
この記事のまとめ
- 介護事務がなくなる可能性は低く、今後も需要が高い仕事と考えられる
- 介護事務の業務内容は、介護報酬の請求や窓口対応、労務管理など
- 介護事務に活かせるスキルは、PCスキルやコミュニケーション能力
「介護事務はなくなるの?」という疑問をお持ちの方もいるでしょう。介護事務は、AI化が難しいことや、人手が不足していることから、なくなる可能性が低い仕事といえます。この記事では、介護事務がなくならない理由とあわせて、介護事務の業務内容を解説。介護事務の仕事に活かせるスキルや資格もご紹介するので、介護業界への就職・転職をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
介護事務はなくなるのか
結論からいうと、将来的に介護事務の仕事がなくなる可能性は低いでしょう。近年、AIの台頭によって、介護事務の仕事がなくなることに不安を感じる人もいるようです。しかし、介護事務の仕事は完全な自動化が難しく、今後も需要は高いと考えられます。
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介護事務がなくならない理由
介護事務の仕事がなくならないと考えられる理由は、介護業界の人手不足と、AI化の難しさがあるからです。それぞれ以下で解説します。
人手不足である
介護事務がなくならない理由として、介護業界全体が人手不足であり、需要が高いことが挙げられます。
職業情報提供サイト(日本版O-NET)の「介護事務」によると、2023年度の有効求人倍率は1.92倍でした。介護事務は、求職者1人に対しておよそ2つの求人があるということです。高齢化により、介護サービスの利用者が増加しているため、介護事務は今後も需要が高いと予想できます。
なお、厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和6年3月分及び令和5年度分)について」によると、2023年度における全職種の有効求人倍率の平均は1.29倍でした。上記から、介護事務はほかの仕事より求人が多い傾向にあると分かります。
出典
職業情報提供サイト(日本版O-NET)「介護事務」(2024年11月25日)
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年3月分及び令和5年度分)について」(2024年11月25日)
業務のAI化が難しい
完全なAI化が難しい仕事内容であることも、介護事務がなくならない理由の一つです。介護事務は、事務作業だけではなく、利用者さんやご家族の対応をすることもあります。窓口対応では、相手の気持ちに寄り添った柔軟な対応が求められるでしょう。このような業務の特徴から、介護事務には人間が従事する必要があり、AIによる自動化は困難と考えられます。
介護事務の業務内容
介護事務の主な業務は、介護報酬請求や窓口対応、労務・経理です。下記で仕事内容を解説するので、介護事務の仕事に興味がある方はチェックしてみてください。
介護報酬の請求
介護報酬請求は、介護事務の重要な業務の一つです。介護サービスの提供に対して、利用者さんや市区町村が支払うお金を介護報酬といいます。利用者さんの負担が1〜3割で、残りは市区町村によって支払われる仕組みです。
介護報酬を受け取るには、事業所側から請求する必要があります。この際に使用する介護給付費明細書(レセプト)を作成するのが、介護報酬請求業務です。
請求書の作成
利用者さんに利用料を支払ってもらうために、請求書や領収書の作成も行います。請求金額のミスがあると、利用者さんからのクレームにつながりかねません。利用者さんによって、自己負担の割合やサービスの利用回数は異なるため、丁寧な確認が必要です。
窓口対応
介護事務は、施設での窓口対応も担当します。具体的な業務は、来客・電話の対応、施設見学の予約受付、施設に関する質問への対応などです。介護や施設に関する知識や、来客に対する基本的なマナーを身につけておく必要があります。
労務管理
労務に関する業務も、介護事務の仕事です。職員の勤怠管理やシフト管理、給与計算、福利厚生の管理など、幅広い業務を担当します。また、施設備品の発注や、レクリエーションなどで使用する予算の管理、設備修繕依頼といった経理業務を行うこともあるようです。
一般的な事務職員と通ずる業務なので、介護事務の経験がある方はもちろん、介護業界以外で事務に携わったことがある方も、経験を活かしながら働けるでしょう。
他職種のサポート
介護職員やケアマネジャーといった他職種のサポートをすることもあります。無資格でもできる範囲での補佐を担当することになりますが、業務内容は職場によって異なるため、事前に確認するのがおすすめです。
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介護事務の仕事に活かせるスキル
介護事務は未経験から目指せる仕事ですが、資格を取得したりスキルを身につけたりすることで、自信を持って働けるようになるでしょう。スキルの獲得は、キャリアアップにもつながります。
PCスキル
介護事務の業務のうち、請求書の作成や労務管理はPCで行う場合が多い傾向にあります。そのため、基本的なPCスキルや、Word・Excelの知識が身についていると、業務に役立つでしょう。前職でPCを使用していたり、普段からPCに触れて操作に慣れていたりすると、採用の際に評価のポイントになります。
経理スキル
一般事務や医療事務などの経験で培った経理スキルも、介護事務の仕事に活かすことができます。介護事務は、事業所の予算管理など経理に関する業務にも携わるため、未経験だと慣れるのに時間がかかるかもしれません。しかし、経理に携わった経験があると、就職・転職後に即戦力として働けるでしょう。
介護保険に関する知識
介護保険に関する知識は、介護事務として働くうえで非常に役立ちます。介護事務は、レセプトや請求書・領収書などを作成をするため、介護保険に関する知識は必須です。また、窓口対応・電話対応時に、介護保険について聞かれることもあるでしょう。働きながら徐々に学ぶこともできますが、あらかじめ知識が身についていると、業務をスムーズにこなせます。
コミュニケーション能力
介護事務は、利用者さんやご家族、職員など、多くの人と関わる仕事です。利用者さんに寄り添いながらコミュニケーションを取ったり、職員と連携して働いたりする必要があります。そのため、コミュニケーション能力がある方は、就職の際に好印象を与えられるでしょう。接客業や介護職の経験者は、ぜひ仕事で身につけたコミュニケーション能力をアピールしてみてください。
介護事務の仕事に役立つ資格
介護事務は無資格でも働くことができますが、「即戦力として活躍したい」「キャリアアップを目指したい」という方には、資格取得がおすすめです。
ケアクラーク(R)
ケアクラーク(R)は、介護事務の業務に必要となる、社会福祉サービスや介護報酬請求に関する技能を証明する資格です。ケアクラーク技能認定試験に合格することで取得できます。受験資格が定められていないため、未経験の方でも取得を目指しやすいでしょう。
出典
一般財団法人 日本医療教育財団「ケアクラーク技能認定試験の概要」(2024年11月25日)
介護事務管理士(R)
介護事務管理士(R)は、介護報酬請求や、ケアマネジャーのサポートに活かせる資格です。取得するには、介護報酬の計算に関する知識・技術や、利用者さんへの接遇力が求められます。介護事務管理士技能認定試験に合格することで取得可能で、合格率は70%程度です。なお、受験資格は設けられていません。
介護事務認定実務者(R)
介護事務認定実務者(R)は、介護保険請求のスキルを証明できる資格です。介護事務認定実務者(R)試験に合格することで取得できます。合格率は60~80%程度で、受験資格は設けられていません。初心者向けで、在宅試験が可能なため、未経験の方も取得のチャンスが多いでしょう。
出典
全国医療福祉教育協会「介護事務認定実務者(R)試験」(2024年11月25日)
介護保険事務士
介護保険事務士は、介護保険制度のエキスパートとして現場で活かせるスキルを身につけられる資格です。
介護保険事務士養成講座を修了後、介護保険事務士認定試験に合格することで取得できます。養成講座は、介護福祉士養成校を中心とした学校や、社会人向けに福祉関連の講座を開講している法人といった養成施設でのみ受講が可能です。介護保険事務士を取得すると、即戦力になれるような高いスキルが得られるため、介護事務の仕事に活かせます、
出典
一般財団法人 つしま医療福祉研究財団「介護保険事務士講座」(2024年11月25日)
介護保険事務管理士
介護保険事務管理士は、介護報酬請求や、介護施設の経営に関するアドバイスを行うのに活かせる資格です。教育指定校への通学後、認定試験を受けて合格すると、介護保険事務管理士を取得できます。介護事務の専門的なスキルが身につくため、取得するとキャリアアップにも役立てられるでしょう。
出典
一般財団法人 日本病院管理教育協会「介護保険事務管理士」(2024年11月25日)
介護報酬請求事務技能検定試験
介護報酬請求事務技能検定試験は、介護保険制度や給付管理に関する知識と技能を証明できる資格です。受験資格を得るためには、通信もしくは通学で認定講座を修了する必要があります。取得によって、介護報酬請求・窓口業務・ケアマネジャーの補佐など、介護事務が担う幅広い業務に、自信を持って対応できるようになるでしょう。
出典
日本医療事務協会「介護報酬請求事務技能検定試験」(2024年11月25日)
介護事務の仕事についてよくある質問
ここでは、介護事務の仕事に関するよくある質問に回答します。介護事務の仕事のキャリアについて知りたい方は、参考にしてください。
介護事務として収入をアップさせる方法を教えてください
介護事務として収入をアップさせるには、資格を取得したり、勤続年数を重ねたりする方法があります。資格取得や勤続年数の長さに応じてできる業務が増えると、昇給を目指せるでしょう。また、介護職との兼任や、より給与の高い職場への転職により、収入アップを目指す選択肢もあります。介護事務の収入アップの方法については、「介護事務の給料の相場や平均年収はどれくらい?収入アップの方法も解説」の記事でも解説しています。
介護事務から介護職に転職できますか?
介護事務から介護職に転職することは可能です。キャリアチェンジする場合も、介護事務で身につけた知識を活かして活躍できるでしょう。看護助手や介護職は、無資格・未経験から挑戦できるため、仕事内容や適性から、自分に合った仕事を探してみましょう。介護業界でどの職種に就くかお悩みの方は、「介護業界で働く職種一覧!仕事内容から必要な資格までご紹介!」をチェックしてみてください。
まとめ
介護事務は、AIによる自動化が難しいことや、介護業界全体が人手不足であることから、なくなる可能性が低い仕事です。仕事に役立つスキルを身につけたり、資格を取得したりすれば、就職先の選択肢を広げられるでしょう。
介護事務の仕事には、コミュニケーション能力やパソコンのスキル、経理の知識などが活かせます。給与アップやキャリアアップを目指す場合、ケアクラーク(R)や介護保険事務管理士といった資格を取得するのもおすすめです。
介護業界に興味があり、就職や転職を検討している方は、ぜひレバウェル介護(旧 きらケア)をご利用ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界に特化した転職エージェントです。「無資格未経験から働きたい」「介護の資格を活かして転職したい」など、ご希望に沿った求人をご紹介し、就職・転職をサポートします。サービスは無料なので、ぜひ気軽にご相談ください。
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