
この記事のまとめ
- サービス提供責任者として働くためには要件があり、介護の資格が必要
- サービス提供責任者の必須知識・スキルは、介護の専門知識や指導のスキル
- サービス提供責任者がスキルアップする方法は、研修の受講や資格取得など
「サービス提供責任者に必須の知識はあるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。サービス提供責任者には、介護に関する専門的な知識や、ホームヘルパーの指導を行うスキルが必要です。この記事では、元サービス提供責任者である筆者が、自身の経験を踏まえて業務に必要な知識を解説します。スキルアップしたいサービス提供責任者におすすめの勉強方法もまとめました。「サ責として活躍したい」という方は、ぜひ参考にしてください。
サービス提供責任者(サ責)とはどんな職種?仕事内容や必要な資格、お給料サービス提供責任者として働くために必要な資格は?
サービス提供責任者として働くためには、以下のいずれかの資格が必要です。
- 介護福祉士
- 介護福祉士実務者研修
- 旧ホームヘルパー1級(訪問介護員1級養成研修課程)
- 旧介護職員基礎研修
サービス提供責任者には、介護に関する専門的な知識が必要なので、資格要件があります。ホームヘルパー1級と介護職員基礎研修はすでに廃止されたので、今から取得することはできません。
現時点で上記の資格がない方がサービス提供責任者を目指す場合は、「介護福祉士の取得」か「介護福祉士実務者研修過程の修了」のどちらかを選択しましょう。
出典
職業情報提供サイト(日本版O-NET)「訪問介護のサービス提供責任者」(2025年1月14日)
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サービス提供責任者に資格は必要!要件と取得方法、サ責の仕事内容を解説
サービス提供責任者の仕事内容とは?
サービス提供責任者の主な業務をまとめたので、確認してみましょう。
- 訪問介護計画の作成、実施
- ケアマネジャーとの情報共有
- ホームヘルパーの管理、教育
訪問介護計画を立てたら、計画どおりサービスを提供できるように手配します。ケアマネジャーと意見交換をしたり、ホームヘルパーの相談に乗ったりすることも、サービス提供責任者の役割です。
サービス提供責任者の仕事内容については、「サービス提供責任者(サ責)とはどんな職種?仕事内容や必要な資格、お給料」の記事もご覧ください。
サービス提供責任者の必須知識・スキルは?
ここでは、サービス提供責任者の必須知識をご紹介します。「サービス提供責任者になるには、どんなスキルを身につけておけばいいの?」と気になる方は、参考にしてください。
介護に関する専門的な知識・スキル
サービス提供責任者として働くには、介護に関する専門的な知識や、利用者さんと信頼関係を築くコミュニケーションのスキルが必要です。
利用者さんのアセスメントを行うスキル
利用者さんの生活のニーズに応じた訪問介護サービスを提供するためには、アセスメントのスキルが必要です。アセスメントとは、利用者さんに関する情報を集めて、生活の課題を分析すること。利用者さんや関係者から話を聞き、現状を把握して、適切な訪問介護計画書を作成します。
アセスメントのスキルは、ほかのサービス提供責任者の仕事から学んだり、経験を積んだりすることで、少しずつ身につくでしょう。アセスメントについては、「介護におけるアセスメントとは?アセスメントシートの書き方やマナーを解説」の記事にまとめています。
身体介護を安全に行うための知識や技術
利用者さんが安心して訪問介護サービスを利用するには、安全に配慮した介護が必要です。サービス提供責任者には、利用者さんの心身の状況や居住環境に合ったケアの方法を考えるスキルが求められます。
訪問介護計画書を作成するサービス提供責任者は、介護職員としての経験やノウハウ、研修で学んだ介護技術を活かせる仕事です。
認知症や障がいに関する知識
訪問介護計画書を作成するには、認知症の症状や障がいの特徴についての正しい知識をもつことが大切です。訪問介護を利用している方は、自身の病気や障がいに対して悩むこともあるので、精神面にも配慮してコミュニケーションを取る必要があります。
たとえ同じ病気の方であっても、悩みは人それぞれです。そのため、「利用者さんやご家族が何に困っていて、どのようなサービスを提供すれば解決するのか」をしっかりと考えて、個別にケアを行うことが重要になります。
病気が進行した際に、そのときの状況に合った身体的・精神的なケアを実施するためにも、認知症や障がいに関する知識は必須です。
自立支援の視点でケアを行う知識・スキル
自立支援の視点でケアを行うことは、利用者さんの生活の質の向上につながります。ホームヘルパーの管理を行うサービス提供責任者は、利用者さんの自宅での様子を把握しやすいのが特徴です。
たとえば、「退院直後はオムツを使っていたけどトイレに行けるようになった」「認知症が進行して1人で買い物に行くのが難しくなった」など、できることやできないことが増えたときは、ケアマネジャーに報告して必要なケアを話し合います。
適切な訪問介護サービスを手配して、利用者さんが自立した生活のできる環境を整えることは、サービス提供責任者の重要な役割です。サービス提供責任者には、自立支援の視点をもって、訪問介護計画を立案・実施するスキルが求められます。
自立支援については、「自立支援介護とは?高齢者に必要な4つの基本ケアと生活上の取り組みを解説!」の記事も参照してください。
利用者さんの気持ちに寄り添うスキル
円滑に訪問介護サービスを提供するためには、利用者さんと信頼関係を築くことが大切です。コミュニケーションの基本は、否定せずに相手の話を聞くこと。過度に褒めたり励ましたりするのは逆効果になる場合もあるので、利用者さんの気持ちを受け止めて、寄り添う姿勢でコミュニケーションを取るようにしましょう。
利用者さんとのコミュニケーションのコツを知りたい方は、「高齢者とのコミュニケーション方法!相手に寄り添う上手な会話のコツとは」の記事もチェックしてみてください。
介護事故の予防や対応を行うスキル
サービス提供責任者には、介護事故の予防や対応を行うスキルも必要となります。訪問介護サービスを提供するときに事故が起きないように、介護を行う環境を整えておくことが大切です。
万が一トラブルがあったときは、すぐにご家族やケアマネジャーに報告します。緊急時は救急に連絡を行うこともあるでしょう。サービス提供責任者は、トラブルの際にも、現場のホームヘルパーに冷静に指示を出す必要があります。
トラブルの際の対応は、マニュアルを見たり先輩に聞いたりして事前に確認しておくと、落ち着いて対応できるでしょう。困ったときは、上司に相談することも大事です。
介護事故の対応については、「介護事故を防ぐには?ありがちな事例と対処方法」で解説しています。
ホームヘルパーの指導・育成を行うスキル
サービス提供責任者として働くには、ホームヘルパーを指導するスキルも必要になります。訪問介護計画書に沿ってサービスを提供できるよう、ホームヘルパーを指導するのが、サービス提供責任者の役割です。
そのため、ホームヘルパーが新しい利用者さんを担当する際は、必ず同行訪問を行います。「オムツ交換がうまくできない」といった相談があれば、事業所に戻ってから研修を行うこともあるでしょう。
サービス提供責任者は、身体介護の技術だけではなく、利用者さんとのコミュニケーションの取り方や適切な距離感なども指導します。自分が習得するのに時間がかかった技術は、新人のホームヘルパーも難しいと感じる可能性が高いので、アドバイスできると良いでしょう。
また、1人の利用者さんに担当のホームヘルパーが複数いる場合、誰が訪問しても同じ品質のサービスを提供できるように、分かりやすい手順書を作成することも大切です。
スケジュール管理を行うスキル
サービス提供責任者には、ホームヘルパーのシフト管理を行う能力や、自分の業務を時間内に終わらせるスキルが必要です。
ホームヘルパーのシフト管理能力
サービス提供責任者は、ホームヘルパーのスケジュール管理をするスキルも必須です。利用者さんの希望する訪問時間と、スタッフの勤務時間を見て、シフトを調整します。ホームヘルパーの移動時間にも配慮するのが、訪問介護のシフトを作成する際のポイントです。
サービス提供責任者は、ホームヘルパーが急病で休んだときの調整や、ケアマネジャーから臨時の援助依頼が来たときの対応も行います。シフトの管理や調整は、ほかのサービス提供責任者と話し合って行う場合が多いでしょう。
複数の業務を調整しスケジュール内で完了させるスキル
サービス提供責任者は業務の範囲が広いので、複数の仕事を同時進行で行うこともあるでしょう。訪問介護業務を兼務する事業所もあります。ホームヘルパーやケアマネジャーからの相談に対応することの多いサービス提供責任者は、事務作業が予定どおり進まない日もあるかもしれません。
複数のタスクを管理するには、業務に緊急度と重要度で優先順位をつけることが大事です。また、基本的にほかの職種と連携して働くため、期限までに業務が終わるよう、関係者に相談しながらスケジュール管理を行うと良いでしょう。
利用者さんからのクレームに対応するスキル
利用者さんやご家族からのクレームに対応するのも、サービス提供責任者の仕事です。相手が怒っていたとしても、冷静に対処するスキルが必要となります。
理不尽なクレームがあったときは、ホームヘルパーが落ち込まないように配慮したり、直接クレームを受けないようにシフトを調整したりすることも大切です。
もしも、サービス提供責任者としてクレーム対応をしていて困ったことがあれば、すぐに上司に相談するようにしましょう。
多職種連携するコミュニケーション能力
ホームヘルパー、ケアマネジャー、医療職などと連携を取って介護を行うためには、コミュニケーション能力が必須です。サービス提供責任者は、訪問介護に携わる専門職として、ほかの職種の人と意見を交換します。
利用者さんがより良い生活を送るためのサポートをするには、多職種連携が欠かせません。意見が合わないときは、お互いの考えを尊重しながら話し合いを進めることが大切です。
事務処理や書類作成のスキル
サービス提供責任者は、訪問介護計画書の作成やシフト管理といった事務作業も行います。そのため、PCの基本操作のスキルが必要です。業務の管理に専用のソフトウェアを使用する場合は、聞きながら使い方を覚えて慣れていきましょう。
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サービス提供責任者がスキルアップするメリットは?
サービス提供責任者がスキルを身につけるメリットは、さまざまあります。以下で確認してみましょう。
- 利用者さんの生活の質の向上につながる
- 利用者さんやご家族と信頼関係を築ける
- ケアマネジャーとの連携がスムーズになる
- ホームヘルパーが安心して業務に取り組める
- キャリアアップを目指せる
介護の知識やコミュニケーション能力があれば、円滑にサービス提供責任者の業務を進められます。また、マネジメントのスキルを磨けば、訪問介護事業所の管理者やケアマネジャーを目指すことも可能です。
サービス提供責任者がスキル・知識を習得する方法は?
サービス提供責任者がスキルアップする方法をご紹介します。「必要なスキルを身につけるにはどうしたら良いの?」と疑問に思う方は、チェックしてみてください。
ほかのサービス提供責任者やホームヘルパーから学ぶ
仕事で困ったことがあるときは、先輩のサービス提供責任者の意見を聞いてみると良いでしょう。最初は、先輩のサービス担当者会議に同席したり、介護計画書の作成手順を教えてもらったりして知識を身につけます。
経験の長いホームヘルパーに相談することでも、視野が広がるでしょう。ホームヘルパーは、利用者さんとの距離が近く、生活の変化に気づきやすい存在といえます。サービス提供責任者はホームヘルパーを指導する立場ですが、同じ目標をもってケアをするチームの一員として意見を聞くことも大事です。
介護全般や訪問介護の研修を受ける
介護職員やサービス提供責任者向けの研修を受けて、スキルアップを図る方法もあります。訪問介護の事例を学べる研修なら、アセスメントに活かせるでしょう。また、介護技術や認知症に特化した講義を受ければ、自信をもってホームヘルパーを指導できるようになります。忙しくてあまり時間が取れない方には、オンラインの研修を探してみましょう。
医療・介護の専門知識を参考書で勉強する
仕事をしていて疑問に感じることがあれば、参考書で調べてみるのも良いでしょう。「難病の利用者さんに適切なケアを行いたい」「認知症の利用者さんが幻覚を訴えたときの対処法を知りたい」など、実際に直面している課題について調べると、知識を詰め込むだけにならず内容が頭に入りやすくなります。医療や介護についての正しい情報を得たいときは、参考書も活用しましょう。
介護に役立つ資格を取得する
福祉用具専門相談員や介護事務に関する資格などを取得すれば、より専門的な知識が身につき、サービス提供責任者の業務に活かせます。資格取得は事業所からの評価にもつながる場合が多く、専門的な資格には手当が支給される職場もあるでしょう。
介護に関する資格について詳しく知りたい方は、「介護資格の種類31選!取得方法やメリットを解説します」の記事もご覧ください。
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介護職のスキルアップに役立つ資格|取得方法や現場で活躍する方法も解説!
サービス提供責任者に必須の知識についてよくある質問
ここでは、サービス提供責任者に必須の知識についてよくある質問に回答します。「サービス提供責任者に必要なスキルを習得したい」という方はご覧ください。
サービス提供責任者におすすめの勉強方法は?
サービス提供責任者は、先輩に仕事を教わったり研修を受講したりして、必要なスキルを身につけます。ほかのサービス提供責任者が作成した訪問介護計画書を参考にするなど、働きながら学べることは多いでしょう。より専門的な知識を身につけたい場合は、セミナーへの参加や参考書を読むこともおすすめです。
スキルアップの方法は、「サービス提供責任者がスキル・知識を習得する方法は?」で解説しています。
サービス提供責任者に向いていないのはどんな人?
人と話すのが苦手な人や、指示を出すのが苦手な人は、サービス提供責任者に向いていないかもしれません。サービス提供責任者には、介護に関する知識を学ぶ意欲も必要です。一方で、利用者さんやご家族の気持ちに寄り添える人は、サービス提供責任者に向いている可能性が高いでしょう。
適性をチェックしたい方は、「サービス提供責任者に向いていない人・向いている人の特徴は?」の記事も参考にしてください。
まとめ
サービス提供責任者には、介護に関する専門的な知識が必要なので、「介護福祉士実務者研修」「介護福祉士」といった資格要件があります。サービス提供責任者の仕事内容は、訪問介護計画の作成やホームヘルパーの指導、ケアマネジャーとの情報共有などです。
サービス提供責任者には、アセスメントのスキルや自立支援の視点でケアを行う知識が必須。多職種連携するためのコミュニケーション能力も求められます。先輩のサービス提供責任者やホームヘルパーから学ぶことで、知識・スキルが身につくでしょう。また、介護関係の研修を受けたり、参考書を読んだりして勉強する方法もあります。
「サービス提供責任者になりたい」という方はレバウェル介護(旧 きらケア)にご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界専門の転職エージェントです。サービス提供責任者が複数在籍している事業所や、経験豊富な管理者がいる事業所など、未経験の方も安心して働ける職場をお探しします。「自分がサ責に向いているか知りたい」「今後のキャリアを考えたい」と転職するか迷っている方の相談も可能です。サービスは無料なので、「サ責になりたい」という方や、「サ責として働いていて悩みがある」いう方は、気軽にご利用ください。
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