
この記事のまとめ
- 介護職には年齢制限がないため、60歳を過ぎた人も働ける
- 60歳以上の人が介護職として働くメリットは、利用者さんと年齢が近いこと
- 60歳以上の人におすすめの介護求人は、「未経験可」や「夜勤なし」など
60歳を過ぎてから就職・転職を考えている方の中には、介護職に興味がある方もいるでしょう。介護職には年齢制限がないため、体力や体調に問題がなければ、何歳からでも目指すことが可能です。この記事では、60歳以上の方が介護職を目指すメリットや、活かせる資格をご紹介します。定年以降も介護職を続けたい方や、60歳を過ぎてからのセカンドキャリアとして介護職を目指す方は、ぜひ一読ください。
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60歳を過ぎてからも、介護職として活躍できます。ここでは、介護職の定年や再雇用制度について解説するので、「介護職に興味があるけど、年齢が気になる…」という方は、ご一読ください。
介護職に年齢制限はない
介護職には年齢制限がないため、60歳を過ぎた人も従事することができます。体力・体調に問題がなければ、年齢を問わず何歳からでも、介護職として活躍することが可能です。
現在、高齢化の影響で、日本の介護業界の人手は不足しています。年齢不問の求人を出していたり、教育制度を充実させていたりする職場は多いようです。そのため、介護職は、60歳以上で未経験の方も挑戦しやすい職種といえるでしょう。
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正社員の介護職の定年は60代が多い
正社員の場合、介護職の定年を60代に定めている介護事業所が多いようです。
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和4年度介護労働実態調査:事業所における介護労働実態調査結果報告書(p.69)」によると、60歳を定年としている介護事業所は最も多く、全体の35.3%でした。定年を65歳以上としている事業所は全体の34.3%で、定年を定めていないと答えたのは、18.0%でした。60代以降も正社員の介護職として活躍したい方は、定年を基準に職場選びをするのがおすすめです。
再雇用制度で70歳以上も介護職として働ける
再雇用制度を利用して、70歳以上で介護職として活躍する人もいるようです。
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和4年度介護労働実態調査:事業所における介護労働実態調査結果報告書(p.70)」によると、定年後の雇用上限年齢を「特に定めていない」と答えた事業所の割合が最も高く、全体の47.8%でした。
なお、再雇用制度の条件は施設によって異なります。再雇用の上限を「65歳以下」や「70歳以下」とする事業所も多いため、70歳以降も働き続けたい方は、再雇用制度について確認しておくのがおすすめです。
出典
公益財団法人介護労働安定センター「令和4年度 介護労働実態調査結果について」(2024年8月23日)
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介護職の平均年齢
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査:介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書(資料編p.13)」によると、介護職員の平均年齢は46.7歳でした。60歳以上の介護職員の割合は16.6%です。
また、訪問介護員(ホームヘルパー)の平均年齢は、50.5歳。ホームヘルパーの4人に1人は60歳以上です。
上記から、60歳を過ぎて介護職として活躍する人は少なくないと分かります。
出典
公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」(2024年8月23日)
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60歳を過ぎた人が介護の仕事をするメリット
60歳を過ぎた人が介護の仕事をするメリットとして、「利用者さんと年齢が近い」「同世代の介護職員が多い」「家族の介護に活かせる」という点が挙げられます。「介護職は若くなくてもできるの?」と気になっている方は、チェックしてみましょう。
利用者さんと年齢が近い
60歳を過ぎた介護職には、利用者さんと年齢が近いという強みがあります。利用者さんと年齢が近いと、加齢による悩みを理解しやすかったり、共通の話題が多かったりするでしょう。信頼関係の構築が重要な介護職にとって、利用者さんと円滑にコミュニケーションを取れることは、大きなメリットです。
40代~60代の介護職員の割合が高い
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査:介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書(資料編p.13)」によると、介護職員の69.8%は、40歳以上です。このことから、介護職員には、ミドル~シニア世代が多いことが分かります。世代の近い職員が多いと、職場になじみやすかったり、仕事の悩みを相談できたりするなどのメリットがあるでしょう。
出典
公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」(2024年8月23日)
家族の介護に活かせる
介護職として身につけた介護の知識や技術は、家族の介護や自分の将来に活かすことができます。年齢を重ねると、親や配偶者に介護が必要になることもあるかもしれません。介護職として働けば、正しい介助の方法を身につけられるため、家族の介護にも活かせます。また、介護サービスや介護保険制度についての知識は、施設への入居や各種申請の際にも役立つでしょう。
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60歳を過ぎた介護職が働くときの注意点
60歳を過ぎた人が介護職として働くときは、身体的な負担や仕事量、給与額などを考慮する必要があります。以下で解説するので、「介護職に転職するか悩んでいる」という方や、「介護職を続けるか迷っている」という方は、参考にしてください。
身体への負担を考えて職場を選ぶ
職場の施設形態によっては、介護職員にかかる身体的な負担が大きいこともあるでしょう。たとえば、特別養護老人ホームや介護老人保健施設は、身体介護を行う機会が多い施設です。利用者さんの身体を支えて介助したり、施設内を歩き回ったりすることが多いので、身体に負担がかかりやすいといえるでしょう。
また、夜勤がある入居型の施設で働くと、生活リズムが不規則になり、体調を崩しやすくなる可能性があります。
60歳を過ぎて介護職として働ける職場を選ぶポイントは、身体への負担や自身の体調を考慮することです。60歳を過ぎた方が働きやすい職場については、「60歳を過ぎてから介護職を目指す方におすすめの求人」で後述します。
覚える仕事が多い
60代を過ぎてから介護職として働く方の中には、「覚える仕事が多くて大変…」と悩む方もいるようです。介護職は、仕事の流れや介助方法、利用者さんの情報など、覚えることが多くあります。未経験の方や、規模の大きな施設に転職した方は、初めのうちは大変に感じることもあるでしょう。
「仕事を覚えるのが大変」という悩みは、年齢に関係なく生じるため、焦らず慣れていけば問題ありません。60代で転職した場合も、一つひとつ覚えていくことで、少しずつ業務をこなせるようになるでしょう。
介護職の場合、まずは利用者さんの顔と名前を覚え、コミュニケーションを取れるようにするのがおすすめです。さらに、仕事の流れや介護知識を覚えることで、徐々にできる仕事を増やしましょう。
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給与額が下がる可能性がある
未経験から介護職に転職する場合、新人として採用されるので、前職よりも給与額が下がる可能性があります。また、60代以降は非正規雇用が増えたり、労働時間が減ったりすることにより、給与が下がる場合もあるでしょう。
介護職として給与アップを狙うなら、資格取得で手当がつく施設や、夜勤のある施設へ転職する選択肢もあります。60歳を過ぎて介護職として働く場合、自身の生活リズムや給与の目標額を考慮したうえで、仕事を選ぶと良いでしょう。
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60歳を過ぎた介護職が働くときのポイント
ここでは、60歳を過ぎた人が介護職として働くポイントをご紹介します。介護職への転職を前向きに考えている方は、チェックしてみましょう。
年下の職員にも謙虚な姿勢を忘れない
60歳を過ぎてから転職した場合、年下の職員が上司や先輩になる可能性も高いでしょう。新しい職場で働く際は、年功序列の考えにとらわれず、アドバイスや指摘を素直に聞き入れる姿勢が大事です。介護職は、チームワークが求められる仕事なので、年下の職員とも上手に関わる必要があります。
機械の操作も積極的に覚える
介護記録の作成では、パソコンやスマホ・タブレットを使うことがあります。機械の操作に慣れていない人は、初めのうちは大変に感じるかもしれません。しかし、苦手だからと避けてしまわず、積極的に聞いて覚えれば、少しずつでも慣れていけるでしょう。
仕事に活かせる介護資格を取得する
介護職は、資格を取得すると、業務に活かせたり給与が上がったりするというメリットがあります。また、転職前に資格を取得することで、スキルや意欲をアピールできます。未経験の方は、介護の資格を取得してから求人に応募すると、採用率が上がりやすいでしょう。
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60代を過ぎた介護職が仕事に活かせる資格
60代を過ぎた方が介護職として働く際に活かせる資格には、「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」「介護福祉士」などがあります。習得したいスキルやキャリアプランを考えて、取得する資格を選びましょう。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、基礎的な介護知識や技術を習得できる資格です。取得することで、食事介助や入浴介助、排泄介助といった身体介護を1人で行えるようになります。基本的に、訪問介護事業所や1人で夜勤を行う施設で働く場合は、介護の資格が求められるため、取得すると転職先の選択肢が増えるでしょう。
介護職員初任者研修は、130時間(10科目)のカリキュラムを受講することで取得できます。最後に筆記試験がありますが、到達度を測るためのものなので、難易度は低めです。通学講座と通信講座を併用できるので、働きながらも取得を目指しやすい資格です。
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介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修では、介護職員初任者研修よりも専門性の高い介護知識・技術を身につけられます。前述の初任者研修と同じく、通学講座と通信講座を併用できます。無資格から受講する場合、450時間のカリキュラムを受講することで資格を取得可能です。介護職員初任者研修を取得している場合は、130時間のカリキュラムが免除されます。
実務者研修は、介護福祉士国家試験を「実務経験ルート」で受験する際の要件の一つなので、キャリアアップを目指す方におすすめです。
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介護福祉士
介護福祉士は、介護に関する資格の中で唯一の国家資格です。取得することで、専門性の高い介護知識や技術を証明でき、転職に有利になったり給与アップを望めたりします。
介護福祉士国家試験に合格することで、介護福祉士を取得可能です。試験の受験資格を得る方法は、主に「養成施設ルート」「実務経験ルート」「福祉系高校ルート」の3通りあります。介護福祉士の取得に年齢制限はないため、研修修了や実務経験の要件を満たせば、60歳を過ぎた方も挑戦できます。
介護福祉士国家試験の受験資格については、「最短で介護福祉士になるには?知っておきたい3つのルート」で解説しているので、チェックしてみてください。
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60歳を過ぎてから介護職を目指す方におすすめの求人
60歳を過ぎてから介護職を目指す方におすすめの求人は、「無資格・未経験可」「夜勤なし」「非正規雇用」などです。それぞれ詳しくご紹介します。
無資格・未経験可の求人
60歳以上で未経験から介護職を目指す場合、「無資格可」「未経験歓迎」の記載がある求人がおすすめです。このような職場は、教育体制が整っていたり資格取得支援があったりなど、未経験からでも働きやすい傾向にあります。人手にも余裕がある施設が多いので、無理なく仕事を覚えられるでしょう。
夜勤なしの求人
夜勤のある施設で働く場合、生活リズムを保ちづらく、体調を崩してしまう場合があります。介護職として、年齢を重ねても長く勤続するためには、体調管理が重要です。
夜勤なしの仕事を選べば、夜勤のある介護施設に比べて、身体への負担を軽減できるでしょう。夜勤のない職場としては、デイサービスや訪問介護事業所が挙げられます。また、入居型の介護施設が、日勤のみのスタッフを募集していることもあるでしょう。
日勤のみの介護求人一覧
デイサービスの求人一覧
訪問介護の求人一覧
パート・アルバイトなど非正規雇用の求人
パートやアルバイト、派遣社員といった非正規雇用を選ぶのも、60歳を過ぎた介護職の働き方の選択肢の一つです。前述のとおり、正社員で働く介護職の定年は、60代が多い傾向にあります。そのため、60歳を過ぎてから介護職として働く場合、正社員だと採用されにくいこともあるようです。
「なかなか選考を通過しない…」という方は、非正規雇用の求人も選択肢に入れてみましょう。非正規雇用で働く場合、シフトの融通が利いたり、時短勤務ができたりするというメリットもあり、体調やプライベートに合わせて働けます。
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60歳を過ぎた介護職についてよくある質問
ここでは、60歳を過ぎた介護職について、よくある質問にお答えします。「60歳以上から介護職を目指したい!」という方は、ご一読ください。
60歳の介護職で正社員の方はいますか?
60歳で正社員として働く介護職の方はいます。定年が60歳以上の事業所や、定年制度を設けていない事業所では、60代の介護職も正社員として活躍してるようです。入所施設は、定年を60歳とする場合が多いですが、訪問系サービスは定年が65歳以上の事業所が多くなっています。
介護職の定年年齢については、この記事の「正社員の介護職の定年は60代が多い」にまとめているので、あわせて参考にしてください。
介護職は60代未経験だと仕事を覚えられないですか?
60代の方も、未経験から介護職の仕事を覚えることは可能です。最初のうちは、仕事内容や介助方法など、覚えることが多く大変だと感じるかもしれせん。しかし、利用者さんの情報を覚えたり業務の流れを把握したりすることで、少しずつ業務に慣れていけるでしょう。
介護職が仕事を覚えるコツは、「「50代未経験で介護職に転職したけど仕事を覚えられない…」対処法を解説」の記事で解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
60代は介護福祉士の資格を取得できますか?
60代の方も、介護福祉士の資格を取得できます。介護福祉士国家試験に年齢制限はないため、受験資格を満たせば、60代の方も受験可能です。
厚生労働省の「第36回介護福祉士国家試験合格発表:参考(p.2)」によると、2024年の介護福祉士国家試験の合格者のうち、61歳以上の方は2,613人でした。また、介護福祉士の合格者の48.1%を、41歳以上の方が占めています。このことから、ミドル・シニア世代も介護福祉士を目指すのは十分可能といえるでしょう。介護職に活かせる資格については、「60代を過ぎた介護職が仕事に活かせる資格」で解説しているので、ご一読ください。
出典
厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験合格発表」(2024年8月23日)
まとめ
介護職として働くのに年齢制限はないため、体調に問題がなければ、何歳からでも挑戦可能です。正社員として介護の仕事をする場合は、定年を意識して職場選びをすると、長く活躍できるでしょう。
「60歳以上で介護の仕事をするのは難しい?」と感じる人もいるかもしれません。しかし、60歳を過ぎてから介護職として働くと、「利用者さんやほかのスタッフと年齢が近い」「家族の介護に活かせる」といったメリットがあります。
60歳を過ぎた方におすすめの介護求人は、「無資格・未経験可」や「夜勤なし」、「パート・アルバイト」などの求人です。
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