
この記事のまとめ
- 2024年の介護報酬改定により、介護福祉士の給料は上がる見込み
- 介護福祉士の平均給与は、5年前よりも2万円以上アップした
- 介護福祉士が給料を上げるには、夜勤を増やしたり勤続年数を重ねたりしよう
「介護福祉士の給料は今後上がるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。2024年の介護報酬改定で、処遇改善加算の見直しが行われた効果もあり、介護福祉士の給与は今後も上がる見込みです。この記事では、2024年度の介護報酬改定で行われた変更点を解説。介護福祉士の平均給与や今後の処遇改善についてもまとめました。給料を上げたい方は、参考にしてください。
介護福祉士とは?仕事内容や資格の取得方法、試験概要をわかりやすく解説!2024年介護報酬改定による処遇改善加算の変更点
2024年の介護報酬改定では、処遇改善加算の一本化と加算率の引き上げが行われたため、介護福祉士の給料は上がることが期待できます。介護報酬改定とは、介護サービスを提供した際に施設や事業所に支払われる介護報酬や、介護労働者の待遇改善などの見直しを行うことで、基本的に3年ごとに実施されます。
ここでは、2024年の介護報酬改定における処遇改善加算の変更点をまとめました。
処遇改善加算の一本化
2024年の介護報酬改定では、これまで3つに分かれていた「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」が、「介護職員等処遇改善加算」に一本化されました。新加算の加算率は4段階あります。新加算IVは算定要件が緩い分加算率が低く、新加算Iは条件が厳しい分加算率が高い、というのが特徴です。
引用:厚生労働省「「処遇改善加算」の制度が一本化(介護職員等処遇改善加算)され、加算率が引き上がります」
処遇改善加算の一本化により、事務手続きの負担などが軽減し、加算を取得しやすくなりました。従来の処遇改善は仕組みが複雑だったため、制度を整えたり申請したりする際の負担が大きく、加算の申請を行わない施設や事業所もあったようです。処遇改善加算の一本化は、より多くの施設や事業所が加算を取得することを狙いとしています。
加算率の引き上げ
処遇改善の一本化と同時に、加算率の引き上げも行われました。提供するサービスの内容によって異なりますが、処遇改善加算の加算率は0.5~2.1%アップしたようです。
厚生労働省の「処遇改善に係る加算全体のイメージ(令和4年度改定後)(p.2)」には、「2024年度に2.5%、2025度に2.0%、介護従事者のベースアップへと確実につながるよう、加算率の引き上げを行う」という旨の記載があります。
処遇改善加算の配分については、介護職員を基本に、経験や技術がある職員に重点的に配分するようにとあり、介護福祉士の給与改善が優先的に実施される可能性も。ただし、事業所内で柔軟に配分できるため、実際の賃金改善の金額は職場ごとに異なるでしょう。
出典
厚生労働省「介護職員の処遇改善:TOP・制度概要」(2024年9月30日)
今の職場に満足していますか?
2024年介護報酬改定で介護福祉士の給料は上がる?
2024年の介護報酬改定では、介護事業所が職員のベースアップを行えるよう、処遇改善の加算率を引き上げました。介護福祉士も施策の対象なので、加算を取得している施設や事業所の介護福祉士は、給料アップが期待できます。
▼関連記事
介護職員の給料はまだ上がる?2024年最新の処遇改善・賃上げについて解説
2022年の介護福祉士の平均給与はどれくらい?
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.157)」によると、月給・常勤で働く介護福祉士の平均月収は33万1,080円でした。
下記では、介護職員の保有資格別の平均給与をまとめました。平均月収の12ヶ月分で算出した平均年収も、あわせてご覧ください。
保有資格(常勤) | 平均月収 | 平均年収 |
介護職員全体 | 31万7,540円 | 381万480円 |
介護福祉士 | 33万1,080円 | 397万2,960円 |
社会福祉士 | 35万120円 | 420万1,440円 |
介護支援専門員(ケアマネジャー) | 37万6,770円 | 452万1,240円 |
介護福祉士実務者研修 | 30万2,430円 | 362万9,160円 |
介護職員初任者研修 | 30万240円 | 360万2,880円 |
資格なし | 26万8,680円 | 322万4,160円 |
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.157)」
介護福祉士は、無資格の介護職員と比較して6万円以上も平均月収が高いという結果でした。一方で、受験のために福祉系の学校や養成施設に通う必要がある社会福祉士や、専門的な実務経験が求められるケアマネジャーよりは、給与が低い傾向にあることが分かります。
なお、実際の給与は、勤務先の地域や施設規模、提供サービスなどによって異なるので、データは参考程度にご覧ください。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2024年9月30日)
介護福祉士の給与は上がってる?
厚生労働省の調査を参考に、月給・常勤で働く介護福祉士の平均給与の推移をまとめました。
調査を実施した年 | 介護福祉士の平均給与 |
2022年(介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所) | 33万1,080円 |
2021年(処遇改善加算(I)~(V)を取得している事業所) | 32万8,720円 |
2020年(処遇改善加算(I)~(V)を取得している事業所) | 32万9,250円 |
2019年 | 資料なし |
2018年(加算(I)~(V)を取得している事業所) | 31万3,920円 |
2017年(加算(I)~(V)を取得している事業所) | 30万7,100円 |
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.157)」「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.182)」「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.166)」「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.106)」「平成29年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.172)」
2017年の介護福祉士の平均給与は30万7,100円で、2022年は33万1,080円です。5年ほどで、介護福祉士の平均給与は2万円以上アップしました。施設や事業所によって賃上げの現状は異なりますが、介護福祉士の給与は増加傾向にあるようです。
出典
厚生労働省「介護従事者処遇状況等調査:結果の概要」(2024年9月30日)
介護福祉士の給与は今後も上がる?
介護福祉士の給与は、今後も上がると推測できるでしょう。日本は高齢化が進んでいるため、介護福祉士のニーズが高まっていますが、人手不足が問題視されています。そのため、介護職員の定着や技術向上に向けて、今後も介護福祉士の処遇改善が進められていく見込みです。
先述したように、処遇改善加算の配分は、「特に経験や技能のある職員に重点的に配分すること」となっています。介護職員のなかでも、経験の長い介護福祉士は、特に給与アップの可能性が高いでしょう。
ただし、介護職員等処遇改善加算は、施設や事業所が要件を満たしたうえで申請しないともらえません。介護福祉士が給与を上げるには、勤め先が処遇改善加算を取得していることが重要です。
▼関連記事
介護福祉士の給料は高い?安い?平均年収や給与アップの方法までご紹介
介護職の給料はいくら?平均給与額や年収アップ方法、処遇改善の状況を解説
今の職場に満足していますか?
これまでに実施された介護福祉士の処遇改善
これまでも、介護職員の待遇を改善するための施策は行われてきました。ここでは、介護職員の処遇改善がどのように進められてきたのかを解説します。
2012年:介護職員処遇改善加算の創設
2012年に「介護職員処遇改善加算」が創設されました。下記は、介護職員処遇改善加算の加算額と算定要件です。
算定要件を満たした事業所には、介護職員1人あたり最大3万7,000円程度の加算が付与されます。介護職員処遇改善加算は、事業所が受け取った加算に相当する額の賃金改善を行う仕組みです。
キャリアパス要件としては、下記の3つが定められていました。
I…職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
II…資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
III…経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること。
引用:厚生労働省「「介護職員処遇改善加算」のご案内(p.1)」
また、職場環境等要件は、「賃金改善以外の処遇改善(職場環境の改善など)の取組を実施すること」と定められています。
それぞれ、満たしている要件によって、加算額が決まる仕組みです。キャリアパス要件すべてと職場環境要件を満たすと、介護職員1人あたり月3万7,000円相当の加算が算定されます。
出典
厚生労働省「「介護職員処遇改善加算」のご案内」(2024年9月30日)
2019年:特定処遇改善加算の創設
2019年に、経験や技能のある介護職員の給与アップのための「介護職員等特定処遇改善加算」が創設されました。
介護職員等特定処遇改善加算は、勤続10年以上や同等の経験のある介護福祉士に対し、「月額平均8万円相当の賃上げ」または「年収440万円以上に賃金改善する」のが目的の加算です。なお、特定処遇改善加算の一部は、ほかの職種の処遇改善に当てるなど、柔軟な運用を認めていました。
出典
厚生労働省「介護職員の処遇改善:TOP・制度概要」(2024年9月30日)
2022年:ベースアップ等支援加算の創設
2022年には、介護職員の収入を3%(月額9,000円)程度引き上げるための措置として、介護職員等ベースアップ等支援加算が創設されました。
引用:厚生労働省「処遇改善に係る加算全体のイメージ(令和4年度改定後)」
ベースアップ等支援加算の対象となるのは、処遇改善加算I〜IIIのいずれかを取得している施設や事業所です。加算額の3分の2以上は、基本給または毎月支払われる手当の引き上げに使うように定められていました。
出典
厚生労働省「介護職員の処遇改善:TOP・制度概要」(2024年9月30日)
2024年:月額平均6,000円の賃上げ
2024年2~5月は、介護職員等ベースアップ等支援加算に上乗せして、収入を2%程度(月額平均6,000円相当)引き上げるための措置が行われました。これは、介護職員1人あたり、月額平均6,000円の賃上げに相当する額を事業所に支給する施策です。事業所の判断によっては、介護職員以外の職種の給与アップに充てることも可能としており、柔軟な運用を認めていました。
出典
厚生労働省「令和5年度厚生労働省補正予算案の概要」(2024年9月30日)
▼関連記事
介護職員等特定処遇改善加算とは?算定要件や実績、廃止後の新制度を解説!
介護福祉士が給料を上げる方法は?
ここでは、介護福祉士が給料を上げる方法を解説します。「今より給料を増やしたい」という方は確認してみましょう。
夜勤の回数を増やして手当てで稼ぐ
「すぐに給与を上げたい」という介護福祉士は、夜勤の回数を増やすと、夜勤手当による収入アップを狙うことができます。ただし、夜勤は身体的な負担を伴う場合があるので、無理のない範囲で行うようにしましょう。
勤続年数を重ねる
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.139)」によると、介護職員の平均給与は、勤続1年~4年で29万2,330円、勤続5年~9年で31万530円、勤続10年以上の場合は34万5,610円でした。介護職員の給与は、勤続年数に応じて上がる傾向にあります。
特に介護福祉士の場合は、勤続10年以上で「技能や経験のある介護職員」と認められる場合があるため、同じ職場に長く勤めると給料が上がることが期待できるでしょう。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2024年9月30日)
キャリアアップを目指す
介護福祉士は、キャリアアップをすることでも給料を上げられます。介護福祉士におすすめのキャリアを見てみましょう。
介護支援専門員(ケアマネジャー)資格を取得する
「2022年の介護福祉士の平均給与はどれくらい?」でご紹介したように、介護福祉士の資格を保有する介護職員の平均月収は33万1,080円。これに対して、ケアマネジャーの資格を保有する介護職員の平均月収は37万6,770円です。ケアマネジャーの平均給与は、介護福祉士よりも約4万5,000円高くなっています。
介護福祉士からケアマネジャーになると、高給与を狙えるだけではなく、介護業界でスキルアップができるというメリットもあるでしょう。実際に介護福祉士からケアマネジャーになる方は多くいます。
なお、介護福祉士がケアマネジャー試験を受験するには、介護福祉士になってから5年以上の実務経験が必要です。ケアマネジャーの仕事に興味がある方は、「ケアマネジャー(介護支援専門員)の平均年収は?給料アップの方法も解説」もご覧ください。
施設長や管理者を目指す
介護福祉士は、施設長や管理者になることでも給料アップを狙えます。厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.136)」によると、介護事業所の管理職の平均給与は35万6,570円でした。管理職ではない介護職員の平均給与の30万8,070円と比べると、約5万円高いという結果です。
なお、管理者になるためには要件が定められている場合もあるので、事前に確認しておきましょう。管理職へのキャリアアップに興味のある方は、「施設長の年収はどれくらい?仕事内容や資格要件も解説します!」を参考にしてみてください。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2024年9月30日)
給与の高い介護施設に転職する
介護福祉士の給与は、施設形態や事業所の運営元、働く都道府県などによって異なります。今の給与に不満を感じる介護福祉士は、転職して収入アップを図るという選択肢もあるでしょう。ただし、給与だけで転職先を選ぶとミスマッチにつながるおそれがあるので注意が必要です。
転職して給与を上げたい方は、「【介護】転職で年収アップは可能?給与アップのポイントとリスクを解説」の記事もチェックしてみてください。
介護業界に特化した転職エージェントの「レバウェル介護(旧 きらケア)」には、処遇改善加算を取得している事業所の求人が多数あります。サービスは無料なので、給与を上げたい介護福祉士の方は気軽にご相談ください。
高給与の介護求人一覧ページはこちら
介護福祉士(介護士)の求人一覧ページはこちら
介護福祉士の給料・賃上げについてよくある質問
ここでは、介護福祉士の給料に関するよくある質問に回答します。「今後も介護職員の賃上げは続くの?」と気になる方はご覧ください。
介護福祉士の今後の給料はどうなるの?
介護福祉士の給料は増加傾向にあり、今後も賃金改善が続く見込みです。2024年の介護報酬改定では、処遇改善加算の加算率が引き上げられました。介護職員の定着のために、今後も介護福祉士の処遇改善は継続すると考えられます。
「介護福祉士の給与は昔より上がっているの?」と気になっている方は、この記事の「介護福祉士の給与は上がってる?」をご覧ください。
介護福祉士の処遇改善の最新情報が知りたいです!
2024年の介護報酬改定では、処遇改善加算の一本化と加算率の引き上げが行われ、介護福祉士の処遇改善が進められています。処遇改善加算の一本化では、これまで3つあった「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ加算」を一つにまとめ、「介護職員等処遇改善加算」が新設されました。制度を分かりやすくし、加算を取得をする施設や事業所を増やすのが狙いです。詳しくは、「2024年介護報酬改定による処遇改善加算の変更点」を参考にしてください。
まとめ
介護報酬改定に伴う処遇改善により、介護福祉士の給料は増加傾向にあります。2024年6月には、3つの処遇改善加算が「介護職員等処遇改善加算」に一本化され、加算率が引き上げられました。高齢化により、介護福祉士をはじめとする介護職員の需要は今後ますます高くなる見込みなので、処遇改善の継続が期待できます。
「今の給与に不満がある」「仕事に見合った給料が欲しい」という介護職員の方は、レバウェル介護(旧 きらケア)にご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)には、介護求人を熟知したアドバイザーが在籍しているので、賞与実績のある職場や、資格取得により高収入を狙える職場の求人を紹介可能です。給与や福利厚生についても詳しくお伝えするので、ミスマッチのない転職につながるでしょう。給料を上げたい介護福祉士の方は、気軽にご利用くださいね。
今の職場に満足していますか?
先に資格を取りたい方へ
無料相談はこちら