
この記事のまとめ
- 介護職が入浴介助ばかり任される理由は、人手不足や新人研修などがある
- 介護職が入浴介助ばかり任される場合は、ほかの職員に相談すると良い
- 入浴介助がきつい場合、入浴のない施設や夜勤専従へ転職する選択肢もある
「入浴介助ばかり任されてつらい…」とお悩みの介護職の方もいるかもしれません。特定の介護職が入浴介助ばかり行うことになるのには、人手不足や新人研修の一環として任せているなどの理由があるようです。この記事では、介護職が入浴介助ばかりの現状を打破する方法や、負担を軽減させるための対策を解説します。状況が改善されない場合の解決方法にも触れているので、現状に不満や不安がある介護職の方は、ぜひご一読ください。
特定の介護職が入浴介助ばかり任される理由
「なぜか入浴介助ばかり任されてつらい…」と感じている介護職員の方もいるかもしれません。入浴介助ばかり担当する介護職員がいる場合に考えられる理由を、以下で確認してみましょう。
利用者数に対し職員数が少ないことがある
介護施設の中には、利用者さんに対し職員数が少ない施設もあります。利用者さんの入浴に時間がかかると、結果的に勤務時間のほとんどが入浴介助となる場合があるようです。
「昼食までに〇名」というように、時間と入浴する利用者さんの人数が決まっていると、「安全にかつ急いで行わなければ」と精神的なストレスを感じてしまうのも無理はありません。
また、利用者さんによってADL(日常生活動作)や認知症の有無などが違うため、一人当たりの入浴介助にかかる時間も異なります。予定通りに入浴が進まないと、入浴介助に携わる時間がさらに長くなるでしょう。
新人研修として入浴介助を多く担当させる施設がある
新人研修の一環として、介護職員に入浴介助を担当させる施設もあるようです。入浴介助を行うことで、利用者さんごとのADLや自立度を把握できます。入浴介助で得た情報は、食事介助や排泄介助といったほかのケアにも活かせるでしょう。
そのため、利用者さん個々の特徴を把握してケアにあたってほしいという思いから、新人の介護職員に入浴介助を多く担当させる施設もあるようです。
入浴介助をしたくない職員が仕事を押し付けている
「何週間も何ヶ月も入浴介助しかさせてもらえない」という場合は、入浴介助をしたくない職員から仕事を押し付けられている可能性があります。
入浴介助は体力を使う仕事のため、「きついからやりたくない」と業務を避けている職員もいるかもしれません。「新人研修だから」「勉強だから」と理由を付けて、ほかの業務をあまり任せずに入浴介助ばかりを指示する職員がいるケースもあるようです。
仕事を拒否しづらい新人職員や、女性より体力のある人が多い男性職員ばかりに入浴介助を任せる介護職員も、残念ながらいる場合があります。
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介護職が入浴介助ばかり任される現状を打破する方法
入浴介助ばかり任される介護職員が現状を打破するには、どうすれば良いのでしょうか?具体的な解決法を紹介します。
ほかの職員に相談する
入浴介助ばかり任される介護職員は、現状をほかの職員に相談してみるのがおすすめです。管理者やリーダーなどの上司に相談すると、業務の分担や配置替えを検討してもらえる可能性があるでしょう。
相談するときは、「入浴介助はしたくないです!」と訴えるのではなく、「食事介助や排泄介助のスキルも身につけたいです」「レクリエーションにも携わりたいです」というように、仕事への意欲を伝えると好印象になります。
ほかの職員に相談するときは、「シフトが自分だけきついときの対処法は?人事部門への伝え方や注意点を解説」も参考にご覧ください。
入浴介助の業務に慣れるまで様子を見る
新人研修として入浴介助を任されている場合は、入浴介助の業務に慣れるまで様子を見るのも一つの手です。先輩に、新人のころはどうだったか聞いてみるのも良いでしょう。「1ヶ月でほかの業務も任せてもらえるようになった」などの情報が手に入ると、入浴介助をこなすやりがいも生まれます。
ただし、身体に負担がかかり業務に支障が出ている場合、耐えて業務を続けることで身体を壊す恐れがあるので、入浴介助を減らせないか上司に相談してみるのがおすすめです。
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介護職が入浴介助のつらさを軽くする方法
毎日、入浴介助ばかりしていては、心身ともにつらくなってしまうことがあるかもしれません。ここでは、介護職員が少しでも入浴介助の負担を軽減させるにはどうすれば良いのか、まとめてみました。
入浴介助が楽になるコツを身につける
入浴介助が楽になるコツを身につけることで、身体への負担が減り、つらさを軽減させられます。介護業務には、前かがみ・中腰での作業や、腰をひねる動作が多く、入浴介助も例外ではありません。身体への負担が大きい動作を繰り返すと、腰痛を引き起こす原因になることも考えられます。
入浴介助を行うときは、「同じ姿勢が長く続かないようにする」「利用者さんに身体を近づけて介助する」「低い姿勢になるときは足を開いてひざを曲げる」など、腰に負担がかからない姿勢や動作を心がけると良いでしょう。
また、入浴介助が長時間続くときは、業務の合間にストレッチを取り入れるのがおすすめです。滑って転倒する恐れがないか周囲を確認したうえで、太ももの前面やふくらはぎ、体側、背中などを伸ばすストレッチを取り入れると、腰痛やケガの予防につながります。
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出典
厚生労働省「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」(2025年2月18日)
通気性の良い服を選ぶ
利用者さんのヒートショックや冷えを防ぐ観点から、入浴介助を行う浴室の温度は高めに設定されています。浴室は汗をかきやすい環境なので、介護職員は通気性の良い服を選び、少しでも快適に作業できるよう工夫するのがおすすめです。
入浴介助の際は、メッシュ素材や冷感素材のシャツ・肌着を着用すると、涼しく作業ができるでしょう。また、汗をかいた状態のままだと、身体が冷えて風邪を引く恐れがあるため、着替えを持参して早めに取り替えるのがおすすめです。
こまめに水分補給をする
浴室は高温多湿で汗を多くかくので、熱中症や脱水症状を防ぐために、作業の合間にこまめに水分補給をしましょう。
水筒にお茶や水を入れておき、作業の邪魔にならない、すぐ手に取れる場所に置いておくと安心です。ほかの介護職員と一緒に水分補給する時間を設けても良いでしょう。また、汗をかくと水分だけでなく塩分も失われるため、スポーツドリンクや塩タブレットで塩分も補給できるようにしておくと、万全の状態で入浴介助を行えます。
家ではしっかり身体を休める
入浴介助ばかりを担当していると疲労が溜まってしまうため、帰宅したらしっかり身体を休めましょう。
湯舟にゆっくり浸かったり、マッサージグッズで身体をほぐしたりしてセルフケアを行うと、疲労回復が期待できます。鍼灸やマッサージに行くのもおすすめです。また、夜更かしは避けて睡眠時間をしっかり確保すると、身体が休まって体力回復につながるでしょう。
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入浴介助の楽しいところを探してみる
介護職員の中には、入浴介助が楽しいと感じる人もいるようです。たとえば、「入浴介助は「運動になる」という声や、「仕事が終わった後の達成感が好き」という声があります。
入浴介助にストレスを感じたときは、きつい面ではなく楽しいところを探してみるのも良いかもしれません。同じ入浴介助の業務でも、見方を変えることで楽しいと感じられる場合があるでしょう。
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介護職が入浴介助で身につけられるスキル
入浴介助には、利用者さんを安全に介助するプレッシャーや身体的な負担などの大変さがありますが、対応することで身につくスキルもあります。介護職が入浴介助で身につけられるスキルにはどのようなものがあるのか、見ていきましょう。
コミュニケーションスキル
入浴介助は、利用者さんとの距離が近づきやすい業務です。入浴には時間がかかるため、介助中に会話を楽しめることもあります。
入浴介助が必要な利用者さんは、一人で入浴するのが難しい方なので、介助中に「おかげでさっぱりした」といった感謝の言葉をかけられることも。入浴介助で利用者さんとの距離が近くなると、ほかのケアでのやり取りに活かせたり、より深い信頼関係を築けたりすることもあるでしょう。
また、入浴介助を2人以上の職員で行う場合、チームワークが求められます。タイミングをあわせて利用者さんを抱えたり、役割分担して介助を行ったりなど、職員間でも密なコミュニケーションが必要です。
入浴介助を担当することで、利用者さんやほかの職員とコミュニケーションを取る機会が増えると、日々の介護業務をスムーズに行えるようになるでしょう。
利用者さんのADLを把握するスキル
入浴介助を行うと、利用者さんのADLを把握するスキルが身につきます。利用者さんによって身体機能や認知機能の状態は異なり、食事介助や排泄介助だけでは細かいADLを把握できないことも。入浴にはさまざまな動作を伴うため、「右の股関節がやや動かしづらい」「声かけをしないと着替えが難しい」など、細かいADLを把握できます。
入浴介助ばかりの現状が改善されないときの対処法
ここでは、上司への相談や身体のケアなどさまざまな方法を試しても現状が改善されず、「これ以上入浴介助ばかり任されるのは限界…」と感じている方に向けて、対処法をまとめました。
夜勤専従で働く
入浴介助をしたくない介護職の方は、夜勤専従で働く選択肢もあります。夜勤専従とは、夜勤のシフトのみに入る働き方のことです。一般的に入浴介助は日勤帯に行われるため、夜勤専従で働けば入浴介助を行う機会はあまりなくなるでしょう。
ただし、夜勤専従で働くと昼夜逆転になりやすく、生活リズムの乱れから体調を崩す恐れもあります。夜勤専従の働き方に興味がある場合、自身の生活スタイルや体力的な負担を踏まえて慎重に検討することが重要です。
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入浴介助のない介護施設へ転職する
「入浴介助がきつい」という方は、入浴介助のない介護施設に転職する選択肢もあります。たとえば、「リハビリ特化型デイサービス」は、機能訓練やリハビリが主なサービスで、要介護度の低い方が多い傾向にあるため、入浴介助がない事業所もあります。
入浴介助のない介護施設はあまり多くないため、転職したい方は常に求人情報をチェックしておきましょう。
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リハビリ特化型デイサービスはきつい?大変な理由と介護職員の仕事を解説
介護ロボットや設備が整っている施設に転職する
介護ロボットや入浴用リフトを導入し、介護職員の負担軽減を図っている介護施設もあります。もし、転職先で入浴介助ばかり任されたとしても、介護ロボットや入浴用リフトを利用できると、身体への負担が少ない状態で業務に取り組めるでしょう。
転職活動では、入浴介助の業務量や設備の状況についてまで調べるのは難しいかもしれません。介護業界に特化した転職エージェントの「レバウェル介護(旧 きらケア)」のキャリアアドバイザーは、求人を出している介護事業所と直接やり取りしているため、浴室の設備などの気になる点を確認することができます。登録・利用はすべて無料なので、お悩みのある介護職員の方は、まずは気軽にご相談くださいね。
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介護職の入浴介助についてよくある質問
ここでは、介護職の入浴介助についてよくある質問にお答えします。「入浴介助ばかりできつい…」と悩んでいる介護職の方は参考にしてみてください。
入浴介助を早く終わらせるにはどうすれば良い?
入浴介助を早く終わらせるには、ケア自体に慣れることと、計画的に業務を進めることが重要です。入浴介助に慣れていないうちは、洗身や洗髪といった一つひとつのケアに手間取って時間がかかってしまうことがあります。そのため、一緒に介助を行う先輩のケアを見て学んだり、数をこなして慣れたりすることが必要です。また、一人当たりにかかる時間を計算して介助を開始することや、可能な限りケアの順番を統一するなどことなどを意識すると、入浴介助にかかる時間を短縮できます。
入浴介助を早く終わらせる方法については、「【入浴介助マニュアル】手順や注意点、時間短縮のコツ」もご覧ください。
介護職の入浴介助時の服装はどんなものが良い?
介護職が入浴介助を行うときは、動きやすく通気性の良い服装にするのがおすすめです。防水のガウンやエプロンを装着する場合でも、中のシャツはメッシュ素材などの通気性の良いものにしておくと、比較的涼しく作業ができます。介護職が入浴介助を行うときの服装については、「介護職が入浴介助のつらさを軽くする方法」も参考にしてみてください。
まとめ
介護職が入浴介助ばかり任されてしまう原因としては、利用者さんの人数に対して職員の数が少ないことや、新人研修として入浴介助を担当させる施設があることなどが挙げられます。入浴介助ばかり任されてしまう現状を打破するには、ほかの職員に相談してみるのがおすすめです。また、入浴介助のつらさを軽減するには、身体的な負担の少ない介護技術を身につけたり、業務の楽しい点を探してみたりすると良いでしょう。
しかし、入浴介助ばかりの現状が改善されず、限界を感じている方もいるかもしれません。その場合は、夜間専従に働き方を変えたり、入浴介助のない介護施設や、介護ロボットなどの設備が整っている施設に転職したりする選択肢もあります。
レバウェル介護(旧 きらケア)では、夜間専従や入浴介助のない介護施設・事業所の求人も多く取り扱っています。介護業界に精通したキャリアアドバイザーが、お仕事の悩みに関する相談に対応し、希望条件に合う求人探しをお手伝いいたします。ぜひ、レバウェル介護(旧 きらケア)を利用して、希望の業務を任せてもらえる介護施設への転職を成功させましょう。
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