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この記事のまとめ
- 外国人が介護福祉士を取得する方法は、EPAルートなどがある
- 外国人が介護福祉士を取得すると、在留資格を得られるメリットがある
- 外国人が介護福祉士国家試験に合格するには、日本語スキルを磨くことが重要
「外国人が介護福祉士を取得するにはどうすれば良いの?」と、疑問に思っている方もいるのではないでしょうか?基本的に介護福祉士になるには、国家試験への合格が必要です。この記事では、外国人が介護福祉士を取得する方法や在留資格「介護」について解説します。外国人の介護福祉士試験の合格率や、合格のためのコツも紹介。日本で介護職として働きたいと考えている外国人の方は、ぜひ参考にしてみてください。
介護福祉士とはわかりやすくいうとどんな資格?取得方法や試験概要を解説!介護福祉士とは
介護福祉士とは、介護の専門的な知識やスキルが身についていることの証明となる国家資格です。資格名として使われるだけではなく、資格を保有している人のことも介護福祉士と呼びます。
外国人は介護福祉士を取得することで、在留資格を得られるようになります。詳しくは、「外国人が介護福祉士を取得すると在留資格を得られる」で後述するので、あわせてご覧ください。
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外国人が介護福祉士を取得する方法
外国人が介護福祉士を取得するには、介護福祉士国家試験を受験し、筆記試験に合格する必要があります。介護福祉士国家試験には受験資格が定められているので、誰でも試験を受けられるわけではありません。
以下で、外国人が介護福祉士国家試験を受験する方法を解説するので、ぜひチェックしてみてください。
EPAルートで受験する
EPA(Economic Partnership Agreement)とは、国や地域が結ぶ経済連携協定のこと。貿易の自由化や投資、人の移動、知的財産の保護など幅広く経済関係を強化し、互いに発展を図ることが目的の協定です。
EPAを利用して介護福祉士を目指す人は、「EPA介護福祉士候補者」として日本で働けます。EPA介護福祉士候補者とは、公益社団法人国際厚生事業団が紹介した機関・施設にて、研修責任者の監督のもとで働くインドネシア人やフィリピン人、ベトナム人のことです。
介護福祉士国家試験のEPAルートでは、「EPA介護福祉士候補者」として、日本の介護施設・事業所で3年以上働くことで、受験資格を満たすことができます。
養成施設ルートで受験する
介護福祉士養成施設に2年以上通学することでも、介護福祉士国家試験の受験資格を満たせます。また、「福祉系大学等」「社会福祉士養成施設等」「保育士養成施設等」を卒業し、介護福祉士養成施設に1年以上通学することでも、受験資格を得ることが可能です。
実務経験ルートで受験する
「従業期間3年以上かつ従事日数540日以上」と「介護福祉士実務者研修の取得」の要件を満たす方は、介護福祉士国家試験の受験資格を得ることが可能です。従業期間には、産休・育休・病休などの休職期間が含まれますが、従事日数には休暇・欠勤・出張などにより介護業務を行わなかった日数が含まれないので注意しましょう。
受験申し込み時点で実務経験3年や実務者研修修了という要件を満たしていなくても、受験する年度の3月31日までに満たす見込みがある場合は、受験可能です。ただし、3月31日までに受験資格を満たせなかった場合、試験結果は無効になります。
出典
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]受験資格」(2025年3月14日)
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外国人が介護福祉士を取得すると在留資格を得られる
外国人が介護福祉士の資格を取得すると、在留資格「介護」を得られます。在留期間は最長5年あり、更新回数に制限がないので、介護福祉士として働くと長期的に日本で暮らすことが可能です。家族も帯同できるので、日本で働きたいと考えている外国人の方は、取得を目指してみると良いでしょう。
在留外国人数の推移
在留資格「介護」を取得している外国人の人数は増加傾向にあります。
出入国在留管理庁の「【第3表】 在留資格別 在留外国人数の推移(p.3)」をもとに、在留資格「介護」を取得している外国人の推移をまとめました。
時期 | 人数 |
2019年 | 592人 |
2020年 | 1,714人 |
2021年 | 3,794人 |
2022年 | 6,284人 |
2023年 | 9,328人 |
2024年(6月末) | 10,468人 |
参照:出入国在留管理庁「【第3表】 在留資格別 在留外国人数の推移(p.3)」
在留資格「介護」を取得している外国人は、2019年から2024年までの5年間で17倍以上になりました。在留資格「介護」が制定されたのは2017年で、今後も取得する方の増加が見込めるでしょう。
出典
出入国在留管理庁「在留外国人数について」(2025年3月14日)
在留資格「介護」の問題
在留資格「介護」を取得する方法は、介護福祉士の取得のみです。介護福祉士は国家資格であるため、3年以上の実務経験や実務者研修の取得、養成施設への通学など、取得ハードルの高さが課題といえます。
介護業界は人手不足の業界であり、その分求人が豊富にあり採用されやすいのが魅力です。介護福祉士の資格を取得すれば、即戦力として転職にも役立てられます。介護福祉士の資格を取得すれば、数多くのメリットがあるので、日本で継続的に働きたい外国人の方は、取得に向けて行動してみると良いでしょう。
外国人が受験するときは試験時間が延長される
外国籍の方や日本に帰化された方が介護福祉士国家試験を受験する場合、試験時間が通常の1.5倍に延長されるので、日本語に苦手意識がある方も合格を狙いやすいでしょう。
ほかにも、事前に申請するとすべての漢字にふりがなが振られた問題用紙と通常の問題用紙が配布されるなど、日本語が得意ではない外国人向けの配慮がなされています。
パート合格の導入が検討されている
介護業界では、介護福祉士の受験者数の減少にともない、高い専門性を有する介護人材の確保と育成が課題に。介護福祉士のなり手を増やすために、試験科目をいくつかのグループに分け、パートごとに合否を判定する「パート合格」の導入が検討されています。
パート合格は、外国人だけでなく、すべての受験者に適用される仕組みです。全パートを受験して、不合格だったパートのみ再度受験するのが望ましいとして導入が検討されています。
2026年度に介護福祉士国家試験のパート合格を導入することが検討され、調整が行われているようです。パート合格が導入されれば、一部の科目で不合格になっても、不合格のパートだけ再度挑戦できるようになるので、合格しやすくなるでしょう。
出典
厚生労働省「介護福祉士国家試験パート合格の導入に関する検討会」(2025年3月14日)
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外国人の介護福祉士国家試験の合格率
厚生労働省の「第36回介護福祉士国家試験におけるEPA介護福祉士候補者の試験結果」によると、2024年におけるEPA介護福祉士候補者の合格率は43.8%、合格者数は228人です。国別にみると、インドネシアの合格率は22.2%、フィリピンの合格率は21.3%、ベトナムの合格率は86.4%でした。
厚生労働省の「第36回介護福祉士国家試験合格発表」によると、同年における介護福祉士国家試験の全体の合格率は、82.8%です。EPA介護福祉士候補者の合格率は、全体の合格率の半分程度の割合。ただし、ベトナムの合格率は高く、全体の合格率を上回っていることが分かります。
ベトナムの合格率が高い理由は、訪日前に12ヶ月の日本語研修の受講と日本語能力試験N3以上の取得が求められ、日本語への理解が深いからと考えられるでしょう。ベトナムのEPA介護福祉士候補者に求められるN3は、「日常で使われる日本語をある程度理解できるレベル」です。日本語能力試験では、N1~N5で日本語のレベルを分けており、N数字が小さいほど日本語のスキルが身についている証明になります。
フィリピンは、訪日前の日本語研修6ヶ月と日本語能力試験N5程度以上の取得が必須。簡単な日本語の文章をある程度理解できるレベルが求められます。インドネシアは、訪日前の日本語研修6ヶ月と日本語能力試験N4程度以上が必要です。ベトナムと比べ、他国はEPA介護福祉士候補者として入国する際に求められる日本語スキルのハードルが低い傾向にあります。
出典
厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験合格発表」(2025年3月14日)
厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験におけるEPA介護福祉士候補者の試験結果」(2025年3月14日)
厚生労働省「インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」(2025年3月14日)
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外国人が介護福祉士試験に合格するコツ
ここでは、外国人が介護福祉士国家試験に合格するためのコツを紹介します。「試験に合格する自信がない…」という不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
日本語のスキルを磨く
外国人の方が試験を受ける際、漢字にはふりがなが振ってありますが、ふりがなが振ってあっても言葉の意味が分からなければ、解答できないことがあるでしょう。介護福祉士に合格するには、読解力などの日本語のスキルを磨くことが大切です。
介護の仕事で使う言葉の意味を覚えたり、積極的に日本語で会話したりすることで、日本語が上達するでしょう。外国語の訳がついたテキストを活用するのも効果的です。
公的な講習を活用する
公益社団法人 日本介護福祉士会は、厚生労働省補助事業として、「外国人介護人材のための介護福祉士国家資格取得支援講座」を開催しています。講座は全5回で、オンライン講座と、都道府県ごとに実施されている対面型の講座があるようです。受講料は無料なので、自信がない方は気軽に講習を受けてみると良いでしょう。
ほかにも、国際介護人材支援Webサイトの「にほんごをまなぼう」では、介護現場での仕事や試験に役立つ日本語を学習できます。介護福祉専門用語の翻訳機能もあり、発音も音声で確認できるので、活用してみると良いでしょう。
出典
公益社団法人 日本介護福祉士会「国際介護人材支援」(2025年3月14日)
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外国人の介護福祉士国家試験に関するよくある質問
ここでは、外国人の介護福祉士国家試験に関するよくある質問に回答します。介護福祉士国家試験の受験を考えている外国人の方は、ぜひご一読ください。
外国人の介護福祉士の試験問題はどんな問題が出題されるの?
介護福祉士国家試験で出される問題は、国籍に関わらず同じ内容です。「人間の尊厳と自立」「社会の理解」「認知症の理解」「医療的ケア」「コミュニケーション技術」などの科目から出題されます。社会福祉法人 社会福祉振興・試験センターが「[介護福祉士国家試験]過去のふりがな付き試験問題」で、ふりがな付きの過去問を掲載しているので、チェックしてみてください。
出典
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]過去のふりがな付き試験問題」(2025年3月14日)
外国人の介護福祉士国家試験の試験時間はどれくらい?
EPA介護福祉士候補者や受験申し込みの際に申請した方は、試験時間が通常の1.5倍になります。通常の試験時間は220分なので、1.5倍の330分になるようです。合格するには、すべての科目群での得点が必要なので、多くの問題に解答できるよう時間配分に注意しましょう。
まとめ
外国人が介護福祉士を取得するには、介護福祉士国家試験に合格する必要があります。試験には受験資格が定められており、外国人が受験資格を満たすルートは、「EPAルート」「養成施設ルート」「実務経験ルート」のいずれかです。
外国人が介護福祉士を取得すると在留資格を得ることができ、日本で働き続けることができます。在留資格「介護」の取得者は増加傾向にあり、今後も増加が見込まれるでしょう。
外国人が受験する際は、試験時間が1.5倍になったり、試験問題にふりがなが振られたりという配慮がされます。試験に合格するには、日本語のスキルを磨くことがポイントです。
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