
この記事のまとめ
- グループホーム管理者の平均給与は約32万円、平均賞与は約64万円
- グループホーム管理者の賞与は、特養や老健より低い傾向にある
- グループホーム管理者が給料を上げる方法は、資格取得や転職など
「グループホーム管理者の給料はどのくらい?」と気になる方もいるでしょう。一般的には管理者になると、ほかの介護士よりも給料が上がる傾向にあります。この記事では、グループホーム管理者の平均給料や収入アップのコツ、目指し方などを紹介。グループホームの管理者の仕事内容や働く魅力、大変な面も解説しています。管理者を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
グループホームとは?入居条件や介護スタッフとして働くメリットを解説グループホーム管理者の給料相場
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和4年度 事業所における介護労働実態調査 結果報告書(資料編p.144、p.146、p.148)」」によると、グループホーム管理者の平均所定内賃金は319,204円です。平均賞与は635,926円、平均年収は月給制で勤続年数2年以上の場合、4,341,502円でした。
なお、同資料(資料編p.136)によると、グループホームの管理者の平均勤続年数の割合は、10年以上15年未満が25.7%で最も多く、次いで15年以上20年未満の22.7%、5年以上10年未満の20.4%となります。グループホームの管理者として10年以上勤務している割合が高いといえるでしょう。
ほかの介護職員との差
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和4年度 事業所における介護労働実態調査 結果報告書(資料編p.117、p.126)」によると、グループホームで働く管理者以外の職員の平均所定内賃金は、228,520円です。管理者より9万円ほど低く、大きな差があるのが分かります。
また、同資料(資料編p.126、p.129)によると、平均賞与は441,964円で、勤続2年以上の職員の平均年収は3,328,873円という結果でした。
出典
公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」(2024年8月16日)
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グループホームと他施設の管理者の状況比較
ここでは、公益財団法人 介護労働安定センターの「令和4年度介護労働実態調査」をもとに、ほかの施設管理者との男女比や平均賞与の違いなどをまとめました。グループホームの管理者を目指す方は、チェックしてみてください。
管理者の男女比
調査によると、グループホーム管理者の男女比は男性45.6%、女性50.7%です。以下では、ほかの介護施設管理者における男女比の比較をまとめました。
サービスの種類 | 男性 | 女性 | 無回答 |
グループホーム | 45.6% | 50.7% | 3.6% |
訪問介護 | 32.2% | 62.9% | 4.9% |
介護老人福祉施設(特養) | 64.6% | 31.2% | 4.2% |
介護老人保健施設(老健) | 73.% | 24.% | 3.1% |
認知症対応型通所介護 | 54.1% | 44.3% | 1.6% |
参考:公益財団法人 介護労働安定センター「事業所における介護労働実態調査 結果報告書(資料編p.131)」
特養や老健などの入所型の介護施設と比べると、グループホームは女性の管理者が多い傾向にあることが分かります。
管理者の平均賞与
前述したように、グループホーム管理者の平均賞与は635,926円です。以下で、ほかの施設管理者の平均賞与をまとめたので、グループホームの管理者との差をチェックしましょう。
サービスの種類 | 平均賞与 |
グループホーム | 635,926円 |
訪問介護 | 690,573円 |
介護老人福祉施設(特養) | 1,397,560円 |
介護老人保健施設(老健) | 1,368,187円 |
認知症対応型通所介護 | 641,247円 |
参考:公益財団法人 介護労働安定センター「事業所における介護労働実態調査 結果報告書(資料編p.146)」
調査によると、グループホーム管理者の平均賞与は、特養や老健などの施設より少なめです。認知症対応型通所介護との賞与額の違いはあまりありません。なお、あくまでも平均値なので、賞与は勤続年数や年齢などによって変化していくでしょう。
管理者の賃金支払形態
介護施設管理者の賃金支払形態は、月給制が一般的です。下記の表では、施設別に賃金支払形態の割合をまとめています。
サービスの種類 | 月給 | 日給 | 時間給 |
グループホーム | 91.1% | ー | 1.3% |
訪問介護 | 91.9% | 0.1% | 2.1% |
介護老人福祉施設(特養) | 96.8% | 0.2% | 0.2% |
介護老人保健施設(老健) | 91.8% | 0.5% | 1.0% |
認知症対応型通所介護 | 93.4% | 1.6% | 1.6% |
参考:公益財団法人 介護労働安定センター「事業所における介護労働実態調査 結果報告書(資料編p.140)」
管理者の賃金支払形態は、施設形態に関わらず90%以上の施設は月給制で給料を支払っているようです。グループホームとほかの施設の支払い形態に大きな違いはありません。
出典
公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」(2024年8月16日)
グループホーム管理者の仕事内容
グループホーム管理者の仕事は、施設運営をはじめ収支の管理やスタッフの管理などです。下記では、グループホーム管理者の仕事内容を詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
施設の運営
グループホームの管理者として、運営方針の決定やモニタリング、設備管理といった施設全体の運営を担います。グループホームに関わる法令を把握するのはもちろん、広報や営業活動を行ったりするのも施設運営業務の一つです。
人事管理
面接や説明会といったスタッフの採用活動から、研修や勉強会に関することなど入職後の対応まで、人事管理に関する幅広い業務に携わります。また、スタッフのスキルや経験、施設の状況に応じた人員配置を行うのも重要な仕事です。ほかにも、スタッフとの面談や人事評価も行います。
利用者さまの管理
グループホーム管理者が担う利用者さまの管理とは、「入退去時の対応」「介護サービスに関する確認・相談」などです。グループホームは認知症の方が対象の施設なので、介護方針に関する話し合いの場を設けて、ご家族との意思疎通を図ることが求められます。
行政との連携
グループホームの管理者が代表して、施設を管轄する市町村へ提出する計画書や報告書などを作成します。提出書類の主な内容は、消防計画や感染症、事故に関することなど。また、第三者評価や行政指導への対応も、管理者の業務の一つです。
収支の管理
管理者が行う収支管理業務は、介護報酬の請求や利用料のチェック、経費の管理など多岐にわたります。施設の収支バランスをチェックし、経費削減を考えることも重要な仕事です。
グループホームの管理者の魅力や大変さ?
グループホーム管理者の仕事内容は、施設の運営や行政との連携など幅広く、やりがいもある分ハードな面もあるでしょう。以下でグループホーム管理者の働く魅力と大変さを詳しく紹介するので、仕事内容と給料と見合っているか、自分にできる仕事かどうかなどを考える際の参考にしてみてください。
働く魅力
グループホームの管理者は、施設の課題点を改善したり、利益を生み出したりすることで、達成感を得られるでしょう。また、職員や利用者さまの声が直接届くことも、仕事へのやりがいやモチベーションにつながります。利用者さまやご家族だけでなく、地域の方々など多くの人と関わることで、人のつながりの大切さを実感できるのも魅力の一つです。
大変さ
管理者の元には、利用者さまからの苦情やクレーム、スタッフからの不満といった声が届くこともあります。対応に追われると、心身ともに疲れてしまうかもしれません。施設の規模によっては直接介護業務を行う場合もあり、体力的に大変さを感じる面もあるでしょう。グループホームの求人一覧はこちら
グループホームの管理者になるには
厚生労働省の「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)について(p.3)」によると、グループホームの管理者として働くには、「3年以上の認知症介護従事経験」と「厚生労働大臣が定める研修を修了すること(認知症対応型サービス事業管理者研修課程の修了)」が必須になります。働き方は原則として常勤専従です。
グループホームの管理者になるには、国家資格や特別な試験は必要なく、介護職員として働きながら目指せます。介護未経験の場合は、まずは3年以上の認知症介護経験を積みましょう。
出典
厚生労働省「第218回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料」(2024年8月16日)
グループホームの管理者が給料を上げる3つの方法
グループホームの管理者が給料アップを目指す主な方法は、「資格の取得」「転職」です。下記で詳細をまとめています。
1.資格を取得する
グループホームの管理者として給料を上げるには、資格を取得するのも一つの手です。前述したように、グループホームの管理者には3年以上の認知症介護従事経験と、厚生労働大臣が定める研修を修了することが必要です。さらに、介護福祉士やケアマネジャーの資格を取得すると、資格手当や役職手当を受けられる場合も。取得するには一定の大変さがありますが、給与アップを狙える可能性があります。
「将来はグループホームの管理者になりたい」と考えている方は、あらかじめ資格取得を視野に入れても良いかもしれません。
2.より好条件のグループホームに転職する
同じ施設に勤務していてなかなか給料が上がらない場合は、待遇面の良いグループホームに転職するのも良いでしょう。施設によっては管理者と介護士と兼任する場合もあり、ほかの介護職と同様の手当がつく可能性もあります。
3.ほかの施設サービスの管理者を目指す
グループホームの管理者としてどうしても給料が上がらないのであれば、ほかの施設サービスの管理者になって収入アップを目指す方法もあります。前述したサービス種類別の管理者の平均賞与データから分かるように、特養や老健は賞与が高く、ほかの施設と比較すると収入が多いといえるでしょう。グループホーム以外の施設管理者を目指す場合は、施設形態によってそれぞれ資格要件が異なるので確認してみてください。
グループホームの管理者についてよくある質問
グループホームの管理者についてよくある質問に回答します。「給料を上げたい…」「管理者になろうか悩んでいる…」という方は、ぜひチェックしてみてください。
グループホームの管理者の給料はただの介護職員よりどれくらい高いの?
グループホームの管理者の平均給料(月給)は319,204円、平均賞与は635,926円です。グループホームで働く管理者以外の平均給料(月給)は、228,520円、平均賞与は441,964円。毎月の給料の差は約9万円あり、賞与の差は約19万円もあります。なお、給料の金額は施設によって異なるので、あくまで参考としてご覧ください。
この記事の「グループホーム管理者の給料相場」で、管理者の給料や年収について解説しているので、どれくらい給料がもらえるか気になる方は、ぜひチェックしてみてみましょう。
出典
公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」(2024年8月16日)
グループホームの管理者の仕事は大変なの?
グループホームの管理者は、施設の運営や人事管理、利用者さまの管理、行政との連携、収支の管理など幅広い業務を行うため、大変と感じることがあるかもしれません。また利用者さまからのクレーム対応や管理者の仕事に加え介護業務を行うこともあります。「管理者にならなければ良かった…」と後悔しないためにも、管理者のメリット・デメリットをしっかりと比較しましょう。
この記事の「グループホームの管理者の魅力や大変さ?」で、グループホームの管理者として働く魅力と大変と感じるポイントを詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。
まとめ
グループホームの管理者の平均所定内賃金は約32万円です。平均賞与は約64万円、平均年収は月給制で勤続年数2年以上の場合、約434万円でした。グループホームの管理者の収入は、管理者以外の介護職員の収入より高い傾向があります。一方で、施設形態別の管理者の給与の中では、特養や老健の管理者より収入が低い傾向があるようです。
グループホーム管理者はスタッフや利用者さまの管理、行政との連携など責任が大きいものですが、その分ほかの職員より給料が高くモチベーションを維持して仕事に取り組めるでしょう。さらに資格を取得することで、給与アップも期待できます。
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