
この記事のまとめ
- 派遣会社と契約して派遣先に配属されるのが、ケアマネが派遣として働く流れ
- 派遣ケアマネとして働くメリット・デメリットを確認することが大切
- 派遣会社を選ぶときは、取り扱っている求人数や職種をチェックする
「ケアマネは派遣社員として働けるの?」と気になる方もいるでしょう。ライフステージの変化により正社員で働き続けるのが難しくなった方もいるかもしれません。ケアマネは派遣として働くことが可能です。派遣として働くメリットも多数あります。この記事では、派遣ケアマネの仕事内容や働くメリット・デメリットを解説します。派遣会社を選ぶポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ケアマネジャー(介護支援専門員)とはどんな仕事?業務内容や役割を解説!ケアマネは派遣職員で働けるの?
結論からいうと、ケアマネジャーは、派遣職員として働くことができます。詳しくは後述しますが、派遣職員のケアマネは、契約期間が決まっていたり、勤務日数や時間に融通を効かせやすかったりするなどのメリットがあるのが特徴です。「いきなり正社員になるのは不安…」「正社員だと時間の融通が利かないから派遣社員になりたい」と悩んでいる方は、安心して挑戦できるでしょう。
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ケアマネが派遣社員として働く流れ
ケアマネジャーが派遣社員として働くには、まず派遣社員として派遣元の会社に登録し雇用契約を結びます。派遣ケアマネとしての働き方を希望している場合は、担当者に希望を伝えたうえで登録しましょう。
登録後、派遣会社から仕事を紹介され、希望条件などと照らし合わせて問題がなければ、派遣先が決定します。派遣期間中は派遣先の職場に勤務し、ケアマネジャーとして仕事をする流れです。
労働契約は派遣会社と結んでいるので、派遣社員の給与は派遣会社から支払われます。また、社会保険や福利厚生なども派遣会社のものが適用される仕組みです。
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派遣ケアマネの仕事内容
派遣ケアマネの仕事自体は、正社員と大きく変わることはないでしょう。以下で、派遣ケアマネの仕事内容を解説するので、ぜひご一読ください。
ケアプランの作成
ケアプランの作成をして、利用者さん一人ひとりに合った介護サービスを提供できるようにします。利用者さんの悩みや課題は人によって異なるため、ヒアリングをもとに利用者さんに適した介護サービスのプランを作成しなくてはなりません。
ケアプランは定期的に見直し、状況に合わせて修正する必要があります。モニタリングとして、利用者さんの自宅や施設を訪問し、ケアプランで設定した目標が達成できているのか確認するのも欠かせません。
介護に関する相談業務
「介護サービスを利用したい」「施設に入居したい」など、介護に関する相談に対応します。利用者さんの悩みや問題を解決できる介護サービスを紹介したり、介護のアドバイスをしたりして、利用者さんをサポート。ほかにも、利用者さんと介護サービスの提供者側の間に立ち、お互いの意見を伝えて調整するのも業務の一つです。
要介護申請の代理申請
介護保険を利用するには、要介護認定の申請をする必要があります。要介護度によって受けられる介護サービスが異なるので、身体状況が変化した場合は、区分変更をする必要があることも。要介護申請は、利用者さん本人やご家族が申請できますが、手続きに慣れていない方にとっては難しい可能性があるので、ケアマネジャーが代理申請をすることもあるようです。
要介護認定のための調査
要介護申請を行った人が、どのような介護度に該当するのか訪問調査を行います。要介護認定のための調査は、基本的に市区町村の担当者が実施しますが、民間のケアマネジャーが委託されて実施することもあるようです。調査では、申請者の身体状態やご家族からの聞き取りなどを行います。
給付管理
ケアマネジャーは、介護給付費の請求・管理を行います。毎月、利用者さんが使用したサービスをもとに、サービス利用票や給付管理票などの必要書類を提出して、国保連(国民健康保険団体連合会)へ介護報酬の請求をする業務です。事業所によっては、事務員が対応する場合もあります。
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派遣ケアマネとして働くメリット・デメリット
ここでは、派遣ケアマネとして働くメリットとデメリットを解説します。「派遣の働き方を検討している」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
派遣ケアマネとして働くメリット
派遣ケアマネは、勤務日数や時間に融通が利きやすいので、小さな子どもがいる方や家族の介護をする方など、プライベートの時間をしっかりと確保したい方におすすめです。
また、パートやアルバイトより時給が高い傾向にあります。正社員以外の働き方で高収入を得たいと考えている方は、派遣の働き方が向いているかもしれません。
派遣ケアマネには派遣期間があり、さまざまな派遣先で経験を積むことができます。合わない場合は職場を変えやすいのもメリットです。仕事に関する悩みを派遣会社に相談できるので、人間関係の悩みや労働環境に関する悩みも相談しやすいでしょう。
派遣ケアマネとして働くデメリット
派遣ケアマネは、給与や福利厚生が勤務先の正社員と異なるので、それをデメリットに感じる人もいるでしょう。また、派遣会社によってはボーナスが支給されないこともあるようです。前述のとおり、派遣期間が決まっているので、期間が満了した場合は派遣先を変える必要があります。職場が安定しないため、同じ職場で働き続けたい人には向いていないかもしれません。
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ケアマネが派遣される職場
ケアマネが派遣される職場は、「居宅介護支援事業所」「介護施設」「地域包括支援センター」などです。
居宅介護支援事業所
居宅介護支援事業所は、自宅で介護を受ける方を対象にサービスを提供します。利用者さんの自宅を訪問し、ケアプランの作成や相談対応を実施。居宅介護支援事業所のケアマネは、利用者さん一人ひとりの自宅を訪問するので移動が多い傾向にあります。担当件数は35件ほどなので、ケアマネの業務に専念できるのが特徴です。
なお、居宅介護支援事業所で働くケアマネジャーは「居宅ケアマネ」と呼ばれます。
介護施設
特養や老健、有料老人ホーム、グループホームなどの介護施設で過ごす利用者さんを対象にサービスを提供します。一口に介護施設といっても、職場の種類は豊富にあるため、自分に合った職場を見つけやすいかもしれません。
介護施設で働くケアマネは、介護業務を兼務することがあります。担当件数は100件ほどと、居宅介護支援事業所より多い傾向です。介護施設で働くケアマネジャーは、「施設ケアマネ」といわれます。
地域包括支援センター
地域包括支援センターでは、主任ケアマネジャーをはじめ、社会福祉士や保健師などの福祉の専門家が地域の高齢者の介護予防ケアマネジメントや相談対応、権利擁護などを行っています。主任ケアマネは、保健師や社会福祉士と連携を取りながら、それぞれの分野を活かして業務を分担。地域で働くケアマネジャーの相談に乗ったりアドバイスをしたりすることもあります。介護派遣の求人一覧はこちら
派遣ケアマネの平均時給
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.121)」によると、介護派遣を含む時給制のケアマネの平均時給は約1,689円です。介護派遣を含む時給制の介護職員の平均時給は約1,376円なので、派遣ケアマネは派遣の介護職員より300円以上時給が高い傾向があります。
また、厚生労働省の「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)(p.10)」によると、介護サービス職で働く派遣労働者全体の平均時給は約1,323円でした。派遣社員の時給は、事業所によって異なるので参考としてご覧ください。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2024年10月22日)
厚生労働省「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(2024年10月22日)
派遣ケアマネとして役立つ資格
派遣ケアマネとして働くには、介護支援専門員の資格が必須です。また、介護支援専門員の資格以外にも、ケアマネとして働く際に取得しておくと役立つ資格があります。以下で、ケアマネの仕事に役立つ資格を紹介するので、ぜひご一読ください。
主任介護支援専門員
主任介護支援専門員(主任ケアマネ)とは、介護支援専門員の上位資格です。主任ケアマネは、ケアマネジャーの育成・指導や介護系サービスの連携を高める役割を担います。
主任ケアマネの資格を取得するには、「主任介護支援専門員研修」の受講が必要です。主任介護支援専門員研修を受講するには以下の要件のいずれかを満たさなければなりません
- 専任のケアマネジャーとしての実務経験が5年以上あること
- ケアマネジメントリーダー養成研修の修了または⽇本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネジャーで3年以上の実務経験があること
- 主任介護支援専門員に準ずる者として地域包括⽀援センターに配置されていること
- ケアマネジャーの業務に関し⼗分な知識と経験があり、都道府県から認められていること
主任ケアマネの資格は、5年ごとに更新する必要があるので注意しましょう。
主任ケアマネの資格については、「最短で主任ケアマネジャーになる方法とは?受験資格や研修費用も解説」の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
認知症介護実践者研修
認知症介護実践者研修は、認知症介護に関する知識やスキルを身につけられる資格です。日本は高齢化が進んでおり、認知症がある方の人数も増加傾向にあります。介護業界で働くうえで認知症に関する理解は欠かせないので、取得しておくと役立つでしょう。
認知症介護実践者研修を取得するには、受講要件を満たしたうえで指定のカリキュラムを修了する必要があります。認知症介護実践者研修は、各都道府県などが実施しており、各都道府県によって受講要件が異なるのでお住まいの地域の要件を確認しておきましょう。
たとえば、東京都の受講要件は、以下のとおりです。
- 東京都内の介護保険施設・事業所で働いている介護職員などであること
- 原則として認知症の介護に関する実務経験が2年程度以上あること
東京都では、以上の要件をすべて満たしている方が受講することができます。「認知症介護実践者研修とは?資格の概要や取得するメリットを解説」の記事でも、都道府県別の受講要件の一例を紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
出典
東京都福祉局「東京都認知症介護研修の概要」(2024年10月22日)
希望の働き方ができる派遣会社の選び方のポイント
ここでは、希望の働き方が叶えられる派遣会社の選び方のポイントを解説します。派遣会社にも相性があるので、自分に合った派遣会社を見つけることが重要です。派遣会社選びの参考にしてみてください。
求人数や職種をチェックする
取り扱っている求人数や職種・業界をもとに、派遣会社を選びましょう。派遣の求人数が多ければ多いほど、選択肢が広がり希望条件に合った求人を見つけやすくなります。
挑戦したい業界や職種が決まっている方は、その分野に特化した派遣会社を選ぶことも大切です。たとえば、介護業界で働きたい方が、IT業界に特化した派遣会社に登録しても条件に合った求人を見つけるのは難しいでしょう。派遣会社によって力を入れている業界が異なるので、目指している業界や職種の求人を多数取り扱っている会社に登録します。ほかにも、勤務対応エリアやテレワークの有無なども確認しておくと良いでしょう。
給与や福利厚生で選ぶ
仕事を探すうえで、給与条件や福利厚生も重要なポイントです。高給与を目指す方は、高時給な派遣の求人を取り扱っている派遣会社に登録しましょう。また、福利厚生には、社会保険やホテル・テーマパークの優待券、社員食堂の割引など、さまざまな内容があります。福利厚生は働きやすさにも影響を与えることがあるので、内容を事前に確認することが大切です。
登録のしやすさ
登録のしやすさも派遣会社を選ぶ際にチェックすべきポイントです。Webサイトのみで登録から応募までできる派遣会社であれば、時間を効率的に活用できるでしょう。担当者との面談もWebでできるか確認します。
登録のしやすさは会社によって異なるため、派遣会社は複数登録して比較してみましょう。
担当者の対応
派遣会社の担当者の対応も選ぶうえで欠かせないポイントです。レスポンスの速さや対応の質などを確認します。「いつまで経っても連絡が来ない」「横柄な態度で接してくる」という場合、ストレスが溜まってしまうでしょう。担当者と信頼関係が築けなければ、仕事の相談もしづらくなってしまいます。
そのほか、サポート内容を確認しておくことも重要。条件交渉だけでなく、資格取得支援、セミナー・研修会の開催などをしている派遣会社もあるようです。
派遣会社を選ぶときは、口コミやWebサイトのレビューも参考にするのもおすすめですが、不特定多数の方が書き込むことも多いので、情報を鵜呑みにしないようにしましょう。
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派遣ケアマネから正社員を目指せる?
派遣ケアマネから正社員を目指すことは可能です。派遣から正社員になるには、「紹介予定派遣で働く」「正社員登用される」「正社員として転職する」などの方法があります。
紹介予定派遣とは、直接雇用を前提とした派遣としての働き方です。紹介予定派遣の契約期間は最長6ヶ月と、通常の派遣の最長期間より短い傾向にあります。なお、派遣期間後に必ずしも正社員になれるとは限らないので注意しましょう。正社員登用は、派遣先で働きが認められると声をかけられることが多いようです。正社員登用の基準は、派遣先によって異なります。
また、派遣社員と正社員のどちらを目指すか迷っている方は、正社員として働くメリット・デメリットを確認して、自分に合った働き方を選ぶようにしましょう。
正社員として働くメリット
正社員として働くメリットとしては、雇用が安定していることが挙げられます。ほかにも、ボーナスや退職金があるのが一般的で、昇給や昇格による収入アップも見込めるでしょう。派遣社員より福利厚生が充実していることもあるようです。
また、雇用が安定していることから社会的信用が高く、ローンの審査などにも通りやすいのも正社員として働く魅力といえるでしょう。
正社員として働くデメリット
正社員として働くデメリットは、職場が大手で系列の施設がある場合、転勤や異動をする可能性があることです。残業が多かったり休日出勤を要請されたりすることもあるでしょう。また、時給換算だと、正社員のほうが収入が低い場合もあります。正社員は、基本的にフルタイムなので、勤務時間の融通があまり利かず、プライベートの時間が確保できないこともあるかもしれません。
派遣の介護職員としての実務経験でケアマネ試験の受験資格を満たせる?
派遣の介護職員としての一定の実務経験があれば、ケアマネ試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の受験資格を満たすことができます。
ケアマネ試験の受験資格を得るには、「介護福祉士などの特定の国家資格に基づく実務経験5年以上」もしくは、「相談援助業務の実務経験5年以上」のどちらかの条件を満たさなければなりません。この実務経験は、派遣の介護職員はもちろん、パートやアルバイトなどの雇用形態でも実務経験としてカウントされます。
ケアマネ試験の受験資格である実務経験の計算方法は、「ケアマネ受験資格の計算方法を解説!パートの従事期間は実務経験に入る?」の記事で解説しているので、あわせてご一読ください。
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ケアマネジャーになるには最短で何年?介護支援専門員の受験資格を解説
ケアマネの派遣についてよくある質問
ここでは、ケアマネ派遣についてよくある質問に回答します。派遣としての働き方に興味がある方は、ぜひご覧ください。
派遣ケアマネの求人の探し方が知りたい
派遣ケアマネの求人を探すときは、まず希望条件を整理しましょう。求人を探す方法は、求人サイトやハローワーク、知人からの紹介などがありますが、派遣会社に登録して、担当者から求人を紹介してもらうのがおすすめです。派遣会社に希望の職種や給与、勤務地などの条件を伝えることで、希望条件に合った求人を紹介してもらえるでしょう。
ケアマネの紹介予定派遣って何?
ケアマネの紹介予定派遣とは、直接雇用を前提とした派遣のことです。紹介予定派遣の契約期間は6ヶ月まで。通常の派遣は基本的には最長3年なので、紹介予定派遣の期間は短いといえるでしょう。紹介予定派遣は、働く前に面接や書類選考を行うことがあります。
紹介予定派遣の求人が気になる方は、「紹介予定派遣の求人一覧」をチェックしてみてください。
まとめ
ケアマネジャーは派遣として働くことが可能です。派遣ケアマネの仕事内容は、通常のケアマネと大きな違いはなく、ケアプランの作成や相談対応など。派遣ケアマネとして働くメリットは、勤務日数や時間に融通が利きやすく、プライベートな時間をしっかり取れることです。また、契約期間が定められており、定期的に派遣先が変わるため、さまざまな職場で経験を積めるのも魅力といえます。派遣先が合わないときは職場を変えやすく、派遣先との間に派遣会社が入ってくれるので、担当者に悩みを相談しながら解決できるでしょう。
派遣会社を探すときは、取り扱っている求人数や職種、給与、担当者と相性などをチェックすることが大切です。
派遣ケアマネとしての働き方に興味がある人は、「レバウェル介護派遣(旧 きらケア介護派遣)」へご相談ください。レバウェル介護派遣(旧 きらケア介護派遣)は、介護業界に特化した派遣会社です。勤務時間や勤務日数など希望条件にあったケアマネの求人を探せます。派遣職員として働きはじめてからも、お悩みや困ったことがあれば気軽にご相談いただけますので、興味のある方はぜひ利用を検討してみてくださいね。
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