
この記事のまとめ
- 准看護師と介護福祉士の違いは、資格や仕事内容、平均年収など
- 准看護師や介護福祉士の資格は、働きながら取得する方法もある
- 准看護師は主に看護業務を行い、介護福祉士は主に介護業務を行う
福祉に関する仕事に興味があり、「准看護師と介護福祉士、どっちを目指そう?」と迷う方もいるでしょう。准看護師と介護福祉士は、資格の取得方法や仕事内容などが異なるため、それぞれの特徴を理解したうえで進路を決めることが大切です。この記事では、准看護師と介護福祉士の違いを解説します。給与の比較や資格を取得するメリット、向いている人の特徴もまとめました。医療や介護の分野で活躍したい方は、参考にしてください。
准看護師と介護福祉士の違い
准看護師とは、都道府県知事が発行する准看護師免許に基づいて、患者さんの看護を行う専門職のことで、医療機関などで働いています。介護福祉士とは、介護福祉士の資格に基づいて、高齢者や障がいのある方などへの支援を行う人のことで、福祉業界で活躍中。この「介護福祉士」は、国家資格です。
准看護師と介護福祉士の違いを表にまとめたので、確認してみましょう。
准看護師 | 介護福祉士 | |
資格 | 准看護師免許 (都道府県知事が認定) | 介護福祉士 (国家資格) |
仕事内容 | 看護業務がメイン | 介護業務がメイン |
職場 | 病院や診療所をメインに、介護事業所などでも活躍 | 介護事業所をメインに、医療機関などでも活躍 |
平均年収 | 約407万円(2023年) | 約397万円(2022年) |
キャリアアップ例 | 看護師 | ケアマネジャー |
メリット | 医療ケアを行える | 働きながら取得しやすい |
デメリット | 裁量が小さい | 独占業務がない |
向いている人 | 協調性がある人など | 主体性がある人など |
准看護師と介護福祉士は、資格や仕事内容、給与キャリアパスなどが異なります。
次項から、それぞれ解説するので、准看護師と介護福祉士どちらになるか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
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ここでは、准看護師と介護福祉士の資格について、取得方法や費用、難易度を解説します。「資格取得は大変そう…」と不安に思っている方は、確認してみましょう。
准看護師免許の取得方法
准看護師として仕事をするには、「准看護師免許」が必要です。准看護師養成施設で2年間(1,890時間)学び、都道府県知事が実施する准看護師試験に合格することで、准看護師免許を取得できます。
准看護師養成施設の入学試験は、最終学歴が中学校卒業の方も受験可能です。また、高校の衛生看護科を卒業することでも、准看護師試験の受験資格を得られます。
准看護師養成施設の種類
准看護師養成施設には、全日制と定時制があります。全日制とは、週3~5日、朝から夕方まで授業を受ける学校です。半日制は週5日で、午後や夜間に通学します。全日制も定時制も、2年生になると医療機関での実習を行います。
週5日・朝から夕方までの通学が必要な養成施設は少ないため、働きながら准看護師を目指す人もいるようです。たとえば、病院で看護助手として働きながら、准看護師免許を取得する選択肢もあります。
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准看護師免許の取得にかかる費用
准看護師養成施設の入学から卒業までにかかる費用は、100万円前後です。詳しい金額は学校ごとに異なるので、事前の確認が必要になります。なかには、奨学金制度がある養成施設もあるようです。
なお、准看護師試験の受験料は約6,900円、資格登録にかかる費用は約6,000円となっています。受験料や登録料は、都道府県と受験年度によって異なるので、事前に確認しておくと安心です。
准看護師試験の合格率
准看護師試験は、各都道府県で年に1回、2月に開催されます。
厚生労働省の「令和5年度准看護師試験の実施状況」によると、2023年度の准看護師試験の受験者は12,726人、合格者は12,499人、合格率は98.2%でした。合格率はかなり高いので、養成施設で勉強して万全の体制で試験に臨めば、准看護師免許を取得できる可能性が高いでしょう。
出典
厚生労働省「令和5年度准看護師試験の実施状況」(2024年6月6日)
介護福祉士の取得方法
介護福祉士として働くためには、「介護福祉士国家試験」に合格し、資格登録を行う必要があります。介護福祉士国家試験には受験資格が設けられており、「実務経験ルート」「養成施設ルート」「福祉系高校ルート」のいずれかで受験資格を満たすのが一般的です。
働きながら介護福祉士を取得しやすいのは、実務経験ルートで、「介護業務等の実務経験3年」「介護福祉士実務者研修修了」の2つの要件を満たせば、受験資格を得られます。
高校卒業後の進路を考えている場合は、介護福祉士養成施設に2年以上通う「養成施設ルート」も選択肢の一つです。また、「福祉系高校ルート」では、高校卒業の資格と介護福祉士国家試験の受験資格を同時に得られます。
介護福祉士を目指す場合、状況や学歴に応じた資格取得ルートを選ぶことが大切です。「自分に向いている取得ルートを確認したい!」という方は、「介護福祉士の受験資格を得るルートを解説!必要な実務経験や試験概要は?」の記事もチェックしてみてくださいね。
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介護福祉士の取得にかかる費用
養成施設や福祉系高校に入学して介護福祉士を取得する場合、100~200万円程度の学費がかかります。卒業までにかかる費用は学校によって異なるため、受験前に確認しておきましょう。
実務経験ルートでは、要件の一つである「介護福祉士実務者研修」の受講料として、約10万~20万円必要です。介護業界で働いていると、職場や自治体から、資格取得にかかる費用の補助を受けられる場合もあります。
なお、2024年に行われた介護福祉士国家試験の受験料は18,380円、資格登録に関する費用は12,320円でした。受験料は申し込みの際に支払い、登録免許税と登録手数料は、合格後に支払います。
介護福祉士国家試験の合格率
介護福祉士国家試験は、例年1月下旬に行われます。2025年は1月26日(日曜日)に実施予定です。
厚生労働省の「第36回介護福祉士国家試験合格発表」によると、2024年に行われた介護福祉士国家試験の受験者は74,595人、合格者は61,747人、合格率は82.8%でした。介護福祉士の合格率は准看護師より低いものの、国家資格としては高い水準です。そのため、計画的に勉強することで、合格に近づけるでしょう。
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出典
公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験」(2024年6月6日)
厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験合格発表」(2024年6月6日)
准看護師と介護福祉士の仕事内容の違い
准看護師は主に看護業務を行い、介護福祉士は主に介護業務を行います。下記では、准看護師と介護福祉士の仕事内容をそれぞれ解説するので、どのような違いがあるのか見てみましょう。
准看護師の仕事内容
准看護師の仕事内容は、療養生活の支援や健康管理などの看護業務です。看護師の指示を受けて療養上のケアやリハビリを行ったり、医師の診療の補助をしたりします。具体的な業務は、注射や傷の処置、バイタルチェック、身体的な介助、カルテの記入などです。なお、准看護師は、自己判断でのケアや看護計画の作成はできません。
出典
公益社団法人 日本看護協会「准看護師制度について」(2024年6月6日)
准看護師の役割
e-Gov法令検索の「保健師助産師看護師法:第一章第六条」によると、准看護師は「医師、歯科医師または看護師の指示を受けて、傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話または診療の補助を行う者」と定義されています。つまり、医師や看護師の指示を受けて患者さんの医療・看護ケアを行うのが、准看護師の役割です。
出典
e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」(2024年6月6日)
介護福祉士の仕事内容
介護福祉士は、介護のプロとして利用者さんと関わり、日常生活に必要な支援を行います。具体的な業務は、排泄介助・入浴介助・食事介助などの身体介護や、掃除・洗濯・調理・買い物などの生活援助です。また、専門的なスキルを活かして、介護職員の指導や利用者さんの相談にも対応します。
介護福祉士を含む介護職員は、原則として医療行為を行えません。しかし、喀痰吸引等研修の基本研修と実地研修を修了した場合は、たんの吸引と経管栄養の処置に限って対応可能です。
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介護福祉士の役割
e-Gov法令検索の「社会福祉士及び介護福祉士法:第一章第二条2項」によると、介護福祉士の役割は以下のように定義されています。
- 専門的知識および技術をもって、心身の状況に応じた介護(喀痰吸引等を含む)を行う
- 利用者さんや介護者に対して、介護に関する指導を行う
介護福祉士には、利用者さんの状態に応じた介護サービスを提供することが求められます。また、利用者さんやご家族に助言を行い、安心して日常生活を送れるように支援することも重要です。
出典
e-Gov法令検索「社会福祉士及び介護福祉士法」(2024年6月6日)
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准看護師と介護福祉士の職場の違い
ここでは、准看護師と介護福祉士の職場の違いをご紹介します。職場によって働き方も異なるので、確認してみましょう。
准看護師の職場
准看護師の代表的な職場は、病院や診療所・クリニックといった医療機関です。患者さんが入院する病棟に勤務する場合、夜勤ありの可能性が高いでしょう。通院に対応する外来は日勤のみで、土日休みの職場も少なくありません。
また、准看護師は、介護施設や保育園でも活躍しています。看護職員が働く介護事業所は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービス、訪問看護事業所などです。
介護福祉士の職場
介護福祉士の職場には、介護事業所や障がい者施設、病院などがあります。特別養護老人ホームやグループホーム、有料老人ホームといった入居型の施設で働く場合、夜勤を行う可能性が高いでしょう。訪問介護やデイサービスは、一部の事業所を除き、日勤のみで働けます。
介護福祉士の職場の種類は、「介護福祉士の働く場所は?現場以外の就職先を含めて解説」でもご紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。
准看護師と介護福祉士の給与の違い
准看護師の平均給与は、介護福祉士より少し高い傾向にあります。
政府統計の総合窓口e-Statの「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」によると、2023年の准看護師の平均月給は28万6,800円、年間賞与等の平均は62万9,500円で、ここから算出した平均年収は407万1,100円です。
同資料によると、介護職員の平均月給は26万3,600円、年間賞与等の平均は55万600円で、平均年収を計算すると371万3,800円となります。なお、こちらの平均給与のデータは、介護福祉士以外の介護職員も含んだ平均値です。
別の調査から、介護福祉士の平均給与をご紹介します。厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.157)」によると、介護福祉士の平均月収は33万1,080円(賞与等を含む)で、ここから算出した平均年収は397万2,960円です。
上記から、准看護師の平均年収は、介護福祉士の平均年収よりも高いことがうかがえます。ただし、2つの異なる調査結果の比較は、参考程度にご覧ください。
医療機関で働く准看護師と介護福祉士の給与の違い
介護福祉士が病院や診療所で働く場合、看護助手として勤務するのが一般的です。
政府統計の総合窓口e-Statの「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」によると、2023年の看護助手の平均月給は22万2,500円、年間賞与等の平均は51万3,600円で、ここから算出した平均年収は318万3,600円です。
介護福祉士を保有する看護助手には資格手当が付く場合があるものの、准看護師全体の平均年収407万1,100円と比べると低い水準といえるでしょう。また、看護助手の平均年収は、施設などで働く介護職員の平均年収371万3,800円と比べても低い水準です。
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介護事業所で働く准看護師と介護福祉士の給与の違い
准看護師が介護施設で働く場合、看護職員や機能訓練指導員といった職種に就く傾向があるでしょう。
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.119)」によると、介護事業所で働く看護職員の平均月収は37万3,750円で、平均年収を計算すると448万5,000円になります。
同資料によると、介護事業所で働く機能訓練指導員の平均月収は35万4,770円、算出した平均年収は425万7,240円です。介護事業所で働く介護福祉士の平均年収は397万2,960円なので、准看護師のほうが給与が高い傾向にあることが分かります。
准看護師の給与の目安としてご紹介した職種別の平均給与は、看護師免許などを保有する方も含めたデータです。実際は、同じ職種として介護事業所に勤務する場合も、保有資格によって給与に差が出る可能性があります。
給与は職場ごとに違うので、平均給与のデータは参考までにご覧ください。特に、介護福祉士の職場は幅広いため、経営主体や施設形態、働くエリアなどによって、実際の給与は異なるでしょう。
出典
政府統計の総合窓口e-Stat「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(2024年6月6日)
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2024年6月6日)
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准看護師と介護福祉士のキャリアの違い
准看護師や介護福祉士は、経験を積んで資格を取得したり、役職に就いたりすることで、キャリアアップできます。下記では、それぞれの職種の代表的なキャリアパスを解説します。
准看護師のキャリアアップ例
准看護師からキャリアアップする場合、正看護師を目指す方が多いでしょう。准看護師の方が看護師国家試験の受験資格を得る方法は、次の3つです。
- 准看護師として実務経験を3年以上積み、全日制の看護師養成所に2年通う
- 准看護師として実務経験を3年以上積み、定時制の3年看護師養成所に3年通う
- 准看護師として実務経験を7年以上積み、通信制の看護師養成所で2年学ぶ
准看護師は、実務経験を積んで養成所の課程を履修することで、看護師国家試験を受けられます。働きながら看護師免許の取得を目指す場合は、キャリアアップに協力的な職場を選ぶと良いでしょう。
看護師免許があれば、看護主任や看護部長といった管理職を目指すことが可能です。また、看護師として経験を積み、認定看護師や専門看護師などの資格を取得すれば、特定の分野の専門性を磨くこともできます。
出典
公益社団法人 日本看護協会「准看護師のための進学特設サイト」(2024年6月6日)
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介護福祉士のキャリアアップ例
介護福祉士の資格があれば、訪問介護事業所でサービスを管理する「サービス提供責任者」として働くことができます。介護施設で利用者さんやご家族の相談に乗る「生活相談員」の要件に、一定の経験がある介護福祉士を含める自治体も少なくありません。介護福祉士として経験を積めば、管理者や施設長へのキャリアアップを目指すことも可能なので、キャリアの幅は広いでしょう。
また、介護福祉士が取得を目指せる代表的な資格として、認定介護福祉士や、介護支援専門員(ケアマネジャー)があります。いずれの資格も、取得するためには介護福祉士としての実務経験が5年以上必要です。
認定介護士の資格を取るための養成研修を受講するには、研修歴やレポート課題の提出なども求められます。認定介護福祉士の役割は、専門知識を活かして介護職の教育や多職種との連携を行い、介護サービスの質を向上させることです。
介護支援専門員の資格を取るには、試験に合格して研修を受けなければなりません。介護支援専門員の資格を取得すると、ケアマネジャーとして、利用者さんの介護サービス計画書の作成といった業務に携われます。
ケアマネジャーとして経験を積めば、主任ケアマネジャーや認定ケアマネジャーといった上位資格の取得を目指すことも可能です。介護業界のキャリアパスについては、「介護福祉士からケアマネになるには?受験要件やステップを解説」の記事にもまとめています。
出典
認定介護福祉士認証・認定機構「認定介護福祉士になるには」(2024年6月6日)
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准看護師や介護福祉士の資格を取得するメリット
少子高齢化により、働き手が不足していたり、ケアを必要とする方が増えていたりするため、医療・介護人材の需要は高まっています。資格を活かし、全国的に年齢を問わず活躍できるのは、准看護師と介護福祉士に共通するメリットです。一方で、准看護師と介護福祉士の資格取得には、以下のような異なるメリットもあります。
准看護師の資格を取得するメリット
准看護師は、医師の指示を受けて医療行為を行えます。医療職にしかできないケアに携われることは、准看護師免許を取得するメリットです。また、医師や看護師に相談したうえで対応できるため、プレッシャーが少ないのも、准看護師の特徴といえます。
前述したように、介護福祉士よりも給与が高い傾向にあることや、資格を活かして看護師を目指せることも、准看護師の魅力です。
介護福祉士の資格を取得するメリット
介護福祉士の資格があれば、介護業界での転職に有利になるため、希望の働き方を実現させやすいでしょう。「介護福祉士のキャリアアップ例」で触れたように、キャリアの選択肢が豊富なのも、介護福祉士の特徴といえます。
また、介護福祉士の資格は、働きながら取得しやすいのも魅力です。無資格・未経験で介護職になった場合も、働きながら介護福祉士実務者研修を取得すれば、最短3年で介護福祉士国家試験を受験可能。実際に働きながら介護福祉士を取得する人は少なくありません。「社会人として働きながら介護福祉士になるには?資格取得のルートを解説!」では、社会人が介護福祉士を取得する方法を詳しくご紹介しています。
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准看護師・介護福祉士として働くデメリット
准看護師や介護福祉士の仕事には、どのようなデメリットがあるのでしょうか。自身が仕事に取り組むうえで大切にしたいことを叶えるためには、デメリットを知っておくことも大切です。准看護師・介護福祉士として働くデメリットを、以下でチェックしてみましょう。
准看護師として働くデメリット
准看護師は、医師や看護師の指示を受けて業務にあたるため、裁量をもって仕事をするのは難しい傾向にあります。医療機関で准看護師として働き続ける場合、管理職へのキャリアアップが難しいのも特徴です。
また、同じ看護職員である看護師と比べ、携われる業務が少なかったり、給与が少なかったりすることを、デメリットだと感じる可能性があります。
政府統計の総合窓口e-Statの「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」によると、看護師の平均月給は35万2,100円、年間賞与等の平均は85万6,500円で、ここから算出した平均年収は508万1,700円です。前述した准看護師平均年収は、看護師の平均年収より約100万円低いという結果になっています。
介護福祉士と比較した准看護師のデメリットとして、資格取得にお金や時間がかかることが挙げられます。前述したように、介護福祉士を働きながら取得する場合の費用は20万円前後ですが、准看護師を取得するには100万円前後の費用が必要です。また、准看護師は介護福祉士より短期間の2年で取得できるものの、通学に費やす時間は、実務経験ルートで介護福祉士を取得する場合よりも長くなります。
介護福祉士として働くデメリット
役職に就くといったキャリアアップの機会が多い反面、責任が大きく負担に感じる場合があるのが、介護福祉士として働くデメリットです。また、介護福祉士の給与水準は介護職としては高いものの、全産業の平均よりは低く、不満を感じる人もいます。
准看護師とは異なり、介護福祉士に独占業務はないため、「せっかく資格を取得したのに、仕事内容が変わらない」と感じる可能性もあるでしょう。
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准看護師と介護福祉士どっちになれば良い?
コミュニケーション能力や責任感がある人は、介護や看護に携わる仕事に向いているといえます。ここでは、准看護師と介護福祉士、それぞれに向いている人の特徴をご紹介するので、仕事選びの参考にしてください。
准看護師に向いている人の特徴
以下の項目に当てはまる方は、准看護師に向いているでしょう。
- 医師や看護師の指示に従う協調性がある
- 採血や傷の処置、摘便などの医療ケアを行うことに抵抗がない
- 幅広い年齢層の方を支援したい
- 患者さんが安心して療養生活を送れるようにケアしたい
- 働きながら看護に関する資格を取得したい
- ゆくゆくは看護師を目指したい
- 疾病や障がいについて学ぶ意欲がある
准看護師には、医師や看護師と連携して業務を行うことが求められます。また、医療ケアを行うため、血液やケガなどを見ることへの抵抗感が強いと、働くのが難しい職場もあるでしょう。
「子どもから高齢者まで、幅広い人のケアをしたい」「段階的に看護師を目指したい」という方は、准看護師を目指してみるのも良いかもしれません。
介護福祉士に向いている人の特徴
以下の項目に当てはまる方は、介護福祉士に向いている可能性が高いでしょう。
- 主体的に仕事に取り組める
- 高齢者と接するのが好き
- 障がいのある方やご家族の支援がしたい
- 利用者さんが充実した生活を送れるようサポートしたい
- 働きながら国家資格を取得したい
- 管理職へのキャリアアップに興味がある
- ゆくゆくはケアマネジャーを目指したい
- 介護保険制度や介護技術を勉強する意欲がある
利用者さんから介護拒否があったときや、ケアがうまくできなかったときなどに、振り返って自身で解決策を探る主体性がある方は、介護福祉士として活躍できます。また、「高齢者の支援がしたい」「障がいのある方のケアを行う専門性を身につけたい」という方も、介護福祉士に向いているでしょう。
なお、ご紹介した「向いている人の特徴」に当てはまらないからといって、適性がないとは限らないので、上記はあくまでも参考としてご覧ください。
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准看護師と介護福祉士の違いに関するよくある質問
ここでは、准看護師と介護福祉士に関するよくある質問に回答します。「准看護師と介護福祉士は両方取得できるの?」と気になる方や、進路を検討中の方は、チェックしてみてください。
介護福祉士が准看護師を取る場合は共通科目が免除される?
介護福祉士が准看護師免許を取得する際に、科目免除などの優遇はありません。保健医療福祉に関する資格の共通基礎課程については、これまで議論されてきました。しかし、2024年時点で導入の予定はないのが現状です。介護福祉士が准看護師を目指す場合は、通常どおり養成施設に2年間通い、准看護師試験に合格する必要があります。
看護の仕事に興味がある方は、「介護福祉士が看護師に転職する方法を解説!カリキュラムは免除されるの?」の記事もご参照ください。
介護福祉士と准看護師のダブルライセンスを目指す方法は?
介護福祉士と准看護師の資格を両方取得する場合、それぞれの試験の受験資格を満たし、合格する必要があります。准看護師養成施設に通いながら、看護助手や介護職員として介護業務等の実務経験を積めば、最短でダブルライセンスを目指せるでしょう。なお、介護福祉士の受験資格を得るための実務経験は、従事期間3年かつ従事日数540日で、1日の勤務時間は問われません。
介護福祉士試験を受けるのに必要な実務経験の期間について知りたい方は、「介護福祉士の受験資格である実務経験とは?必要な従事日数や対象施設を解説」をご覧ください。
介護福祉士と准看護師はどっちが上ですか?
介護福祉士と准看護師は、どちらも医療業界や福祉業界に欠かせない存在です。そのため、どちらが上ということはありません。介護職と看護職は役割が異なり、それぞれの専門性を活かして活躍しています。
介護福祉士と准看護師の、資格や仕事内容、給与などの違いは、「准看護師と介護福祉士の違い」にまとめているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
准看護師と介護福祉士は、資格や仕事内容などが異なります。准看護師として働くためには。養成施設に2年通い、准看護試験に合格して免許を取得しなければいけません。一方、介護福祉士として働くためには、「実務者研修+実務経験3年」「養成施設卒業」などの要件を満たして、介護福祉士国家試験に合格し、資格を取得する必要があります。
准看護師と介護福祉士では、職場や給与も異なるため、それぞれの特徴を理解して進路を選ぶことが大切です。
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