
この記事のまとめ
- 訪問介護のヘルパーは、1人で仕事をするため、悩みを抱えることがある
- 訪問介護のヘルパーの援助に関する悩みは、「計画外のことを頼まれる」など
- ホームヘルパーは、職員同士の人間関係や労働条件に悩む場合もある
訪問介護のヘルパーとして働いていると、仕事に関する悩みが生じることもあるでしょう。利用者さんの自宅に訪問し、1人で介護を行うホームヘルパーは、介護施設の職員とは異なる特有の悩みを抱えることがあります。この記事では、ホームヘルパーの悩みと対処法を、経験者が解説します。仕事のやりがいや、働きやすい訪問介護事業所の特徴もまとめました。「対処法を知って仕事に活かしたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
訪問介護事業所のホームヘルパーが悩みを抱える理由
ホームヘルパーは、基本的に利用者さんと1対1で介護を行うため、援助に関する悩みを抱えやすい傾向にあります。利用者さんの自宅に訪問するという業務の特性から生じる、仕事の難しさもあるでしょう。
また、「登録ヘルパーとして短時間勤務をする」「常勤で介護業務以外の業務を担当する時間が長い」など、訪問介護と介護施設の働き方の違いに不満を覚えることも考えられます。
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訪問介護のヘルパーの仕事内容に関する悩みと対処法
訪問介護の主な仕事内容は、排泄介助や入浴介助などの「身体介護」と、日常生活に必要な家事の支援を行う「生活援助」です。詳しくは、「ホームヘルパーの仕事内容を解説!訪問介護員の仕事範囲や必要な資格を紹介」の記事で解説しています。
ホームヘルパーの仕事内容に関する悩みと対処法を、下記にまとめました。「ホームヘルパーの業務は大変なの?」と気になっている方や、「訪問の仕事で困ったときの対処法が知りたい!」という方は、ぜひ参考にしてくださいね。
訪問介護計画にない業務を依頼される
ホームヘルパーは、訪問介護計画書に沿って介護サービスを提供します。そのため、計画にないことを頼まれても、緊急時を除いては対応できません。介護保険制度に基づいて援助を行う必要があるので、独断で対応しないよう注意しましょう。
たとえば、予定にないのに、「ついでだから」と言ってゴミ出しを頼まれた場合は、断らなければいけません。対応できないと言っても理解してもらえないときは、サービス提供責任者から伝えてもらうことで、関係性の悪化やトラブルを予防できるでしょう。
また、床ずれの処置や摘便といった医療行為にあたるケアは、そもそも介護職員が行うことはできません。ホームヘルパーが対応できる仕事の範囲については、「【ヘルパーができないこと一覧】どこまでが業務の範囲なのか」の記事をご参照ください。
介助方法に問題がないか不安
ホームヘルパーは、基本的に1人で利用者さんの自宅を訪問するため、介助技術や対応にプレッシャーを感じることもあるでしょう。ただし、初回はサービス提供責任者が同行訪問を行うため、いきなり知らない利用者さんの援助に1人で対応することはありません。
また、「1回同行訪問してもらったけど不安」という場合は、サービス提供責任者に相談するのがおすすめです。援助内容や利用者さんの状態が変わり、適切なケアを行う自信がないときも、同行訪問を頼んでみると良いでしょう。
「忙しそうで申し訳ない」と思うかもしれませんが、同行訪問はサービス提供責任者の重要な業務の一つです。不安なまま介護を行うと、利用者さんを危険にさらしてしまうリスクもあるので、自信がないときは早めに相談しましょう。
1件ごとの訪問時間が短く予定どおりに業務が進まない
訪問介護は、短時間で必要な支援のみを行う場合が多いのが特徴です。「30分未満」など、限られた時間内で業務をこなす必要があるため、大変に感じるヘルパーは少なくありません。
たとえば、「利用者さんの服が汚れていて、着替えが必要になった」「ご家族に話しかけられて対応に時間がかかった」など、予定どおりに仕事が進まないこともあるでしょう。訪問件数が多いと、1件のタイムロスがほかの利用者さんの訪問時間にまで影響してしまいます。
「利用者さんの認知機能の低下により介助量が増えた」などの事情があって時間が足りない場合は、サービス提供責任者に相談しましょう。また、「2件連続でイレギュラーな対応があり、次の利用者さんの訪問に間に合わない」といったときも、急いで移動すると危険なので、相談して対応することが大切です。
利用者さんとの人間関係が難しい
訪問介護のヘルパーは、利用者さんとの人間関係に悩むこともあります。利用者さんとの人間関係における具体的な悩みを確認してみましょう。
暴力や性的な発言などのハラスメントがある
利用者さんからハラスメントを受けて悩むホームヘルパーもいます。暴力や暴言だけではなく、性的な発言もハラスメントの一つです。利用者さんからハラスメントを受けたら、サービス提供責任者や管理者に相談しましょう。
訪問介護は、主に利用者さんの自宅という閉鎖的な空間で提供するサービスです。そのため、問題があっても、自分から相談しないとなかなか伝わりません。「認知症を患っているからしょうがない」と自分で判断したら、我慢し過ぎてしまうおそれがあります。訪問介護事業所には、ヘルパーの心身の健康を守る責任があるので、問題があれば報告し、一緒に解決策を考えると良いでしょう。
お礼と言って金品を渡される
訪問介護のヘルパーは、利用者さんから「いつものお礼」と言って金品を渡され、困ることも少なくありません。利用者さんとのトラブルを避ける観点から、介護事業所は金品をもらわないルールを設けているのが一般的です。
訪問先で利用者さんから差し入れを渡されたら、「ルールだから受け取れない」と伝える必要があります。毎回何かを渡されて断りづらい場合は、サービス提供責任者にも相談して対応しましょう。利用者さんのなかには厚意で物をあげようとする人もいるので、断るときは気持ちに感謝しつつ、穏やかな口調で説明することが大切です。
言葉によるコミュニケーションに課題がある
訪問介護の利用者さんのなかには、疾患や障がいの影響により、言葉でコミュニケーションを取るのが難しい方もいます。そのため、言葉だけではなく表情や動きも意識したコミュニケーションが必要です。
「利用者さんがどうしてほしいのか分からない」と感じる場合、ほかのヘルパーやサービス提供責任者と意見交換をし、ノウハウを学ぶのも良いでしょう。利用者さんが苦手なことや好きなものが分かれば、適切な介護を行えるため、利用者さんが不安や不満を感じにくくなります。
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ご家族とのコミュニケーションが難しい
ホームヘルパーは、施設で働く介護職員よりも、ご家族と接する機会が多い仕事です。そのため、利用者さんのご家族との人間関係に悩みを抱える人もいます。
ご家族が全く介護に協力してくれなかったり、介護疲れしていたりすると、「対応が難しい」と感じやすいでしょう。また、利用者さん本人とご家族の意向が異なり、板挟みになる場合もあります。
ご家族に声をかけるときは、利用者さんとのコミュニケーションと同じように、傾聴や寄り添いを意識するのがポイントです。ホームヘルパーには、ご家族と協力して利用者さんを支援することに加え、ご家族の精神的な支えになる役割もあります。
もしも、「食事介助に行ってもご飯を用意してくれていない」「ご家族の表情がいつも暗い」など、問題があると感じたときは、サービス提供責任者に相談しましょう。サービス提供責任者が、ケアマネジャーと話し合ったりご家族と面談したりすれば、状況の改善につながる可能性があります。
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介護に必要な環境が整っていない
利用者さんの自宅で介護を行うホームヘルパーは、必要な環境が整っていないことから、「適切な支援がしにくい」と感じる場合があります。
たとえば、排泄介助に行った際に、オムツやおしり拭きが補充されていないと、マニュアルどおりのケアができません。また、「段差があったり、手すりがなかったりして、移動介助に危険がある」といった問題が生じることも考えられます。
計画書や手順書に沿った支援ができない状況の場合、サービス提供責任者に相談しましょう。状況を共有することで、物品の補充をご家族に頼んだり、買い物の援助が必要か検討したりといった対処を考えてもらえます。スロープや手すりの設置は、介護保険で対応できる場合があるので、利用者さんの自宅の環境が気になったら、サービス提供責任者に伝えてみると良いでしょう。
また、「真夏に冷房を付けてくれない」「エアコンが壊れている」といった問題がある場合、ホームヘルパーと利用者さん両方の体調に影響するので、我慢せずに相談することが大切です。
利用者さんの自宅への移動に身体的な負担を感じる
訪問件数が多く、移動を負担に感じるホームヘルパーもいます。自転車やバイクで移動する場合、天気の影響を受けやすいため、猛暑や雪、強風の日は、移動が多いと危険な場合があるでしょう。
なお、ホームヘルパーの移動手段は、地域や事業所によって異なります。厚生労働省の「訪問介護 サービス提供状況(地域別)」によると、自転車・電動自転車・バイクで移動している人は全体の3割弱です。また、半数以上は自動車で移動しており、徒歩や公共交通機関で移動する方も少数います。徒歩や自動車で移動する場合も、雪が降った日などは大変かもしれません。
「移動時間が足りない」「体力的にきつい」と感じる場合は、無理をせずにサービス提供責任者や管理者に相談してみてください。特に、悪天候で移動に影響が出ているときは、急ぐと事故のリスクがあるので、焦らないようにしましょう。
出典
厚生労働省「第230回社会保障審議会介護給付費分科会資料」(2024年11月20日)
生活援助について利用者さんに不満を言われる
訪問介護のヘルパーは、生活援助に対して利用者さんから不満を言われることもあります。特に調理や買い物は、利用者さんそれぞれの好みがある場合が多いので、「家と同じようにやっているのに違うと言われた…」と困ることもあるでしょう。
調理が苦手
介護業務には慣れていても、「調理の仕事は苦手」と感じるホームヘルパーもいます。訪問介護の調理は、利用者さんの自宅にある材料で対応するため、バリエーションが限られるといった悩みも生じやすいでしょう。
また、料理を食べた利用者さんに「味付けが薄い」と言われることも。調理は、利用者さんそれぞれの好みを把握する必要があり、気を遣う業務といえます。疾患がある利用者さんの場合、塩分量や糖質にも配慮する必要があるので、大変に感じやすいでしょう。
訪問介護をしていて、調理が苦手だと感じる場合は、ほかのヘルパーにアドバイスをもらうのがおすすめです。介護や家事の経験が豊富なヘルパーに、利用者さんの好みや料理のレシピなどを聞くと、参考になります。また、調理後に不満を言われないためには、利用者さんに味見をしてもらうなど、コミュニケーションを取ることも大切です。
買い物のこだわりを把握できない
日用品や食料品の買い物代行を行う際に、利用者さん一人ひとりのこだわりを把握するのが難しいのも、ホームヘルパーが抱えやすい悩みです。一緒に外出するのが難しい場合の支援なので、買い物を終えて利用者さんの自宅に帰ってから、「これじゃないのに」と言われる場合があります。
事前に確認しても、詳しく教えてくれなかったり、品切れしていたりすることも考えられるでしょう。好みも金銭感覚も人それぞれなので、「このお肉は安過ぎる」「一番安いので良いのに」など、不満を言われてしまうことがあるようです。
買い物代行で希望に沿う商品を買うためには、引き継ぎや利用者さんへの確認をしっかり行う必要があります。パッケージをスマホで写真に撮ったり、前回のレシートをチェックしたりすれば、同じ商品を探しやすいでしょう。
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介護記録の書き方が分からない
介護記録の作成も、ホームヘルパーの重要な仕事の一つです。しかし、訪問の度に記入しなければならないため、書くタイミングや内容が分からないと感じる人もいます。記録の記入も利用者さんの援助の一部なので、退室前に利用者さんの自宅で記入するのが基本です。後回しにすると状況を忘れてしまうので、できるだけその場で対応しましょう。
支援内容はルールに沿って書き、「特記事項」といった自由記述の欄には、普段と違ったことや、話した内容などを記載します。たとえば、「何度か咳をしていた」「いつもより笑顔が多かった」といったことを書くと良いでしょう。利用者さんが家族が来たと話していた場合、「家族が来ていた」と書くのではなく、「家族が来たと言っていた」というように、事実を記載するのもポイントです。
介護記録は、利用者さんやご家族、ほかのヘルパー、ケアマネジャーなども見る可能性があります。そのため、専門用語を使わず、誰が読んでも分かりやすい言葉で書くことも意識しましょう。また、内容が伝わるように、結論から簡潔に記載することも大切です。
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介護以外の業務が多い
訪問介護事業所に常勤のヘルパーとして勤務する場合、事務作業といった介護以外の仕事も担当する傾向にあります。援助がない時間帯があったり、負担を考慮して1日の訪問件数を調整したりすることから、事業所での待機時間に事務を行うヘルパーは少なくありません。
これまでにデスクワークの経験がない方は、「座りっぱなしで行う事務作業に慣れない」と感じることも考えられます。また、介護事業所には数年間保存が必要な書類もあるため、「整理するのが大変」と不満を感じることもあるかもしれません。
「もっと訪問を増やしてほしい」といった希望があるなら、管理者に伝えることで、調整してもらえる可能性があります。また、事務所で対応する仕事量が多くて負担に感じる場合は、記録の管理や請求業務にICTを活用するなど、業務効率化について提案してみるのも良いでしょう。
介護事務には専門的な知識が必要なため、最初は大変に感じるかもしれません。しかし、介護保険制度に関する実践的な知識が身につくメリットもあるので、担当する場合は、ぜひ前向きに取り組んでみてくださいね。
訪問介護のヘルパーの職場環境に関する悩みと対処法
訪問介護のヘルパーは、ほかの職員との人間関係や労働条件に関する悩みを抱えることもあります。ホームヘルパー職場環境に感じる不満や対処法を、下記にまとめました。
職員同士の人間関係に問題がある
ホームヘルパーは、ほかのヘルパーや上司との人間関係に悩むことがあります。1人で訪問を行うことが多いヘルパーは、同僚との人間関係においてどのような点に困るのか、以下で確認してみましょう。
同じ利用者さんを担当するヘルパーと連携できていない
週に何度も訪問介護サービスを使う利用者さんの場合、複数のホームヘルパーが同じ利用者さんを担当して、交代で訪問することになります。しかし、ほかの曜日や時間に担当しているヘルパー同士は、直接顔を合わせる機会が少ない傾向にあり、援助の方向性が合わないことも。ほかのヘルパーと連携できていないと、利用者さんから、「〇〇さんはこうしてるけど」と言われ、対応に悩んでしまう場合があります。
援助方法や手順がほかのヘルパーと統一できていないときは、サービス提供責任者に相談しましょう。状況を伝えることで、同じ利用者さんを担当するヘルパー同士で、あらためて援助内容を共有できます。訪問介護計画書や手順書に沿ってケアを実施すれば、複数のヘルパーが訪問しても、同じ質や内容のサービスを提供できるでしょう。
上司が事業所にいなくて相談できない
ヘルパーが安心して訪問介護の仕事を行うには、困ったときにすぐに相談できる体制が必要です。しかし、人手不足により、サービス提供責任者や管理者がヘルパー業務を兼務していると、相談しにくい場合があります。
利用者さんの発熱やケガなどの緊急時で対応が不安なときは、上司が忙しそうでも遠慮せずすぐに連絡し、指示を仰いでください。また、仕事に関する相談があるのに上司が不在のときは、メールや書き置きを残しておくと、時間を取ってもらいやすいでしょう。
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担当の利用者さんが決まっていて休みづらい
ホームヘルパーは、出勤する曜日や時間に応じて、担当の利用者さんが決まっている場合が多いでしょう。そのため、「休んだら利用者さんに迷惑がかかるかも」と心配で、休みづらいと感じることがあるかもしれません。
しかし、ヘルパーが欠勤したときに、代わりのヘルパーを探したり、代行で訪問したりするのも、サービス提供責任者の仕事です。普段は自分だけが訪問している利用者さんであっても、チームでケアをしているので、遠慮し過ぎる必要はありません。
休みを取るときのマナーとして、有給休暇や希望休は期日を守って申請することを心がけましょう。また、家庭の事情や体調不良で急に休みが必要になった場合は、できるだけ早く上司に連絡することが大切です。無理して出勤すると、業務に支障が出る可能性があるので、悩まずに相談してみてくださいね。
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専門的な仕事なのに給料が低い
ホームヘルパーとして頑張っている方は、「資格が必要で専門的な仕事なのに給料が低い」と感じることもあるかもしれません。
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.157)」によると、保有資格ありの介護職員の平均給与は320,540円、訪問介護の場合は315,530円です(月給・常勤)。ホームヘルパーの平均給与は、保有資格ありの介護職員全体よりも5,000円ほど低いので、介護施設から転職した方は、給与が下がることも考えられます。ただし、一般的に夜勤がないことを考えると、介護職員のなかでホームヘルパーの給与が特別低いとはいえないでしょう。
給料に不満を感じる方は、介護福祉士などの資格を取得するのがおすすめです。資格手当が付いたり昇給したりすると、給与が上がる可能性があります。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2024年11月20日)
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勤務を希望する時間帯の仕事が少ない
援助のある時間のみ働く登録ヘルパーの場合、訪問件数が給与に直結します。そのため、時間があるのに仕事がないと、「もっと働きたい」「収入が不安定になってしまう」といった悩みを抱える場合があるでしょう。
なお、利用者さんの不在やキャンセルで急に訪問がなくなった場合、事業所は代わりの仕事を割り振るか、休業手当を支払う必要があります。収入にも関わる大事な問題なので、急なキャンセルに適切に対応してもらえない場合は、改めて上司に確認してみてくださいね。
登録ヘルパーの仕事の増やし方は、「登録ヘルパーは仕事がない?訪問介護の収入を増やす方法や転職するメリット」の記事で解説しています。
出典
厚生労働省「介護保険最新情報掲載ページ」(2024年11月20日)
いつまで仕事を続けられるか不安
年齢を重ねたホームヘルパーは、「いつまで体力がもつか不安」「仕事をいつ辞めるか決められない」といった、キャリアの悩みを抱えることがあります。子育てが一段落したタイミングや、家族に介護が必要になったときに、働き方ついて考える人は少なくありません。
今の仕事に負担を感じている場合は、働き方や職場を見直すのもおすすめです。たとえば、常勤ヘルパーから登録ヘルパーになると、理想の働き方を叶えやすいでしょう。登録ヘルパーの場合、事業所と相談することで、短時間勤務にしたり、生活援助を中心に担当したりすることができます。また、介護業務や移動がきついと感じるのであれば、「身体的な負担が比較的少ないデイサービスに転職する」「スキルを活かしてサ高住で働く」などの選択肢もあるでしょう。
訪問介護の仕事をいつまで続けるか迷っている方は、「60歳を過ぎた介護職も活躍できる?60代で働くメリットとおすすめ求人」の記事も参考にしてみてください。
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訪問介護のヘルパーのやりがい
訪問介護のヘルパーには、利用者さんの在宅生活をサポートできるやりがいがあります。利用者さんやご家族と直接関わるため、笑顔を見られたり、感謝の言葉をかけてもらえたりすることも多い仕事です。
一人ひとりの生活に寄り添った支援ができる
利用者さん一人ひとりの生活に寄り添った支援ができるのが、ホームヘルパーのやりがいです。介護施設の場合、複数の利用者さんが一緒に過ごすので、ある程度は環境やルールが固定されます。そのため、「ほかの利用者さんの影響で朝早く目が覚めてしまう」「地元の友人と会いにくくなる」など、利用者さんの生活が変化してしまう可能性もあるでしょう。しかし、訪問介護はマンツーマンで対応するので、利用者さんの希望を叶えやすい傾向にあります。
介護の基本でもある、利用者さんを主体としたケアを実現させやすいことが、訪問介護の仕事の魅力です。
利用者さんやご家族の笑顔を見られる
訪問介護のヘルパーは、利用者さんの笑顔を見られる機会が多くあります。利用者さんと信頼関係ができると、ただ介助を行うだけではなく、会話も楽しめるようになるでしょう。
また、ご家族との関わりが増えると、「いつもありがとう」と声をかけてもらえることもあります。特に、利用者さんと同居しているご家族は、介護の大変さや訪問介護の重要性を実感している方が多いでしょう。ホームヘルパーは、ご家族が休息を取るための役割も果たす、必要不可欠な仕事です。
訪問介護に携わると、利用者さんの生活を支えて自己実現を支援できたり、ご家族の負担を軽減させられたりするため、人に貢献できるやりがいがあります。
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ヘルパーが働きやすい訪問介護事業所の特徴
ここでは、ヘルパーが働きやすい訪問介護事業所の特徴をご紹介します。「ほかの事業所はどんな感じ?」と気になる方や、「転職するか迷っている」という方は、今の職場に当てはまるかチェックしてみましょう。
研修や教育の制度が整っている
普段1人で仕事をすることが多いホームヘルパーにとって、研修や教育の制度が整っていることは重要です。定期的に研修を行っている事業所の場合、ほかのヘルパーと意見交換や課題検討をできる時間があるため、1人で悩みを抱えずに済みます。
また、手厚い教育を受けられると、不安を感じずに訪問できるでしょう。資格取得支援制度がある職場なら、働きながらスキルアップやキャリアアップを目指すことが可能です。資格取得を評価する制度がある場合、給与アップも期待できます。
移動の負担が少ない
訪問介護のヘルパーは、移動の負担が少ないほうが、働きやすい傾向にあります。たとえば、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に併設されていて、入居者さんに訪問サービスを提供している事業所なら、長距離の移動は発生しません。
また、移動効率に配慮して訪問スケジュールを組んでくれたり、自分に合った移動手段を選べたりすると、体力的・精神的な負担は少ないでしょう。
なお、移動時間は労働時間に該当するため、移動時間に給与を全く支払わないのは違法です。「移動時間は業務時間外だから」と言われて給与がもらえない場合は、労働基準監督署に相談したり、転職を検討したりしたほうが良いかもしれません。
出典
厚生労働省「介護保険最新情報掲載ページ」(2024年11月20日)
サービス提供責任者が2人以上配置されている
ホームヘルパーには、相談体制が整っている訪問介護事業所がおすすめです。相談できる体制があるかチェックする一つの基準として、サービス提供責任者が2人以上いるか確認すると良いでしょう。
サービス提供責任者が複数いれば、1人が休みでもほかの人に相談できます。また、複数のサービス提供責任者に同行訪問してもらえると、1つの考え方に固定されず、広い視野で仕事ができるメリットもあるでしょう。
特定事業所加算や処遇改善加算を取得している
職場環境の調べ方として、加算を確認する方法もおすすめです。「特定事業所加算」や「介護職員等処遇改善加算」を取得している訪問介護事業所は、職場環境に関する一定の基準を満たしているので、働きやすい傾向にあります。
特定事業所加算(I)・(II)を取得している事業所は、介護福祉士の資格を保有するヘルパーが多かったり、サービス提供責任者に実務経験があったりするようです。そのため、介護業務について周りの職員に相談すると、経験に基づいたアドバイスをもらえるでしょう。
介護職員等処遇改善加算を取得している場合、職場環境の整備やヘルパーの賃金改善に取り組んでいます。職場環境の改善に関する多くの要件を満たしている訪問介護事業所を選べば、働き方や給料に不満を感じにくいでしょう。
介護報酬の加算はいくつかの区分に分かれており、加算(I)が最も上位です。より上位の加算を取得しているほど、職場環境の整備が進んでいると判断できます。なお、訪問介護事業所の加算の算定状況は、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」から検索することが可能です。
出典
厚生労働省「第230回社会保障審議会介護給付費分科会資料」(2024年11月20日)
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」(2024年11月20日)
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訪問介護のヘルパーの仕事に関するよくある質問
ここでは、訪問介護のヘルパーの仕事に関するよくある質問に回答します。「訪問介護の仕事を続けるか迷っている」「キャリアが不安」などのお悩みがある方は、ぜひご一読ください。
訪問介護に向いている人の特徴を教えて!
「コミュニケーション能力に自信がある」「家事のスキルを活かして仕事をしたい」という方は、訪問介護の仕事に向いているでしょう。また、1人で訪問するほうが気楽だと感じる場合も、あまりストレスを感じず働ける可能性があります。ご紹介した特徴に当てはまらなくても、利用者さんの在宅生活を支援したり、ご家族の介護負担の軽減を図ったりしたいという気持ちがあれば、ホームヘルパーとして活躍できるでしょう。
訪問介護に適性があるか不安な方は、「訪問介護に向いている人の特徴は?仕事内容や必要資格、やりがいもご紹介」の記事もチェックしてみてください。
訪問介護のトラブル事例にはどんなものがある?
訪問介護のトラブル事例には、「利用者さんから窃盗のクレームが入る」などがあります。クレームが入ると、「記憶障がいの影響で、利用者さんに物盗られ妄想の症状が出ている」「実際にヘルパーに問題がある」といった複数の可能性を事業所側が考慮したうえで、対処することが必要です。
訪問介護では、利用者さんの自宅という閉鎖的な空間でケアにあたるため、状況把握が難しい傾向にあります。サービス提供責任者は、ヘルパーと利用者さんに加え、ご家族やケアマネジャーなどとも話し、状況の確認や共有を行わなければいけません。なお、ヘルパーができるトラブル防止策としては、「利用者さんの自宅の物を使うときは必ず声をかける」「利用者さんの視界に入る場所で作業をする」などがあります。
訪問介護はなくなるんですか?
2024年11月時点で、訪問介護のサービスが廃止される予定はありません。訪問介護は、高齢化の進む日本において必要不可欠なサービスなので、なくなることは考えにくいでしょう。訪問介護事業所の利益となる基本報酬が引き下げられていることから、一部で「なくなるかもしれない」という噂が広まった可能性があります。しかし、これはほかの介護サービスとのバランスを考えて行われた改定です。基本報酬は引き下げられましたが、処遇改善加算は上がっています。ホームヘルパーの処遇改善は続くことが期待できるため、訪問介護の仕事には将来性があるでしょう。
訪問介護の将来性について詳しく知りたい方は、「訪問介護はなくなるの?噂の理由やヘルパーの問題点を解説」をご参照ください。
まとめ
訪問介護のヘルパーは、利用者さんの自宅を訪問して1対1でケアを行うため、介護施設の職員とは異なる悩みを抱えることがあります。仕事内容に関する悩みとしては、「予定にない業務を頼まれて断れない」「自分のスキルに不安がある」などがあるようです。ホームヘルパーは1人で仕事をすることが多いですが、利用者さんの生活を支えるチームの一員なので、困ったときはサービス提供責任者に相談して対応しましょう。
また、スタッフ間で連携が取れないことや、休みづらいことを、大変に感じる場合もあります。職場環境に関する不満や不安があるときも、上司であるサービス提供責任者や管理者に相談し、1人で抱え込まないようにしましょう。
ホームヘルパーには、悩みが生じることがありますが、利用者さんに寄り添えるやりがいも感じられる仕事です。研修制度が充実していたり、介護報酬の加算を取得していたりする訪問介護事業所は、ヘルパーにとって働きやすい環境といえます。
「仕事の悩みを相談したい」「今の不満を解消できる職場に転職したい」という方は、レバウェル介護(旧 きらケア)を利用してみませんか?レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界に特化した転職エージェントです。専任のキャリアアドバイザーが、不満に感じていることや希望条件を伺い、今後のキャリアを考えるお手伝いをいたします。相談だけの利用も歓迎なので、介護の仕事に関するお悩みがある方は、ぜひご活用くださいね!
今の職場に満足していますか?