
この記事のまとめ
- 就労継続支援B型事業所の職員は、仕事の難しさをきついと感じることがある
- 就労継続支援B型の仕事がきついときは、先輩や上司に相談するのがおすすめ
- コミュニケーション能力がある人は、就労継続支援B型の仕事に向いている
「就労継続支援B型の仕事ってきついの?」と気になる方もいるでしょう。就労継続支援B型事業所の職員は、仕事の難しさや業務量の多さを大変に感じることがあるようです。この記事では、就労継続支援B型事業所の職員の悩みと対処法をご紹介します。仕事のやりがいや転職を成功させる方法もまとめました。就労継続支援B型事業所への就職・転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
就労継続支援B型事業所の職員が「きつい」と感じる理由
就労継続支援B型事業所の職員は、利用者さんのケアの難しさや業務量の多さから、「仕事がきつい」と感じることがあるようです。以下で解説するので、転職を考えている方は確認しておきましょう。
利用者さんのケアが難しく精神的な負担がある
就労継続支援B型の利用者さんは、知的障がい・精神障がい・身体障がい・難病がある方です。障がいのある方とのコミュニケーションには、専門的なスキルが必要なので、特に最初は大変に感じる場合があります。
不安やこだわりがあり、感情が不安定になってしまうことがある利用者さんもいるでしょう。適切に対応できず、利用者さんから暴力的な言動を受けたときなどに、「きつい」と感じる職員は少なくありません。
職員1人あたりの業務量が多い
就労支援B型事業所の職員は、担当する業務の多さを大変に感じることもあるようです。たとえば、生活支援員と職業指導員を兼務する場合、利用者さんの健康管理や相談対応に加え、技術指導なども行います。
また、支援の必要性が高い利用者さんに付きっ切りになり、人手が足りなくなることも。利用者さんの人数や状況に応じたスタッフを配置できていない事業所では、職員1人あたりの負担が大きくなりやすいでしょう。
さまざまな知識や技術を求められる
就労継続支援B型事業所の職員には、利用者さんの生活と就労を支援するための知識・技術が必要です。そのため、無資格や未経験で就職した場合、求められるレベルが高く、「仕事がきつい」と感じる可能性があります。
生活支援員に必要なスキル
生活支援員の仕事内容は、利用者さんの相談に乗り、問題解決に向けてサポートすることです。利用者さんのニーズや悩みをくみ取るコミュニケーション能力や、障害福祉に関する知識が求められます。
職業指導員に必要なスキル
職業指導員は、利用者さんが行う生産活動の指導や、一般就労に向けた支援などを行います。
職業指導を行うには、施設が取り組む生産活動に関するスキルが必要です。生産活動の内容は、清掃や食品製造、Web制作など、事業所ごとに異なります。介護・福祉業界での経験があっても、未経験の仕事の指導を行う場合、難しいと感じる可能性があるでしょう。
また、一般就労に向けた支援には、関係機関と連絡・調整するコミュニケーション能力や、地域産業を把握するための情報収集力などが求められます。
仕事内容に対して給料が低い
就労継続支援B型事業所では、利用者さんの日常生活・就労に関する総合的な支援を行います。なかには、幅広い業務に対応しているのに、自身の努力が評価に反映されず、「給料が低い」と不満を感じる職員もいるようです。
厚生労働省の「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果(p.80)」によると、就労継続支援B型事業所の福祉・介護職員(常勤)の平均給与は、279,990円でした。障害福祉サービス全体の福祉・介護職員の平均給与は、312,310円です。
就労継続支援B型事業所の職員の給与が、障害福祉サービスの平均よりも低いのは、利用者さんの自立度が比較的高いためと考えられます。業務の身体的な負担は軽くても、ケアの難しさから精神的な負担を感じると、「給料が仕事に見合っていない」と思うこともあるのかもしれません。
出典
厚生労働省「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」(2024年9月9日)
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ほかの職種と援助方針が合わない
就労継続支援B型事業所では、生活支援員・職業指導員・サービス管理責任者・管理者などの職種が、それぞれの役割をもって活躍しています。職種によって、支援の考え方や利用者さんとの関わり方が異なり、連携が大変と感じる職員もいるようです。
職場の人間関係に問題がある
「職場の人間関係がきつい」という悩みは、業種や職種を問わず考えられるでしょう。就労継続支援B型事業所には夜勤がなく、勤務時間が固定なので、苦手な職員ともシフトが被りやすい傾向にあります。
また、障害者施設のなかには、「利用者さんに不適切な対応をする職員がいる」といった問題を抱える職場もあるかもしれません。ただ苦手なだけなら我慢できる可能性もありますが、利用者さんへの態度が悪く改善してもらえない場合、「一緒に働きたくない」と感じてしまっても無理はないでしょう。
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就労継続支援B型の仕事がきついときの対処法
就労継続支援B型の仕事がきついと感じるときは、周囲に相談したり、支援をスムーズに行うためのスキルを身につけたりすると良いでしょう。「就職したけど業務に慣れなくて大変」「転職したいけど自分にできるか不安」という方は、仕事がきついときの対処法をチェックしてみましょう。
支援に関する悩みを先輩職員に相談する
利用者さんの対応に困ったときは、先輩職員に相談するのがおすすめです。長期的に活躍している職員は、障がいごとの特性や、利用者さん一人ひとりへの対応方法などに詳しい可能性があるので、困ったときは頼りましょう。
先輩職員から知識を学び、適切な支援やコミュニケーションを行うことで、利用者さんが落ち着いて過ごせたり、信頼関係を築けたりします。
プライベートで仕事のストレスを解消する
仕事のストレスをプライベートに持ち込むと、精神的に追い詰められてしまうおそれがあります。そのため、夜間や休日は、ストレス解消してリラックスできる時間を確保しましょう。
ストレス解消には、「家族や友人と話す」「運動をする」「好きな物を食べる」などがおすすめ。精神的・身体的な疲れを蓄積させないためには、十分な睡眠を取り、生活リズムを整えることも大切です。
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資格を取得して専門的なスキルを身につける
「仕事についていけなくてきつい」と感じる場合は、資格を取得したり研修を受講したりして、スキルを身につけると良いでしょう。
障がいに関する基礎知識やコミュニケーション技法を身につけたい方には、「介護職員初任者研修」や「介護福祉士実務者研修」がおすすめです。食事や家事についても学ぶので、食品製造や掃除、クリーニングなどの生産活動の支援にも活かせます。
資格取得に興味がある方は、「【障がい者支援に役立つ資格一覧】取得方法や難易度、習得できるスキルは?」の記事もご参照ください。資格取得支援の介護求人はこちら
コミュニケーションを十分に取り多職種連携する
ほかの職種との連携がうまくいかないときは、まずは相手の意見を聞くことが大切です。たとえば、「利用者さんは一般就労を希望しているが、体調の安定を最優先して利用継続を勧めている」など、聞いてみるとほかの職員の援助方針に納得できる場合もあるかもしれません。
また、自身の考えを伝えるときは、理由を分かりやすく話すことや、強い口調にならないことなどに気をつけましょう。それぞれの職種が専門性を活かし、利用者さんにとって最適な支援を行うためには、意見交換して援助方針を決めることが求められます。
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職場環境の問題は上司に相談する
人間関係の問題や給与の低さから「仕事を辞めたい」と悩んでいる場合は、上司に相談してみてください。特に、職員や利用者さんからハラスメントを受けていたり、職員に不適切な言動が見られたりする場合などは、我慢せずに早めに報告したほうが良いでしょう。もしも、相談しても改善しない場合は、転職する選択肢もあります。障害者施設の求人はこちら
就労継続支援B型事業所の職員のやりがい・魅力
就労継続支援B型の仕事には、きつい部分だけではなく、やりがいや魅力も多くあります。どのような仕事にもメリット・デメリットは両方あるので、自分に合う仕事か見極めることが重要です。就労継続支援B型事業所の職員として働くメリットを、以下で確認してみましょう。
利用者さんの成長を感じられる
就労継続支援B型事業所の職員は、利用者さんに貢献できていることを実感したときに、やりがいを感じるようです。
職業指導の面では、利用者さんのできる作業が増えたり、スムーズに連携やコミュニケーションができるようになったりしたときに、うれしく思うことがあるでしょう。生活支援においては、健康状態・生活習慣の改善により、生産活動に参加できる日が増えたときなどに、利用者さんの成長を感じられます。
自立支援のスキルが向上する
利用者さんの抱える課題や希望からニーズをくみ取り、適切な支援を考えて実践することで、自立支援のスキルが向上します。就労継続支援B型事業所で働けば、利用者さんが役割をもって社会生活を送れるようサポートできるようになるでしょう。
自立支援の視点は、障害者支援や高齢者介護において重要です。そのため、就労支援の仕事を通じて身につけたスキルは、福祉業界で転職する際にもアピールできるでしょう。
利用者さんやご家族から感謝の言葉をもらえる
就労継続支援B型事業所の職員は、利用者さんの笑顔を見たり、ご家族から感謝の言葉をもらったりする機会もあります。コミュニケーションに苦労することがある分、利用者さんとの信頼関係ができて「ありがとう」と言ってもらえたときは、「頑張って良かった」とやりがいを感じられるでしょう。
無資格や未経験から転職しやすい
就労継続支援B型の職員に必須の要件はないため、無資格・未経験から転職しやすい職場です。学歴不問や年齢不問の求人も少なくありません。無資格・未経験でも、働きながら専門的なスキルを身につけて活躍できることも、就労継続支援B型の仕事の魅力です。
体力的な負担が小さい傾向にある
就労継続支援B型の仕事は、ほかの障害者施設に比べ、体力的な負担が小さい傾向にあります。就労を目的に通所する利用者さんは、身体的な自立度が比較的高いので、身体介護を行う機会は少ないようです。また、日中のみの支援で夜勤がないことから、働きやすいと感じることもあるでしょう。
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就労継続支援B型の仕事に向いている人
コミュニケーション能力や観察力があれば、就労継続支援B型事業所の職員として活躍できるでしょう。下記では、就労継続支援B型に向いている人の特徴を解説します。仕事に必要なスキルは、経験を積みながら身につけることもできるので、参考程度にご覧ください。
信頼関係を築くコミュニケーション能力がある人
スムーズに業務を進めるためには、利用者さんとの関係や職員間の関係の構築が必要です。そのため、コミュニケーション能力に自信がある方は、就労継続支援B型の仕事に向いているでしょう。生産活動のために、仕事の受託や請負、商品販売などを行う際にも、コミュニケーション能力を活かせます。
利用者さんの体調の変化に気づく観察力がある人
利用者さんの様子を見て、変化に敏感に気づける人も、就労継続支援B型の仕事に向いています。障がいによって就労に課題を抱える利用者さんは、心身の状態が変化しやすいでしょう。自分の状況に気づけなかったり、うまく伝えられなかったりする利用者さんもいるので、職員の観察力は重要です。
状況の改善に向けて積極的にアプローチできる人
利用者さんの課題と解決策を考えて動ける人も、就労継続支援B型の仕事に適性があるでしょう。「利用者さんがこの作業をできるようになるにはどうしたら良いか」「一般就労に移行する場合の課題は何か」など、細かく課題分析をすることで、根拠のある支援ができます。
業務が計画通りに進まなくても臨機応変に対応できる人
就労継続支援B型事業所では、利用者さんの体調不良や気持ちの変化などがあり、計画通りに生産活動が進まないことも。イレギュラーなことがあったときも、全体を見て冷静に対応できる人は活躍できるでしょう。職員は、利用者さんが不安にならないよう、落ち着いて行動することが大切です。
福祉業界における実務経験や資格がある人
福祉業界での経験や介護の資格がある方は、就労継続支援B型事業所でもスキルを活かして働けます。福祉の仕事に携わるうえでの基礎である、プライバシー保護や自立支援などの知識が身についているので、適切な支援や声掛けができるでしょう。
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就労継続支援B型事業所への転職を成功させる方法
働き始めてから「忙しくてきつい」「想像していた仕事と違う」と感じないために、就労継続支援B型に転職する際は、次のようなポイントをチェックしましょう。
求人に応募する前に人員配置をチェックする
施設のWebサイトや求人情報から人員配置をチェックしておくことで、人手不足ではないかがある程度分かります。
就労継続支援B型事業所の配置基準として定められているのは、前年度の利用者数10人に対し、職業指導員・生活指導員1人以上です。最低限の人員配置ではなく、利用者さんの状態や支援内容に応じた人数の職員が配置されていれば、業務の負担が1人に集中する可能性は低いでしょう。
資格取得支援や研修の制度が充実した職場を選ぶ
無資格や未経験の方には、資格取得支援制度や研修体制が整っている施設がおすすめです。職場の協力があれば、働きながらスキルアップしやすいでしょう。介護・福祉業界で働いた経験があり、就労継続支援の仕事は初めてという方も、研修体制や教育制度が整っていれば、不安なく業務に取り組めます。
求人票の雇用形態や給与条件をしっかり確認する
転職後に不満を感じないためには、求人票の労働条件をしっかりと確認することが大切です。雇用形態は正社員なのか、パート・アルバイトや契約社員の場合は正社員登用制度があるのかをチェックしておきましょう。雇用形態によって、休日数や労働時間、担当する業務の範囲なども異なる可能性があります。
また、毎月の基本給やボーナスの支給実績、昇給や手当の制度についても把握しておくと安心です。転職活動の際は、ただ条件の良い求人を探すのではなく、自分の希望する働き方ができるか想像して職場を選ぶと良いでしょう。
仕事内容と自身のやりたい支援を照らし合わせる
仕事内容や経営理念がやりたい支援とミスマッチだと、長期的に活躍するのは難しいでしょう。就労継続支援B型事業所では、複数の職種を兼務する場合もあります。そのため、求人の職種名だけを見るのではなく、仕事の範囲や役割などの詳細も必ず確認しましょう。
リアルな職場環境は、求人票ではなかなか把握できないので、就職・転職エージェントを活用するのがおすすめです。障害者施設への転職なら、福祉業界に特化した「レバウェル介護(旧 きらケア)」にお任せください。
レバウェル介護(旧 きらケア)では、専任のキャリアアドバイザーが、仕事内容・待遇を詳しくお伝えします。気になる職場があれば、施設見学も可能です。「転職したいけど、成功するか不安」という方は、ぜひ気軽にご相談ください。
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介護求人の探し方とは?探し始めるタイミングや良い職場か見極める方法
今の職場に満足していますか?
就労継続支援B型の仕事の大変さに関するよくある質問
ここでは、就労継続支援B型の仕事の大変さに関するよくある質問に回答します。「就労継続支援B型事業所の職員になりたい」「転職すべきか迷っている」という方は、ぜひ参考にしてください。
就労継続支援B型事業所の職員にはどんな悩みがある?
就労継続支援B型事業所で働いていて、利用者さんとのコミュニケーションが難しいことや、仕事量に対して給料が少ないことなどに悩む職員もいるようです。「支援がうまくできなくてきつい」という悩みは、経験を積んでスキルを身につければ解決する傾向にあります。条件面に関する不満の解消には、上司に相談したり転職したりするのが効果的です。
就労継続支援B型の仕事の大変な部分を確認したい方は、この記事の「就労継続支援B型事業所の職員が「きつい」と感じる理由」もご覧ください。
就労継続支援B型の生活支援員の仕事はきついですか?
就労継続支援B型事業所の生活支援員は、身体介護を行う機会が少ないため、体力的な負担は小さい傾向にあります。しかし、利用者さんとのコミュニケーションがうまくいかず、仕事が予定通りに進まない場合などに、「きつい」と感じることもあるようです。生活支援員としてスムーズに仕事を行うためには、利用者さんと適切なコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが求められます。
就労継続支援B型の職業指導員の仕事はきついですか?
職業指導員には、障害者支援のスキルだけではなく、担当する生産活動に関する知識も必要なので、「仕事が大変」と感じる可能性があります。スキル不足できついと感じるときは、本を読んだりインターネットで調べたりして情報収集するのがおすすめです。
就労継続支援B型の職員ですが仕事を辞めたいです…
仕事を辞めたいときは、理由を整理して冷静に判断しましょう。今の勤務先に不満があるなら、同じことで悩まない職場を選ぶのがおすすめです。就労継続支援B型事業所を辞める場合は、職場環境に問題があるのか、障害者支援の仕事自体から離れたいのかを考えたうえで、転職先を決めると良いでしょう。また、いきなり退職すると収入がなくなってしまうので、計画的に転職活動を進めることも大切です。
退職するか迷っている方は、「介護職を辞めたいと悩む理由は?退職を迷ったときの対処法を解説」の記事もご参照ください。
まとめ
就労継続支援B型事業所の職員は、利用者さんとのコミュニケーションや職場の人間関係に悩み、「仕事がきつい」と感じることがあるようです。仕事が大変でつらいときは、先輩や上司に相談したり、スキルを磨いたりすることをおすすめします。
就労継続支援B型の仕事は、きついと感じる部分がある分、仕事がうまくいったときのやりがいも大きいでしょう。転職で大切なのは、自分の適性や働き方の希望に合った仕事を選ぶことです。
「転職に関する不安を取り除きたい」「障害者施設の仕事についてもっと知りたい」という方は、レバウェル介護(旧 きらケア)を利用してみませんか?レバウェル介護(旧 きらケア)では、福祉業界に精通したアドバイザーがキャリアの相談に対応。あなたの希望を丁寧にヒアリングし、求人の紹介や応募先への条件交渉などを行います。サービスはすべて無料なので、ぜひご相談くださいね。
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