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【例文あり】介護現場での事故報告書の書き方を解説!上手に書くポイントも

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書類に記入している手元のイメージ

この記事のまとめ

介護現場において、事故報告書は非常に重要な書類の1つです。しかし「書き方に不安がある」「できれば書きたくない…」と敬遠する介護職員は珍しくありません。

そこで本記事では、事故報告書の書き方をわかりやすく解説。事故報告書の作成に苦手意識がある方でもわかりやすいよう、介護施設でよくある事故の事例を元にした例文も紹介します。本記事を読み、スムーズに事故報告書の作成ができる知識を身につけましょう。

介護現場で事故報告書を書く目的 

事故報告書の作成は、とても面倒な業務に感じてしまいがちです。しかし、事故報告書はさまざまな目的を担う、非常に重要な書類の1つです。目的を理解しておくと、書き方の要点も理解しやすくなるため、まずは事故報告書の目的をしっかりと理解しておきましょう。

事故報告書を書く目的は主に次の3つとされています。

  • 事故原因を分析し再発防止策を考えるため
  • スタッフ全員に事故の対応を周知するため
  • 事故の隠ぺいを防止しスタッフを守るため

それぞれ詳しく解説します。1つずつ確認していきましょう。

事故原因を分析し再発防止策を考えるため 

介護現場で事故が発生した際に、その原因や事故に至る経緯など、詳細を明確にしておくことで、再発防止策の検討に活用できます。事故が起きたときは、慌てていたり、忙しかったりして、問題点に気付きにくいもの。そのため、事故報告書として事実を明記しておくことで、冷静かつ客観的にそのときの状況を分析することが可能です。

さらに、事故の状況を当事者以外の職員が確認することで、さまざまな観点から再発防止策を検討できるという利点もあります。

スタッフ全員に事故の対応を周知するため

介護現場で事故が起きた場合、事故報告書をもとにカンファレンスを実施します。事故報告書をみて、出席者全員で原因を正しく認識し、その後の防止対策などを話し合いながら、その結果も事故報告書に記載します。

事故報告書を見れば、事故の詳細がすべてわかるため、事故後の対応をフロアの介護職員や他職種に周知してもらう役割も担っているのです。

事故の隠ぺいを防止しスタッフを守るため

報告書として事故の詳細を明記しておくことで、事故の隠ぺいを防止する効果もあります。骨折や死亡など大きな事故の場合は行政報告が義務付けられているため、事実をしっかりと記録しておきましょう。また、利用者家族から詳細な説明を求められた際や、訴訟を起こされた際に職員を守る材料としても使用する役割があります

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【手順】介護現場の事故報告書の作成方法

現在、介護現場における事故報告書の様式は統一が義務化されておらず、市町村や国へ報告された事例を十分に有効活用できていないのが現状です。そこで、「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」において、将来的に様式を標準化しようとする動きがありました。事故情報を蓄積させていくことで報告内容を分析しやすくし、介護サービスの品質向上のために有効活用するためです。

では、事故報告書はどういった基準で作成していくのでしょうか?標準化された様式を使う場合の事故報告書作成の要点を具体的に解説します。

事故報告書の様式は厚生労働省のものを使う

事故報告書の様式は、厚生労働省が公開しています。事故状況、事業所の概要、対象者、事故の概要、事故発生時の対応、事故発生後の状況、事故の原因分析、再発防止策、その他特記事項の9要素を記載する用紙になっており、詳細を一覧で確認できるものになっています。

死亡事故の場合は報告書の提出が義務となる

特に重大な事故に関しては、国への報告が義務化されており、具体的には次の2つが報告義務のある事故とされています。

  • 死亡事故
  • 医師の診断を受けて、投薬や処置等の治療が必要な場合

5日以内に市町村へメールで報告する

事故が起きた際、市町村への報告が必要になりますが、その期限は5日以内とされています。事故の原因の分析や防止対策の策定などが十分に行われていなくても、まずは5日以内に第一報を入れなければいけません。市区町村へのスムーズな報告を実現するため、電話連絡ではなく、報告は原則メールで行うことも示されています。

【書き方】 介護の事故報告書を上手に書くポイント

続いて、事故報告書の書き方の解説です。事故報告書は、その場にいなかった職員を含め、多職種で共有するものです。そのため、5W1Hを意識して「いつ、どこで、誰が、どのように、どうした」を明確にすることを心がけましょう。事実を客観的に記載し、時系列を整えて書くとより分かりやすい報告書が書けるようになります。

では、上記のポイントを押さえたうえで、具体的にどのような書き方が良いとされているかを解説していきます。

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【例文】介護現場でよくある事故報告書の例  

介護現場でよくある事故の内容を取り上げて、例文を記載していますので、事故報告書を書くのが苦手な方はぜひ参考にしてください。

利用者さんが転倒して尻もちをついた場合

介護施設で夜勤帯に利用者さんが尻もちをついた想定での書き方解説です。

いつ

令和○年○月○日 午前1時30分

どこで

居室内で

だれが

利用者Aさんが

どのように

居室から「おーい」と呼ぶ声が聞こえ、訪室すると、ベッドサイドの床に尻もちをついているAさんを発見する。声かけに対し「トイレに行こうとしたら転んだ」と話される。介助にて痛みの訴えなく立ち上がり可能。発見時、靴を履かれていたが、かかとを踏んだ状態だった。

どうした

ベッドに横になっていただき、ボディチェック・バイタル測定実施。看護師に報告する。外傷なくバイタル異常値も見られないため、翌朝まで様子観察の指示を受ける。
翌日10時にご家族へ電話連絡を行う。同日、事故後カンファレンスを実施し再発防止策を策定。管理者とご家族に報告した。

時系列を整えて、起こった出来事を客観的に記載します。

誤薬してしまった場合

昼食後薬の服薬介助時に誤薬をしてしまった場合の例文です。

いつ

令和○年○月○日 午後0時45分

どこで

ユニット型特養のリビングで

だれが

介護職員Bが

どのように

服薬介助の際、利用者Cさんの昼食後、薬を誤って別の利用者さんに服薬させてしまった。

どうした

12時50分、看護師がかかりつけ医に電話で報告し、対応方法を確認する。下剤だったため、特に処置はなく様子観察の指示を受け、フロア内のスタッフ間で情報共有。13時にご家族に電話で報告し、様子を見ることを伝える。同日夕食時よりスタッフ2名でのダブルチェックを実施する。

Cさんの体調に変化はなく、排泄状況も問題なく経過。

誤薬の事故は行政報告が義務づけられており、介護施設外の人も読む機会が多い可能性があります。誰が見てもわかりやすい表現を心がけて記載しましょう。

物品破損の場合

ショートステイの利用者さんの眼鏡を破損してしまった場合の事故報告書の書き方です。

いつ

令和○年○月○日 午後14時

どこで

施設内の浴室

だれが

介護職員Cが

どのように

入浴介助中、ショートステイ利用中の利用者Eさんの眼鏡を浴室の床に誤って落してしまい、メガネのレンズが外れてしまう。

どうした

Eさんは「もうひとつメガネがあるからいい。高くないものだから。」と話しているが、日常的に愛用されているものだった。15時、ご家族に電話で報告。「本人が良いと言っているなら大丈夫です。今後気を付けてください」とのこと。フロア内で情報共有行い、必ず居室で眼鏡を外してから浴室に誘導することとした。

ご本人やご家族の主張はそのままの言葉を用いて、口語体で「」を用いて記載すると分かりやすい報告書になります。

まとめ

慣れないうちは、事故報告書の書き方が難しいと感じる事もあるかもしれませんが、介護現場で働いている限り、誰もが経験することです。大切なのは、起こってしまった事故を、今後防ぐことです。内容が分かりやすい事故報告書は、今後のケアの方針を検討する際にも活用しやすく、同じような事故を繰り返さないための対策を話し合うときにとても重宝します。本記事でご紹介した例文を活用して、分かりやすい事故報告書の作成を心がけましょう。

逆に言えば、事故報告書の書き方がおざなりな職場はケアの質が上がりづらい傾向にあると言えるかもしれません。もし「より質の高いケアを目指したい」「しっかりと事故報告書を活用したカンファレンスを実施したい」と考えている場合は、職場を変えることを検討するのも1つの方法です。

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