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この記事のまとめ
- 介護職の離職率は13.1%で、それほど高い数値ではない
- 10年間の介護職員の離職率推移をみると、離職率は低下傾向にある
- 国や介護施設は、介護職員の離職率を下げるための対策を行っている
「介護職って離職率が高そう…」「介護職の離職率ってどれくらいなの?」と気になっている方もいるでしょう。介護職の離職率は高いイメージがあるかもしれませんが、実際はそれほど高くありません。この記事では、介護職の離職率と他業界との比較を解説。介護職員の転職理由や離職率が高い介護施設を見分けるポイントも紹介しています。介護職へ転職を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
介護職員の離職率
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和5年度 介護労働実態調査結果:事業所調査(p.22)」によると、 訪問介護員と介護職員の2職種の離職率は13.1%です。また、厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果の概況(1 入職と離職の推移)」には、すべての業界の離職率は15.4%とあります。それぞれ調査元が異なるため単純比較はできないものの、介護職の離職率は全業界の離職率よりも低い傾向にあるようです。
ここでは、男女別・年齢別・施設形態別・事業規模別に介護職員の離職率を紹介します。
男女別の離職率
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和5年度 介護労働実態調査結果:事業所調査(p.23)」によると、介護職で働く男性の離職率は13.5%で、女性は12.8%とあります。また、訪問介護員の離職率は、男性が13.6%で女性は11.0%。介護職員の場合は、男性が13.5%で女性は13.6%となっています。
離職率がもっとも低いのは女性の訪問介護員で、もっとも高いのは男性の訪問介護員でした。ただし、いずれも11~13%程度で、性別による離職率の差は少ないようです。
年齢別の離職率
同資料(p.23)によると、介護職でもっとも離職率が高い年齢は、29歳以下の20.4%です。続いて、30~39歳が12.7%、40~49歳が11.8%となっています。介護職では、年齢が上がるごとに離職率が低下する傾向にあるようです。
施設形態別の離職率
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査:結果報告書 資料編 (資料編p.54)」をもとに、施設形態別の離職率をまとめました。
施設形態 | 離職率 |
介護老人福祉施設(特養) | 11.9% |
介護老人保健施設(老健) | 11.8% |
特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど) | 17.8% |
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 16.0% |
通所介護(デイサービス) | 13.4% |
訪問介護 | 12.1% |
小規模多機能型居宅介護 | 12.1% |
居宅介護支援 | 11.1% |
参考:公益財団法人 介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査:結果報告書 資料編 (資料編p.54)」
離職率がもっとも高い施設形態は、特定施設入居者生活介護の17.8%。続いて、認知症対応型共同生活介護が16.0%、通所介護が13.4%でした。離職率がもっとも低い施設は、居宅介護支援の11.1%です。
なお、離職率は職場によって違います。あくまで参考としてご覧ください。
法人格別の離職率
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和5年度 介護労働実態調査結果:事業所調査(p.24)」によると、もっとも離職率が高い法人格は、民間企業の15.0%でした。社会福祉法人が12.1%、医療法人が12.0%と続きます。民間企業は、離職率がやや高い傾向にあるようです。
事業規模別の離職率
同資料(p.24)によると、事業規模別の離職率でもっとも高いのは、4人以下の事業所で19.6%です。続いて、5~9人の事業所が14.5%、10~19人の事業所が13.5%でした。事業規模が大きいほど離職率は下がっていく傾向にあります。
ただし、在籍者数が少ないほど、1人が離職することによる離職率の変動があるため、留意が必要です。
出典
公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働実態調査」(2024年10月30日)
厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要」(2024年10月30日)
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10年間の介護職員の離職率推移
介護職の離職率は、低下傾向にあるようです。下記で、過去10年の離職率推移をまとめました。
年度 | 離職率 |
2014年度 | 16.5% |
2015年度 | 16.5% |
2016年度 | 16.7% |
2017年度 | 16.2% |
2018年度 | 15.4% |
2019年度 | 15.4% |
2020年度 | 14.9% |
2021年度 | 14.3% |
2022年度 | 14.4% |
2023年度 | 13.1% |
参考:公益財団法人 介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査結果:事業所調査(p.25~p.26)」「平成30年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書(p.44)」
2014~2023年の10年間で、介護職の離職率は3.4%低下しています。介護職の定着に向けた施策が、今後も進められていくと考えられるため、介護職の離職率はこれからも下がっていくかもしれません。
出典
公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働実態調査」(2024年10月30日)
介護業界と他業界の離職率の比較
ここでは、介護業界と他業界の離職率を紹介します。厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果の概況(図3-1 産業別入職率・離職率)」による産業別の離職率は、下記のとおりです。
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引用:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況(図3-1 産業別入職率・離職率)」
厚生労働省の調査によると、介護職を含む「医療・福士」の離職率は13.3%とあります。離職率がもっとも高い業界は、「生活関連サービス業、娯楽業」の20.8%。続いて、「サービス業」の19.3%、「宿泊業、飲食サービス業」の18.2%です。ほかの業界と比較しても、介護職の離職率は、それほど高い数値ではありません。
出典
厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要」(2024年10月30日)
介護職員の離職率を下げるための対策
日本では高齢化によって、介護を必要とする人は増えていくと予測されます。一方、介護職は人手が足りていないのが実情です。そのため、介護施設や国は介護職の人手不足解消に向けて、さまざまな対策を行っています。
ここでは、介護職員の離職率を下げるための対策を紹介しますので、介護職の将来ガキになる方は参考にしてください。
介護施設や事業所が行っている対策
Leverages Medical Careの「きらケア介護白書2022(p.41)」によると、「定着率向上のために何かしらの取り組みをしている」と回答したのは、全体の93.6%でした。多くの介護施設で職員が定着するように対策をしていることが分かります。
定着率向上のために行っている取り組みについては、下記をご覧ください。
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引用:Leverages Medical Care「きらケア介護白書2022(p.41)」
定着率向上のための取り組みとして、給与や待遇の改善や有給休暇の取得奨励、時間外労働の削減など、労働環境の改善を行っているところが多いようです。労働環境の改善は、職員の仕事へのモチベーションの向上・維持や仕事のパフォーマンスの向上につながります。また、労働環境の改善は、求人票でのアピールポイントにもなるため、人材確保にも有効なようです。
そのほか、定期的な面談や教育・育成の強化など、仕事面でのフォローなども行っています。
出典
Leverages Medical Care「介護士のキャリアや外国人雇用などに関するレポート「きらケア介護白書2022」を公開しました」(2024年10月30日)
国が行っている対策
国は介護職員人材の確保に向けて、介護ロボットなどの活用推進やキャリアアップのための研修受講軽減、離職介護人材再就職準備金貸付事業などを実施しています。
代表的なのは、「介護職員の処遇改善」です。介護職員の処遇改善とは、介護職員の給与アップや職場環境の改善などを目的とした施策のこと。一定の要件を満たした介護施設や事業所に対して、介護職員の給与を上げるための報酬が加算されます。この効果により、介護職員の給与は、増加傾向にあるようです。
介護職員処遇改善手当について詳しく知りたい方は、「処遇改善手当とは?介護職員はいくらもらえる?加算の支給対象や要件も解説」をご覧ください。
出典
厚生労働省「第223回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料(資料1/総合的な介護人材確保対策)」(2024年10月30日)
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介護業界で離職率が高い職場の特徴
ここでは、離職率が高い職場の特徴を紹介します。「長く働きやすい職場に転職したい」という方は、転職活動の際の参考にしてみてください。
1.常に求人が出ている
常に求人を出している職場は、離職率が高い可能性があるため注意が必要です。職員のパワーバランスが崩れている、新人職員ばかりで施設全体の介護技術が低いなど、職員が定着しにくい、なんらかの理由があるかもしれません。
ただし、事業の拡大などのために、長期的に求人を出している場合もあるので、見極めが大切です。
2.施設内の清潔感がない
掃除が行き届いていない施設は、人手不足が深刻化している可能性があります。また、衛生管理に問題があることも。不衛生な職場やにおいが気になる職場は、実際に働いた際にストレスを感じることがあるため、応募は避けたほうが良いかもしれません。
3.教育制度やフォロー体制が整っていない
教育制度やフォロー体制が整っていない職場は、新人職員が定着しにくい傾向にあります。特に介護未経験者の場合は、働きにくさを感じ早期退職につながってしまうことも。介護経験がない・介護経験が浅い方は、転職の際に教育制度やフォロー制度を確認することが大切です。なお、求人票で教育制度をアピールしていても、人手不足の職場は新人教育を行う余裕がなく、実際には機能していない場合があるので注意しましょう。
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4.人手不足で業務の負担が大きい
人手不足が慢性化している職場は、1人当たりの業務量が多かったり拘束時間が長かったりするため、ワークライフバランスを保ちにくく、離職率が高い傾向にあります。また、忙しさから、職場の人間関係が悪くなることも。転職の際は、職員配置基準よりも多い人員を配置している職場を選ぶようにすると良いでしょう。
5.給与や福利厚生などの待遇が悪い
給与や手当が低かったり、福利厚生が整っていなかったりする職場は、離職率が高くなることがあるようです。業務量や仕事内容・求められるスキルに見合った収入がないと、「仕事にやりがいを感じられない」「転職した方が待遇が良い」と考える方も。職場環境が良くても、給与や福利厚生の条件が悪いと、退職するきっかけになるでしょう。同じ職場で長く働くには、給与や福利厚生に納得したうえで転職することが大切です。
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介護職員の転職理由
Leverages Medical Careの「きらケア介護白書2022(p.30)」によると、介護職員として2回以上の転職をしたことがある方の転職理由は、以下のようになっています。
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引用:Leverages Medical Care「きらケア介護白書2022(p.30)」
「職場の人間関係が悪かった」が、 29.8%でもっとも多くなっています。続いて、「給与が低かった」が16.3%、「仕事内容への不満があった 」が14.7%です。
介護職の仕事は、職場内での連携が求められます。人間関係が悪く連携がとれないと、介護業務に影響することも。介護職の仕事は人間関係のストレスを受けやすいため、人間関係を理由に転職する方が多いようです。
出典
Leverages Medical Care「介護士のキャリアや外国人雇用などに関するレポート「きらケア介護白書2022」を公開しました」(2024年10月30日)
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長く働ける介護の職場へ転職するコツ
介護職の転職を成功させるには、「転職したい理由を明確にする」「希望条件に優先順位をつける」「求人先の具体的な情報を集める」が大切です。ここでは、長く働ける介護の職場へ転職するコツを紹介。介護職への転職を目指している方は、参考にしてみてください。
介護職に転職したい理由を明確にする
自己分析をして、「なぜ介護職に転職しようと思ったのか」を明確にします。「介護スキルを上げたい」「高齢の方を支える仕事をしたい」など、介護職に転職して叶えたいことを書き出してみましょう。介護観を明確にすることで、自分に合った職場を選びやすくなります。
自己分析のやり方が分からない方は、「介護士さんの自己分析!業界の転職で効果的にアピールするコツを解説」を参考にしてみてください。
希望条件に優先順位をつける
希望条件がすべて揃った求人があるのが理想ですが、現実では難しいものです。応募先がなかなか絞り込めない場合は、希望条件に優先順位をつけてみましょう。働き方や勤務時間、通勤距離、給与など、希望条件に優先順位をつけることで、自分に合った職場を探しやすくなります。
求人先の具体的な情報を集める
求人票だけでなく、Webサイトや口コミ、施設のパンフレットなど、転職を希望する職場の情報をできるだけ集めます。また、最初から応募先を1つに絞り込むのではなく、複数の施設を調べて比較することも大切です。
もし、自分の希望と合わないところがあっても、納得したうえでの転職であれば、ミスマッチによる早期退職は防げるでしょう。
転職希望の施設に職場見学へ行く
「介護業界で離職率が高い職場の特徴」で解説した、施設内の清潔感や教育制度・時間外労働の有無などを確認するには、職場見学が効果的です。また、職場見学では、介護方針や職場環境、仕事内容などが自分に合っているかも確認しましょう。
職場見学の具体的な方法を知りたい方は、「就職前に介護施設の見学をする目的とは?メリットやチェック項目もご紹介」をご覧ください。
転職エージェントを活用する
「長く働ける職場が分からない」と悩んだときは、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントとは、求職者の希望条件に合った求人を探したり、転職活動のサポートをしてくれるサービスのこと。初めて転職活動をする方や仕事が忙しい方、転職に不安がある方は、転職エージェントを活用することで、効率的かつ安心して転職活動を行えるでしょう。
介護の転職は介護業界に特化した転職エージェントの「レバウェル介護(旧きらケア)」がおすすめです。自己分析から内定後まで、介護業界に詳しいアドバイザーがしっかりサポートします。
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介護施設が求める人材とは?
転職活動では、応募先のニーズと自分の長所や強みが一致していると、採用担当者に好印象を残しやすくなります。転職活動を行う前に、応募先が求める人材と自分の長所や強みをすり合わせておきましょう。下記は、介護職で求められる人材の特徴をまとめました。
- 明るく元気が良い
- 長期的に勤めたいという意思がある
- 介護について意欲的に学ぶ姿勢がある
- 夜勤や土日出勤に抵抗がない
- 介護経験や資格がある
- 周囲と協力して仕事ができる
未経験であっても、明るく元気が良い人は、介護施設におけるニーズが高い傾向にあります。また、長く勤める意思がある人を積極的に採用したい、という採用担当者も多いようです。
ただし、応募先のニーズに合わせて、自分の長所や強みを変える必要はありません。応募先のニーズに近い長所や短所を見つけて、アピールすることがポイントです。
なお、施設形態や介護方針によって異なるため、上記は参考程度にご覧ください。
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介護の仕事に向いている人の性格10選!職場別の適性や向いてない人の特徴
介護職の離職率についてよくある質問
介護職の離職率についてよくある質問に回答します。「介護職って離職率が高そう…」と気になっている方は、ぜひチェックしてみてください。
介護職の離職率が高い理由は?
厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果の概況(図3-1 産業別入職率・離職率)」によると、全産業における一般労働者の平均離職率は12.1%、介護職員を含む「医療・福祉」の離職率は13.3%です。医療・福祉の離職率は、それほど高い数値ではありません。なお、もっとも離職率が高い業界は、「生活関連サービス業、娯楽業」の20.8%。続いて、「サービス業」の19.3%、「宿泊業、飲食サービス業」の18.2%です。
介護職の離職率は、他業界と比較しても低い傾向にあることが分かります。介護職の離職理由が気になる方は、「介護の離職率は高い?その理由と働きやすい職場を見分けるポイントを解説!」をご覧ください。
出典
厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要」(2024年10月30日)
介護施設の離職率の調べ方を教えてください
介護施設の離職率については、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」から検索が可能です。事業所が情報公開をしていれば、事業所の詳細や前年度の退職者数が記載されており、極端に退職者数が多くなっていないか確認できます。
気になる施設や事業所の情報がない場合は、「レバウェル介護(旧きらケア)」にご相談ください。詳しい職場環境や離職率をお伝えいたします。
まとめ
公益財団法人 介護労働安定センターによると、介護職で働く方の離職率は13.1%とあり、他業種と比較しても高い数値ではありません。また、介護職員の離職率は、介護職員の離職率を下げるための対策等によって、年々低下傾向にあります。
業界全体の離職率は低くても、離職率が高い施設があるのも事実です。また、介護職員の転職理由として、職場の人間関係や給与、仕事内容に対する不満が挙げられています。介護職で長く働くには、自己分析などを行ったうえで、自分に合った職場を選ぶことが大切です。
「実際の離職率が知りたい」「自分に合った職場が分からない」という方は、介護業界の転職事情に詳しい「レバウェル介護(旧きらケア)」にご相談ください。レバウェル介護(旧きらケア)のキャリアアドバイザーは、求人先へのヒアリングをこまめに行っているため、求人票にはない詳しい職場環境や人間関係などの情報の提供が可能です。離職率や残業の有無など、直接聞きにくいことも、アドバイザーが代わりに応募先に問い合わせます。サービスはすべて無料なので、お気軽にお問い合わせください。
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