均給与
レバウェル介護が実施したアンケート調査「きらケア介護白書2022(p21)」によると、特養で働く介護職員(正社員)の手取り給与(月給)は、20万円~25万円未満が最も多い(42.2%)です。介護施設全体の常勤の手取り給与は、15万円~20万円未満の割合が最も高い(38.5%)ため、特養の平均給与は、介護施設全体と比較して高い傾向があります。

※きらケア介護白書2022をもとに作成
特養で働く介護職員(非常勤)では、手取り給与が10万円未満の方が最も多く38%を占めています。非常勤の給与は、介護施設全体のデータと同様の傾向です。給料は、施設や経験年数、保有資格によっても異なるのであくまで参考としてご覧ください。
出典
Leverages MedicalCare Co.「きらケア介護白書2022」(2024年2月27日)
特養で働くメリット
特養は、地方自治体や社会福祉法人が運営している公的施設なので、安定して働けます。また、利用者さんの要介護度が3以上と高いため、専門性の高い介護スキルを身につけられるでしょう。看護師がいるので、利用者さんの体調不良や緊急対応も安心です。
特養で働くデメリット
特養は、終の棲家として利用されることもあるため看取り看護を行います。長くお世話をしてきた方を看取る際は精神的にしんどいと感じることも。また、利用者さんの要介護度が高い分、身体介助をすることが多く、体力的な負担も大きいようです。規模が大きな施設では、利用者さんへのケアが淡々としてしまう可能性も。利用者さん一人ひとりに合わせた手厚いケアを行いたいと考えている方には、デメリットに感じるでしょう。
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老健(介護老人保健施設)とは
老健(介護老人保健施設)とは、怪我や病気により入院していた方が、退院後に在宅への復帰を目指すための施設です。主に、医療的ケアやリハビリを行っており、病院から自宅に戻る間に入居する施設と考えると分かりやすいでしょう。老健は、要介護1以上で65歳以上の方が利用できます。老健は自宅に戻ることを目的としているので、入所期間が定められており、約3~6ヶ月ほどです。また、必ずしも在宅復帰できるわけではなく、老健を退所後、特養や有料老人ホームなどの介護施設に入居することもあります。
老健の仕事内容
老健では、専門職によるリハビリを行うので、介護職員は身の回りのことをすべてするのではなく、利用者さんだけでは難しいことをサポートするのが仕事です。在宅復帰を目指す施設なので、寝たきりの利用者さんの多い施設に比べて体力的な負担は少ない傾向があります。
老健では、医療ケアを受けている利用者さんもいるため、個別の配慮が求められることも。看護師や医師、リハビリ専門員、機能訓練指導員など幅広い職種が活躍しており、他職種との連携が必須となっています。また、特養に比べてレクリエーションやイベントは積極的に行わない施設が多いようです。
老健で働く介護職員の平均給与
レバウェル介護の「きらケア介護白書2022」によると、老健で働く介護職員(常勤)の手取り給与(月給)は、20万円~25万円未満が38.3%と最も多く、次いで15万円~20万円未満(36.4%)と続きます。介護職全体の手取り給与は、15万円~20万円未満の分布が最も多いため、介護職全体よりも給料が高いと言えます。

※きらケア介護白書2022より作成
月給が20万円以上の割合を特養と老健で比較すると、特養では58.6%、老健では55.0%なので、特養の方が少しだけ給与水準が高いといえそうです。
出典
Leverages MedicalCare Co.「きらケア介護白書2022」(2024年2月27日)
老健で働くメリット
老健では、医療やリハビリの現場を見ることができ、介護に関する知見を広げられます。利用者さんが回復していく様子も間近で見守れるので、やりがいを強く感じられるでしょう。また、老健の看護師は、介護職員総数の2/7程度が配置されるため、ほかの介護施設より多い傾向があります。夜間も看護師が勤務しているので、介護職員も安心して夜勤に入れるでしょう。
特養は利用者さんの介護度が3〜5なのに対し、老健には要介護度1・2の利用者さんもいます。そのため、特養と比較すると身体的な負担が少ないといえるでしょう。体力に自信のない方にとっては大きなメリットです。
老健で働くデメリット
老健は、利用者さんの入れ替わりが早いため、信頼関係が築きにくいというデメリットがあります。長期的なケアを提供したいと考えている方には向いていないかもしれません。また、老健では医師や看護師との連携が求められるので、慣れないうちは医療的な専門用語が分からないなど大変なこともあるでしょう。
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特養の仕事が向いている人の特徴
ここでは、特養の仕事が向いている人の特徴を紹介しています。「自分に特養の仕事ができるかな?」と不安を抱えている方は、自分に当てはまる特徴があるか確認してみましょう。
介護技術を身につけたい人
高い介護技術を身につけたいと考えている人は、特養の仕事が向いているでしょう。特養は、利用者さんの介護度が高く身体介助を行う機会が多いので、働いているうちに一通りの介護技術を身につけられます。また、認知症の方もいるので、認知症ケアやコミュニケーション方法を身につけることも可能です。規模が大きく職員数の多い施設では教育体制が整っており、フォローもしてもらいやすい環境といえます。
長期的なケアを行いたい人
特養は、長期的なケアを行いたい人に向いています。終の棲家として利用している方も多く、長期間、利用者さん一人ひとりと向き合ってケアを提供することが可能です。24時間365日体制で見守るため、利用者さんとの信頼関係も築きやすく、仲が深まることで介護のやりがいも強く感じられるでしょう。利用者さんが最期まで自分らしく生きられるよう、寄り添って介護がしたいという方に向いているといえます。
ユニット型で個別ケアを学びたい人
利用者さん一人ひとりのニーズや性格に合わせて介護を行いたい方には、ユニット型の特養がおすすめです。ユニット型の特養では、10人以下の利用者さんで1つのユニットを形成し、ユニットごとに専任のスタッフを配置します。スタッフが固定なので、利用者さん一人ひとりの体調や生活歴、ニーズを深く把握できるところが最大のメリット。個別ケアの手法を学んで実践しやすい環境といえます。
介護技術を活かして働きたい人
特養の入居条件は要介護度3以上と介護度が高いため、寝たきりの方や車いすの方も多数いらっしゃいます。そのため、利用者さんを支えたり、抱えたりと介護技術を必要とする業務も少なくありません。体力的な負担を軽減するボディメカニクスの原理や、コミュニケーションスキルを学んでおくと良いでしょう。基本的な介護技術を学んできた方であれば、前職の経験を活かせる機会も多いはずです。
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老健の仕事が向いている人の特徴
続いて、老健の仕事に向いている人の特徴を紹介しています。特養と老健どちらが自分に向いているか考える際の参考にしてみてください。
利用者さんの在宅復帰をサポートしたい人
「利用者さんの在宅復帰をサポートしたい」と考えている方に向いています。老健では、在宅復帰を目指した利用者さんが回復していく様子を見守れるので、やりがいもひとしおです。回復していく様子を見守れるのは老健の介護職員の仕事ならではといえるでしょう。
コミュニケーション能力が優れている人
老健は、利用者さんの入れ替わりが比較的頻繁にあるため、コミュニケーション能力に優れている人が向いています。短期間で利用者さんとの信頼関係を築ける方は活躍できるでしょう。
医療やリハビリに興味がある方
老健では、主に医療やリハビリを行っているため、その分野に興味のある方に向いている職場です。医療やリハビリのやり方を身近で観察できるので、介護の視点を広げられるようになるでしょう。
チームケアに興味がある人
老健では、医者や看護師などさまざまな職種のスタッフとの連携が求められます。そのため、老健は、チームケアに興味がある方におすすめの職場です。
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自分に合う職場に転職するコツ
自分に合う職場に転職を成功させるには、自己分析と企業分析が欠かせません。以下で自分に合った職場に転職するコツを詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
自己分析をして仕事に求めるものを明確にする
自己分析をしっかりとして自分が仕事に求めるものは何なのか明確にすることが大切です。「やりがいを感じられる仕事がしたい」「自分が成長できる仕事がしたい」など、自分がどうなりたいのか考えましょう。また、給料や残業の有無など、労働条件においての自分の希望を優先順位をつけて書き出しておくと、求人を選ぶ際に役立ちます。自分で自己分析をしても求めるものが分からないときは、就職・転職エージェントのアドバイザーに相談するのも効果的です。
多くの求人を比較検討する
求人を探す際は、一つの求人だけをみて決めずに多くの求人情報を比較して検討しましょう。たとえば、同じ特養でも、施設によって提供しているケア内容や労働条件は異なります。自分に合った職場を見つけるためには、細かな条件まで調べて求人を比較することが大切です。また、求人を比較することで、自分が仕事に求める条件が定まることもあります。
企業分析をして施設の情報を集める
企業分析をして施設の情報をしっかりと集めましょう。施設が力を入れているポイントや企業理念、仕事内容、給料、人員体制、教育体制、福利厚生などの情報を集め、施設の求める人材と自身の強みや長所が一致する職場を探してみてください。また、施設のWebサイトや求人票の情報だけではなく、SNSや口コミサイトの評判も調べておくのも効果的です。しかし、SNSや口コミは誰でも書き込める分、信憑性が低いので、参考にする程度にとどめておきましょう。
施設を見学して雰囲気を直接確かめる
職場の働きやすさは、人間関係や雰囲気によっても異なります。明るい雰囲気が好きな人もいれば、落ち着いた雰囲気が好きな人もいるでしょう。自分に合う職場かどうか確認するためにも、実際に施設を見学して職場の雰囲気を確かめておくことが重要です。
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特養や老健の働きやすさについてよくある質問
特養や老健の働きやすさについてよくある質問に回答します。「特養や老健の仕事って大変なの?」と不安を抱えている方は、ぜひご一読ください。
特養や老健の仕事はきついの?
特養や老健の仕事内容は、食事や入浴、排泄、移乗などの身体介助、レクリエーションの企画・実施などです。ケアの内容や頻度は施設によって異なります。夜勤があったり、吐瀉物の処理をしたり、慣れないうちはきついと感じることもありますが、特養や老健の仕事は利用者さんの生活を支えるやりがいのある仕事です。
看護師や管理栄養士は、特養と老健ではどちらが働きやすいの?
看護師の人員配置基準はどちらの施設も利用者さん3人に対して1人以上(介護職員と合わせて)ですが、老健のほうが看護師の人員が手厚い傾向があるため、働きやすいかもしれません。特養の管理栄養士は、食事を通じた健康管理だけではなく、食の楽しさを伝える役割があります。老健の管理栄養士は、食事をとおして在宅復帰を目標とした栄養ケアを行う役割もあるようです。看護師・栄養士ともにいえることですが、どのように利用者さんをサポートしたいのかによって、働きやすいと感じるポイントは異なります。
まとめ
特養と老健どちらが働きやすいかは、施設の特徴が自分に合っているか、自分が行いたいケアを提供できるかによって人ぞれぞれです。自分に合った職場を見つけるためにも、情報を収集しましょう。
特養は、利用者さんの生活の場としてサポートする施設です。要介護3以上の方が入居しており、一定の介助スキルが求められます。終の棲家として利用している方も多く、長期的なケアを提供できるのが特徴です。看取りケアや認知症ケアを学ぶこともできるので、介護職としてスキルアップを目指している方におすすめの職場といえます。
老健は、在宅復帰を目指す利用者さんに対し医療ケアやリハビリを行いサポートする施設です。要介護1~5の方が入居していますが、在宅復帰を目指したリハビリが主なので、特養よりも体力的な負担が少ない傾向があります。老健は利用者さんの入れ替わりが早いので、コミュニケーション能力に優れている方におすすめの職場です。
「特養と老健どっちが自分に合うかわからない」「求人を比較して合う施設を選びたい」という方は、レバウェル介護(旧 きらケア)にご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界に特化した転職サポートサービスです。転職アドバイザーがあなたの条件に合った求人をご提案いたします。給料や職場の雰囲気など職場に直接聞きにくい質問、HPや求人票だけでは分からない情報も、施設に確認してお教え可能。アドバイザーに理想の働き方を相談しながら、自分に合う施設を見つけることができます。お気軽にご利用ください。
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