
この記事のまとめ
- 介護福祉士国家試験の勉強方法は「独学」「通信講座」「通学」の3つ
- 過去問や模擬試験を受けて問題に慣れると、効率良く勉強できる
- 自分に合う勉強方法を見つけることで、介護福祉士国家試験の合格に近づける
「介護福祉士国家試験を受験予定だけど、勉強方法が分からない…」という方もいるかもしれません。介護福祉士国家試験の勉強方法として、「独学」「通信講座」「通学」の3つが挙げられます。本記事では、それぞれの勉強方法のメリット・デメリットをご紹介。効率的な勉強方法や覚えるコツ、勉強時間の目安も解説します。介護福祉士国家試験を受験予定の方は、ぜひご覧ください。
介護福祉士とは?仕事内容や資格の取得方法、試験概要をわかりやすく解説!介護福祉士国家試験とは
介護福祉士国家試験は、介護の国家資格である「介護福祉士」を取得するための試験です。毎年1月~3月ごろ実施される介護福祉士国家試験に合格し、資格登録をすることで、介護福祉士になれます。
介護福祉士国家試験の受験資格を得るための方法は、主に3つあります。1つ目は介護現場で3年以上働いて介護福祉士実務者研修を修了する「実務経験ルート」です。2つ目は福祉系の専門学校などを卒業する「養成施設ルート」。3つ目は高校の福祉コースなどを卒業する「福祉系高校ルート」です。
厚生労働省の「第36回介護福祉士国家試験合格発表(参考資料)(p.2)」によると、全国の受験者数は毎年7万人~9万人前後で、およそ9割の方が実務経験ルートで受験資格を得ています。
出典
厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験合格発表」(2025年1月28日)
2026年介護福祉士国家試験の日程
介護福祉士国家試験は、例年同じ時期に開催されます。2026年(第38回)介護福祉国家試験の日程は、以下のとおりです。
日程 | |
受験申し込み受付期間 | 2026年8月上旬~9月上旬 |
筆記試験 | 2026年1月下旬 |
実技試験 | 2026年3月上旬 |
参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]試験概要」
2026年(第38回)介護福祉士国家試験の受験申し込みに関する詳細は、2025年7月上旬ごろに発表される予定です。受験予定の方は、申し込み受付期間に注意しましょう。
出典
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]試験概要」(2025年1月28日)
介護福祉士国家試験の筆記試験の科目
介護福祉士の筆記試験は、11科目群に分かれています。下記の科目群から125問出題されます。
- 人間の尊厳と自立、介護の基本
- 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
- 社会の理解
- 生活支援技術
- 介護過程
- こころとからだのしくみ
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- 医療的ケア
- 総合問題
介護福祉士国家試験では、介護職員が多職種と連携してケアをするための知識を問われます。専門的な科目ですが、介護福祉士実務者研修や養成施設などで学ぶ内容がメインなので、テキストを活用して勉強できるでしょう。
出典
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]合格基準」(2025年1月28日)
介護福祉士の資格取得の難易度
「介護福祉士国家資格を取得するのって、難しそう…」と不安に思う方もいるかもしれません。ここでは、介護福祉士の受験資格や、国家試験の合格基準・合格率を解説します。
介護福祉士の受験資格を得る方法
介護福祉士国家試験の受験資格を得るには、「養成施設ルート」で最短2年、「実務経験ルート」で働きながら目指す場合は最短3年かかります。どちらの場合も、実技試験は免除されるため、筆記試験のみの受験です。
介護福祉士国家試験は、受験資格を得るまでに一定の時間がかかるので、資格取得が大変と感じる方もいるでしょう。しかし、実務経験ルートでは、学歴を問わず取得を目指せるので、受験のハードルが低いと感じる場合もあります。
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介護福祉士の受験資格を得るルートを解説!必要な実務経験や試験概要は?
介護福祉士国家試験の合格基準
介護福祉士国家試験の筆記試験に合格するには、「全体の約60%程度得点すること(問題の難易度よって合格点を補正)」と「11科目群すべてで得点すること」が必要です。1つでも得点していない科目があると合格できないので、注意しましょう。配点は、1問1点の125点満点です。
出典
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]合格基準」(2025年1月28日)
介護福祉士国家試験の合格率
介護福祉国家試験の筆記試験は出題範囲が広いため、「難しい」と感じる方もいるかもしれません。
厚生労働省の「介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」によると介護福祉士国家試験の合格率は例年70~80%前後となっており、比較的高めの数値です。そのため、勉強時間をしっかりと確保し、国家試験に向けて対策を行えば、十分に資格取得を目指せるでしょう。
出典
厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験合格発表」(2025年1月28日)
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介護福祉士国家試験の勉強方法は3パターン
介護福祉士国家試験の勉強方法は、「独学」「通信講座」「通学(スクール)」の3パターンに分けられます。それぞれ、メリットとデメリットがあるので、自分に合った勉強方法を選ぶことが大切です。
独学で学ぶ
独学の場合、自分で問題集やテキストを購入したり、過去問を解いたりして勉強を進めます。学習のペースを自分で決める独学は、自身で計画を立てたい方に向いている勉強方法です。
独学のメリット
独学のメリットは、ほかの勉強方法よりも費用が抑えられることです。問題集や参考書にしか費用がかからないため、お金をかけたくない方に合った勉強方法といえます。また、「毎日少しずつ勉強する」「試験前に学習時間を増やす」など、自身のペースで受験勉強を進めることも可能です。
独学のデメリット
独学のデメリットは、教えてくれる人や一緒に勉強する人を見つけにくいことです。勉強する順番や使用する問題集も完全に自分で決めるので、「これで合っているのかな?」と不安になる方もいるでしょう。また、学習のスケジュールや期間も決められていないため、自分でモチベーションを保つ必要があります。
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通信講座を利用して勉強する
通信講座は、資格スクールが用意した教材やカリキュラムを利用する勉強方法です。テキストで学習したりオンライン授業を受けたりして学習を進めます。
通信講座で勉強するメリット
通信講座で勉強するメリットは、スケジュールの自由度が高いことです。基本的に、通信講座は、決められた期間内であれば自分で学習計画を立てられます。カリキュラムや教材も理解しやすい順番で用意されているため、スムーズに学習できるでしょう。
通信講座で勉強するデメリット
通信講座で勉強するデメリットは、独学と同様に、自身のモチベーションを維持する必要があることです。通信講座はスケジュールの自由度が高い分、自分が休みたいときに休めてしまいます。仕事で疲れていると、なかなか勉強する気になれないことも。「1人での学習はやる気が出ない…」「自宅で勉強すると気が散りやすい」という方は、通学したり図書館で勉強したりすると良いかもしれません。
資格スクールに通学する
介護福祉士の試験対策として、資格スクールが運営している受験対策講座に通う勉強方法を選ぶこともできます。通学は、勉強する場所や時間があらかじめ決まっているのが特徴です。基本的には集団での指導になるので、ほかの受講生と関わる機会もあるでしょう。
資格スクールに通うメリット
資格スクールに通うメリットは、緊張感を持って受験勉強ができることです。スクールには、自分と同じように介護福祉士国家試験に向けて勉強している人たちが通っています。モチベーションが下がってしまったときも、ほかの受講生が頑張る姿を見ることで、良い刺激をもらえるでしょう。また、分からないことや不安なことがあるとき、すぐに講師に相談できるのも、メリットの一つです。
資格スクールに通うデメリット
資格スクールに通うデメリットは、時間の融通が効きにくいことや、費用が高めになることです。資格スクールでは、講座の開催時間や場所が決まっているため、自分の都合で勉強の日程を変更することができません。これは、「自分のペースで勉強したい」という方にとっては、デメリットといえるでしょう。また、資格スクールで勉強する場合、講師に教えてもらうため、通信講座や独学での学習よりも費用が高くなる傾向があります。
介護福祉士国家試験に効率良く対策する勉強方法
ここでは、介護福祉士国家試験に効率良く対策するための勉強方法をご紹介します。「働きながらの受験勉強は大変そう…」「効率良く時間を使いたい!」という方は、ぜひご覧ください。
過去問を解いて試験の傾向をつかむ
介護福祉士国家試験の受験勉強を始めたら、まずは過去問を解いてみてください。過去問を解き、出題傾向や解答する感覚をつかめば、今後の勉強方法や対策を練ることができます。効率を重視して勉強したい方は、まず試験問題に慣れることから始めましょう。
最初は誤答が多くても、間違えた問題の解説を読むことで、徐々に正答率を上げられるでしょう。ただし、解説を読んでも理解できないときは、いつまでも間違えた問題にこだわらず、最後までやりきることも必要です。
なお、介護福祉士国家試験の過去問は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターの「[介護福祉士国家試験]過去の試験問題」から確認できます。
出典
公益財団法人社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]過去の試験問題」(2025年1月28日)
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介護福祉士国家試験は過去問だけで受かる?試験対策のポイントを解説
最新の問題集や参考書を活用する
介護福祉士国家試験の勉強をする際は、問題集や参考書を活用しましょう。しかし、いくつも同時並行すると逆に効率が悪くなってしまうため、使いやすいものを厳選することが大切です。
参考書選びの際は、どのような環境で使用するものか、情報量に過不足はないかといった点をチェックします。たとえば、通勤電車で読むなら、ポケットサイズのものや解答を隠す赤シート付きのものが良いでしょう。内容に関しても、科目ごとにまとめられているものだと使いやすいといえます。なお、古いテキストは制度変更などに対応していない可能性があるため、問題集や参考書は最新版のものを使いましょう。
テキスト選びについては、「介護福祉士の試験対策におすすめのテキストとは?選ぶコツや学習方法を紹介」でご紹介していますので、気になる方はチェックしてみてください。
模擬試験を受けて本番をイメージする
介護福祉士国家試験の本番を迎える前に、模擬試験を受けてみましょう。模擬試験を受けると、本番のイメージがしやすくなります。試験会場で制限時間内にテストを受ける経験をしておくことで、過度に緊張せず本番に臨めるでしょう。
また、模擬試験を受ければ、今の自分のレベルや得意分野・苦手分野を知ることができます。より合格に近づくために、一度は模擬試験を受けてみると良いでしょう。
得意科目の点数を伸ばす
得意科目の点数を伸ばせると、効率良く合格に近づくことができます。前述のとおり、筆記試験の合格基準は、「全体の60%程度を得点する」ことと「全科目群で得点する」ことです。合格するためには苦手分野の勉強もある程度は必要ですが、得意分野を重点的に勉強することで、総得点を伸ばしやすくなるでしょう。
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介護福祉士国家試験の勉強時間の目安
介護福祉士国家試験の対策は、試験の6ヶ月~3ヶ月前くらいから始め、1日当たり毎日1時間~2時間程度勉強するという方が少なくないようです。早めに受験勉強を始めれば、余裕を持って学習を進められます。「2ヶ月で参考書を読む」「1ヶ月で過去問を解く」「最後の1ヶ月で問題集を解く」など、試験日から逆算して、1日の勉強時間を決めるのも良いでしょう。
自分が一番続けやすい時間配分と勉強方法を見つけるのが、合格への近道です。
介護福祉国家試験の勉強のコツ
介護福祉士国家試験に合格するためには、要点を押さえて勉強を進めると良いでしょう。ここでは、介護福祉士国家試験に合格するための勉強のコツをご紹介します。
自分に合った勉強法を見つける
自分に合った勉強方法を見つけることが、試験合格への近道になります。前述のとおり、勉強方法は、大きく分けて「独学」「通信講座」「通学」の3つです。それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、自分に合ったスタイルを選びましょう。
自分に合った勉強方法を選ぶポイントは、使える費用や学習時間、受験について不安な点などを明確にすること。特に、仕事をしながら資格取得を目指す方は、心身の疲れが溜まらない勉強方法を見つけることが大切です。
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計画的に勉強時間を確保する
計画的に勉強時間を確保することで、スムーズに学習を進められます。毎日少しずつ勉強する人もいれば、休みの日にまとめて勉強する人もいるでしょう。自分に合ったスタイルが見つかれば、長期間の受験勉強もつらくなりづらいといえます。
何度も繰り返し解く
問題集が最後まで終わったら、もう1度最初から解いて、間違えたら解説を読む、を繰り返します。2周目は1周目よりしっかり解説を理解できるように努め、3周目は間違えた問題を中心に解いてみましょう。
何度も間違えてしまう問題は、解説を声に出してみたり参考書を読んだりして、正解できるまで復習し、知識を定着させることが大切です。
介護福祉士に合格するためには体調管理も重要
介護福祉士国家試験に合格するには、受験勉強をしながら体調管理も行うことが重要です。働きながら勉強する方は、忙しさから体調を崩しやすくなることもあるでしょう。また、筆記試験が実施される1月は、風邪やインフルエンザなどが流行する時期です。本番で実力を発揮するためには、休む時間を大切にすることや、感染症対策を行うことなども必要になります。
介護福祉士の勉強方法についてよくある質問
ここでは、介護福祉士国家試験の勉強方法について、よくある質問に回答します。介護福祉士国家試験を受験する予定の方は、ぜひご覧ください。
介護福祉士の勉強をしているけど覚えられないです…
介護福祉士国家試験の試験対策のコツは、自分に合った方法で勉強することです。勉強方法は、主に「独学」「通信講座」「通学」の3つに分けられます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分に合った勉強方法を採用しましょう。また、毎日少しずつ勉強するのか、休日にまとめて勉強するのかなど、無理のない勉強計画を立てるのがコツです。
介護福祉士試験の勉強にお悩みの方は、「介護福祉士国家試験の内容が覚えられないときの勉強方法を解説!」の記事も参考にしてください。
介護福祉士の勉強にはノートを使った方が良いの?
介護福祉士国家試験は、人によって合う勉強方法が異なります。そのため、ノートを使って勉強した方が良いとは限りません。しかし、ノートに要点をまとめることで、見直しやすくなったり、記憶に定着しやすくなったりするというメリットがあります。あくまで勉強方法の1つとして、ノートを使った学習を選択肢に入れると良いでしょう。
介護福祉士国家試験の勉強方法は、「介護福祉士試験の勉強にノートは有効?試験対策の方法を解説」でもご紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
介護福祉国家試験の勉強は無料アプリでもできますか?
介護福祉国家試験の対策用の無料アプリを使えば、効率良く勉強できるでしょう。スマホさえあればどこでも勉強できるので、電車通勤や家事の合間といったスキマ時間を有効活用できます。ただし、アプリでの学習だけで介護福祉国家試験に合格するのは、難しいかもしれません。過去問やテキストで勉強したうえで、空いた時間をアプリでの学習に充てると良いでしょう。
介護福祉国家試験対策におすすめのアプリは、「介護福祉士アプリのおすすめ2選!活用するメリットと勉強方法のポイント」でご紹介しています。
まとめ
介護福祉士国家試験は、介護系で唯一の国家資格である「介護福祉士」を取得するために受ける試験です。主な勉強方法として、「独学」「通信講座」「通学」があります。それぞれの勉強方法にメリット・デメリットがあるので、自分に合った勉強方法を選ぶことが重要です。
過去問や模擬試験で対策することで、試験の傾向をつかむことができます。難しいと感じる問題は解説を見て復習し、知識を定着させましょう。受験勉強は、3~6ヶ月前から始める人が多く、勉強時間の目安は1日あたり1~2時間程度です。合格するには、自分に合った勉強計画を立てることがポイントになります。
「働きながら介護福祉士を取得したい」という方は、「レバウェル介護(旧 きらケア)」にご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界に特化した転職エージェントです。仕事と資格取得を両立させたい方には、資格取得支援制度がある職場や、シフトの相談がしやすい職場をご紹介することもできます。介護福祉士取得までや取得後のキャリアの相談も歓迎です。サービスは無料なので、「今より働きやすい職場はある?」「介護業界でキャリアアップできる?」と気になる方は、ぜひご相談ください。
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