
この記事のまとめ
- デイサービスのレクリエーションは、認知機能や身体機能の向上につながる
- デイサービスのレクリエーションには、体や頭、指先を動かすものなどがある
- レクリエーションを盛り上げるコツは、場を和ませること
デイサービスでのレクリエーションに苦手意識を持っていたり、何を企画すれば良いか悩んだりしている方もいるのではないでしょうか?レクリエーションを企画する際は、目的を意識しながら利用者さんに楽しんでもらえるよう工夫をすることが大切です。この記事では、デイサービスのレクリエーションの目的や種類を紹介します。レクリエーションのネタが足りなくてお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
デイサービスとは簡単にいうとどんな施設?通所介護の種類や費用を解説!デイサービスのレクリエーションとは?
デイサービスで実施するレクリエーションは、娯楽や身体機能・認知機能の向上を目的として行う活動のことです。体操やゲーム、創作活動といった種類があり、集団で行うことが多い傾向があります。レクリエーションは、利用者さんの充実した生活を支えるうえでも重要です。
レクリエーションの目的
レクリエーションの主な目的は、認知機能や身体機能の維持・向上を図ることです。体や手先を動かすことで、運動不足が解消されたり脳が刺激されたりして、介護予防につながります。心身ともにリフレッシュできるので、気分転換にもなるでしょう。
また、利用者さんが生きがいや楽しみを見つけられるよう手助けをするのも、レクリエーションの役割の一つです。仲間や職員と触れ合うことで、会話が増えて日々の生活が充実するでしょう。
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レクリエーションで向上する機能やメリット
レクリエーションを行うことで、脳の活性化や生活の質向上が期待できます。以下では、レクリエーションによって向上する機能や実施するメリットをまとめました。
脳が活性化される
レクリエーションでは手先や体全体を使います。また、頭で考えたり言葉を発したりすることもあるでしょう。レクリエーションでの動作は、普段は使わない脳の部位を刺激するため、認知症の予防や症状の進行を遅らせることが期待できます。
身体機能が向上する
デイサービスでは、機能訓練以外にも、レクリエーションで行うゲームや体操により、身体機能の向上を図ることも可能です。高齢者は、筋力や体力が衰えるとともに、運動量が減ってしまう場合があります。レクリエーションを通じてバランス良く体を動かすことで、身体機能が向上すれば、健康維持にもつながるでしょう。
仲間や職員とのコミュニケーションが活発になる
デイサービスのレクリエーションでは、介護職員との会話や利用者さん同士のコミュニケーションが増えることも期待できます。人と触れ合うことで気持ちが明るくなれば、気分が生き生きとするでしょう。人と関わりながら楽しく過ごす時間を、生きがいと捉える方も多いはずです。
生活の質(QOL)が向上する
コミュニケーション機会の増加や脳の活性化、身体機能の向上によって、生きがいや張り合いが生まれると、目標のある豊かな生活を送れるようになるでしょう。また、利用者さんのストレスが解消されて感情が安定することで、ご家族の介護負担が軽減される可能性もあります。
デイサービスで行う人気のレクリエーションの種類
ここでは、体を使うものや頭を使うものなど、具体的なレクリエーションの種類を紹介します。デイサービスにおけるレクリエーションの企画に困った際は、参考にしてみてください。
体を動かすレクリエーション
身体を使ったゲームや体操を行います。体を動かすレクリエーションは、内容によっては道具がなくても実施できるでしょう。
リズム体操
音楽に合わせながら体を楽しく動かすのが、リズム体操です。介護職員が見本になり、動きを見せながら行います。軽いストレッチのような動きや、体の一部だけ動かすもの、座りながら行えるものなど、内容はさまざまです。
紙コップボールシュート
段ボール箱の中に紙コップを並べ、チームごとに色分けします。チームの色のボールを投げ入れて、より多く入ったチームが勝ちというゲームです。
バトンリレーゲーム
チームを作り、縦になって先頭の人からバトンを渡し、早くバトンがつながったほうが勝ちというゲームです。バトンは棒状のものではなくても、リング型のものや丸めた新聞紙でも代用できます。
頭を使うレクリエーション
なぞなぞやパズルは、体を動かすのが難しい利用者さんも楽しめるレクリエーションです。一人で行うものやチームで行うものがあるので、楽しみ方が増えるよう工夫してみましょう。
脳トレ・クイズ
脳トレやクイズには、イラストを使った間違い探し、なぞなぞ、漢字問題、計算問題などがあります。難しい問題ではなく、簡単かつ短時間で行えるものがおすすめです。一人で取り組む脳トレの場合、利用者さんの好みや得意分野などに合わせて選ぶのも良いでしょう。
逆文字ゲーム
用紙やカードに上下・左右を逆にした文字を書き、利用者さんが単語を当てるゲームです。反対文字ゲームや鏡文字ゲームとも呼ばれ、個人戦でもチーム戦でも行えます。
頭文字さがし
50音が記載されたカードを1枚引いて、そのカードの文字から始まる言葉を書き出します。一番多く言葉を書き出したチームが勝ちです。
しりとり
しりとりを工夫すると、チームで分かれて行い、長く続いたほうが勝ちとする対戦形式にもできます。また、単語の頭文字をとり、次の単語の最後の文字に当てはめる「あたまとり」も、少し難易度が高くおすすめです。
指先を動かすレクリエーション
指先を動かすレクリエーションは、座りながら行えるのが特徴です。体全体を動かすのが難しい利用者さんも、安全に参加できます。
折り紙
折り紙は、定番の鶴や動物から季節に関連したものまで、さまざまなものが作れる楽しいレクリエーションです。作品は施設内に飾ることもできます。
お手玉
ただお手玉をするだけではなく、隣の人とお手玉をキャッチし合う遊び方もあります。また、「高く積み上げる」「床に置いた的に向かって投げる」といったゲームなど、お手玉の使い方は多様です。
お菓子づくり
和菓子や洋菓子、季節のおやつなどを作ります。作ったものは、午後のおやつにすると良いでしょう。おいしくできたら仲間との会話も弾むはずです。
口腔機能を高めるレクリエーション
口腔機能を維持・向上させるレクリエーションは、食事前に行うと効果的。デイサービスでは、利用者さんとコミュニケーションを取りながら楽しく行うことが大切です。
ストローで福笑い
紙に顔の輪郭を描き、厚紙で目、鼻、口などのパーツを描いて切り抜いておきます。好きなパーツをストローで吸って動かし、顔の上に置くというレクリエーションです。
巻き笛
吹き戻しする巻き笛は、音も出して楽しみながら行えるでしょう。口の周りが鍛えられ、誤嚥予防にもつながります。
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デイサービスのレクリエーションを実施する流れ
デイサービスでレクリエーションを行う際は、参加する利用者さんを調べてから、実施する会場の配置を考えたり、必要なグッズを準備したりしましょう。
参加する利用者さんを調べる
参加する利用者さんの人数や個々の身体状態、好きなこと、苦手なことなどを調べましょう。事前にしっかり把握しておくことで、参加者が安心して楽しく行えるレクリエーションを企画・実施できるはずです。
会場や職員の配置を考える
参加する利用者さんの情報を集めたら、レクリエーションを実施する会場の配置を考えます。どのくらいのスペースを使うかが決まったら、テーブルやイスの位置を考えましょう。また、レクリエーションに携わる職員の人数や役割もまとめます。あらかじめ考えておくことで、スムーズに実施できるでしょう。
使用する道具を準備する
紙コップやお手玉、画用紙など、レクリエーションで使用する道具を用意します。その際、正常に動くか、壊れていないかなどもチェックすることが大切です。そろえた道具は丁寧に保管し、どこに何があるか分かるよう施設で管理しましょう。
デイサービスのレクリエーションを盛り上げるコツ
デイサービスのレクリエーションを利用者さんに楽しんでもらうためには、以下のコツを押さえておきましょう。
- 先に場の空気を和ませる
- 利用者さんを褒める
- コミュニケーションが取れるような内容にする
レクリエーションを始める前は、明るい挨拶や楽しい簡潔な話で場を和ませましょう。初めてレクリエーションに参加する方は、緊張していることもあるので、気軽に参加できるような雰囲気を作ることが大切です。
また、レクリエーション中は自然に褒めるよう意識すると、利用者さんの意欲が上がるでしょう。職員から積極的に声をかけて、利用者さん同士の会話が弾むようサポートすることで、全員が楽しめて活気のある雰囲気になります。
デイサービスのレクリエーションを行う際の注意点
デイサービスでレクリエーションを実施するときは、ケガや事故が起きないよう、安全面に十分に配慮することが重要です。以下で、レクリエーションを行うときの注意点を紹介しているので、チェックしてみてください。
無理はさせない
デイサービスのレクリエーションは基本的に自由参加のイベントのため、強制することは避けるべきです。参加する利用者さんに対しても、体調や気分に応じて適宜休憩を入れ、途中で辞めることもOKにするなど、無理なく参加できるよう工夫しましょう。レクリエーションを楽しい時間にするには、利用者さんの表情や動きを十分に把握しながら進めることが重要です。
安全な環境を整える
利用者さんがレクリエーションで転倒したりぶつかったりしてケガをしないよう、細心の注意を払います。安全に行える場所やスペースを確保し、危険な動きがないか、念入りに見守りながら実施しましょう。ケガを防ぐためには、使用する道具が重過ぎないか、尖っていないかなどを前もって確認することも重要です。
利用者さんの意思を大切にする
デイサービスのレクリエーションは、利用者さんの意思を尊重して行うことが大切です。楽しいレクリエーションを行うときも、くだけ過ぎた話し方やなれなれしい態度は避けましょう。「利用者さんと職員」の関係性であることを常に意識して、一人ひとりの気持ちを大事にしながら接することが、レクリエーションにおけるマナーです。
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レクリエーションに悩む介護職はどうすれば良い?
デイサービスでは基本的に毎日レクリエーションがあり、企画する職員のなかには「ネタが出てこない」「利用者さんが喜んでくれない」など、悩む方もいるかもしれません。もしも、レクリエーションに対する苦手意識が強い場合は、レクリエーション業務の負担が比較的少ない施設に転職する選択肢もあります。
複数名でレクリエーションを担当できる施設に転職する
「一人でレクリエーションを考えるのが難しい」と感じる方は、複数の職員でレクリエーションを担当できる施設に転職するのも選択肢の一つです。数名で企画・実行をすることで、協力し合いながらスムーズにレクリエーションを行えるでしょう。当日も、緊張や焦りを必要以上に感じず、安心して行えるはずです。
レクリエーションに関する資格を取得する
レクリエーションのネタが思いつかずに悩んでいる場合、レクリエーションに関する資格を取得するのがおすすめです。通信講座やスクーリングなど、学び方を自由に選べる資格もあります。働きながら取得しやすい資格も多いので、ぜひ取得を検討してみてくださいね。
レクリエーションが比較的少ない施設に転職する
「レクリエーション業務自体にどうしても慣れない…」「経験を積んでも緊張する」とお悩みの方は、レクリエーションが比較的少ない施設への転職を考えてみても良いかもしれません。
たとえば、リハビリに特化したデイサービスであれば、機能訓練がメインなのでレクリエーション業務の負担は比較的少なめです。また、介護老人福祉施設(特養)の場合は、利用者さんの介護度が高いため、レクリエーションの頻度は少ない傾向にあります。
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デイサービスのレクリエーションに関するよくある質問
ここでは、デイサービスのレクリエーションに関する質問に回答します。
デイサービスで盛り上がるレクリエーションは何ですか?
デイサービスで盛り上がるレクリエーションには、手芸や工作、連想ゲーム、間違い探し、しりとりなどがあります。また、勝ちや負けの指示に合うように手を出す「勝ち負けじゃんけん」もおすすめです。
「高齢者向けのレクリエーション25選!盛り上がる進め方や企画のコツも解説」では、ほかにも多くのレクリエーションを紹介しています。
デイサービスのレクリエーションに活かせる資格はありますか?
デイサービスのレクリエーションに活かせる資格として、「レクリエーション介護士」「レクリエーション・インストラクター」などが挙げられます。資格の取得を通して、企画を考える発想力が磨かれれば、アイデアを生み出しやすくなるでしょう。また、コミュニケーションスキルも身につきます。
詳しくは、「レクリエーションに活かせる資格とは?種類や取得するメリットを紹介」の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
まとめ
デイサービスのレクリエーションは、利用者さんが無理なく楽しめるものを行うことが大切です。レクリエーションを企画する際は、参加者や行う場所、必要な道具などを十分に調べ、安全に実施できるように準備しましょう。
デイサービスにおけるレクリエーションは、利用者さんの心身機能の維持やコミュニケーション機会の確保、生活の質向上につながる大事な活動です。そのため、職員にとって重要な業務の一つといえます。
「デイサービスで働きたいけどレクリエーションが苦手」とお悩みの方は、レクリエーションに関する資格を取得したり、負担が比較的少ない施設を選んだりすると良いでしょう。
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