
この記事のまとめ
- 「介護職を辞めたい」と悩んだ経験がある介護職員は、8割近くいる
- 介護職を辞めたいと思う理由は、人間関係の悩みや給料への不満があるから
- 退職後のビジョンが不明確な場合は、転職を急がない方が良い
介護職として働く方のなかには、「辞めたい」と悩んでいる方もいるでしょう。レバウェル介護(旧 きらケア)の調査によると、8割近くの介護職員が介護職を辞めるか考えた経験があり、悩む方は多いようです。この記事では、介護職員が「仕事を辞めたい」と思う理由を紹介。辞めない方が良いケースや、辞めても良いケースなども解説します。「介護職を続けるべきか分からない」という方は、参考にしてみてください。
「介護職を辞めたい」と思ったことがある人は?
介護の転職エージェント「レバウェル介護(旧 きらケア)」で、「介護職を辞めたいと思ったことはあるか」というアンケートを行ったところ、下記のような結果になりました。
(調査期間:2023年11月12日~2023年12月31日、回答数:247)
アンケート結果は、「介護職を辞めたいと思ったことがある」が76.5%、「介護職を辞めたいと思ったことはない」は23.5%です。8割近くの介護職員が、介護職を辞めるか悩んだ経験があることが分かります。
「辞めたい」と思ってから続けた人はどれくらい?
「介護職を辞めたい」と悩んでいる方のなかには、辞めずに仕事を続けた方や、ほかの介護事業所に転職した方もいます。下記には、レバウェル介護(旧 きらケア)が行った「辞めたいと思ってからどうしたのか」というアンケートの結果をまとめました。
(調査期間:2023年11月12日~2023年12月31日、回答数:247)
この結果では、「介護業界で転職した」が最も多く43.7%、続いて「辞めずに同じ職場で続けた」が30.8%でした。異業種に転職した方は、8.1%とあります。介護職を辞めたいという悩みを抱えていたものの、辞めずに続ける方も多いことが分かります。
介護職員の離職率は高くない
介護職は離職率が高いというイメージがある方もいるかもしれませんが、介護職員の離職率は高い方ではありません。
厚生労働省の「2 産業別の入職と離職の状況(p.2)」によると、介護職を含む「医療、福祉」産業の離職率は8.7%です。労働者全体の離職率も同じ8.7%なので、介護職の離職率は、平均程度と考えられます。なお、最も離職率が高い業種は、「生活関連サービス業、娯楽業」で15.0%、続いて「宿泊業、飲食サービス業」が14.8%でした。
出典
厚生労働省「令和5年上半期雇用動向調査結果の概要」(2024年6月14日)
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アドバイザーに相談する(無料)介護職員が介護職を辞めたいと思う理由
介護職員が「介護職を辞めたい」と思う理由としては、人間関係や給料、業務内容に対する不安などがあるようです。ここでは、介護職員が介護職を辞めたいと思う理由を解説します。
人間関係に悩んでいる
人間関係に悩み、退職を考える介護職員は多いようです。介護現場では、介護職員同士やリハビリ職員、看護職員で連携しなければ、スムーズに業務を行えません。人間関係が悪い職場では、情報共有や協力ができず、業務に支障が出てしまうことも。仕事のしづらさから、介護職を辞めたいと悩む方もいるようです。
介護技術が給料に反映されない
給料に関する不満から、退職に繋がることもあります。介護職員が安全に介護を行うためには、専門的な知識や技術が必要です。頑張って求められる技術や知識を身につけていると、「給与が仕事に見合っていない」と感じることもあるかもしれません。技術や知識が適切に評価されないことから、やりがいを失ってしまう介護職もいるようです。
腰痛などの身体的な不調が続いている
身体的な不調も、介護職を辞める要因になります。介護職は、利用者さんを支えたり抱えたりするため、膝や腰を痛めやすい仕事です。介護職の仕事にやりがいを持っていても、身体の不調によって、辞めざるを得ない状況になってしまうケースは少なくありません。
介護業務を起因とする腰痛などは、労災認定されることがあるようです。身体的な不調に悩む介護職の方は、「介護職の腰痛は労災認定される?欠勤や退職する場合についても解説!」もご参照ください。
介護の仕事に向いていないと感じる
「介護職に向いていない」と感じ、仕事を辞めようか迷う方もいます。たとえば、「利用者さんとの信頼関係の構築やコミュニケーションがうまくいかない」「業務でミスをしてしまった」といったときに、向いていないと感じる場合があるようです。これは、介護業務に慣れていない新人職員に多い悩みといえます。
介護の現実が理想と違った
「介護職に転職してみたら理想と違った」という場合も、退職を考える原因になります。介護現場では、「高齢者に寄り添ったケアをしたい」と思っていても、効率や利益を優先しなければならない場面もあるでしょう。理想と現実の違いから、介護職にやりがいを感じられなくなり、介護職を続けることがつらくなってしまう方もいるのかもしれません。
プライベートの時間が確保できない
介護職はシフト制の職場が多く、夜間や土日祝日の出勤は珍しくありません。夜勤がある場合、シフトによっては「十分に休息の時間が取れない」と感じることも。また、家族や友人と予定を合わせにくいなどの悩みが生じることもあるでしょう。プライベートと仕事の両立の難しさから、「もっと自分の時間が取れる職業に転職したい」と、介護職を辞める方もいるようです。
将来の働き方に不安を感じる
介護職員のなかには、「将来も同じように働き続けられるか」と悩み、ほかの業界への転職を選ぶ方もいます。介護職は、身体介護や夜勤などに一定の体力が必要なため、「年齢を重ねてからも同じ仕事をするのはきつそう」と不安になる方は少なくないようです。また、資格を取ったり役職に就いたりしたのに、給与が思うように上がらない場合も、介護職を続けることに不安を感じてしまうのかもしれません。
ミスが許されないというストレスを感じる
自分のミスが介護事故に繋がる可能性があるというプレッシャーを感じ、介護職を辞める人もいるようです。介護職員が気をつけて見守りをしていても、利用者さんが転倒や転落、誤嚥をしてしまうことがあり、それが深刻な結果に繋がることもあります。介護事故によって介護職員が訴えられるケースも存在するため、「自分も訴訟されるかもしれない」という不安から、介護職を離れる人もいるようです。
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介護職を辞めたいと悩んだときの対処法
「辞めたい」と思いながら仕事を続けるのは、ストレスが溜まってしまいます。とはいえ、無計画に辞めて、短期退職を繰り返してしまうことは、おすすめできません。ここでは、介護職を辞めたいときの対処法を紹介するので、仕事を続けるべきか悩んでいる方は、チェックしてみてください。
「なぜ辞めたいのか」を明確にする
介護職を辞めたいと悩んだときは、「辞めたい理由」を明確にしてみましょう。紙に書き出すなどして、現状を客観的に見てみることが大切です。たとえば、「業務に給与が見合っていない」「体力的な負担が大きい」などがあるかもしれません。
介護職を辞めたい理由が分かったら、「今の職場で改善できるのか」「介護業界での転職が必要か」「ほかの業種へ転職した方が良いのか」を判断してみましょう。状況を整理して今後の見通しが立てば、不安を軽くできるはずです。
キャリアビジョンを考えてみる
介護職が「仕事を辞めたい」と感じたときは、キャリアビジョンを考えてみるのも良いでしょう。キャリアビジョンとは、「自分が理想とする将来の姿」のこと。仕事だけでなくプライベートも含めて、将来自分はどうなりたいのか考えてみましょう。「介護職を続けていて、キャリアビジョンを叶えられるか」に視点を置いてみると、今の自分の課題が見えてきます。それを踏まえて、今後の仕事の方向性を検討してみましょう。
介護の仕事でのやりがいを思い返してみる
進路を決めかねる場合、「介護職を選んだ理由」を思い返してみることもおすすめです。初心を思い返すことで、介護職のやりがいを再確認できます。もしも、介護職にやりがいを感じられない場合は、別の仕事への転職を考えてみても良いでしょう。
信頼できる人に相談してみる
1人で悩みを解決するのが難しい場合は、信頼できる人に相談してみましょう。自分にはない視点のアドバイスがもらえるかもしれません。問題自体が解決しなくても、誰かに話すだけで、気持ちの整理がつくこともあります。
介護職を辞めたいという悩みは、職場では相談しにくいものです。とはいえ、上司や先輩も同じような悩みを抱えていたことがあるかもしれません。同じ環境で仕事をしている人と話すことで、具体的なアドバイスを貰えることがあるため、状況を見極めて相談してみるのも良いでしょう。
介護職を辞めない方が良いケース
ここでは、「介護職を辞めても良いか分からない」と悩んでいる方に向けて、介護職を辞めない方が良いケースを紹介します。介護職を辞める前に、チェックしてみてください。
退職後のビジョンが不明確
退職後のビジョンが不明確な場合は、介護職を辞めない方が良いでしょう。ビジョンがないまま転職すると、転職先でのミスマッチが起こりやすく、同じような悩みで辞めたくなってしまう可能性があります。その結果として、早期退職を繰り返してしまうリスクもあるため、ビジョンが明確になっていない段階での転職はおすすめできません。
転職回数が多く、就業期間が短い
転職回数が多かったり就業期間が短かったりする場合は、転職活動に苦戦する可能性があります。介護業界に限らず、どの業界の採用担当者も、「長く働いてくれそうな人を採用したい」と考えるのが一般的です。
転職を繰り返している場合、「採用してもすぐに辞めそう」と思われてしまい、条件が良い職場への転職が難しくなってしまいます。同じ職場や業界で十分にスキルや経験を積んでからの転職の方が、成功しやすいでしょう。
介護職を辞めても良いケース
ここでは、介護職を辞めても良いケースを紹介するので、参考にしてみてください。
介護業界以外に興味がある
介護業界以外で挑戦したい仕事がある場合、転職を検討するのも良いでしょう。やりたいことがあるのに無理して続けていると、仕事へのモチベーションが下がってしまいます。
経験のない業界で働く場合、これまでの知識が通用しないため、一から学ばなければならないことには注意が必要です。また、経験者よりは転職のハードルが高い傾向にあるので、介護職として働きながら転職先を探すと良いかもしれません。
仕事による体調不良がある
仕事による心身の負担が大きいと感じる場合は、早めに退職へ向けて動くことを検討しましょう。無理をして続けてしまうと、長期間にわたって健康状態に影響が出てしまう可能性があります。体調不良が続くときは、自分で判断して我慢せず、医療機関を受診することも大切です。
介護職を辞めるまでの流れ
退職する際は、余裕を持って職場へ伝えましょう。下記では、介護職の退職までの流れをまとめました。
- 1.上司に退職の意思を伝える
- 2.退職届を提出する
- 3.業務の引継ぎをする
- 4.職場の物資を返却する
- 5.退職後の手続きを行う
退職を決めたら、まずは直属の上司へ伝えます。退職の意思を伝えるタイミングは、就業規則に従うのが基本です。就業規則を見ると、「退職の申し出は、○ヶ月までにすること」などの記載があるはずなので、事前に確認しておきましょう。
退職の意思を伝えたら、上司に退職日を相談し、退職届を提出します。その後、業務の引継ぎや退職の事務的な手続きなどを行って退職する、というのが基本的な流れです。また、職場から借りている制服や社員証などの返却が必要になるので、確認しておきましょう。退職後は、健康保険や年金の切り替え手続きを行うことになります。
退職届の書き方については、「介護職員の退職届の書き方とは?書類を提出する流れもご紹介」で解説しているので、あわせてご覧ください。
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介護職を辞めて良かったこととは
「介護職を辞めて後悔しないか」という不安を抱えている方もいるでしょう。下記では、介護職を辞めて良かったことを紹介します。
- プライベートの時間を確保しやすくなった
- 身体的、精神的な負担が減った
- 生活リズムが整った
介護職を辞めて、「プライベートの時間を確保しやすくなった」「身体的・精神的な負担が減った」などのメリットを感じる方もいるようです。ただし、介護職を辞めたからといって、必ずしも上記の問題が解決するとは限りません。転職で後悔しないためには、介護職を辞めたい理由を明確にしたうえで、それを解決できる職場に転職することが大切です。
介護職を辞めなくても、職場を変えることで解決できる可能性もあります。「介護職を辞めたい」と悩んでいる方は、介護業界の転職に詳しいレバウェル介護(旧 きらケア)に、一度ご相談ください。悩みをヒアリングしたうえで、あなたに合った働き方ができる職場をご提案いたします。
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アドバイザーに相談する(無料)介護職員が働きやすい職場に転職するためのコツ
先述したとおり、介護の仕事自体を辞めなくても、職場を変えることで問題が解決する場合があります。ここでは、転職で自分に合った介護施設や事業所を見つけるためのコツを紹介するので、参考にしてください。
自分の介護観と応募先の介護方針を比較する
自分の介護観と職場の経営方針が一致していないと、仕事にやりがいを感じられない可能性があります。求人に応募する前には、経営理念や介護の方針に共感できるかを確認しておきましょう。納得したうえで転職すれば、入職後のミスマッチを減らせます。
自分の体調に合った働き方ができるか確認する
自分の生活スタイルや体調に合わせて、職場を選ぶことも大切です。夜勤がつらい場合は、「夜勤がないデイサービスや訪問介護事業所に勤務する」「パートとして日勤のみで働く」といった選択肢があります。「夜勤は問題ないけど、不規則な生活がきつい」というのであれば、夜勤専従の働き方も検討してみると良いでしょう。
また、介護職員の仕事内容は、利用者さんの介護度によって変わるため、応募先の平均要介護度や提供するサービスの範囲を確認することも大切です。腰痛などで身体介護が難しい場合は、自立している利用者さんが多い有料老人ホームやデイサービスが向いているでしょう。
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自分の介護スキルと合っているか調べる
自分のスキル以上のことを求められることにストレスを感じる方は、自分の介護スキルと応募先の求める介護スキルが一致しているか、確認しておきましょう。介護経験が浅く、仕事についていけるか不安な場合は、教育制度やフォロー体制が整っている職場を選ぶと安心です。
給料などの待遇に納得できるか確認する
モチベーションを保って働くには、給与や福利厚生などの待遇に納得できることも大切です。資格手当や夜勤手当の額、昇給制度、福利厚生などをチェックしておきましょう。労働条件に納得したうえで転職すれば、入職後のミスマッチを減らせます。介護職の福利厚生については、「介護施設の福利厚生にはどんな種類がある?制度が充実している求人を探そう」の記事も参考にしてみてください。
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介護職を辞めたい人によくある質問
ここでは、介護職を辞めたい人によくある質問を紹介します。「介護職を辞めるのは甘え?」「介護職を辞めて転職できる?」などの疑問がある方は、チェックしてみてください。
介護職を辞めたいと思うのは甘え?
「介護職を辞めたい」と思うのは、必ずしも「甘え」ではありません。レバウェル介護(旧 きらケア)で、「介護職を辞めたいと思ったことがあるか」というアンケートを行ったところ、76.5%もの人が「辞めたいと思ったことがある」と回答しました。(調査期間:2023年11月12日~2023年12月31日、回答数:247)。介護職として働いていて、「辞めたい」と悩む方は多いようです。仕事がつらいと思ったら、今の働き方を見直してみると良いでしょう。「介護職を辞めたい」と悩んでいる方は、「介護職を辞めたいと悩んだときの対処法」もチェックしてみてください。
介護職を辞めたいけど50歳から転職できる?
50代から、介護業界以外に転職することは可能です。ただし、中途採用では、即戦力となる人材を求める傾向にあるため、経験のない分野への転職は不利になってしまうことも。介護職を辞めて他業種に転職する場合は、介護業務で養ったスキルを活かせる仕事を選ぶのがポイントです。また、人間関係や働き方に不満がある場合、介護業界内で転職することで、悩みが解決する可能性もあります。「介護職員が働きやすい職場に転職するためのコツ」では、自分に合う職場の見極め方を紹介しているので、参考にしてみてください。
介護の仕事を辞めたいと思う新人によくある悩みは?
介護職を辞めたい新人職員に多い悩みには、「なかなか仕事が覚えられない」「ミスをしてしまった」「人間関係がうまくいかない」などがあるようです。上記の悩みから、「自分は介護職に向いていないのでは?」と不安に感じるケースは少なくありません。新人の介護職員が抱える悩みの多くは、経験を積むことで解決できる傾向にあります。転職を焦らずに、コツコツと経験を積むことが、スキルアップへの近道になるでしょう。「「介護職もう辞めたい…」新人職員によくある仕事の悩みと解決方法を解説!」では、新人職員が介護職を辞めたいと思う理由や対処方法を紹介しているので、ぜひご覧ください。
まとめ
レバウェル介護(旧 きらケア)のアンケート結果によると、「介護職を辞めたい」と思ったことがある人は8割近くおり、多くの介護職員が仕事を辞めるか悩んだ経験があることが分かります。介護職を辞めたいと思う理由には、人間関係の悩みや給料への不満、身体的な不調などがあるようです。
悩みを抱える介護職は、辞めたい理由を明確にしたり、キャリアビジョンを考えたりすることで、今後の方向性や課題が見えてくるでしょう。介護業界内で転職して環境を変えれば、問題を解決できる場合もあります。
「介護職を辞めたいけど迷っている」「自分に合う職場が分からない」という方は、レバウェル介護(旧 きらケア)をご活用ください。専任のアドバイザーが、キャリアビジョンや希望条件をヒアリングしたうえで、あなたに合った職場をご提案いたします。転職を決めていない方の、「辞めても良い?」という相談もOK。第三者目線でのアドバイスも可能です。サービスはすべて無料なので、お気軽にご相談ください。
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