
この記事のまとめ
- 認知症ケア指導管理士が意味ないと感じる理由は、昇給につながりにくいから
- 認知症ケア指導管理士を取得するメリットは、専門性を身につけられること
- 昇給やキャリアアップを目指す場合、公的資格を取得するのもおすすめ
認知症ケア指導管理士とは、医療職や介護職における認知症ケアのスキルアップを目的とした民間資格です。「認知症ケア指導管理士は意味ない」と感じる場合の理由として、昇給やキャリアアップにつながりにくいことなどが挙げられます。この記事では、認知症ケア指導管理士の概要や試験内容をまとめました。取得のメリットや認知症ケアに活かせるほかの資格もご紹介するので、ぜひご一読ください。
介護資格の種類31選!取得方法やメリットを解説します認知症ケア指導管理士を取得しても意味ないと感じる理由
社会的な地位や待遇の向上を目的に認知症ケア指導管理士を取得すると、「資格があっても意味ない」と感じてしまう場合があるようです。
以下で、認知症ケア指導管理士が意味ない資格と感じる場合の理由を解説します。
給与アップにつながりにくい
認知症ケア指導管理士は公的な資格ではないので、資格手当の対象にならない傾向があります。ただし、入職時にスキルがに応じて給与額が決まる場合は、評価してもらえることがあるかもしれません。
民間資格は公的資格と比べ、取得しても給与アップにつながりにくいでしょう。そのため、昇給を目的として資格取得を考えている方は「認知症ケア指導管理士は意味ない」と感じることがあるようです。
キャリアアップに活かしにくい
認知症ケア指導管理士が要件の職種はないため、資格を取得することでキャリアアップを狙うのは難しいかもしれません。身につけた知識やスキルは仕事に活かせるので、評価につながることはありますが、認知症ケア指導管理士の資格を取得するだけでキャリアアップできる可能性は低いでしょう。
キャリアアップするには、スキルを実務に活かしたり、さらに別の資格も追加で取得したりすることが有効です。
更新に費用や時間がかかる
認知症ケア指導管理士は、2年ごとに更新が必要です。資格更新には申し込みが必要なので、時間や手間がかかるでしょう。また、更新費用として5,000円かかります。
資格取得によるメリットと、資格の維持にかかるコストが釣り合わないと感じると、「認知症ケア指導管理士は意味ない」と思うのかもしれません。
出典
一般財団法人 職業技能振興会「認知症ケア指導管理士[初級]」(2025年1月15日)
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認知症ケア指導管理士とは
認知症ケア指導管理士とは、医療職や介護職の認知症ケアのスキルアップを目的とした資格です。一般財団法人職業技能振興会が認定しており、試験に合格して資格登録を行うことで取得できます。
試験は初級と上級の2段階です。初級は、認知症ケアのスキルアップや家族への介護に活かせる内容となっています。上級は、リーダーの役割を担うための、専門的なスキルを習得することが目的です。
試験内容
認知症ケア指導管理士は、初級と上級で、出題内容や試験形式が異なります。
初級
認知症ケア指導管理士(初級)の試験は、以下の科目から出題されます。
- 認知症高齢者の現状
- 認知症の医学的理解
- 認知症の心理的理解
- 認知症ケアの理念と認知症ケア指導管理士の役割
- 認知症ケアの実践
- 日常生活支援
- 認知症への薬物療法
- 認知症への非薬物療法
- 家族への支援
- 認知症ケアにおける社会資源
- 応用問題(時事問題など)
初級試験はマークシート方式で、5つの選択肢から1つを選んで解答します。全60問・90分間の試験です。初級試験に対応する公式テキストが販売されているため、受験勉強に活用しましょう。
上級
上級認知症ケア指導管理士になるには、一次試験と二次試験に合格しなければなりません。一次試験に合格した方のみ、二次試験を受験可能です。
一次試験は、マークシート方式で、5つの選択肢から当てはまる項目をすべて選んで解答します。問題数は60問で、試験時間は90分です。
二次試験では、ケア全般に関する状況設定問題や論述問題が出題されます。論述形式で解答する90分の試験です。
上級認知症ケア指導管理士の公式テキストはありませんが、一般社団法人 総合ケア推進協議会が監修する参考書籍があるので、試験勉強に活用すると良いでしょう。
受験資格
認知症ケア指導管理士の受験資格は、初級と上級で異なります。以下で確認してみましょう。
初級
認知症ケア指導管理士(初級)の試験は、受験資格が定められていません。そのため、介護に関する資格や実務経験がない方も受験できます。
上級
上級認知症ケア指導管理士の受験資格があるのは、以下のいずれかを満たす方です。
- 第1回~第20回認知症ケア指導管理士(初級)試験に合格し、認知症ケア指導管理士(初級)を保有している
- 第22回認知症ケア指導管理士(初級)試験に合格して資格登録をしており、指定の国家資格または国家資格に準ずる資格を保有している
- 国家資格または国家資格に準ずる資格を保有しており、「認知症ケア指導管理士(初級)」と「上級認知症ケア指導管理士」の試験を併願で受験する
上級認知症ケア指導管理士の試験を受験するには、いずれの場合も初級試験に合格する必要があります。
初級を取得していない方は、保有資格によっては上級との併願受験が可能です。「指定の国家資格またはそれに準ずる資格」には、医師・看護師・准看護師・社会福祉士・精神保健福祉士・介護支援専門員・介護福祉士などの、福祉に関する公的資格が該当します。
合格基準
認知症ケア指導管理士の合格基準は、レベルによって異なります。認知症ケア指導管理士の合格基準について、下記にまとめました。
初級
認知症ケア指導管理士(初級)試験の合格基準は、総得点の7割とされています。ただし、問題の難易度によって合格点は補正されるので注意が必要です。第1回~第26回試験の合格率は、59.9%と公表されています。
上級
認知症ケア指導管理士の上級試験における合格基準は公開されていません。マークシート方式で行われる一次試験は、得点によって合否が判断されるようです。合格基準は明かされていませんが、合否通知により、その試験の合格基準点が通知されます。論述形式の二次試験では、課題への対応力と判断力を問われるようです。
第1回~15回試験の合格率は8.2%なので、難易度は高いでしょう。上級認知症ケア指導管理士の試験は、一次試験の合格率が低いことから、全体の合格率が低くなっているようです。
出典
一般財団法人 職業技能振興会「認知症ケア指導管理士[初級]」(2025年1月15日)
一般財団法人 職業技能振興会「上級認知症ケア指導管理士」(2025年1月15日)
一般社団法人 総合ケア推進協議会「各認定試験受験者データ」(2025年1月15日)
認知症ケア指導管理士を取得するメリット
認知症ケア指導管理士を取得するメリットとしては、「認知症ケアの知識やスキルを習得できる」「誰でも挑戦できる」などが挙げられるでしょう。そのため、「取得しても意味がない資格」とはいえません。
認知症ケアの知識やスキルを習得できる
認知症ケア指導管理士を取得する過程で、認知症ケアについての専門的な知識やスキルを習得できます。介護や医療の現場で認知症ケアに関わったり、認知症を患うご家族と接したりする方には、大きなメリットといえるでしょう。
また、認知症ケア指導管理士の資格取得者に向けて、キャリアアップ・スキルアップセミナーが定期的に開催されています。資格取得後にスキルを磨けることも、認知症ケア指導管理士の魅力です。
初級は要件がなく誰でも受験できる
認知症ケア指導管理士(初級)の試験には要件がないため、誰でも挑戦することが可能です。介護・医療業界の仕事に従事していない方や、新人職員の方も取得を目指せます。
家族の介護に活かせる
認知症ケア指導管理士の初級は、介護・医療の専門職以外の方も取得を目指せる難易度です。家族の介護をしている方や、高齢者の方と関わる機会が多い方も、身につけた知識を生活に活かせます。
認知症ケア指導管理士を活かせる職場
認知症ケア指導管理士の資格を活かせる主な職場として、以下の施設や事業所が挙げられます。
- グループホーム
- 有料老人ホーム
- 特別養護老人ホーム(特養)
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- 訪問介護事業所
認知症ケア指導管理士の資格を特に活かせる職場は、認知症を患う方が利用する介護施設や事業所です。
認知症を患う方に対応する機会がある職場では、認知症ケアについての知識やスキルがあると、スムーズに仕事をこなしやすいでしょう。また、認知症ケアについての正しい知識を持っていれば、ほかの職員に知識を共有したり指導したりすることも可能です。
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認知症ケアに活かせる公的な資格
給与アップやキャリアアップを目的に資格取得を考えている方は、公的な資格を取得するのがおすすめです。公的な資格を取得すると、職場によっては資格手当が付いたり、採用に有利になったりする可能性があります。
認知症ケアに活かせる主な公的資格は、以下のとおりです。
- 認知症介護基礎研修
- 認知症介護実践者研修
- 認知症介護実践リーダー研修
職場によっては、認知症介護に関する公的資格を保有している職員の配置が義務付けられている場合があります。そのため、取得することで評価につながる可能性があるでしょう。なお、上記の研修を受講するには、自治体の定める要件を満たさなければなりません。
それぞれの資格については、「【認知症介護の資格一覧】取得方法や試験の難易度、習得できるスキルを解説」の記事で解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
▼関連記事
認知症介護実践者研修とは?資格の概要や取得するメリットを解説
認知症介護実践リーダー研修とは?修了は難しい?受講内容なども解説
認知症ケア指導管理士についてよくある質問
ここでは、認知症ケア指導管理士についてよくある質問にお答えします。認知症ケア指導管理士の取得を検討している方は、ご一読ください。
認知症ケア指導管理士の上級試験のテキストはありますか?
認知症ケア指導管理士の上級試験に公式テキストはありませんが、一般社団法人 総合ケア推進協議会が監修する参考書籍があります。書店やWebストアで購入可能なので、上級試験を受験する際は活用しましょう。
なお、初級試験は公式テキストが販売されており、試験の申し込み者限定で対策講座も開講されています。テキストの内容を解説してもらえたり、練習問題を出題してもらえたりするので、独学で受験対策をするのが不安な方は、受講を視野に入れると良いでしょう。
認知症ケア指導管理士の受験資格に看護師は含まれますか?
認知症ケア指導管理士の初級試験には要件がないので、誰でも挑戦が可能です。上級の受験要件は、「初級試験に合格している」「特定の国家資格やそれに準ずる資格を保有している」の両方を満たすことで、特定の国家資格には看護師も含まれます。上級の受験要件に当てはまるほかの資格は、介護福祉士や介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士などです。
認知症ケア指導管理士の試験については、この記事の「認知症ケア指導管理士とは」で解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
まとめ
「認知症ケア指導管理士は意味ない」と感じる場合の理由として、昇給やキャリアアップに直接つながりにくいことが挙げられます。しかし、取得を通じて、介護現場で活かせる専門知識・スキルを学べたり、家族の介護に活かせたりなど、メリットも得られる資格です。
「認知症ケア指導管理士を活かして働きたい」「資格取得を目指しながら仕事がしたい」という方は、「レバウェル介護(旧 きらケア)」にご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護専門の転職エージェントです。介護業界に詳しいアドバイザーが、認知症ケアに携われる職場や、資格取得支援制度のある職場をご紹介いたします。
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