
この記事のまとめ
- ケースワーカーの仕事は、担当件数が多いと残業が増える傾向にある
- ケースワーカーは、担当世帯への家庭訪問に時間がかかり残業することがある
- ケースワーカーからの転職におすすめの職種は、介護職員や生活相談員
「ケースワーカーの仕事って残業が多いの?」と不安な方もいるかもしれません。ケースワーカーは業務量が多い傾向にあり、なかには「残業をしなければ仕事が回らない…」という方もいるようです。この記事では、ケースワーカーに残業が発生する理由や対処法を解説します。転職を考えている方におすすめの職種も紹介するので、ぜひご一読ください。
ケースワーカーの仕事は残業が多いの?
「ケースワーカーは公務員だから定時で帰れるんじゃないの?」と思う方もいるかも知れませんが、ケースワーカーも仕事が残っていれば残業することがあるでしょう。福祉事務所の窓口対応時間は、午前8時30分ごろ〜午後5時15分までですが、ケースワーカーはその後も事務作業などを行う場合があります。
総務省の「令和5年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果(p.29)」によると、地方公務員の年間の平均残業時間は141.1時間、12ヶ月で割って換算した月の平均残業時間は、11.8時間です。ケースワーカーなど地方公務員の残業は特別多くはないですが、月45時間以上残業している職員が5%弱いることを考えると、職場によって残業時間は異なるといえます。
また、厚生労働省の「支援を担う体制づくり及び人材育成等について(p.16)」によると、2021年年4月時点のケースワーカー1人あたりの平均担当件数は、85.4世帯でした。社会福祉法では、ケースワーカーの標準の人員配置は65~80世帯に1人と定められていますが、実態は基準より多い場合があります。担当件数が多いと、残業も多くなってしまう可能性があるでしょう。
出典
総務省「令和5年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要」(2023年1月18日)
厚生労働省「第22回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)」(2023年1月18日)
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ケースワーカーが残業する理由
ケースワーカーが残業する理由は、仕事量が多いからと考えられます。ケースワーカーに対して、生活保護受給者の方の人数が多く、職員一人ひとりの負担が大きくなっていることもあるようです。
以下で、ケースワーカーの業務時間を圧迫してしまう仕事内容を解説しているので、ぜひご覧ください。
窓口対応
ケースワーカーは、電話や窓口で生活保護受給者の方の悩みや相談に対応します。窓口対応に時間が取られ、思うように仕事を進められないことがあるようです。生活保護の受給に関係のない雑談や愚痴を長い間話し続ける方がいると、ケースワーカーが長時間拘束されてしまいます。また、受給額に不満がある方などのクレーム対応などにより、業務時間が圧迫されることもあるのかもしれません。
窓口対応は自身のタイミングで行えるものではないので、「仕事のスケジュールの見通しが立たない…」と感じる方もいるでしょう。
事務作業
ケースワーカーは、生活保護の申請や調査書の記入、面接の記録などさまざまな事務作業を行います。受給者の方から書類を受け取って処理をする際、担当件数が多いほど、事務作業の量も多くなります。業務時間中に事務作業が終わらないことで、残業になってしまう場合もあるようです。
担当している世帯への家庭訪問
ケースワーカーは、担当している世帯の家庭訪問をして生活状況を把握しなければなりません。家庭訪問は、各世帯で年に2回ほど行います。そのため、担当件数が多いほど、家庭訪問にかかる業務時間が増えてしまうようです。たとえば、100世帯を担当しているケースワーカーは、年間で200回家庭訪問をしていることになります。
家庭訪問は、移動時間も含めると数分で終わる仕事ではありません。家庭訪問をしている間は、ほかの仕事が進められないので、担当件数が多いと残業が発生してしまうことがあるようです。
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「残業が多くて疲れた…」そんなときは?
ここでは、残業が多くて疲れてしまったときの対処法を解説します。残業にお悩みのケースワーカーの方は、ぜひチェックしてみてください。
上司に業務の進め方について相談する
残業が多いと感じる場合、上司に業務の進め方について相談してアドバイスをもらいましょう。仕事の進め方を工夫して作業効率を上げることで、残業を減らせるかもしれません。また、上司に相談することで、仕事量を調整してもらえる可能性もあります。
異動届を出す
異動届を出して、別の部署で働くという方法もあります。ケースワーカーは、公務員として別の部署に異動すれば仕事内容が変わり、残業がなくなる可能性があるでしょう。「ケースワーカーの仕事は残業が多過ぎてつらい…」という方も、すぐに公務員を辞める必要はありません。
休日にリフレッシュする
休日にはリフレッシュして、残業の疲れを取ることも大切です。休暇中は仕事のことを忘れて、身体を休めたり趣味を楽しんだりしましょう。残業の疲労を癒すために、しっかりと睡眠を取り、お風呂で温まって心身ともにリラックスするのもおすすめです。
別の職種に転職する
「残業が多過ぎて体を壊しそう」「異動届を受け入れてもらえない」という方は、別の職種に転職するのも一つの解決方法です。ケースワーカーは人の役に立てるやりがいのある仕事ですが、あなたが体調を崩してしまっては意味がありません。自分の生活を第一に働くようにしましょう。
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ケースワーカーを辞めたい人におすすめの職種と求人
福祉系の職種はケースワーカーとしての経験を活かせるので、転職をする際におすすめです。以下で詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
介護職員
介護職員は、無資格・未経験からでも始められる仕事です。介護サービス事業所を利用する高齢者の身の回りのお世話をします。超高齢社会の日本では、今後も介護職の需要が期待できるので、安定して働ける職種といえるでしょう。
介護職員は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、ショートステイ、グループホーム、デイサービス、訪問介護事業所など、さまざまな場所で活躍しています。利用者さんの介護度や仕事内容が施設によって異なるので、自分に合った職場を探しやすいでしょう。
社会福祉士
社会福祉士は、高齢者や障がいのある方、児童やその親、経済的な支援が必要な方などの相談業務を行う仕事です。
社会福祉士は資格名であると同時に、社会福祉士の資格を保有する人を指す言葉でもあります。特定の職種を示す名称ではありませんが、「社会福祉士」と検索することで、対象の求人をチェック可能です。ソーシャルワーカーと呼ばれることもあり、ケースワーカーなどとして地方公共団体で働く以外に、介護施設や病院、児童福祉施設、障害者支援施設などでも活躍しています。
社会福祉士になるには、社会福祉士国家試験に合格して資格を取得しなければなりません。社会福祉士国家試験に挑戦するには、「福祉系大学ルート」「短期養成施設ルート」「一般養成施設ルート」いずれかで受験資格を満たす必要があります。実務経験を求められる場合もあり、ケースワーカーとしての経験を活かして取得できる可能性があるでしょう。
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生活相談員
生活相談員は、介護サービス事業所で、利用者さんの相談業務や入退所手続き、関連機関との連絡・調整などを行う仕事です。生活相談員も社会福祉士と同様にソーシャルワーカーと呼ばれることがあります。
生活相談員になるには、「社会福祉士」「精神保健福祉士」「社会福祉主事任用資格」いずれかの資格を取得するか、各自治体の定める条件を満たさなければなりません。ケースワーカーは、社会福祉主事任用資格をすでに取得しているので、いつでも挑戦できる職種です。
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ケースワーカーに関するよくある質問
ここでは、ケースワーカーに関するよくある質問に回答します。ケースワーカーの仕事に興味がある方は、ぜひご一読ください。
ケースワーカーの仕事って激務なの?
ケースワーカーは、生活保護受給者の方の相談対応や生活保護受給のための調査・手続き、定期訪問、事務作業など幅広い仕事を担当します。「自分のペースで仕事ができるから楽」と感じる人もいれば、「仕事が終わらない…」と感じる人もいて、感じ方は人それぞれです。慣れるまでは大変に感じるかもしれませんが、働きながら経験を積み、公務員として成長できる魅力もあります。
ケースワーカーの平均年収はいくらなの?
総務省の「令和4年地方公務員給与の実態(p.253)」によると、ケースワーカーを含む地方公務員の福祉職の平均給与(月収)は、34万2,049円でした。12ヶ月分として計算したケースワーカーの平均年収は、およそ410万円です。
地方公務員の一般職の平均給与は、40万6,228円で、平均年収として計算すると約487万円となります。地方公務員の一般職のなかでは、福祉職の年収は低い傾向があるようです。しかし、公務員は年功序列式に給与が上がっていく場合が多いので、勤続年数を重ねることで給与アップが期待できるでしょう。なお、ご紹介した給与額は平均なので、あくまで参考としてご覧ください。
勤続年数による昇給に関しては、「ケースワーカーは公務員?仕事内容や必要な資格、働くメリットも解説!」で解説しているので、こちらもあわせてご覧ください。
出典
総務省「令和4年地方公務員給与の実態」(2025年1月17日)
まとめ
ケースワーカーは人手が足りず、一人ひとりの担当件数が多くなると、残業が発生することがあるようです。窓口対応で時間を取られたり、事務作業に時間がかかったりして残業になることも考えられます。また、ケースワーカーは受給者の自宅を訪問して生活状況を把握する必要があり、担当件数が多いほど家庭訪問にかかる時間が増え、ほかの仕事が終わらなくなってしまうようです。
しかし、福祉事務所やケースワーカーによっては、残業をあまりしないという人もいるので、必ずしも残業をする仕事ではないことを留意しておきましょう。
「残業ばかりで疲れた…」という方は、上司に相談して業務効率を向上させたり、異動届を出したりしてみると良いかもしれません。ほかにも、休日にリフレッシュして残業の疲れを取る方法も効果的です。「ぜんぜん異動できないし、もう残業をするのがしんどい…」という方は、転職を検討する選択肢もあります。
ケースワーカーからの転職におすすめの職種は、「介護職員」「生活相談員」など。相談業務や人を支援する仕事なので、ケースワーカーの経験を活かして即戦力として活躍できるでしょう。
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