
この記事のまとめ
- 就労継続支援B型事業所で働く、常勤の生活支援員の平均給与は、約21万円
- 就労継続支援B型の職員が給料アップする方法は、資格を取得することなど
- 2024年に障害福祉サービス等報酬改定による報酬アップが行われた
「就労継続支援B型で働く職員の給料はどのくらい?」と気になる方もいるでしょう。就労継続支援B型で働く職業指導員の平均給与は約23万円、生活支援員の平均給与は約21万円です。この記事では、就労継続支援B型の職種・雇用形態ごとの平均給与を解説。ほかの就労支援サービスの給料との比較もまとめました。就労継続支援B型で働く職員が給料アップする方法や、賃上げについても解説するので、ご一読ください。
就労継続支援B型の職員の平均給与
ここでは、就労支援B型事業所で働く職員の平均給与額を、職種別にまとめました。「就労継続支援B型の仕事に興味があり、給料事情が気になる」という方は、参考にしてみてください。
職種・勤務形態別の平均給与
厚生労働省の「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果(p.28)」によると、2022年10月における、就労継続支援B型の職員の平均給与額は、以下のとおりです。
職種 | 常勤 | 非常勤 |
施設長・管理者 | 30万6,743円 | 16万7,842円 |
サービス管理責任者 | 28万134円 | 15万100円 |
職業指導員 | 22万7,705円 | 10万4,759円 |
生活支援員 | 21万106円 | 9万5,956円 |
参考:厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果(p.28)」
就労継続支援B型の職員は、サービス管理責任者や施設長・管理者など、専門的な知識や経験が必要な職種ほど、給与額が高いようです。生活支援員や職業指導員は、無資格や未経験から携われることもあり、ほかの職種より給与が低いと予想できます。
職種・勤務形態別の手取り給与の目安
平均給与を参考に、就労継続支援B型の職員の手取り給与の目安額を算出しました。以下の値は、平均給与額×0.8で算出しています。あくまで目安の額なので、参考までにご覧ください。
職種 | 常勤 | 非常勤 |
施設長・管理者 | 24万5,394円 | 13万4,273円 |
サービス管理責任者 | 22万4,107円 | 12万80円 |
職業指導員 | 18万2,164円 | 8万3,807円 |
生活支援員 | 16万8,084円 | 7万6,764円 |
参考:厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果(p.28)」
就労継続支援B型の職業指導員(常勤)の手取りの相場は18万円前後、生活支援員の手取りの相場は17万円前後です。また、非正規雇用の場合、時給制の施設が多い傾向にあるため、給料は勤務日数や時間によって変動します。
出典
厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果」(2024年10月17日)
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ここでは、就労継続支援B型とほかの就労支援サービス、福祉業界全体の平均給与を、職種別にまとめました。「就労支援事業所で働きたいけど、どの施設を選べば良いの?」と迷っている方は、参考にしてみてください。
生活支援員の平均給与
厚生労働省の「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果(p.25)(p.28)」によると、就労支援事業所で働く生活支援員の平均給与は、以下のとおりです。
職場 | 常勤 | 非常勤 |
就労継続支援B型事業所 | 21万106円 | 9万5,956円 |
就労継続支援A型事業所 | 20万3,506円 | 9万7,336円 |
就労移行支援事業所 | 22万3,246円 | 11万5,604円 |
障害福祉サービス事業所全体 | 27万103円 | 11万1,076円 |
参考:厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果(p.25)(p.28)」
就労継続支援B型の生活支援員の給与は、障害福祉サービス全体の平均よりも低い傾向にあるようです。就労継続支援B型の職員には夜勤がないことや、利用者さんの身体介護を行う機会が少ないことが、給与が全体平均より低い理由と考えられます。
職業指導員の平均給与
同資料によると、就労支援事業所で働く職業指導員の平均給与は、以下のとおりです。
職場 | 常勤 | 非常勤 |
就労継続支援B型事業所 | 22万7,705円 | 10万4,759円 |
就労継続支援A型事業所 | 17万6,471円 | 10万2,293円 |
就労移行支援事業所 | 22万9,195円 | 10万3,133円 |
障害福祉サービス事業所全体 | 20万6,608円 | 10万3,617円 |
参考:厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果(p.25)(p.28)」
就労継続支援B型の利用者さんは、就労継続支援A型の利用者さんと比較して、支援の必要性が高い傾向にあります。職業指導員には、利用者さんがスムーズに作業できるよう環境を整える専門性が求められるため、A型事業所よりもB型事業所のほうが給与が高くなっているようです。
サービス管理責任者の平均給与
同資料によると、就労支援事業所で働くサービス管理責任者の平均給与は、以下のとおりです。
職場 | 常勤 | 非常勤 |
就労継続支援B型事業所 | 28万134円 | 15万100円 |
就労継続支援A型事業所 | 26万995円 | 20万5,946円 |
就労移行支援事業所 | 30万6,893円 | 7万2,526円 |
障害福祉サービス事業所全体 | 31万9,136円 | 14万1,773円 |
参考:厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果(p.25)(p.28)」
サービス管理責任者は、利用者さんへ適切な支援ができるよう、個別支援計画の作成や職員の教育などを行います。就労支援事業所は、基本的に夜間の緊急対応といった業務が発生しないこともあり、障害福祉サービス全体と比較して、サービス管理責任者の給与も低い傾向にあるようです。
施設長・管理者の平均給与
同資料によると、就労支援事業所で働く施設長・管理者の平均給与は、以下のとおりです。
職場 | 常勤 | 非常勤 |
就労継続支援B型事業所 | 30万6,743円 | 16万7,842円 |
就労継続支援A型事業所 | 29万595円 | 12万2,376円 |
就労移行支援事業所 | 36万3,515円 | 9万9,764円 |
障害福祉サービス事業所全体 | 33万7,986円 | 12万5,858円 |
参考:厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果(p.25)(p.28)」
就労継続支援B型事業所の管理者の平均給与は、障害福祉サービス全体の平均よりも約3万円低い結果でした。施設長・管理者は、就労支援サービスの運営を担う職種です。職員の採用やシフト管理、営業活動など、幅広い業務を行います。
なお、施設の規模や働く地域などによって給料は変動するので、上記の平均給与額はあくまで参考程度にご覧ください。
出典
厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果」(2024年10月17日)
障害福祉サービス事業所全体の給与相場
厚生労働省の「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果(p.25)」によると、2022年10月における、障害福祉サービス事業所全体の職種別の平均給与は、以下のとおりです。
職種 | 常勤 | 非常勤 |
施設長・管理者 | 33万7,986円 | 12万5,858円 |
サービス管理責任者 | 31万9,136円 | 14万1,773円 |
職業指導員 | 20万6,608円 | 10万3,617円 |
生活支援員 | 27万103円 | 11万1,076円 |
参考:厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果(p.25)」
専門的な知識・技術を必要とする責任が大きい職種は、給与額が高いことが分かります。また、入所施設では生活支援員が夜勤に入るため、給料が高くなることもあるようです。
出典
厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果」(2024年10月17日)
就労継続支援B型の職員が給料をアップするには
就労継続支援B型の職員が給料をアップさせる方法は、「資格を取得する」「経験年数を重ねる」などです。以下で、それぞれについて解説します。
資格を取得する
就労継続支援B型の職員は、資格を取得することで、資格手当や昇給によって給料が上がる可能性があります。給料アップにつながりやすいのは、介護職員初任者研修や介護福祉士、社会福祉士など、介護や福祉に関する資格です。
資格取得支援制度のある施設を選ぶと、費用を一部負担してもらえたり、通学日を出勤扱いにしてもらえたりするといったメリットが得られます。
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経験年数を重ねる
就労継続支援B型事業所などの福祉施設では、勤続年数を増すごとに給与額も上がる傾向にあります。そのため、一つの施設に勤め続けることで、定期的な給料アップが望めるでしょう。自身に合った条件や環境の職場であれば、長期的に勤務できます。
施設長・管理者へキャリアアップする
厚生労働省の「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果(p.86)」によると、就労継続支援B型事業所の管理職の平均給与は 35万4,300円、それ以外の福祉・介護職員の平均給与は 27万4,080円です。そのため、施設長や管理者にキャリアアップすると、大幅な給料アップが望めます。
なお、管理者になるには、介護・福祉系の資格や実務経験が求められる傾向にあるため、事前に希望の施設の要件を調べ、キャリアパスを明確にすると良いでしょう。
出典
厚生労働省「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」(2024年10月17日)
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障がい者施設の給料は上がる?2024年の処遇改善や年収アップの方法とは
給与が高い施設に転職する
今よりも条件が良い就労継続支援B型事業所に転職することでも、給料アップを望めるでしょう。また、施設入所支援や短期入所、療養介護など、夜勤のあるサービスは、給与が高い傾向にあります。
ただし、転職の際は、給与だけではなく仕事内容や福利厚生なども確認して、自分が納得して働ける職場を選ぶことが大切です。
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2024年度障害福祉サービス等報酬改定による賃上げ
2024年に、障害福祉サービス等報酬改定が実施されました。この改定は、障害福祉に関わる介護職員全体の給与アップを目的とし、経験やスキルがある職員の処遇改善を重点的に行っています。
この改定により、障害福祉分野の報酬全体は1.12%引き上げられました。また、3つに分かれていた福祉・介護職員等処遇改善加算が一本化されたのも、大きな変更点です。
障害福祉サービスに携わる人材を確保する必要があるため、政府は今後も職員に対する処遇改善を続けていくと考えられます。そのため、就労継続支援B型事業所の職員の給料も今後アップする可能性があるでしょう。
出典
厚生労働省「医療・介護・障害福祉関係団体との賃上げに関する意見交換の資料について」(2024年10月17日)
そもそも就労継続支援B型とは
就労継続支援B型とは、障がいや病気を理由として一般企業への就労が困難な方に対し、雇用契約を結ばずに働く場を提供する施設のことを指します。利用対象者は、50歳以上の方や障害基礎年金1級受給者、B型の支援が適していると判断された方などです。
仕事内容
就労継続支援B型の職員の仕事内容は、利用者さんの生産活動を支援することです。スムーズに作業できるように環境づくりをしたり、適性のある作業を割り振ったりして、利用者さんの就労をサポートします。
就労継続支援B型で働く職員の仕事内容について詳しく知りたい方は、「就労継続支援B型の仕事内容は?職員の1日の流れと働くメリットを解説!」の記事をご参照ください。
働き方
就労継続支援B型事業所は、利用者さんが日中に通って利用するため、夜勤がありません。土日祝が休みの施設もあり、プライベートと仕事を両立させやすいといえます。また、入居型の施設よりも身体介護の機会が少ないため、体力に自信がない方も働きやすいでしょう。
資格要件
就労継続支援B型で働くための資格要件は、職種によって異なります。以下で、それぞれについて解説するので、気になる職種をチェックしてみてください。
生活支援員・職業指導員
就労継続支援B型の生活支援員や職業指導員に資格要件はないため、無資格から働ける施設が多いようです。ただし、介護や福祉に関する資格を持っていると、選考に有利になったり給与アップにつながったりと、メリットを得られる可能性があります。
サービス管理責任者
サービス管理責任者として働くには、以下の要件を満たす必要があります。
- 障がいのある方に対する直接支援・相談支援などの実務経験を積む(3~8年)
- 基礎研修を修了する(26時間)
- OJTを受ける(2年以上)
- 実践研修を修了する(14.5時間)
サービス管理責任者になるには、実務経験や研修の修了が必要です。なお、サービス管理責任者に正規配置された後は、5年ごとに更新研修を受けなければなりません。
出典
厚生労働省「社会保障審議会障害者部会(第135回)の資料について」(2024年10月17日)
管理者
就労継続支援B型で働く管理者の資格要件は、以下のとおりです。
- 社会福祉主事の任用要件を満たす者
- 社会福祉事業に2年以上従事した者
- これらと同等以上の能力を有すると認められたもの
社会福祉主事任用資格の取得などが、就労継続支援B型事業所の管理者の要件です。管理者は、サービス管理責任者を兼任する場合もあります。
障害者施設で働く職員の資格要件については、「障害者施設で働くにはどんな資格が必要?仕事内容や働くメリットも紹介」の記事で解説しているので、気になる方はチェックしてみてください。
出典
厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準」(2024年10月17日)
e-Gov法令検索「社会福祉法」(2024年10月17日)
就労継続支援B型で働く職員のやりがい
就労継続支援B型で働くやりがいには、以下のようなものがあります。
- 利用者さんの成長を見届けられる
- 利用者さんと密に関われる
- 福祉業界で活かせるスキルが身につく
就労継続支援B型の仕事には、利用者さんの成長を近くで見届けられるという魅力があります。ときには、利用者さんとのコミュニケーションに難しさを感じることもあるかもしれませんが、信頼関係を築けたときにはやりがいを感じられるでしょう。
また、自立支援のスキルや障がいがある方との接し方など、福祉業界で活かせる知識・技術を身につけられるのも、就労継続支援B型で働くやりがいの一つです。
▼関連記事
障害者施設の仕事のやりがいとは?サービス内容や向いている人の特徴を解説
就労継続支援B型の職員についてよくある質問
ここでは、就労継続支援B型事業所の職員についてよくある質問にお答えします。就労継続支援B型の仕事に興味がある方は、ご一読ください。
就労継続支援B型の職員の仕事はきついですか?
就労継続支援B型では、利用者さんとのコミュニケーションが難しく、「仕事がきつい」と感じる人もいるようです。就労継続支援B型の利用者さんには、知的障がいや精神障がいなどの障がいがあります。精神的なケアも必要になるため、障がいのある方と接するのに慣れるまでは、大変に思うことも少なくありません。
就労継続支援B型の仕事の大変さを確認したい方は、「就労継続支援B型の職員はきつい?仕事が大変と感じる理由や対処法を解説!」の記事も参考にしてください。
就労継続支援B型の職員になるために資格は必要ですか?
就労継続支援B型の職業指導員や生活支援員の求人は、無資格から応募することが可能です。しかし、介護や福祉に関する資格を取ることで、知識や技術を業務に活かせるというメリットがあるので、時間に余裕があれば取得を目指すのもおすすめです。
就労継続支援B型の仕事に活かせる資格については、「就労継続支援B型の職員に資格は必要?仕事に役立つ研修や国家資格を解説!」でご紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
まとめ
就労継続支援B型で働く職員の給料は、職種によって異なります。たとえば、常勤で働く職業指導員の平均給与は約23万円、生活支援員の平均給与は約21万円です。
就労継続支援B型の職員が給料を上げる方法としては、「介護・福祉の資格を取得する」「施設長・管理者へキャリアアップする」などが挙げられます。また、条件が良い施設に転職するのも、給料アップの方法の一つです。
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