
この記事のまとめ
- ケアマネジャーとして働くためには、ケアマネ試験への合格などが必要
- 2023年度(第26回)ケアマネ試験の合格率は、21.0%
- ケアマネ試験の内容は2分野で、それぞれ合格点を満たさなければならない
介護業界で働く方や、ケアマネジャーを目指している方は、「ケアマネ試験の内容を詳しく知りたい」と思うこともあるでしょう。ケアマネ試験は、「介護支援分野(25問)」「保健医療福祉サービス分野(35問)」で構成されます。この記事では、ケアマネ試験の概要や問題内容、過去の合格率を解説。ケアマネとして働くまでの流れにも触れています。ケアマネ試験に合格するための対策もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ケアマネジャー(介護支援専門員)とはどんな仕事?業務内容や役割を解説!ケアマネ試験の概要
ここでは、ケアマネ試験の概要をまとめました。「ケアマネ試験って何?」「これから挑戦するかどうか考えたい」という方は、確認しておきましょう。
ケアマネ(介護支援専門員)資格とは
ケアマネ(介護支援専門員)資格とは、都道府県が管轄する公的資格です。介護福祉士のような国家資格ではありませんが、取得するためには専門的な実務経験が必要なので、持っているとスキルを示すことができます。
ケアマネとは
厚生労働省の「介護支援専門員(ケアマネジャー) 」によると、ケアマネは以下のように定義されています。
介護支援専門員とは、要介護者や要支援者の人の相談や心身の状況に応じるとともに、サービス(訪問介護、デイサービスなど)を受けられるようにケアプラン(介護サービス等の提供についての計画)の作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う者
ケアマネを名乗るのはもちろん、ケアマネジャーとして業務を行うには、ケアマネ試験に合格し、介護支援専門員実務研修を受講したうえで登録申請を行い、自治体から介護支援専門員証の交付を受けなければなりません。ケアマネになる方法は、「ケアマネジャーになるには?最短で何年?試験の受験資格や取得の流れを解説」に詳しくまとめているので、気になる方はご参照ください。
出典
厚生労働省「介護職員・介護支援専門員」(2024年5月27日)
ケアマネ試験の受験資格
ケアマネ試験の受験資格は、「対象となる資格および業務で一定の実務経験を満たしている」こと。です。具体的には、以下のような場合に受験資格を満たせます。
- 指定する国家資格等(医師・看護師・介護福祉士など)に基づく実務経験が5年以上あり、従事した日数が900日以上あること
- 生活相談員や支援相談員などの相談援助業務の実務経験が5年以上あり、従事した日数が900日以上あること
受験資格の区分は多岐にわたるので、上記に挙げた資格以外にも該当するものがあります。ケアマネ試験に挑戦する場合は、自身の保有資格や業務経験で受験資格を満たす内容であるか、「ケアマネ受験資格の計算方法を解説!パートの従事期間は実務経験に入る?」を参考にチェックしてみましょう。
なお、ケアマネ試験の受験地は自分で選べません。申し込み時点で、実務経験に該当する業務に従事している場合、勤務地のある都道府県で受験し、従事していない場合は住所地のある都道府県で受験することになります。
ケアマネ試験の日程・申込期間・受験料
ケアマネ試験は、例年10月の日曜日に開催されています。2024年度のケアマネ試験は、全国一律で10月13日(日)午前10時~正午の開催です。
東京都福祉保健財団ケアマネジャー専用サイトの「令和6年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験」によると、2024年度の東京都のケアマネ試験における、受験申込書の配布期間は、2024年6月3日(月)~6月28日(金)。受験申し込み期間は、2024年6月3日(月)~6月30日(日)となっています。ケアマネ試験の申し込み期間は、都道府県によって異なるので、自身の受験地の申し込み日程を確認しておきましょう。
また、2024年度の東京都のケアマネ試験の受験料は、受験手数料12,400円+振込手数料148円です。なお、ケアマネ試験の受験料は、都道府県によって異なります。
出典
東京都福祉保健財団ケアマネジャー専用サイト「令和6年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験」(2024年5月27日)
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ケアマネ試験の合格発表日
2024年度のケアマネ試験の合格発表は、2024年11月25日(月)に行われる予定です。結果通知は、試験の合否に関わらず郵送されます。
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ケアマネ試験の難易度
ケアマネ試験の難易度は高いというイメージを持つ人は少なくありません。
ここでは、厚生労働省が提供する合格率のデータをもとに、最近のケアマネ試験の難易度を見ていきましょう。
2023年度(第26回)の合格率
厚生労働省の「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」によると、2023年度(第26回)ケアマネ試験の合格率は21.0%でした。以下は、過去5年間のケアマネ試験の結果をまとめたものです。
実施年度(実施回) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2023年度(第26回) | 56,494人 | 11,844人 | 21.0% |
2022年度(第25回) | 54,406人 | 10,328人 | 19.0% |
2021年度(第24回) | 54,290人 | 12,662人 | 23.3% |
2020年度(第23回) | 46,415人 | 8,200人 | 17.7% |
2019年度(第22回) | 41,049人 | 8,018人 | 19.5% |
参考:厚生労働省「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」
ケアマネ試験の合格率は、近年20%前後で推移しています。2023年度の合格率は21%なので、少し高めだったようです。合格率が10%台の年もあれば、20%台の年もあり、合格率は受験する年によって異なります。
2023年度(第26回)の受験者数
難易度と一緒に受験者数を知っておくと、ケアマネ試験の実態をイメージしやすくなります。同資料によると、2023年度(第26回)ケアマネ試験の受験者数は、5万6,494人。そのうち合格者は1万1,844人でした。およそ5人に4人の割合でケアマネ試験に落ちてしまっていることから、合格するには十分な対策が必要と分かります。
ケアマネ試験の合格率については、「ケアマネ(介護支援専門員)の合格率はどれくらい?難易度や試験の対策方法も」にもまとめているので、ぜひチェックしてみてください。
出典
厚生労働省「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」(2024年5月27日)
ケアマネ試験の合格ラインは?
ケアマネ試験の合格ラインは、正答率70%。「介護支援分野」と「保健医療福祉サービス分野」のそれぞれで合格点を満たさなければ、不合格になるようです。合格ラインは難易度に合わせて補正されるため必ずというわけではありませんが、2つの分野両方で正答率70%を超えておくのが理想といえます。
なお、ケアマネ試験は全60問あり、その内訳は介護支援分野が25問、保健医療福祉サービス分野が35問です。1問1点で換算されるので、介護支援分野で18点、保健医療福祉サービス分野で25点以上取るのを目安にして、合格を目指すと良いでしょう。
2023年度(第26回)ケアマネ試験の合格点
東京都福祉局の「令和5年度(第26回)東京都介護支援専門員実務研修受講試験に係る正答番号及び合格基準の公表について」によると、2023年度(第26回)ケアマネ試験の合格点は、以下のとおりです。なお、ケアマネ試験の合格点は、全国共通となっています。
分野 | 問題数 | 合格点 |
介護支援分野 | 25問 | 17点 |
保健医療福祉サービス分野 | 35問 | 24点 |
引用:東京都福祉局「令和5年度(第26回)東京都介護支援専門員実務研修受講試験に係る正答番号及び合格基準の公表について」
2023年度のケアマネ試験では、介護支援分野の合格点は17点でした。介護支援分野の合格ラインである18点よりも低い基準のため、難易度が高めだったことが予想されます。正答率70%というのはあくまで目安なので、それ以上の得点が求められる場合もあることを念頭に置きましょう。
「ケアマネ試験に合格できるか不安…」という方は、「ケアマネ試験の合格率が低い理由とは?対策ポイントと落ちたときの対処法!」の記事をチェックしてみてくださいね。
出典
東京都福祉局「令和5年度(第26回)東京都介護支援専門員実務研修受講試験に係る正答番号及び合格基準の公表について」(2024年5月27日)
ケアマネ試験に合格に向けた4つの対策
ケアマネは、専門知識や経験を問われるため、介護に関する資格のなかでも取得の難易度が高い資格です。ケアマネ試験の合格を目指すなら、しっかりと対策をしておきましょう。
1.各分野をバランス良く学習する
前述のとおり、ケアマネ試験の出題分野は「介護支援分野」と「保健医療福祉サービス分野」の2つあります。どちらか一方が合格点を超えていても、もう片方が合格点を下回っていれば、不合格になってしまうため、2つの分野をバランスよく学習して対策することが大切です。過去問を活用し、ケアマネ試験の問題を一通り練習しておく学習法がおすすめ。実際の問題を解くことで、自分の苦手分野を洗い出せます。
2.「五肢複択方式」「マークシート形式」の問題に慣れる
ケアマネ試験の出題形式に慣れておくことも、合格の可能性を上げる秘訣です。たとえば、ケアマネ試験の「五肢複択方式」は、慣れていないと「答えを1つ選べば良い」と勘違いしてしまう可能性があります。五肢複択方式では、5つの項目のなかから正しいものをすべて選ばなければ得点になりません。答えは1つとは限らないため、消去法では正答できないのが、ケアマネ試験の難易度が高い理由の一つとなっています。
また、マークシート形式に慣れておくのもポイント。問題とマークシートの位置を間違えずに落ち着いて記入できるよう、練習しておくのがおすすめです。
3.ケアマネ試験対策の通信講座やスクールを活用する
独学でケアマネ試験の対策をするのに不安を感じる人は、通信講座やスクールを活用するのも方法の一つ。通信講座やスクールでは、あらかじめケアマネ試験対策のポイントや問題を用意してもらえ、プロによる添削を受けられるのがメリットです。働きながら勉強するなら通信講座、時間に余裕があるならスクールを活用するなど、状況に合わせて選ぶと良いでしょう。
通信講座やスクールを利用した勉強法に興味がある方は、「ケアマネ試験の勉強法とは?独学で合格はできる?難易度や学習時間も解説」を参考にしてみてください。
4.職場と相談して勉強時間を確保する
ケアマネ試験に合格するには、勉強時間の確保も重要です。もし、今の職場で「介護職と学習の両立が難しい」「人間関係のストレスで勉強に集中できない」といった状況があるなら、一度上司に相談してみましょう。業務量や人員配置を調整してもらえれば、勉強時間を確保しやすくなる可能性があります。それでも勉強時間が確保できない場合は、ケアマネ試験を目指しやすい職場へ転職してみるのも選択肢の一つ。資格取得に対して理解のある職場や、自分のペースで働ける職場などを選べば、勉強がスムーズにできるはずですよ。
まとめ
ケアマネジャーになるには、ケアマネ試験に合格し、介護支援専門員実務研修を修了したうえで、資格登録を行なわければなりません。ケアマネ試験を受験するには、特定の資格における実務経験もしくは、相談援助の実務経験が5年以上必要です。ケアマネ試験は、例年10月に実施されます。受験申し込みは、6月下旬ごろに締め切られるので、受験地の情報を確認しておくことが大切です。
ケアマネ試験に合格するには、「介護支援分野」「保健医療福祉サービス分野」の両方で合格点を満たすことが求められます。2023年度(第26回)ケアマネ試験の合格率は21.1でした。近年の合格率は20%前後のため、ケアマネ試験の難易度は高めといえます。合格するためには、各分野をバランスよく学習することや、勉強時間を確保することが重要です。
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