
この記事のまとめ
- 主任ケアマネジャーの6割は、年収300~450万円程度をもらっている
- 主任ケアマネの年収は、経験年数が増えるほど増加する傾向にある
- 主任ケアマネの年収をアップさせる方法は、給与の良い職場に転職するなど
「主任ケアマネジャーの年収はいくらなの?」と気になる方もいるでしょう。主任ケアマネは、ケアマネの上位資格です。仕事の責任も大きくなりますが、高収入が期待できます。この記事では、主任ケアマネの年収や収入アップの方法、取得方法などを解説。取得するメリットも紹介しているので、主任ケアマネの資格を取得しようか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
ケアマネジャー(介護支援専門員)とはどんな仕事?業務内容や役割を解説!主任ケアマネジャーの年収はどれくらい?
主任ケアマネジャーの年収は300万円~450万円程度です。年収は職場によって異なりますが、主任ケアマネジャーの年収はケアマネジャーより高い傾向にあります。
主任ケアマネジャーの年収額
株式会社日本総合研究所の「介護支援専門員の養成に関する調査研究事業(p.98)」をもとに、主任ケアマネ資格保有者の年収ごとの割合を表にまとめました。
給与水準 | 割合 |
200万円未満 | 4.2% |
200万円以上250万円未満 | 7.1% |
250万円以上300万円未満 | 11.3% |
300万円以上350万円未満 | 20.1% |
350万円以上400万円未満 | 19.8% |
400万円以上450万円未満 | 17.7% |
450万円以上500万円未満 | 8.2% |
500万円以上 | 9.4% |
参照:株式会社日本総合研究所「介護支援専門員の養成に関する調査研究事業(p.98)」
主任ケアマネの年収は、「300万円~350万円」が20.1%で最も多い結果でした。「350万円~400万円」「400万円~450万円」もそれぞれ20%近い割合を占めています。
300万円~450万円の年収を得ている人の割合は、全体の6割を占めており、主任ケアマネは、職場によって400万円以上稼ぐことも可能といえるでしょう。割合は少ないですが、年収500万円以上をもらっている主任ケアマネも、1割近くいるようです。
主任ケアマネとケアマネの年収の違い
前述したように主任ケアマネの平均的な年収は、300万円~450万円程度です。一方で、同資料(p.98)によると、ケアマネの平均的な年収は、250万円~400万円程度となっています。
主任ケアマネで450万円を超える方の割合は17.6%なのに対し、ケアマネは全体の6.2%でした。主任ケアマネは居宅介護支援事業所の管理者として配置されるので、役職手当などの手当が手厚くなる分、ケアマネより主任ケアマネの方が全体的に年収が高くなっているようです。
出典
株式会社日本総合研究所「厚生労働省 老人保健健康増進等事業 令和5年度」(2024年12月2日)
今の職場に満足していますか?
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主任ケアマネジャーの給与の傾向
主任ケアマネジャーの給与は、経験年数を積んだり管理職になったりすると高くなる傾向があります。
ここでは、主任ケアマネの給与の傾向を解説するので、興味がある方はぜひご覧ください。
経験年数が長いほど高い
経験年数が長いほど、年収が高くなる傾向にあります。以下で、e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(表番号10)」をもとに、ケアマネジャーの経験年数別の平均給与をまとめているのでチェックしてみてください。
経験年数 | 平均給与 | 平均年収 |
0年 | 275,300円 | 3,540,900円 |
1~4年 | 267,400円 | 3,713,100円 |
5~9年 | 278,100円 | 3,962,300円 |
10~14年 | 284,600円 | 4,069,400円 |
15年~ | 298,000円 | 4,326,200円 |
参照:e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(表番号10)」
未経験者と15年以上の経験があるスタッフの年収は、78万円以上の差があります。ボーナスは給料2~3ヶ月分として支給されることが一般的なので、経験年数を積んで基本給が上がればボーナスも上がり、年収アップにつながるでしょう。
なお、経験年数別の平均給与や平均年収は、所定内給与額をもとに算出しています。手当などの金額などが含まれていない値なので、あくまで参考としてご覧ください。
出典
e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(表番号10)」(2024年12月2日)
職員数が多い職場のほうが高い
e-Stat 政府統計の総合窓口の「賃金構造基本統計調査 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(表番号1)」によると、職人数が多い規模の大きい職場のほうがケアマネジャーの月収が高い傾向があります。
平均給与 | 平均年収 | |
10人~99人以上 | 285,800円 | 3,706,500円 |
100人~999人以上 | 301,200円 | 3,905,200円 |
1,000人以上 | 317,400円 | 4,107,000円 |
参照:e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(表番号1)」
職員数10人~99人以上の職場と1,000人以上の職場は、平均年収に40万円以上の差がみられます。高給与を目指す方は規模の大きい職場の求人に応募するのがおすすめです。
介護施設の医療系職種より低い
介護業界では、介護職員やケアマネジャー、看護師、理学療法士など、さまざまな職種が働いています。同資料(表番号1)によると、ケアマネジャーは看護師などの医療系職種と比較すると、月給が低い傾向があるようです。
職種 | 平均給与 | 平均年収 |
ケアマネジャー | 297,100円 | 4,216,200円 |
看護師 | 352,100円 | 4,544,500円 |
准看護師 | 286,800円 | 3,708,500円 |
介護職員 | 263,600円 | 3,411,600円 |
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士 | 300,900円 | 3,900,900円 |
参照:e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(表番号1)」
ケアマネジャーの資格は介護系資格の中では月収が高いほうですが、看護師は国家資格であり、ケアマネより高い収入が見込めます。
しかし、ケアマネが主任ケアマネにキャリアアップすれば収入アップが期待できるでしょう。
出典
e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(表番号1)」(2024年12月2日)
管理職になると高くなる
「主任ケアマネジャーの資格を取得するメリット」で後述していますが、主任ケアマネジャーの資格は、管理者の要件でもあります。主任ケアマネは管理職になることで給与がアップするでしょう。
公益財団法人 介護労働安定センター の「令和4年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書(p.113)」をもとに管理者の収入を以下にまとめています。
平均月給 | 平均年収 | |
管理者の平均収入 | 383,228円 | 5,450,994円 |
参照:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書(p.113)」
管理者は、仕事の責任が大きい分、収入が多い傾向にあります。高収入を目指している方は、主任ケアマネの資格を活かして、管理者になると良いでしょう。
出典
公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度 介護労働実態調査結果について」(2024年12月2日)
主任ケアマネジャーの年収アップ方法
ここでは、主任ケアマネジャーの年収をアップさせる方法を解説します。高給与を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。
給与条件の良い職場へ転職する
多くの介護施設ではケアマネジャーが慢性的に不足しているため、求人も多く展開されています。「現在の職場で昇給の見込みがない」「手当が充実していない」というように、給与面の不満がある場合は、待遇の良いところへの転職がおすすめです。
転職する際は、基本給などの給与面だけではなく、昇給制度や福利厚生も充実しているか確認しておくことが重要といえます。また、施設ケアマネは夜勤手当がつき、居宅ケアマネより給与が高い傾向があるので、転職先の候補として検討してみてください。
実務経験を積む
ケアマネジャーは、実務経験と勤続年数が長いほど給与が上がりやすい傾向があります。定期的な給与査定をしている職場であれば給与アップが望みやすいため、実務経験とともに勤続年数も積んでいくことが望ましいでしょう。また、実務経験を積んでいけば主任ケアマネジャーの受講資格も取得できるため、より給与アップを狙いやすくなります。実務経験と勤続年数を重ねて、ベテランとして活躍できるようになれば、年収アップの交渉もしやすいでしょう。
管理職になる
管理職やリーダーへのキャリアアップは給与面でプラスになります。「管理職になると高くなる」で前述したように、管理職は役職手当が支給されるのが一般的です。
管理職には、マネジメントに関する能力が求められますが、職員の教育や経営に関心がある方にはおすすめの給与アップを目指す方法といえます。管理者になっていない主任ケアマネは、昇進を目指してみると良いでしょう。
独立し居宅介護支援事業所を立ち上げる
独立して居宅介護支援事業所を開業すると、業績次第で収入が上がる可能性があります。主任ケアマネを取得していれば、居宅介護支援事業所の立ち上げが可能です。管理者とケアマネを兼任できるので、1人でも起業できます。ただし、軌道に乗るまでは、大変なこともあるかもしれません。独立のメリット・デメリットをしっかりと確認しましょう。
担当する利用者さんを増やす
利用者さんの担当人数が少ない方は、人数を増やすことで給与アップにつながる可能性があります。自分の受け持ちを増やすことでもらえる介護報酬が増え、給与に還元される可能性があるからです。ケアマネの担当件数は、施設ケアマネと居宅ケアマネで異なります。
ケアマネの担当件数については、「ケアマネジャーの担当件数の上限は?居宅・施設の利用者数や仕事内容を解説」の記事で解説しているので、あわせてご一読ください。
主任ケアマネジャーの求人例
ここでは、主任ケアマネジャーの求人例を紹介します。求人を確認する際に参考にしてみてください。
都道府県:東京都
雇用形態:正社員
施設形態:居宅介護支援事業所
募集要件:主任介護支援専門員
仕事内容:
・請求業務(給付管理)
・要介護認定の書類作成代行
・ケアプランの作成やモニタリング
・各介護サービスとの連絡調整
・新規利用者の獲得など
給与: 350,000円
休日:年間休日114日
残業時間:10時間
福利厚生:
・賞与あり(2ヶ月/年2回)
・研修制度あり
・交通費支給
・社会保険制度完備
・役職手当
・職務手当
・制服貸与
求人の休日日数は、120日あれば週休2日と祝日に休める計算です。残業時間は、10時間程度であれば一般的といえるでしょう。一つの条件だけで決めずに、すべての条件を総合的に見てから判断することが大切です。
主任ケアマネジャーの資格を取得するメリット
主任ケアマネを取得すると、給与アップにつながるほか、キャリアアップの機会が増えます。2021年4月から居宅介護支援事業所の管理者が主任ケアマネに限定されたため、管理者を目指す人は主任ケアマネの取得が必須となりました。
また、主任ケアマネの資格を取得していると転職面でも有利になるでしょう。主任ケアマネを持っていることで、ケアマネとしての専門性が担保されます。取得には、ケアマネの実務経験が3年以上必要です。要件を満たせる人材が限られる、かつ事業所の加算や配置に関わる資格なので、積極的に採用してもらいやすいでしょう。
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主任ケアマネジャーの資格取得方法
主任ケアマネジャーになるには、「主任介護支援専門員」という資格を取得しなければなりりません。主任介護支援専門員は、70時間の主任介護支援専門員研修を受講することで取得できます。受講要件は自治体によって異なりますが、下記のような条件を掲げている自治体が多いようです。
- 専任のケアマネジャーとしての実務経験が5年以上ある人
- ケアマネジメントリーダー養成研修を修了もしくは、認定ケアマネジャーを取得した人で、専任としてケアマネジャーとして実務経験3年以上ある人
- 地域包括支援センターのケアマネジャーとして働いている人
- ケアマネジャーの業務に関する十分な知識と経験を有し、都道府県が適当だと認めた人
主任介護支援専門員研修は、自治体で1年に1回程度しか開催されないので、タイミングを逃さずに受講する必要があります。お住まいの自治体が定める主任介護支援専門員の受講要件を事前に確認しておきましょう。
詳しくは、「最短で主任ケアマネジャーになる方法とは?受験資格や研修費用も解説」の記事で解説しています。
なお、主任ケアマネの資格は、5年ごとに更新する必要があります。更新し忘れた場合、再研修を受ける必要があるので、注意しましょう。
今後のケアマネジャーの給料は上がる?下がる?
2024年の介護報酬改定では、ケアマネの処遇改善に関する決定事項がありませんでした。しかし、厚生労働省はケアマネジャーの不足は課題だと認識しており、2024年11月7日の検討会で、ケアマネの処遇を確保する方針を打ち出しています。
具体的な待遇改善の要件は今後検討される見込みですが、今後ケアマネの給与が改善する可能性が高いといえるでしょう。
ケアマネの将来性については、「ケアマネは今後どうなる?AIの活用で不要になるの?将来性や需要を解説!」の記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。
出典
厚生労働省「第5回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 資料」(2024年12月2日)
主任ケアマネについてよくある質問
ここでは、主任ケアマネについてよくある質問に回答します。主任ケアマネの取得を検討している方は、ぜひご覧ください。
主任ケアマネの給与は年収1,000万円を超えるって本当?
主任ケアマネの仕事のみで年収1,000万円を超えることは難しいかもしれません。「主任ケアマネジャーの年収はどれくらい?」で解説したように、ケアマネジャーの平均給与は300万円~450万円程度なので、年収は高くても500万円程度になるでしょう。しかし、主任ケアマネは介護業界の中では給与の高い職種です。なお、年収は施設によって異なるので、参考程度にご覧ください。
主任ケアマネの研修の受講要件は?
主任ケアマネになるために必要な「主任介護支援専門員研修」の受講要件は、「専任のケアマネとして実務経験5年以上あること」「ケアマネジメントリーダー養成研修の修了もしくは認定ケアマネジャーで、実務経験が3年以上あること」「地域包括支援センターのケアマネであること」などがあります。
詳しくは、この記事の「主任ケアマネジャーの資格取得方法」で解説しているので、ご一読ください。自治体によって、受講要件が異なることもあるので、お住まいの地域の主任介護支援専門員研修の受講要件を事前に確認しておきましょう。
主任ケアマネの手当の相場はいくらですか?
主任ケアマネの資格手当の相場は、3万円~4万円程度です。職場によっては、「ケアマネ手当+主任ケアマネ手当」という形で支給し、主任ケアマネのみの資格手当は1万円というケースもあります。主任ケアマネの手当の金額は、職場や地域によっても異なるので、参考までにご覧ください。
また、基本給が高い職場で手当が少ない場合も考えられるので、転職で給与条件をみるときは年収ベースで比較しましょう。
まとめ
主任ケアマネジャーの年収は、300万円~450万円程度です。主任ケアマネの給与は、経験年数を重ねたり職員数の多い職場を選んでいたりすると、給与が高い傾向にあります。
主任ケアマネの年収をアップさせる方法は、「給与条件の良い職場へ転職する」「独立し居宅介護支援事業所を立ち上げる」「担当する利用者さんを増やす」などがあります。
主任ケアマネを取得すると、給与アップが期待できるだけではなく、管理者の要件を満たせたり、転職で有利になったりするなど、メリットも豊富です。
主任ケアマネの仕事に興味がある方や高収入を目指している方は、「レバウェル介護(旧 きらケア)」にご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界に特化した転職エージェントです。専任のキャリアアドバイザーがヒアリングをもとに希望条件に合った求人をご提案します。「どんな主任ケアマネの求人があるか知りたい」という方も、お気軽にご相談ください。
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