
この記事のまとめ
- ケアマネジャー資格だけ取って、ほかの職で働く方もいる
- ケアマネジャー資格だけ取るメリットは、介護や福祉分野に詳しくなれること
- ケアマネジャーの知識を活かせる職種は、介護福祉士や生活相談員などがある
「ケアマネジャー資格を取ったあと、ほかの職種で働いても良いの?」と気になっている方もいるかもしれません。ケアマネジャー試験に合格した方のなかには、ケアマネジャーの知識を活かしてほかの職種で活躍する方もいます。この記事では、ケアマネジャー資格だけを取る理由やメリットを解説。ケアマネジャーの知識を活かせる職種も紹介します。ケアマネジャー資格を取得後の働き方に悩んでいる方は、チェックしてみてください。
ケアマネジャーの資格だけ取るのはあり?
ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)を受ける理由は、必ずしもケアマネになることを目的としているとは限りません。専門知識を身につけることを目的としている方もいます。試験に合格後、ケアマネジャー(介護支援専門員)として働かず、別の職種で働いている方も一定数いるようです。このように、資格を取得する課程で得た知識を活かして、ケアマネジャー以外の職種で活躍している方は少なくありません。
また、何らかの理由によりケアマネジャー資格が必要になったときに、資格があれば再研修を受けることでケアマネジャーとして働くことが可能です。ケアマネジャーの資格があれば、キャリアの選択肢を広げられます。ケアマネジャーの資格は、ケアマネジャーとして働かなくても、取得する価値があるといえるでしょう。
働きながら資格を取る方法教えます
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ケアマネジャーの資格を取って働かない理由
ケアマネジャーの資格を取って働かない理由には、「ケアマネジャーのほかにやりたい仕事がある」「ケアマネジャーの仕事が大変」「更新研修にかかる時間・費用の負担が大きい」などがあるようです。下記で、解説します。
ケアマネジャーのほかにやりたい仕事がある
ケアマネジャーの資格を取って働かない理由に、「ケアマネジャーのほかにやりたい仕事がある」があります。ケアマネジャーの主な業務は、ケアプランの作成や関係機関との連絡調整、モニタリングの実施など、裏方の業務が中心。「介護現場の仕事が好き」という方は、いざケアマネになってみると物足りなさを感じることがあるようです。
このような理由から、「ケアマネジャーの資格を取得したけど、ケアマネジャー以外の職種で働きたい」と考える方もいます。
ケアマネジャーの仕事が大変
ケアマネジャー業務の負担が大きいことや求められる専門性が高いことを不安に感じて、ケアマネジャーの資格を取っても働かない場合もあるようです。ケアマネジャーの業務は多岐にわたり、業務負担の大きさと賃金が見合っていないといわれることがあります。介護保険法や社会福祉に関わる法律、支援に活かせる地域の福祉サービスなど、多方面に精通していなけれなならないことも、ケアマネジャーの仕事に従事する際の負担になっているようです。
更新研修にかかる時間・費用の負担が大きい
ケアマネジャーの資格だけ取って働かない理由には、研修を受ける時間の確保の難しさや費用の負担の大きさもあります。ケアマネジャー資格の有効期限は5年です。ケアマネジャーとして働き続けるには、5年以内に必要な研修を受講したうえで、更新申請をしなければなりません。
ケアマネジャーの資格を維持するには、実務経験や更新回数に応じて、「専門研修l(56時間)」や「専門研修ll(32時間)」「更新研修(54時間)」などの受講が定められています。登録後、5年を経過した場合には、「再研修(54時間)」の受講が必要です。資格を維持することの大変さから、「更新をしない」という選択をする方もいます。
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ケアマネジャーの資格だけ取るメリット
ここでは、ケアマネジャーの資格だけ取るメリットを紹介します。ケアマネジャー資格を取るか迷っている方は、チェックしてみてください。
介護や福祉の分野に詳しくなれる
ケアマネジャー資格を取得するメリットの一つは、試験に合格する過程で介護保険制度や福祉サービスなどの知識が得られることです。ケアマネジャーとして働かなくても、ケアマネジャー試験で得た知識は、介護や福祉分野で活かせます。資格取得前よりも、広い視野を持って仕事ができるようになるでしょう。また、ケアマネジャーとしての知識があることで、職場で働くケアマネジャーとの連携も円滑にできるようになります。
転職に有利になる
ケアマネジャー資格は、介護や福祉分野に関する専門知識を持っていることの証明になります。ケアマネジャーへの転職でなくても、介護や福祉分野への転職であれば知識を評価されて、転職に有利になるでしょう。
また、介護求人には、介護関係の資格があることを応募条件としているものもあります。ケアマネジャーの資格があれば、応募できる求人の幅を広げられるでしょう。
ケアマネジャーへのキャリアチェンジがしやすい
ケアマネジャーの資格だけ取ることのメリットに、「ケアマネジャーとして働きたくなったときにケアマネジャーへのキャリアチェンジがしやすい」があります。現状、ケアマネジャーとして働く気持ちはなくても、ライフスタイルの変化などで、ケアマネジャーへの転職を希望する可能性はゼロではないかもしれません。早めに資格を取得しておくのも、選択肢の一つです。
資格を失効していても、再研修を受けることでケアマネジャーとして働けます。ケアマネジャーとして働きたくなってから受験するよりも、早めに資格を取得しておいて、働きたくなったときに再研修を受けたほうが効率的でしょう。なお、再研修は常に行っているわけではありません。自分が働く職場の都道府県のWebサイトで再研修の日程を確認し、早めに計画を立てることが大切です。
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ケアマネジャー資格だけ取ってほかの職で働くには?
ケアマネジャー資格だけ取ってほかの職で働くには、「ケアマネジャー以外の求人に応募する」「ケアマネ試験に合格後、実務研修を受けない」という選択肢があります。下記で、解説するので、チェックしてみてください。
ケアマネジャー以外の求人に応募する
「ケアマネジャーの資格を取ったけど、ケアマネジャー以外の仕事をしたい」という場合は、ケアマネジャー以外の求人に応募します。介護・福祉分野への転職であれば、ケアマネジャーの専門知識があることが評価され、転職に有利になるでしょう。
転職活動では、「ケアマネジャーになりたくない理由」ではなく「なぜその職で働きたいと思ったのか」を明確に伝えることが大切です。
ケアマネ試験に合格後、実務研修を受けない
試験に合格後、実務研修を受けないという選択肢もあります。試験合格後に受講する実務研修のカリキュラムは87時間です。ケアマネジャーとして働く予定がない場合は、負担に感じる人もいるでしょう。「ケアマネジャーの専門知識を習得したい」という目的だけなら、試験合格をゴールにして、資格が必要になったタイミングで実務研修を受けても良いかもしれません。
ただし、ケアマネジャー資格は実務研修を受講して登録申請をしなければ「取得」にはならないので、ケアマネジャー資格や肩書が必要な人は、実務研修までしっかり受講することが大切です。自分のキャリアプランに合わせて、受講するかどうかを決めると良いでしょう。
ケアマネジャーの知識が活かせる職種
「ケアマネジャー試験で得た知識を活かした仕事をしたい」という方もいるでしょう。ここでは、ケアマネジャーの知識を活かせる職種を紹介します。
介護職員・介護福祉士
介護職員や介護福祉士は、介護施設や事業所において、利用者さんの日常生活を支援しています。「介護現場で直接利用者さんのケアをしたい」という方にとって、やりがいを感じられる職種です。
介護職員や介護福祉士は、ケアマネジャーの知識があることで、より多角的な視点を持って介護業務を行えます。広い視野でケアが行えるため、他業種との連携も円滑に行えるでしょう。
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生活相談員・支援相談員
生活相談員や支援相談員は、介護施設などで利用者さんやそのご家族の相談対応や、入退所に関わる手続きなどを行う職種です。生活相談員は、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホーム、デイサービスなどの介護施設に勤務し、支援相談員は介護老人保健施設に勤務しています。
ケアマネジャーの知識があることで、支援方法の提案の幅が広がり、より相談者に合った支援ができるでしょう。また、ケアマネジャー資格があれば、職場の職員や利用者さんからの信頼を得ることにも役立ちます。
なお、生活相談員・支援相談員として働くには、「社会福祉士」「精神保健福祉士」「社会福祉主事任用資格」のいずれかの資格が必要です。自治体によっては、「介護福祉士」か「ケアマネジャー」の資格があれば、相談員の要件を満たせる場合もあります。興味のある方は、「生活相談員の資格要件は?未経験から目指せる?仕事内容や職場もご紹介」を参考にしてみてください
福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員とは、福祉用具を利用しようとしている方に対して、専門知識を持って、選び方や使い方のアドバイスを行う職種です。ケアマネジャーの知識があることで、相談者さんの状況の把握が的確にできるようになり、より相談者さんに合った福祉用具の提案や使用方法の説明が行えるようになります。
福祉用具専門員として働くには、介護福祉士資格や福祉用具専門相談員指定講習の修了が必要です。資格要件については、「福祉用具専門相談員とは?仕事内容や資格要件、指定講習の概要について解説」をご覧ください。
ケアマネジャーとして働くメリット
資格を取得したら、資格を活かしてケアマネジャーとして働くのも選択肢の一つです。下記で、ケアマネジャーとして働くメリットを紹介します。
- 給与アップが狙える
- 日勤メインで働ける
- 身体介護による身体的負担を減らせる
職場によっては、資格手当が支給されます。上位資格であるケアマネジャーの資格手当は、比較的手厚い傾向にあるため、介護職よりも給与が上がる可能性があります。ケアマネジャーに転職することで、給与アップを狙えるかもしれません。
ケアマネジャーは日勤がメインのため、生活リズムが乱れにくい働き方が可能です。日勤と夜勤に入ることによる生活リズムの乱れをストレスに感じている方にとっては、ケアマネジャーの働き方はメリットに感じるでしょう。
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ケアマネジャーの資格に関するよくある質問
ここでは、ケアマネジャーの資格に関するよくある質問を紹介します。ケアマネジャーの資格取得を検討している方は、参考にしてみてください。
ケアマネジャー受験資格の見直しはされる?
2024年12月の第6回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会で厚生労働省は、ケアマネジャー(介護支援専門)の資格取得試験の受験要件を緩和する方針を定めました。厚生労働省の「ケアマネジメントに関わる諸問題に関する討論会:資料2(p.2)」には、「ケアマネジャーの受験要件について、新たな資格の追加・実務経験年数の見直しを検討する」との記載があります。
今後も高齢化の進展により、居宅介護支援や介護予防支援の需要が増えることを見据え、現在の受験要件である「5年の実務経験」が、一定の要件を満たす場合に緩和される可能性があります(2025年2月時点)。
出典
厚生労働省「第6回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 資料」(2025年2月18日)
ケアマネ試験で科目が免除される受験資格はある?
以前は、国家資格を有する場合、一部の科目が免除されていたことがありましたが、現在は廃止されています。2015年に受験資格の見直しが行われ、2018年に受験科目の免除は行われなくなりました。現在は、すべての受験者が同じ科目を受験することになっています(2025年2月時点)。
詳しく知りたい方は、「【最新版】ケアマネジャーの受験資格|免除廃止や試験申込みの注意点」をご覧ください。
まとめ
ケアマネジャー試験に合格した方のなかには、「資格だけ取って働かない」という方もいます。ケアマネジャーの資格を取って働かない理由は、「ケアマネジャーのほかにやりたい仕事がある」「ケアマネジャーの仕事が大変」「免許の更新に時間とお金が掛かる」があるようです。このような理由により、ケアマネジャー以外の職種で働いている方は少なくありません。
ケアマネジャーの資格だけ取るメリットは、「介護や福祉の分野に詳しくなれる」「転職に有利になる」「ケアマネジャーへのキャリアチェンジがしやすい」などです。資格取得後にケアマネジャーとして働かなくても、ケアマネジャー資格を活かせる場面は多くあるでしょう。
「ケアマネ以外の職種で、資格を活かした職種で働きたい」という方は、介護業界の転職に特化した「レバウェル介護(旧 きらケア)」にご相談ください。介護業界に詳しいキャリアアドバイザーが、これまでの経験やキャリアプランをヒアリングしたうえで、あなたの適性に合った職場をご提案いたします。介護業界の転職事情に詳しいアドバイザーに相談することで、思ってもいなかった選択肢が見つかるかもしれません。サービスはすべて無料なので、お気軽にお問い合わせください。
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