
この記事のまとめ
- 介護福祉士の合格率は、70~80%と合格率が比較的高い
- 介護福祉士国家試験の合格基準は、総得点に対して60%の正答率
- 効果的に勉強するには、無理のないスケジュールで継続することが大切
介護福祉士を目指す方のなかには、試験の合格率が気になる方もいるでしょう。第31回~第34回の介護福祉士国家試験の合格率は70%前後でしたが、2023年の第35回の試験から80%を超えました。
この記事では、第36回介護福祉士国家試験における合格率のほか、合格ラインや働きながら合格できるのかを解説します。効果的な勉強法も説明しているので、これから介護福祉士を目指す方は、ぜひご一読ください。
介護福祉士国家試験の合格率はどれくらい?
介護福祉士国家試験の合格率は、70~80%です。国家資格のなかでは比較的合格率が高い傾向があります。
ここでは、2024年に実施された第36回介護福祉士国家試験の合格率や過去の36回の合格率、受験資格別の合格率などを紹介するので、条件別に介護福祉士国家試験の合格率を確認してみましょう。
第36回介護福祉士国家試験の合格率
厚生労働省の「第36回介護福祉士国家試験合格発表」によると、2024年に実施された第36回介護福祉士国家試験の合格率は、82.8%です。
受験者数・合格者数
同資料によると、第36回介護福祉士国家試験の受験者数は74,595人、合格者数は61,747人でした。

参考資料(p.2)によると合格者の年齢層は、21~30歳が最多の15,676人で、全体の25.4%です。40代以上の合格者は全体の48.1%と半数近くという結果でした。介護福祉士資格は、40代以上から取得を目指す方も多くいることが分かります。
合格者の男女比は、男性が30.1%、女性が69.9%となっており、女性のほうが多い傾向にあるようです。なお、第36回は第35回と比べて受験者数が4,556人減少しており、それに伴い合格者数も減少する結果となっています。
受験資格別の合格率
同資料によると受験資格別の合格率は以下のとおりです。

最も合格率が高かったのは「福祉系高等学校」ルートで、91.4%が合格していることが分かります。実務経験ルートは「社会福祉施設の介護職員」「訪問介護員等」「老健の介護職員」「医療機関看護補助者等」が該当し、これらの合格率を平均すると83.7%でした。全体の合格率である82.8%よりも高くなっているため、働きながら資格を取得することが十分可能だと分かります。一方、介護福祉士養成施設の合格率は71.5%とほかの受験資格より低い結果となりました。
外国人の在留資格別の合格率
厚生労働省の「介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」によると、第36回介護福祉士国家試験で、特定技能1号の合格率は38.5%、技能実習の合格率は47.0%でした。受験者数と合格者数は下記のとおりです。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
特定技能1号 | 1,950人 | 751人 | 38.5% |
技能実習 | 596人 | 280人 | 47.0% |
参照:厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験合格発表」
この結果から、外国人の合格率は全体の平均と比べると低いことが分かります。
過去36回の合格率推移
厚生労働省の「介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」によると、介護福祉士国家試験の合格率は、第1回から現在まで上昇傾向にあります。以下は、過去36回の合格率の推移です。

第31回~第34回の合格率は70%前後でしたが、第35回では初めて合格率が80%を超えました。第36回も80%以上の合格率を記録しており、最近は合格率の上昇傾向が見て取れます。
出典
厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験合格発表」(2024年11月28日)
働きながら資格を取る方法教えます
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介護福祉士国家試験の合格基準は?
介護福祉士国家試験の合格基準の目安は60%です。筆記試験の合格基準は下記のように決められており、2点いずれも満たす必要があります。
- 総得点125点に対し、60%を基準に補正が入った点数を満たしていること
- 11科目すべてにおいて得点があること
第36回筆記試験の合格点は67点でした。125点の60%は75点なので、補正により合格基準が下げられたことが分かります。なお、合格点を超えても得点がない科目があると不合格になるので、バランスよく対策しておきましょう。
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介護福祉士国家試験の難易度は高い?
介護福祉士国家試験は、ほかの国家資格に比べると難易度が低い傾向にはありますが、誰でも受かるわけではありません。合格するには十分な学習が必要です。
ここでは、介護福祉士国家試験の難易度を解説します。
ほかの国家資格より合格率は高い
介護福祉士国家試験は、社会福祉士や精神保健福祉士と比べて合格率が高い傾向にあります。介護福祉士の合格率は82.8%なのに対し、2023年度の社会福祉士の合格率は58.1%、精神保健福祉士の合格率は70.4%でした。介護福祉士国家試験は、介護や福祉に関する国家資格のなかでは比較的難易度が低く、合格を狙いやすい資格といえるでしょう。
出典
厚生労働省「第36回社会福祉士国家試験合格発表」(2024年11月28日)
厚生労働省「第26回精神保健福祉士国家試験合格結果を公表します」(2024年11月28日)
「介護福祉士は誰でも受かる」は間違い
介護福祉士国家試験の合格率は80%を超えていますが、20%近くの人が不合格になっていることから、誰でも受かる資格とはいえません。介護福祉士の合格に必要な勉強時間は250時間程度といわれており、合格には十分な対策が必要です。簡単だと油断していると不合格になってしまうので、しっかり対策して試験に挑みましょう。
難易度に関するアンケート結果

介護福祉士国家試験の難易度について、レバウェル介護(旧 きらケア)が独自調査を行った結果、「簡単」「そこそこ簡単だった」の合計が36.8%、「どちらともいえない」が34.6%、「そこそこ難しかった」「難しい」が計28.5%でした(回答数:179名、実施時期:2023年10月10日~11月12日)。
人によって状況は異なるため一概にはいえませんが、「簡単」「そこそこ簡単だった」と答えた人の比率が多いという結果となっています。一定の学習時間の確保ができれば、1回目での合格が可能な難易度だといえるでしょう。
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介護福祉士国家試験に落ちる人の特徴
介護福祉士国家試験は、国家資格のなかでは比較的合格率の高い資格ではありますが、約20%の人が試験に落ちています。ここでは、介護福祉士国家試験に落ちる人の特徴を紹介するので、失敗例をチェックして同じミスをしないように意識しておきましょう。
- 誰でも受かると油断している
- 勉強時間が足りていない
- 過去問を解いたことがない
- 実務経験者は勉強しなくても受かると過信している
- 問題の出題形式を理解していない
- 見直しを全くしていない
合格率の高さから、「誰でも受かるだろう」「経験者だから受かるだろう」と根拠のない自信をもってあまり勉強せずにいると、落ちてしまうことがあるようです。試験に合格するには、合格基準や出題形式を把握し、それにあわせた対策が欠かせません。次で合格に効果的な勉強方法を紹介するので、ぜひチェックしてください。
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介護福祉士国家試験の合格に効果的な勉強法
介護福祉士試験は年1回しか実施されないため、不合格になると次の年度まで待たなくてはなりません。介護福祉士は手当やキャリアに響く資格なので、「一発で合格したい」という方が大半でしょう。そこで、下記では介護福祉士国家試験に合格するための勉強法をご紹介します。「勉強法や対策を知りたい」という方は、参考にしてみてください。
自分にあった勉強法を選ぶ
働きながら介護福祉士を目指す場合の勉強法として、「独学」や「通信講座の利用」があります。自分のペースで勉強を進めたい方は「独学」、人に教えてもらった方が分かりやすい、独学ではモチベーションが保てないという方は「通信講座の利用」が向いているでしょう。
レバウェル介護(旧 きらケア)で「資格を取得するために資格スクールを利用しましたか?」というアンケートを実施したところ、利用した方が30.73%、利用しなかった方が69.27%と、独学で学習している人の方ほうが多いという結果になりました(回答数:179名、実施時期:2023年10月10日~11月12日)。
このことから、「試験に合格するために通信講座やスクールに通わなければならない」ということはなさそうです。介護福祉士国家試験に合格するためには、自分に合った勉強法を選ぶことが重要だといえます。
無理のないスケジュールで勉強を進める
合格点を超えていても、得点のない科目があれば不合格となってしまいます。すべての科目で十分な得点を取るために、しっかりと学習スケジュールを立てておくことが大切です。「短期集中で勉強する」「長期的に毎日コツコツと勉強する」など、自分の性格や仕事との兼ね合いを考慮して決めましょう。
レバウェル介護(旧 きらケア)の同アンケートでは、「毎日のスキマ時間でコツコツ勉強した」と回答した方が44%(79名)でした。計画的に勉強を進める方が多いようです。
解説が充実した問題集を選ぶ
参考書を選ぶ際は、「解説が充実しているか」「最新のテキストであるか」を確認しましょう。解説が充実している参考書であれば、効率的に理解を深められます。また、介護福祉士国家試験は社会情勢によって問題が変化したり、カリキュラムが更新されたりするため、最新の情報が反映されているかチェックすることも、参考書を選ぶ際の大切なポイントです。
過去問を繰り返し解いて対策する
過去問を繰り返し解き、つまずく分野があったら重点的に復習します。過去問を繰り返し解くことで、より理解を深められるでしょう。
徹底的に対策するなら、問題集から苦手な分野や問題だけを抜き出して、自分だけのオリジナルノートを作るのもおすすめです。苦手な箇所は忘れやすい部分でもあるので、完全に定着したと思うまで何度も復習しましょう。
スキマ時間に無料の学習ツールを活用する
介護福祉士国家試験の対策方法として、スマホアプリの学習ツールを活用するのもおすすめです。通勤時間や休憩時間など、スキマ時間を使って勉強する際に役立てられます。無料で利用できるものもあるので、自分に合ったものを探してみましょう。介護福祉士国家試験に活用できるアプリを知りたい方は、「介護福祉士アプリのおすすめ2選!活用するメリットと勉強方法のポイント」を参考にしてみてください。
継続的な学習には適度な息抜きも必要
試験対策は毎日勉強を積み重ねることが重要ですが、継続的に学習を続けるには適度な息抜きも大切です。音楽を聴いたり、時間を決めてテレビを見たりするなど、リラックスできる工夫をしましょう。集中力が切れていると感じたら、一度外に出て散歩をしたり、買い物をしたりすることで、気分転換になるかもしれません。やる気が出ない日は、勉強の後に好きなものを食べる、映画を見るなど、自分にとってのご褒美を作るのも良い方法です。
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介護福祉士国家試験の概要
ここでは、介護福祉士国家試験の概要を解説します。受験資格や試験内容、スケジュールなど、介護福祉士国家試験を受けるなら必ず知っておく必要のある内容ですので、目を通しておきましょう。
受験資格
介護福祉士の受験資格を得る方法は4つあります。ここでは、「養成施設ルート」「実務経験ルート」「福祉系高校ルート」「EPA(経済連携協定)ルート」の4ルートをそれぞれ説明します。

養成施設ルート
養成施設ルートとは、介護福祉士養成施設に通学し、卒業後に介護福祉士国家試験を受験するルートです。最終学歴が高卒の場合は最低2年、福祉系大学や社会福祉士養成施設などを出ている場合は最低1年の通学が必要となります。
実務経験ルート
実務経験ルートでは、受験資格として「実務経験3年以上」と「実務者研修の修了」を満たしたうえで介護福祉士国家試験を受験します。「介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の修了」も要件の一つとしてありますが、介護職員基礎研修は廃止されているため、これから介護福祉士を目指す方は、実務者研修を修了するのが基本です。
受験資格で認められる実務経験については、「介護福祉士国家試験の受験資格である実務経験とは?対象の施設や職種を解説」でチェックしてみてください。
福祉系高校ルート
福祉系高校ルートでは、福祉系高校に入学し、卒業後に介護福祉士国家試験を受けます。通学期間は3年です。
EPA(経済連携協定)ルート
EPA(経済連携協定)ルートとは、外国籍の方向けのルートです。条件を満たすには、EPA介護福祉士候補者として3年以上の実務経験を積む必要があります。
各ルートについて詳しくは、「介護福祉士の受験資格を得るルートを解説!必要な実務経験や試験概要は?」で紹介していますので、気になる方はこちらをご覧ください。
試験内容
ここでは、介護福祉士の試験内容を説明します。これから受験する方は試験対策のためにも確認しておきましょう。
筆記試験の形式
介護福祉士国家試験における筆記試験はマークシート方式で、5つの選択肢から1つの正解を選ぶ五肢択一式で行われます。論述問題がない点では、ほかの資格と比較して難易度は低めだといえるでしょう。
筆記試験の出題科目
出題内容は、「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」の4領域と「総合問題」から125問出題されます。具体的な科目は下記の11個です。
- 人間の尊厳と自立、介護の基本
- 人間関係とコミュニケーション・コミュニケーション技術
- 社会の理解
- 生活支援技術
- 介護過程
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- こころとからだのしくみ
- 医療的ケア
- 総合問題
なお、試験時間は220分となります。
実技試験は廃止された
実技試験は第37回試験(2025年1月実施)から廃止されています。第36回試験までは、具体的なケースをもとに介助を実際に行う試験が行われていました。
試験のスケジュール
試験は年に1回行われています。下記が日程の目安です。
- 申し込み期間:8月上旬~9月上旬
- 筆記試験:1月下旬
- 合格発表:3月下旬
第37回介護福祉士国家試験は、2025年1月26日(日)に筆記試験が実施され、合格発表は3月24日(月)14時を予定しています。受験する際は、自分が受ける際のスケジュールをしっかり確認しておきましょう。
合格後の手続き
試験に合格したら、必要な書類を期限までに提出し、資格の登録手続きを行います。合格しただけでは介護福祉士として働けないので注意しましょう。
合格後の手続きは、「介護福祉士試験に合格したら資格登録が必須!流れや必要書類をご紹介!」で詳しく解説しているので、こちらもあわせてご覧ください。
2026年から導入されるパート合格について
2026年1月に実施される第38回介護福祉士国家試験から「パート合格」が導入されます。介護福祉士国家試験の科目を3つのパートに分け、パートごとに合格判定を出す仕組みとなっています。合格したパートはパート合格した翌々年まで有効です。不合格の場合は、合格できなかったパートだけ受験すれば良いので、勉強する時間が限られている人も資格取得を目指しやすくなるでしょう。
詳しくは、「介護福祉士のパート合格とは?受験の仕組みは?試験科目や合格基準をご紹介」で解説しているので、こちらをチェックしてみてください。
出典
厚生労働省「介護福祉士国家試験パート合格の導入に関する検討会」(2024年11月28日)
介護福祉士国家試験の合格率に関してよくある質問
ここでは、介護福祉士国家試験の合格率についてよくある質問に回答します。
第35回介護福祉士国家試験の合格ラインは?
第35回介護福祉士国家試験の合格ラインは、筆記試験75点以上、実技試験53.33点以上でした。基本的な合格基準は、この記事の「介護福祉士国家試験の合格基準は?」で解説しているので、こちらもあわせてチェックしてみてください。
出典
厚生労働省「第35回介護福祉士国家試験合格発表」(2024年11月28日)
介護福祉士の合格点を過去10年分教えてください
過去10年分の介護福祉士の合格点を、以下にまとめました。
介護福祉士国家試験 | 筆記試験の合格基準 |
第36回 | 67点/125点満点 |
第35回 | 75点/125点満点 |
第34回 | 78点/125点満点 |
第33回 | 75点/125点満点 |
第32回 | 77点/125点満点 |
第31回 | 72点/125点満点 |
第30回 | 77点/125点満点 |
第29回 | 75点/125点満点 |
第28回 | 71点/120点満点 |
第27回 | 68点/120点満点 |
第27回、第28回は120点満点、それ以外は125点満点となっています。過去10回分を見ると、合格点は67~78点の範囲であることが分かるでしょう。
出典
公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 – 過去の試験問題」(2024年11月28日)
厚生労働省「第33回介護福祉士国家試験合格発表」(2024年11月28日)
厚生労働省「第32回介護福祉士国家試験合格発表」(2024年11月28日)
厚生労働省「第31回介護福祉士国家試験合格発表」(2024年11月28日)
厚生労働省「第30回介護福祉士国家試験合格発表」(2024年11月28日)
厚生労働省「第29回介護福祉士国家試験合格発表」(2024年11月28日)
厚生労働省「第28回介護福祉士国家試験合格発表」(2024年11月28日)
厚生労働省「第27回介護福祉士国家試験合格発表」(2024年11月28日)
まとめ
介護福祉士国家試験の合格率は、70~80%で、国家資格のなかでは合格率が比較的高いといえます。2024年に実施された第36回介護福祉士国家試験における合格率は82.8%。第35回から80%を超えており、最近は合格率が上昇傾向にあるようです。
介護福祉士国家試験の合格基準は、「総得点125点に対し、60%を基準に補正が入った点数を満たしている」「11科目すべてにおいて得点がある」の2点で、いずれの条件も満たす必要があります。なお、第36回筆記試験の合格点は67点と、補正により合格基準が下げられました。
介護福祉士国家試験の合格率は、ほかの国家資格より高い傾向がありますが、誰でも受かるほど容易ではありません。合格基準や出題形式を把握し、それにあわせた対策が大切です。無理のない学習スケジュールを立て、問題集や過去問を繰り返し継続的な学習を心掛けましょう。
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