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外国人向けの海外型老人ホームは日本でうまくいかない?

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この記事のまとめ

出生率の低下で少子化が進み、平均寿命が延びたことで”超高齢化社会”に突入している日本。2015年現在で高齢化率が26.7%と実に日本の人口の約4人に1人が高齢者となり、それに伴って老後のライフスタイルやニーズも多様化しています。世界的にも高齢化が進むいま、海外ではどのような老後のライフスタイルが定着しているのでしょうか。主に北米で発展している”リタイアメント・コミュニティ”についてご紹介します。

海外型老人ホーム”リタイアメント・コミュニティ”は外国人向け

リタイアメント・コミュニティとは退職後の高齢者が残りの人生を楽しみ、個人の状況に応じて必要な介助や介護を受けられる人為的に作られた街のことです。アメリカで初めてリタイアメント・コミュニティが作られたのは1960年、アリゾナ州の砂漠の真ん中に不動産会社デル・ウェブ社によって開発された”サンシティ”がその始まりです。

サンシティは55歳以上の高齢者のみが居住できる街で、医療や金融、ショッピングや郵便局など生活に必要な機能のほか、大劇場やゴルフ場などのレジャー施設を備えています。健康で自立した生活を送る高齢者、介助の必要な高齢者、高度な介護を必要とする寝たきりの高齢者など、状況によって街の中で段階的に必要なサービスを受けられるようになっています。

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外国人向け老人ホームは日本人のライフスタイルに合わない

さて、このような海外型の大規模な老人ホームは日本でも実現可能でしょうか。まず内閣府の高齢社会白書(平成26年度版)を見ると、高齢になってから住みたい住居形態は持家の一戸建てとする人が最も多い62.2%で、サービス付き高齢者向け住宅を望む人は9.2%となっています。

ライフスタイルの変化に合わせて住む場所も臨機応変に変えていく傾向の強いアメリカ人に対して、日本人は一度家を構えたらそこに根付いて一生を過ごす傾向が強いことがうかがえます。そのため健康で活動的なうちにリタイアメント・コミュニティに移住して老後を楽しむスタイルよりも、可能なかぎり住み慣れた土地やふるさとで過ごしたいと考える人が多いようです。

同じく内閣府の高齢社会白書(平成28年度版)を見ると、日常生活を送るうえで介護が必要になった場合、自宅で介護してほしいと回答した人は男性で42.2%、女性で30.2%と最も高い割合になっています。また、どこで最期を迎えたいかという質問に対しては54.6%の人が自宅を選択していることからも、日本人の持つ自分の家に対する思い入れを表しています。

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老人ホームの好みは外国人と日本人で異なる

リタイアメント・コミュニティの問題点の一つとして、居住者の平均年齢の上昇が挙げられます。サンシティの場合街の自治は居住者に任されていますが、健康で活動的な高齢者が減れば街の活気も次第に失われていく可能性があります。

高齢者だけに限定してレジャー施設の充実した居住区域を作るより、もともと住んでいる場所で高齢者のための雇用や地域との関わりを増やしたり、自宅生活者への介助や介護のための支援を充実させることが、住み慣れた場所に思い入れの強い傾向のある日本人に適応したやり方であると言えます。

以上のことから、海外型老人ホーム”リタイアメント・コミュニティ”をそのままの形で、日本で展開することは難しいと考えられるでしょう。

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