
この記事のまとめ
- 障害者施設のサービス内容は、居宅介護や同行援護、就労継続支援など
- 障害者施設のやりがいは、利用者さんの笑顔を見られることなど
- 障害者施設に向いているのは、障がいへの理解がある人や思いやりがある人
「障害者施設のやりがいはどんなものがあるの?」と気になる方もいるのではないでしょうか?障害者施設の仕事には、障害者支援への理解が深まったり、利用者さんの目標を一緒に達成できたりするやりがいがあります。この記事では、障害者支援のサービス内容ややりがいを解説。障害者支援施設の仕事が向いている人・向いていない人の特徴もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
障害者支援施設とは?仕事内容や一日の流れ、高齢者介護との違いを解説!障害者施設とは
障害者施設とは、障がいがある方の生活をサポートするための施設です。身体障がいがある方や精神障がいがある方、知的障がいがある方、難病を患う方などのサポートに対応しています。身体介護や就労支援など、サービス内容は多岐にわたり、利用者さん一人ひとりに合ったケアを行うのが特徴です。
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障害者支援の主なサービス内容
障害者支援の主なサービス内容は、居宅介護や重度訪問介護、同行援護、生活介護、就労継続支援などです。サービス内容を以下で解説するので、ぜひご一読ください。
居宅介護
居宅介護では、利用者さんの自宅に訪問し、食事・入浴・排泄などの身体介護や、調理・掃除・洗濯などの生活援助、生活に関する相談対応などを行います。
「訪問介護と何が違うの?」と思う方もいるかもしれません。訪問介護は高齢者向けのサービスですが、居宅介護は18歳以上で障害支援区分1以上の認定を受けている方が対象。訪問介護は介護保険サービスの一つで、居宅介護は障害福祉サービスの一つです。仕事内容は共通する部分も多いため、訪問介護・居宅介護のどちらかの経験がある方は、もう一方の仕事でも活躍できるでしょう。
重度訪問介護
重度訪問介護は、重度な障がいがあり、自立した日常生活を送ることが難しい方を対象に、常時の身体介護や移動支援を提供するサービスです。知的障がいがある方や、精神障がい、がある方、肢体不自由の方などが利用します。
障害支援区分が4以上で、「二肢以上に麻痺等があり、歩行・移乗・排尿・排便が「支援が不要」以外に認定されている」「障害支援区分の認定調査項目のうち、行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上である」のどちらかに当てはまる方が利用できます。
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同行援護
同行援護では、視覚障がいのある方を対象に、代筆・代読・公共機関の移動支援など、外出に必要な情報提供および介護を行います。
障害支援区分の認定を受けていなくても、アセスメントで基準を満たし、同行援護が必要と認められれば、利用可能です。ただし、身体介護を伴う同行援護を利用できるのは、「障害者支援区分が2以上であること」「障害支援区分の認定調査項目のうち、歩行・移乗・移動・排尿・排便のいずれかが支援が必要と認定されていること」の両方の条件を満たす方です。
社会通念上適当でない外出、通年かつ長期にわたる外出、営業活動等の経済活動に係る外出の同行援護はできないので、ギャンブルに行く際や通学などに利用することはできません。
行動援護
行動援護は、行動に危険を伴う方が安全に移動や外出ができるように、身体介護や精神的な安定を図るための支援を行うサービスです。
精神がいや知的がいがあり、障害支援区分が3以上で、認定調査項目の行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上の方が対象。発作やパニックが起きた際に対処したり、移動中の介護を行ったりします。
生活介護
生活介護は、障害者支援施設を利用している方に対し、日中活動の支援を行うサービスのことです。身体介護や生活援助、相談対応、生産活動・創作活動の場の提供などを行います。生活介護の対象者は、障害支援区分が3以上の方などで、年齢や施設に入所しているかによって詳しい条件は異なるようです。
生活介護の対象者や仕事内容については、「生活介護とは?障害者福祉施設で働く生活支援員の仕事内容と対象者を解説!」の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
就労継続支援A型
就労継続支援A型では、一般企業への就労が難しい方に働く機会を提供して、就労スキルの獲得および能力向上に必要な支援を実施。雇用契約を結ぶため、雇用保険が発生し、賃金が保障されます。仕事内容の例としては、飲食店のホールスタッフやデータ入力、部品の加工業務などがあるようです。
就労継続支援A型は、「就労移行支援を利用したが一般雇用につながらなかった人」「特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、一般雇用につながらなかった人」「就労経験があるが、現在は雇用されていない人」が活用できます。
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就労継続支援B型
就労継続支援B型は、一般企業への就労が難しい方を対象に働く機会を提供する施設で、就労スキルの獲得および能力向上に必要な支援を実施しています。A型とは異なり、雇用契約を結ばないので、賃金は支給されません。報酬を受け取る場合は工賃となり、工賃は生産活動の利益から支払われます。仕事内容(生産活動)の例としては、食品の調理・製造やクリーニング作業、清掃作業、手工芸、農作業などがあるようです。
就労継続支援B型は、「就労経験があるが、年齢や体力の面で就職が難しい人」「就労移行支援事業者のアセスメントにより、就労継続支援B型の利用が適していると判断された人」「50歳に達している人もしくは、障害基礎年金1級を受給している人」などが利用できます。
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就労定着支援
就労定着支援は、就労移行支援や就労継続支援を活用して一般企業に就労した方が対象です。仕事に関する悩みや相談に対応して、就労定着の支援を行っています。具体的には、相談者との面談や企業との連携、関連事業所との連絡・調整などを実施。障がいの特性による課題や不安を解消し、長く働き続けられるようサポートします。
共同生活援助(グループホーム)
共同生活援助では、共同生活を行う施設(障害者グループホーム)において、夜間や休日に身体介護や生活援助を行います。自立支援を行う施設で、障害支援区分の認定を受けていない方も利用可能です。精神障がいがある方や知的がいがある方、身体障がいがある方、難病がある方が利用しています。
障害者グループホームは、「介護サービス包括型」「日中活動サービス支援型」「外部サービス利用型」の3種類です。介護サービス包括型は夜間や休日にケアが必要な方向けで、身体介護などを行います。日中サービス支援型は、24時間体制でケアを提供しているグループホームです。外部サービス利用型は、夜間や休日に相談対応や関係機関との連携による支援、余暇活動のサポートなどを行います。
出典
厚生労働省「障害福祉サービスについて」(2025年1月31日)
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障害者支援施設で働くやりがい
ここでは、障害者支援施設で働くやりがいについて解説します。「どんなやりがいがあるの?」と気になる方はぜひご覧ください。
障害者支援への理解が深まる
障害者支援施設で働くことで、障がいに関する知識が身につき、障がいがある方の考えや行動に対する理解が深まるでしょう。状況に応じた適切な対処を仕事を通して学ぶことで、障がいに対する幅広い技術や知識を身につけられます。
積極的に学習したり、経験を積んだりすれば、利用者さんへの対応をスムーズにできるようになるでしょう。利用者さん一人ひとりの特性を理解して必要な援助ができた際にやりがいを感じるようです。
利用者さんを笑顔にできる
利用者さんができなかったことができるようになったときや、社会参加・日常生活に生きがいを感じて楽しそうに過ごす様子を見られたときに、やりがいを感じられます。
自立のためのトレーニングやレクリエーションを続けると、円滑にコミュニケーションを取るのが難しかった方が挨拶をしてくれたり、利用者さんの笑顔が増えたりすることも。利用者さんに感謝の言葉をもらえることで、人の役に立っていると感じられるでしょう。
多種多様な価値観に触れられる
障害者支援施設で働くと、自分にはない価値観や考え方を学ぶ機会を得られるため、人間として成長できるでしょう。利用者さんは、先天性の障がいがある方もいれば後天性の障がいがある方もおり、多種多様な価値観を持つ方と出会えます。価値観が広がることで、思考の柔軟性が増し、新たな視点でケアをできるようになるでしょう。
利用者さんの目標を一緒に達成できる
利用者さんの目標を一緒に達成できることにも、やりがいを感じられるようです。障害者支援施設では、利用者さんの就労支援をすることもあり、支援していた方の就職が決まったときの喜びは大きいでしょう。
ほかにも、一人でトイレに行けるようになる、公共交通機関を利用できるようになるなど、日常生活の目標を達成する場面を目の当たりにすることも。小さな目標だとしても、達成して利用者さんの生活が豊かになる様子を見られることに、日々やりがいを感じられるでしょう。
転職で有利になる
障害者支援施設で働くことで、障害者支援の理解が深まったり経験を積めたりするため、転職で有利になる可能性があります。障害者支援施設で身につけた知識や技術を活かしてキャリアアップを目指すこともできるでしょう。
障害者支援施設の仕事の流れ
障害者支援施設の仕事の流れとして、障害者グループホームで働く職員の1日のスケジュール例をご紹介します。
時間 | 仕事内容 |
午前8時 | 出勤。利用者さんの食事介助・服薬管理・片付け |
午前9時 | 利用者さんと掃除や洗濯を実施 |
午前10時 | レクリエーションの実施や運動を行う |
正午 | 昼食準備・食事介助・服薬管理・片付け |
午後1時 | 交代で休憩 |
午後2時 | 入浴サポート |
午後3時 | 見守り業務 |
午後4時 | 利用者さんの買い物の付き添い |
午後5時 | 夜勤スタッフへの引き継ぎ。退勤 |
1日のスケジュールは、施設や日によって違うので、上記はあくまで参考としてご覧ください。利用者さんが就労継続支援や自立訓練を利用する場合、そのサポートを行うこともあります。
入所型の障害者支援施設は、早出や夜勤が発生するため、基本給に加えてそれらの手当を受け取ることが可能です。無資格から活躍できる施設もあり、なかには働きながら資格取得を目指せるところもあります。福利厚生やキャリアパスは各施設によって異なるため、応募する前に公式Webサイトや求人情報を確認するようにしましょう。
高齢者施設は、主に65歳以上の方を対象としていますが、障害者支援施設は10代~20代といった若い年齢層の方にも対応します。しかし、訓練以外の基本的な仕事内容は、高齢者支援と大きな差がないといえるでしょう。
障害者支援施設の仕事に向いている人の特徴
以下のような特徴がある人は、障害者支援施設で働くのに向いているでしょう。障害者支援施設の仕事に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
- 障がいに対する理解がある
- コミュニケーション能力が高い
- 思いやりがある
- 物事をポジティブに考えられる
- 向上心がある
障害者支援に取り組むには、障がいに対する理解があることが大切です。食事や歩行の介助、パニック時の対応方法などには、正しい知識とスキルが求められるため、積極的に学ぶと良いでしょう。
また、障害者支援は人と人が接する仕事のため、コミュニケーション能力が高い人に向いています。また、利用者さんやそのご家族の悩みや不安に寄り添うことが重要です。利用者さんやご家族にきちんと敬語を使ったり、介護をする際に声掛けをしたりと丁寧な対応を心掛けましょう。明るい声掛けをすることで、利用者さんの不安も軽減できるはずです。
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障害者支援施設の仕事に向いていない人の特徴
以下の特徴に当てはまる人は、障害者支援施設で働くのに向いていない可能性があります。自分に当てはまると感じる場合は、意識して改善することで、利用者さんにより良いケアが提供できるようになるでしょう。
- 効率だけを重視している
- 感情のコントロールが苦手
- コミュニケーションが苦手
- 思い込みが強い
- 体力に自信がない
障害者支援施設では、思うように身体を動かせない利用者さんや、気持ちを整理するのが苦手な利用者さんと接することもあります。そのため、効率重視でケアを行う方は、あまり向いていないかもしれません。また、利用者さんとスムーズにコミュニケーションが取れない場合にイライラしてしまう方も、向いていない可能性があるでしょう。より良い支援を行うためには、障がいへの理解を深め、感情を上手にコントロールすることが大切です。
人と接することの多い障害者支援施設の仕事には、コミュニケーション能力が求められるので、人との関わりが苦手な方はストレスに感じるかもしれません。同じ障がいのある方も、人によって症状は異なるので、思い込みで支援を行うのは危険です。適切なサポートを行うには、利用者さん一人ひとりへの理解を深め、本当に必要としている支援を見極める必要があるといえます。
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障害者支援にやりがいを感じる人は介護職もおすすめ
障害者支援のやりがいと介護職のやりがいには通じるものがあります。介護職も、利用者さんのサポートをすることで感謝されたり、生活が改善する様子を間近で見られたりすることに、やりがいを感じるようです。
障害者支援の仕事にやりがいを感じる方は、介護職を選んでもやりがいを感じられる可能性が高いので、転職する際の選択肢に入れてみるのも良いかもしれません。
障害者支援施設についてよくある質問
ここでは、障害者支援施設についてよくある質問に回答します。障害者支援施設の仕事に興味がある方は、ぜひご一読ください。
障害者支援施設で働く心構えは?
障害者支援施設で働く際は、利用者さん一人ひとりを尊重し、思いやりを持って接することを心掛けましょう。同じ障がいがあり、性別や年代も同じ利用者さんであっても、症状や考え方は人それぞれです。利用者さんの気持ちを尊重し、意見を否定したり抑えつけたりしないようにしましょう。職員は利用者さんの生活を支援するのが仕事なので、利用者さんが望む生活や行動ができるようにサポートする必要があります。
詳しくは、「障害者施設で働く心構えとは?支援のポイントや役立つスキル、求人の選び方」でも解説しているので、あわせてご覧ください。
障害者支援施設はどんな人に向いているの?
障害者支援施設の仕事に向いている人は、障がいに対する理解がある人やコミュニケーション能力が優れている人、思いやりを持って接することができる人、明るくポジティブな考え方の人などです。詳しくは、この記事の「障害者支援施設の仕事に向いている人の特徴」で解説しているので、ぜひご覧ください。
まとめ
障害者支援施設とは、身体障がいや精神障がい、知的障がいなどがあり、支援を必要としている方をサポートする施設のことです。障害福祉サービスの種類は、居宅介護や重度訪問介護、同行援護、行動援護、就労継続支援A型・B型などがあります。
障害者支援施設で働くやりがいは、「障害者支援の理解を深められること」「利用者さんを笑顔にできること」「多様な価値観に触れられること」「利用者さんと一緒に目標を達成できること」「転職で有利になること」などです。
障がいに対する理解がある人や、コミュニケーション能力が優れている人は、障害者支援施設の仕事に向いているでしょう。一方で、効率重視の人や感情のコントロールが苦手で怒りっぽい人、思い込みが強い人などは、障害者支援施設の仕事に向いていないと感じる可能性があります。
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