
この記事のまとめ
- ケアマネと介護福祉士の違いは資格の受験資格や仕事内容など
- ケアマネの仕事内容は要介護認定の申請代行やケアプランの作成など
- 介護福祉士の主な仕事内容は身体介護や生活援助、社会活動支援など
「介護福祉士とホームヘルパーって何が違うの?」と気になる方もいるのではないでしょうか。介護福祉士は資格名で、ホームヘルパーは職種という違いがあります。この記事では、介護福祉士とホームヘルパーの言葉の意味や違いを解説。介護福祉士を取得するメリットやホームヘルパーになるメリットも紹介しているので、介護職のキャリアプランにお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
介護福祉士とはわかりやすくいうとどんな資格?取得方法や試験概要を解説!ケアマネと介護福祉士の違い1:受験資格
ケアマネと介護福祉士は、試験を受けるための受験資格が大きく異なります。働きながら取得を目指す場合、介護福祉士は3年以上、ケアマネは5年以上の実務経験が必要です。
以下で、ケアマネ(ケアマネジャー)と介護福祉士の受験資格について解説します。
ケアマネの受験資格
ケアマネジャー(介護支援専門員)になるには各都道府県が実施する介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要があります。受験資格は、以下のとおりです。
受験資格1:相談業務に従事(5年以上かつ900日以上)
以下の相談業務に5年以上かつ900日以上従事することで、受験資格を満たせます。
- 生活相談員(特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護など)
- 支援相談員(介護老人保健施設における支援相談員)
- 相談支援専門員(計画相談支援、障害児相談支援における相談支援専門員)
- 主任相談支援員(生活困窮者自立相談支援事業などの主任相談支援員)
受験資格2:指定された国家資格に基づく業務に従事(5年以上かつ900日以上)
対象の国家資格にもとづく実務経験が5年以上かつ900日以上あることで受験資格を満たせます。実務経験の対象になる保健・医療・福祉系の国家資格は、以下のとおりです。
なお、2018年から受験資格が変更になりました。変更前はケース・ワーカーも含まれていましたが、現在は除外されています。
上記いずれかの受験資格が得られたら、介護支援専門員実務研修受講試験の受験が可能です。合格してから所定の研修を受講し登録申請をすることで、ケアマネジャーとして登録され資格証が交付されます。
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介護福祉士の受験資格
介護福祉士国家試験の受験資格を得るには、主に以下3つのルートがあります。
- 1. 介護福祉士を養成する専門学校などで規定の課程を履修する「養成施設ルート」
- 2. 福祉系の高校を卒業する「福祉系高校ルート」
- 3. 介護系の実務経験が3年以上あり、実務者研修を修了する「実務経験ルート」
働きながら受験資格を得る場合は、「実務経験ルート」がおすすめです。詳しくは「社会人として働きながら介護福祉士になるには?資格取得のルートを解説!」の記事をチェックしてみてください。
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ケアマネと介護福祉士の違い2:合格率・難易度
ここでは、ケアマネと介護福祉士の合格率・難易度をまとめました。これから受験を考えている方は、参考にしてみてください。
ケアマネ(介護支援専門員)試験の合格率・難易度
厚生労働省「第27回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」によると、第27回(2024年度)ケアマネ試験の合格率は32.1%でした。受験者53,699人中、合格者数は17,228人です。
直近10年のケアマネ(介護支援専門員)試験の合格率は20%前後となっており、難易度の高さが分かります。
出典
厚生労働省「第27回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」(2025年3月3日)
介護福祉士国家試験の合格率・難易度
厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験合格発表」によると、2024年度(第36回)介護福祉士国家試験の合格率は82.8%と高めです。受験者74,595人のうち、61,747人が合格しています。
また、厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」によると、直近10年の合格率は7割前後です。介護福祉士国家試験の難易度は、ケアマネと比べて高くないといえるでしょう。
出典
厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験合格発表」(2025年3月3日)
厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」(2025年3月3日)
ケアマネと介護福祉士の違い3:仕事内容
ケアマネと介護福祉士とでは、仕事内容にも大きな違いがあります。ケアマネは介護保険サービスの利用者さんに対してケアプランの作成を行いますが、介護福祉士は身体介護などのケアを行うのが仕事です。
ここでは、それぞれの仕事内容についてご紹介します。
ケアマネの具体的な仕事内容
ケアマネジャーの主な仕事内容として、介護保険の利用者さんを対象にしたケアプランの作成や給付管理が挙げられます。また、利用者さんやその家族からの相談を受けたり、介護の指導を行ったりすることもケアマネの仕事です。
要介護認定の申請代行
ケアマネは市町村などからの委託を受けて、要介護認定の申請代行業務を行います。要介護認定申請者の自宅を訪問し、利用者さんの心身の状態を確認。その後、要介護認定の申請書類を作成・提出します。
ケアプランの作成と管理
介護サービスの利用者さんが要介護認定を受けたら、ケアプランの作成にとりかかります。ケアプランの作成は、ケアマネにしかできない大切な業務です。
ケアプランに沿った介護サービスが開始されると、利用者さんの自宅を訪問して適切な介護が行われているかチェックを行います。
給付管理
支給限度額の確認や利用者負担額の計算も、ケアマネの仕事の一つです。サービス利用票や給付管理票の作成、提出といった業務も行います。
要介護者やその家族からの相談対応
ケアマネは、利用者さんやそのご家族の相談相手となり、現在の状況や抱えている問題などの情報を収集します。利用者さんが自立した生活が送れるよう、他職種や関係機関と連携を取るのもケアマネの仕事です。
介護福祉士の具体的な仕事内容
介護福祉士の主な仕事は、利用者さんへの身体介護や生活援助などです。また、介護の専門家として、利用者さんやご家族から相談を受け、アドバイスすることもあります。
身体介護
身体介護とは、利用者さんの身体に直接触れる介助を指します。主な身体介護は、利用者さんの食事介助や入浴介助、排せつ介助などです。また、着替えの補助や移動の介助といった業務も含まれます。
生活援助
生活援助では、利用者さんの身の回りのお世話をします。掃除や洗濯、炊事、買い物など、生活をサポートする仕事が中心です。
介護予防
介護予防とは、利用者さんの要介護度の悪化を防ぐことです。掃除や料理といった家事を一緒に行ったり、レクリエーションなどを行ったりして、要介護者の身体の機能維持・機能回復を図ります。
社会的活動支援
介護福祉士は、介護の専門家として、利用者さんの社会活動を支援します。また、自宅や入所先の施設の近隣住民と良好な関係を築けるようにサポートすることも、介護福祉士の重要な仕事の一つです。
ケアマネと介護福祉士の違い4:給与
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.157)」によると、介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所における、常勤勤務のケアマネジャーの平均給与額は376,770円、介護福祉士の平均給与額は331,080円でした。
ケアマネの平均給与額のほうが、介護福祉士よりも45,000円ほど高いことが分かります。
詳しくは「介護福祉士の給料は高い?安い?平均年収や給与アップの方法までご紹介」と「ケアマネジャー(介護支援専門員)の平均年収は?給料アップの方法も解説」の記事もご参照ください。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年3月3日)
ケアマネの処遇改善の状況
2019年の「介護職員等特定処遇改善加算」により、介護職員の処遇改善が進められました。その際、介護職員を兼任するケアマネも、加算の対象になっています。
また、直近で行われた処遇改善は、2024年度の介護報酬改定です。このとき、介護報酬が1.59%引き上げられ、そのうち0.61%を、介護職員以外の処遇改善を行うための水準として確保されました。
このような背景から、施設ケアマネの場合、処遇改善加算の引き上げに伴い、給与が増えた可能性があるでしょう。ただし、処遇改善加算は介護職員への配分を基本としているほか、その判断は職場に委ねられています。また、居宅介護支援事業所(居宅ケアマネ)は、介護職員等処遇改善加算の対象外となっているため、加算を受けられないのが現状です。
出典
厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(2025年3月3日)
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介護福祉士の処遇改善の状況
2024年の介護報酬改定では、処遇改善加算の加算率が0.5~2.1%アップしました。「介護職員を中心に、経験や技術がある職員に重点的に配分する」ことを原則とした処遇改善なので、介護福祉士の給与アップが優先的に実施された可能性があります。
ただし、配分率は事業所が自由に決定できるため、給与アップするかは職場によって異なるでしょう。
高齢化が進む日本では、介護の専門家である介護福祉士の需要は、今後も高まる見込みです。これからも、介護福祉士の給料は上がることが期待できるでしょう。
詳しくは「介護福祉士の給料は上がる?2024年度介護職員等処遇改善加算ついて解説」の記事をチェックしてみてください。
出典
厚生労働省「処遇改善に係る加算全体のイメージ(令和4年度改定後)」(2025年3月3日)
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ケアマネジャーと介護福祉士についてよくある質問
ここでは、ケアマネジャーと介護福祉士についてよくある質問にお答えします。「ケアマネジャーと介護福祉士の資格について、もっと知りたい」という方は、ぜひご一読ください。
ケアマネは介護福祉士の資格を取ってから5年の実務経験が必要ですか?
介護福祉士からケアマネになるには、最短でも5年の実務経験が必要になります。ケアマネジャー(介護支援専門員)試験の受験要件は、「指定の国家資格に基づく業務」「介護施設などでの相談援助業務」のいずれかに、5年以上かつ900日以上従事していることです。なお、指定の国家資格には介護福祉士も含まれます。
ケアマネジャー試験に必要な実務経験について、詳しくは「ケアマネ受験資格の計算方法を解説!パートの従事期間は実務経験に入る?」の記事をご参照ください。
ケアマネの試験科目は介護福祉士を持っていると免除されますか?
介護福祉士やそのほかの国家資格を有している場合でも、介護支援専門員実務研修受講試験の受験科目は免除されません。過去の介護支援専門員実務研修受講試験において、指定の国家資格を有する受験者は、一部の科目を免除されていました。しかし、2018年に試験概要が改定され、現在ではすべての受験者の科目が共通になっています。
ケアマネジャー試験の科目について、詳しくは「【最新版】ケアマネジャーの受験資格|免除廃止や試験申込みの注意点」の記事をご一読ください。
まとめ
ケアマネと介護福祉士はしばしば混同されがちですが、資格や仕事内容がまったく異なります。ケアマネは各都道府県が実施している資格制度で、保有資格やそれに基づく実務経験などハードルの高い受験資格が設けられています。仕事内容はケアプランの作成業務が中心で、利用者さんに対する介護はありません。
これに対し、介護福祉士として働くためには、介護福祉士国家試験に合格し資格登録を行う必要があります。介護福祉士の仕事内容は、ケアマネが作成したケアプランに沿った介護サービスの提供が中心です。
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